第5章 オートクレーブ養生によるトバモライトの生成が高強度の発現
5.3 実験結果および考察
5.3.1 微細構造
- 149 -
5000倍 ,10000倍 と し た .
5.3 実験結果および考察
- 150 -
CaO(mass%)
SiO2(mass%) C3S
C2S
CSH
図5-14 CaOとSiO2のEPMA分析結果(W/C30%-SF10%-300h)
[3視野67500点データプロット]
CaO(mass%)
SiO2(mass%) C3S
C2S
CSH
図5-13 CaOとSiO2のEPMA分析結果(W/C30%-SF10%-10h)
[3視野67500点データプロット]
図5-12で 組 成 分 析 し たCaOとSiO2の 濃 度 分 布 図 を 図5-13~ 図5-16に 示 す .
SF
SF
- 151 -
CaO(mass%)
C3S C2S
CSH
SiO2(mass%)
図5-15 CaOとSiO2のEPMA分析結果(W/C30%-SF5%-10h)
[3視野67500点データプロット]
CaO(mass%)
SiO2(mass%) C3S
C2S
CSH
図5-16 CaOとSiO2のEPMA分析結果(W/C30%-SF5%-300h)
[3視野67500点データプロット]
SF
SF
- 152 -
こ れ ら の 図 は ,EPMAに よ る 分 析 し た 面 分 析 結 果 を コ ン ピ ュ ー タ ー 処 理 し た の も で ,1視 野 に つ き 縦 横1μm間 隔 で150点 , 合 計22500点 の 分 析 を 行 い ,3視 野 で67500点 全 て のCaOとSiO2の 分 析 値 が グ ラ フ 上 に プ ロ ッ ト さ れ て い る . こ の グ ラ フ に はCSHお よ び 未 水 和 の セ メ ン ト 鉱 物 で あ るC3S(エ ー ラ イ ト)お よ びC2S(ビ ー ラ イ ト)が 検 出 さ れ て い る .
こ れ ら の 結 果 よ り 得 ら れ たCa/Si比 を 表5-3に 示 す .ま ず ,シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 が10%の 場 合 ,オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間 が10時 間 に お い てCaO:SiO2=40:26付 近 に 集 合 し て い るCSHの 質 量 比 か らCa/Si比 を 計 算 す る と1.53で あ っ た . 次 に , 養 生 時 間 が300時 間 の 場 合 に お い て は , CaO:Si O2= 37:26付 近 に 集 合 し て い るCSHの 質 量 比 か ら ,Ca/Si比 は1.37ま で 減 少 し , 養 生 時 間 の 増 加 に 伴 いCa/Si比 は 若 干 小 さ く な っ た .同 様 に ,シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 が5%の 場 合 のCa/Si比 は ,10時 間 の 場 合 で1.60,300時 間 の 場 合 で1.55と ,10%の 場 合 と 同 様 に 養 生 時 間 に 比 例 し てCa/Si比 は 小 さ く な っ た . シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 で 比 較 す る と , シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 が 高 い10%の 場 合 の 方 が ,Ca/Si 比 は 小 さ く な っ た .
従 来 , 水 中 養 生 で 生 成 す るCSHのCa/Si比 は1.7~2.0程 度 と さ れ て お り ,シ リ カ フ ュ ー ム を 混 和 し た オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 を 実 施 し た モ ル タ ル の 場 合 は ,Ca/Si比 が 小 さ く な る こ と を 示 し て い る . 既 往 の 研 究5 -4) で は , シ リ カ フ ュ ー ム がCa(OH)2と の ポ ゾ ラ ン 反 応 に よ っ てCSHを 生 成 し ,Ca(OH)2を 消 費 し 終 え た の ち の 結 合 水 量 は 増 え る こ と な く シ リ カ フ ュ ー ム は さ ら に 反 応 し てCSHの 中 に 取 り 込 ま れ , 通 常 な り う る Ca/Si比 よ り も 小 さ く な る こ と か ら , 本 実 験 結 果 に お い て も 同 様 の 結 果 が 得 ら れ た .
表5-3 オートクレーブ養生時間変化によるCa/Si比
W/C C×%
10 1.53
300 1.37
10 1.60
300 1.55
Ca/Si比 オートクレーブ養
生時間(hrs.) 水セメント比
(%)
シリカフューム 添加率(%)
30
5 10
- 153 - 0
50 100 150 200 250 300 350 400
5 6 7 8 9 10
強度(cps)
2θ/°(CuKα)
W/C30%-SF5%-180℃
300時間 100時間 10時間
←:7.8°
図5-18 オートクレーブ養生時間変化による粉末X線回折図
(シリカフューム添加率5%)
0 50 100 150 200 250 300 350 400
5 6 7 8 9 10
強度(cps)
2θ/°(CuKα)
W/C30%-SF10%-180℃
300時間 100時間 10時間
←:7.8°
図5-17 オートクレーブ養生時間変化による粉末X線回折図
(シリカフューム添加率10%)
(2) 粉末X線回折
図5-17お よ び 図5-18に 粉 末 X 線 回 折 結 果 を 示 す . な お , 図 中 に 記 す る7.8°(002面)付 近 の 線 は , オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 に よ る 高 強 度 化 の 要 因 と さ れ て い る 結 晶 性 の 水 和 物11Å Tobermoriteの 回 折 ピ ー ク が 現 れ る 回 折 角 で あ る5 - 3 ).
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こ の 結 果 に よ れ ば ,シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 が10%の 場 合 ,オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間 の 短 い10時 間 の 場 合 に お い て は ,7.8°(002面)付 近 に 回 折 ピ ー ク が 現 れ る11Å Tobermoriteの 生 成 は 認 め ら れ な か っ た . こ れ に 対 し , オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間 が100時 間 ,300時 間 の 場 合 に お い て ,11Å Tobermoriteの 回 折 ピ ー ク が 認 め ら れ た . 次 に , シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 が5%の 場 合 ,300時 間 に お い て11Å Tobermoriteの 微 小 な 回 折 ハ ロ ー が 認 め ら れ た が ,10時 間 お よ び100時 間 の 場 合 に お い て は11Å Tobermoriteの 生 成 は 認 め ら れ な か っ た . こ れ ら の 結 果 お よ び(1)「 生 成 水 和 物 の 組 成 分 析 」 に お け るEPMAよ り 算 出 し たCa/Si比 か ら , 生 成 さ れ た 水 和 物 組 成 を 推 察 す る と , 図 5-19 に 示 す CaO-SiO2-H2O系 化 合 物 組 成5 - 5 )に お い て3成 分 系 三 角 座 標 の 中 に プ ロ ッ ト さ れ たCSH相 組 成5 - 7 )に 分 類 さ れ , こ の 中 心 部 に 散 在 す る Tobermoriteグ ル ー プ に 属 す る 水 和 物 で あ る こ と が わ か る .
オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 に よ っ て 生 成 さ れ るTobermoriteグ ル ー プ に は , 11Å Tobermoriteお よ びCSH(Ⅰ ま た は Ⅱ)5 - 6 ) , 5 - 7 )で あ る が ,(1)「 生 成 水 和 物 の 組 成 分 析 」 に お け るEPMAの 検 討 に お い て は ,11Å Tobermorite の 生 成 を 意 味 す る7.8°(002面)付 近 に 回 折 ピ ー ク が 最 も 顕 著 に 現 れ た
図5-19 CaO-SiO2-H2O系化合物組成5-5)
11ÅC5S6H5
- 155 -
300時 間 のCa/Si比 は1.37で あ っ た .11Å Tobermoriteが 多 く 生 成 さ れ て い る 場 合 , 一 般 的 にCa/Si比 が0.8~1.0ま で 低 く な る5-6),5-7)こ と か ら , 本 実 験 で 主 に 生 成 さ れ て い る 水 和 物 はCa/ Si≤1.5と な るCSH(Ⅰ)ま た はCa/Si≤1.5と な るCSH(Ⅱ)で あ る . そ し て , 粉 末X線 回 折 に よ っ て7.8°
(002面)付 近 に 回 折 ピ ー ク が 認 め ら れ た オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間10 0時 間 お よ び300時 間 で 生 成 し た11Å Tobermoriteは , 生 成 し た 水 和 物 の 一 部 が 結 晶 化 し た も の と 推 察 し た .
(3) 生成水和物の形態観察
走 査 型 電 子 顕 微 鏡 に よ る 観 察 画 像 を 図5-20, 図5-21に 示 す . ま ず , 図5-20に は シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率5%の 場 合 の(a)オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間10時 間 ,(b)オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間300時 間 の 変 化 を 示 す .こ の 結 果 に よ れ ば , オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間 が10時 間 の 場 合 , 小 粒 か つ 燐 片 状 の 非 結 晶 の ケ イ 酸 カ ル シ ウ ム 水 和 物 で あ るCSHの 存 在 が 確 認 さ れ た . オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 が100時 間 の 場 合 で は , そ のCSHの 生 成 量 が 増 え る 傾 向 で あ っ た .ま た ,養 生 時 間 が300時 間 の 場 合 に お い て は 極 少 量 の 針 状 ま た は 薄 箱 状 の 水 和 物 の 生 成 が 確 認 さ れ た .
(a):オートクレーブ養生温度180C-10時間,(b):オートクレーブ養生温度180C-300時間
こ の 極 少 量 の 針 状 の 水 和 物 が11Å Tobermoriteで あ る と の 判 断 は 困
(a) (d)
図5-20 オートクレーブ養生時間の違いによる走査型電子顕微鏡観察画像
(3000倍) (1000倍)
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難 で あ る が , 粉 末 X 線 回 折 結 果 に よ れ ば , シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 5%の オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間300時 間 の 場 合 に お い て , 養 生 時 間10 時 間 な ら び に100時 間 で は 認 め ら れ な か っ た2θ°,30°付 近 に 回 折 ハ ロ ー が 得 ら れ て い る こ と か ら ,11Å Tobermoriteま た は11Å Tobermorite へ の 結 晶 化 前 の 比 較 的 結 晶 性 の 高 い 水 和 物 で あ る と 判 断 し た .
次 に 図5-21に は ,シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率10%の 場 合 の(a)オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間10時 間 ,(b)オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間300時 間 の 変 化 を 示 す .こ の 結 果 に よ れ ば ,オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 時 間 が10時 間 の 場 合 , 小 粒 か つ 燐 片 状 のCSHが シ リ カ フ ュ ー ム の 添 加 率 が5%の 場 合 に 比 べ , さ ら に 細 か く 密 に な る 傾 向 で そ の 量 も 増 え る こ と が 確 認 さ れ た . さ ら に ,オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 が300時 間 の 場 合 で は ,針 状 ま た は 薄 箱 状 の 結 晶 性11Å Tobermoriteの 生 成 が 多 く 確 認 さ れ た .
(c):オートクレーブ養生温度180C-10時間,(d):オートクレーブ養生温度180C-300時間
これらのことは,(2)「粉末X線回折」結果を良く反映しており,オート ク レ ー ブ 養 生 を 長 時 間 実 施 す る こ と で , 水 熱 反 応 が 進 行 し ,11Å Tobermoriteの生成量および,シリカフュームの添加によるCSHの量が増加 することを示している.また,提案している水セメント比30%およびシリ
カフュームの添加率が10%の配合条件においては,オートクレーブ養生の
高強度化には必須条件とされてきた11Å Tobermoriteが,養生時間100時間 では極少量であるが,養生時間300時間の場合,その量は増えることが認 められた.
(c) (b)
図5-21 オートクレーブ養生時間の違いによる走査型電子顕微鏡観察画像
(1000倍) (5000倍)
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