3.3 前置き養生時間の違いがオートクレーブ養生による強度の発現性と
3.3.2 実験方法
(1) 使 用 材 料 お よ び 配 合
使 用 し た シ リ カ フ ュ ー ム 混 入 プ レ ミ ッ ク ス 粉 末 は , 前 述3.2.2「(1) 使 用 材 料 お よ び 配 合 」で 述 べ た 太 平 洋 セ メ ン ト(株)社 製 の プ レ ミ ッ ク ス 粉 末 と 同 一 ロ ッ ド で 製 造 さ れ た も の で ,「(公 社)土 木 学 会 編 超 高 強 度 繊 維 補 強 コ ン ク リ ー ト の 設 計 ・ 施 工 指 針(案)3 - 1 )」 に 準 拠 し た も の を 用 い た .
本 実 験 に お い て も , 鋼 繊 維 の 影 響 を 排 除 す る た め に 同 材 料 を 混 入 し な い で , そ の 相 当 量 の け い 砂 を 置 換 し て い る 鋼 繊 維 無 混 入 の モ ル タ ル と し ,プ レ ミ ッ ク ス 粉 末 専 用 の 太 平 洋 セ メ ン ト(株)社 製 の 高 性 能 減 水 剤 を 使 用 し た . な お , 配 合 条 件 も 同(公 社)土 木 学 会 編 指 針 ( 案 ) に 準 拠 し た 表3-2に 示 す 通 り と し た .
(2) 供試体の作製方法
モ ル タ ル ミ キ サ ー 練 混 ぜ 方 法 は ,JIS R 5201「 セ メ ン ト の 物 理 試 験 方 法 」3 - 11 )に 準 拠 し20Cの 恒 温 室 で 行 っ た . 容 量5リ ッ ト ル の 低 速 お よ び 高 速 の 切 り 替 え が 可 能 な モ ル タ ル ミ キ サ ー を 使 用 し , 低 速2分 , 高 速3分 間 行 っ た . 型 枠 はφ50mm×100mmの 鋼 製 円 柱 型 枠 を 使 用 し , エ ン ト ラ ッ プ ト エ ア を で き る だ け 巻 き 込 ま な い よ う に 連 続 的 に 打 込 み を し た .
打 設 終 了 後 の 締 固 め は , テ ー ブ ル バ イ ブ レ ー タ ー で30秒 間 振 動 を 加 え た . 締 固 め を 行 っ た 後 は , 打 設 面 を ガ ラ ス 板 で 蓋 を し て , 濡 れ ウ ェ ス , ビ ニ ー ル の 順 で 覆 い 養 生 を 開 始 し た .
表3-2 モルタルの配合3-1)
※高性能減水剤を含む
180* 2254 53 22
単位体積重量(kg/m3)
水 プレミックス粉体 けい砂 高性能減水剤
- 63 -
(3) 養生装置と養生方法
使 用 し た 常 圧 蒸 気 養 装 置 生 は , エ ス ペ ッ ク(株)社 製 の 小 型 環 境 試 験 機(型 式 :SU-221,温 度 範 囲 :-20C~150C)で ,蒸 気 の 供 給 は ,耐 熱 容 器 に 純 水 を 浸 し , 密 封 加 熱 す る こ と で 湿 潤 飽 和 状 態 を 保 っ た . 次 に , オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 装 置 は , 小 型 オ ー ト ク レ ー ブ 装 置[(株)筑 波 丸 東 社 製 , 型 式 :NU型 , 圧 力 容 器 式 , 耐 圧1.5MPa, 耐 温 度200C]
を 用 い た .
こ れ ら の 装 置 を 使 用 し て 本 実 験 で 用 い た 養 生 パ タ ー ン を 図3-10に 示 す . 練 混 ぜ 後 に 行 う 前 置 き 養 生 は , 養 生 温 度20C一 定 で , 養 生 時 間 は 型 枠 へ 打 設 直 後 を0時 間 と し ,実 製 造 に 準 拠 し た3時 間 ,さ ら に1 8時 間 ,72時 間 の4水 準 で 検 討 を 行 っ た . 各 前 置 き 養 生 時 間 後 , 脱 型 を 目 的 と し た 常 圧 蒸 気 養 生 は エ ス ペ ッ ク(株)社 製 の 小 型 環 境 試 験 機( 型 式 :SU-221,温 度 範 囲 :-20C~150C)を 用 い て 昇 温 お よ び 降 温 速 度 を20C/hと し た 養 生 条 件65C-4時 間 と し ,常 圧 蒸 気 養 生 終 了 後 注 水 か ら24時 間 後 に 脱 型 を 行 っ た . オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 は , 昇 温 お よ び 降 温 速 度 は80C/hで 従 来 の 養 生 温 度180Cと150Cの2水 準 で ,養 生 時 間 は3時 間 と し た .
図3-10 養生パターン
0 40 80 120 160 200
温度(℃)
時間(hrs.)
【常圧蒸気養生】
65℃-4h
【オートクレーブ養生】
180℃
150℃
[前置き養生]
20℃-0,3,18,72h
24h
オートクレーブ 養生3h
- 64 -
(4) 圧縮強度と静弾性係数
圧 縮 強 度 試 験 は ,JIS A 1108「 コ ン ク リ ー ト の 圧 縮 強 度 試 験 方 法 」
3 - 11 )に 準 拠 し ,(株)島 津 製 作 所 社 製 の 万 能 試 験 機 (型 式 :UH-1000kN/
最 大 載 荷 荷 重1000kN)を 使 用 し た .圧 縮 強 度 試 験 は ,オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 後 に 行 い , 載 荷 速 度 は0.2N/mm2と し た . 試 験 は , 供 試 体 の 端 面 を ダ イ ヤ モ ン ド 研 磨 機 で 平 坦 に し た も の を 使 用 し , 圧 縮 強 度 は 測 定 結 果6点 の 平 均 値 と し て 求 め た .
静 弾 性 係 数 の 測 定 は ,(株)東 京 測 器 研 究 所 社 製 の 長 さ30mmの ひ ず み ゲ ー ジ(PFL-30-11)を 用 い て ,図3-11に 示 す 通 り 縦 方 向 の 対 象 面 に2枚 貼 り 付 け ,JIS A 1149「 コ ン ク リ ー ト の 静 弾 性 係 数 試 験 方 法 」3-16)に 準 拠 し て 行 っ た .
(5) 細孔空隙
セ メ ン ト 硬 化 体 の 強 度 の 発 現 や 耐 久 性 な ど の 諸 物 性 に 対 し て , 空 隙 構 造 つ ま り , 細 孔 空 隙 量 や 細 孔 空 隙 分 布 が 重 要 な 役 割 を 果 た す こ と は 極 一 般 的 で あ る3 - 1 7 ).細 孔 空 隙 は ,エ ン ト レ ン ド エ ア お よ び エ ン ト ラ ッ プ ド エ ア は じ め と し た 粗 大 な 空 隙 と 水 和 反 応 に 費 や さ れ な か っ た 自 由 水 の 部 分 に あ た る 毛 細 管 空 隙 , さ ら にCSH等 の 結 晶 間 の 層 間 距 離 に 対 応 す る 層 間 水 部 分 の ゲ ル 空 隙 に 分 類 さ れ る .
材 齢 に と も な う 強 度 の 増 進 は , 水 和 の 進 行 に よ り 生 成 し た 水 和 物
100mm
50mm
図3-11 静弾性係数測定用供試体
- 65 -
が , セ メ ン ト 粒 子 が 占 め て い た 空 隙 を 埋 め る と と も に , 体 積 の 増 加 分 で 毛 細 管 空 隙 を 満 た し , セ メ ン ト 硬 化 体 の 全 空 隙 量 を 低 下 さ せ る こ と が 最 大 の 理 由 で あ る3 - 1 7 ).つ ま り ,水 和 物 の 生 成 は ,水 和 物 の 層 間 部 分 と 定 義 さ れ て い る ゲ ル 空 隙 の 増 加 を 意 味 し て い る . な お , ゲ ル 空 隙 の ゲ ル と は , セ メ ン ト ペ ー ス ト が コ ロ イ ド に 近 い き わ め て 微 細 な 水 和 物 の 粒 子 が 水 に 分 散 し 固 化 し た , い わ ゆ る ゲ ル と 類 似 し た 構 造 を 持 つ た め に セ メ ン ト ゲ ル を よ ば れ て い た こ と に 由 来 す る3 - 1 8 ). オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 に よ る 強 度 の 増 進 は , 水 熱 反 応 に よ る 水 和 促 進 と 生 成 さ れ るTobermoriteグ ル ー プ に 属 す る11Å Tobermoriteに よ っ て 緻 密 化 す る こ と が 要 因 と さ れ て い る . つ ま り , マ ト リ ッ ク ス 中 に 存 在 す る 細 孔 は , 最 初 , 未 水 和 粒 子 間 が 水 で 満 た さ れ て い た 毛 細 管 空 隙 に オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 に よ り 生 成 し た 水 和 物 が 充 填 さ れ , 次 第 に 全 空 隙 量 が 減 少 す る こ と で 緻 密 化 す る . 更 に 反 応 が 進 む と 細 孔 空 隙 は 粗 い 方 か ら , 細 か い 方 へ 移 行 す る3 - 1 9 ).
こ れ ら の こ と か ら 細 孔 空 隙 の 測 定 は , ゲ ル 空 隙 や 毛 細 管 空 隙 を 測 定 す る こ と に よ り , オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 に よ っ て 生 成 し た 水 和 物 量 の 指 標 と な り , 圧 縮 強 度 に も 大 き く 寄 与 す る . よ っ て 細 孔 空 隙 の 測 定 は , オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 の 低 温 化 さ ら に は オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 に よ る 強 度 の 要 因 解 明 と 密 接 に 関 連 す る 重 要 な 要 素 の 一 つ と 考 え た . な お , 本 実 験 で は 既 往 の 文 献3 - 2 0 )を 参 考 と し て , 図3-12に 示 す よ う に 細 孔 空 隙 を 定 義 し 考 察 を 行 っ た .
図3-12 細孔空隙の定義
ゲル空隙 gel pore
3-6nm
毛細管空隙 capillary pore
6-50nm
100 細孔直径
粗大空隙 entrapped air entrained air
1nm 10 100 1μ 10
(6-10nm) (10-50nm)
100nm-1µm 1µm~
50-100nm
- 66 -
細 孔 空 隙 の 測 定 は , 図3-13に 示 すThermo Fisher Scientific Co.社 製 (Pascal/140/440)の 水 銀 圧 入 式 ポ ロ シ メ ー タ ー を 使 用 し た . こ の 装 置 の 測 定 可 能 な 細 孔 直 径 は100μm~3nm(水 銀 圧 力0.1~400MPa)で あ る . 測 定 試 料 は , オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 終 了 後 の モ ル タ ル か ら , ダ イ ヤ モ ン ド カ ッ タ ー を 用 い て3~5mmの 細 粒 試 料 を 切 り 出 し ,ア セ ト ン で 水 分 の 除 去 を 行 い , 水 和 を 停 止 さ せ た 後 に ,D乾 燥 法 で3日 間 乾 燥 さ せ た も の で あ る .
(6) 粉 末 X線 回 折
オ ー ト ク レ ー ブ 養 生 の 高 強 度 の 発 現 要 因 と さ れ るTobermoriteの 生 成 確 認 は ,粉 末X線 回 折 に よ るCuKα線 に よ り 行 っ た .使 用 し た 装 置 は (株)リ ガ ク 社 製 の 粉 末X線 回 折 装 置(型 式 :MiniFlexⅡ)で あ る . 測 定 条 件 は , 管 電 圧40kv, 管 電 流20mA, 走 査 範 囲2θ(5~60, 走 査 速 度 は2 /minと し た .主 な 測 定 対 象 水 和 物 は ,結 晶 性 の11Å Tobermoriteで あ る
.そ こ で ,他 の 水 和 物 の 回 折 ピ ー ク と 重 な ら な い11ÅTobermoriteの 第1 ピ ー ク が 現 れ る 回 折 角7.8°(002面) 3 -1 4 )に よ り ,生 成 の 有 無 を 確 認 し た
. な お 用 い た 試 料 は ,(5)「 細 孔 空 隙 」 で 述 べ た3~5mmの 細 粒 試 料 を め の う 乳 鉢 で 粉 砕 し た も の で あ る .
図3-13 水銀圧入式ポロシメーター
- 67 -
図3-14 走査型電子顕微鏡
(7) 生成水和物の形態観察
生 成 水 和 物 の 形 態 観 察 方 法 は , 図3-14に 示 す 日 本 電 子(株)社 製 の 走 査 型 電 子 顕 微 鏡(Carry Scope JCM-5700)に よ っ て 観 察 し た .観 察 試 料 は ,(5)「 細 孔 空 隙 」 の 測 定 方 法 で 述 べ た 細 粒 試 料 の 破 断 面 を 観 察 し た.な お , 観 察 倍 率 は ,3000倍 ,5000倍 ,10000倍 と し た .
3.3.3 実験結果および考察