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建設産業における廃棄物受入の埋立処分場消費への動学的影響分析

第 4 章 動学的拡張 WIO モデルの応用

4.1 建設産業における廃棄物受入の埋立処分場消費への動学的影響分析

される。

4.1.2 廃棄物の分別についての設定

上記の現状を踏まえて、可燃廃棄物と不燃廃棄物を完全分別するシナリオを想定する。これは 廃棄物を廃棄物処理過程に対応させる配分行列にかかわるシナリオである。建築物を解体した場 合に発生する主な廃棄物のうち、分別解体された場合、コンクリート塊、木屑、金属屑は、基本 的にリサイクルされているが、低コストのミンチ解体により分別されない建設混合廃棄物が大量 に排出され最終処分されている。

Table.4.1は解体方法、処理方法別木造建築物のリサイクル率と費用を示したものである。ミン

チ解体は工期、人手とも、分別手解体の半分程度、工事費は8割程度で済むが、廃材はすべて建築 混合廃棄物になってしまい、再資源化がほぼ不可能である。そのため建築混合廃棄物はほぼ埋立 処分されていた。ただし建設リサイクル法で、対象建設工事受注者に対して、分別解体等を義務 付けたため現在ではこうした解体はできなくなっている。

Table. 4.1: 解体方法、処理方法別木造建築物のリサイクル率とコスト(30坪あたり) 単位:万円

分別機械解体 分別手解体 ミンチ機械解体 混廃→ 混廃→ 混廃なし 混廃→ 混廃→

選別・破砕 埋立処分 選別・破砕 埋立処分 リサイクル率 74% 73% 75% 50% 0%

解体工事費 74 74 88 61 61

収集運搬費 25 25 21 27 27

小計 99 99 109 87 87

処分費用 26 42 22 45 103

諸経費 12 14 13 13 19

合計 137 154 144 146 209 混廃とは建設混合廃棄物を意味する。

出典:建設解体廃棄物対策研究会編(1998)

建設混合廃棄物の仕分け後の組成はTable.4.2のように示される(鈴木編(1996))。表より分別を 徹底することで重量ベースで12.6%の鉄屑、10.2%の木屑や7.2%のコンクリートが分離回収できる ことがわかる。

これらの建設混合廃棄物が完全分別されて、リサイクルされる場合と、不完全な分別が行われ る場合について、配分行列をTable.4.3のように設定してシナリオ比較を行う。

本研究では固定係数のレオンチェフ型生産関数を想定しており、ミンチ解体から手分別に伴う

品目 仕分け後の容量 重量 (m3) (%) (kg) (%)

ガラス,陶磁器屑 19.6 3.5 9,160 5.6

残渣 60.0 10.8 68,770 42.0

ボード類 43.0 7.7 11,530 7.0

コンクリート 938.0 1.8 12,160 7.4 廃プラスチック 91.9 16.4 8,410 5.1 塩化ビニルパイプ 3.8 0.7 410 0.3

鉄屑 78.0 14.0 20,570 12.6

電線 4.6 0.8 1,070 0.7

アルミニウム 0.9 0.2 100 0.1 空き缶 8.3 1.5 870 0.5 木屑 104.7 18.7 16,730 10.2 ダンボール 64.5 11.6 5,480 3.4 紙屑 0.6 0.1 100 0.1 再生利用不可能可燃物 51.5 9.2 5,880 3.6 生ゴミ 6.0 1.1 500 0.3 処理困難物(ペンキ缶) 10.5 1.9 1,830 1.0 合計 557.7 100.0 163,570 100.0 Table. 4.2: 建設混合廃棄物の内容(鈴木編(1996))

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Table. 4.3: 配分行列

不完全分別 完全分別 焼却 埋立 焼却 埋立 厨芥 0.9 0.1 1 0

紙類 0.931 0.069 1 0

繊維屑 0.929 0.071 1 0

廃プラスチック 0.59 0.41 1 0

鉄屑 0.007 0.993 0 1

非鉄金属屑 0.003 0.997 0 1

生き瓶 0 1 0 1

ガラス屑 0.035 0.965 0 1

陶磁器 0.095 0.905 0 1

ゴム屑 0.554 0.446 1 0

動植物残渣 0.978 0.022 1 0

飛灰 0 1 0 1

焼却灰 0 1 0 1

スラグ 0 1 0 1

木屑 1 0 1 0

有機汚泥 0 1 0 1

無機汚泥 0 1 0 1

廃油 1 0 1 0

廃酸 1 0 1 0

廃アルカリ 1 0 1 0

アスファルト・コンクリート塊 0 1 0 1 コンクリート塊 0 1 0 1 建設混合廃棄物 0 1 0 1

建設発生土 0 1 0 1

動物糞尿 1 0 1 0

動物死体 1 0 1 0

溶融スラグ 0 1 0 1

費用変化と、それに伴う技術係数の変化は考慮していない1)

4.1.3 再資源化原材料の回収についての設定

次に建築廃棄物の再資源化原材料の完全回収と不完全回収に関わるシナリオを想定する。これ は廃棄物化変換行列にかかわるシナリオである。

ここで廃棄物化変換行列の設定について述べる。廃棄物化変換行列は資本財として蓄積された 財及び再資源化原材料が廃棄される際にどのような廃棄物として発生するかを示したものである。

これをRC造事務所建築物を例に示す。

Table.4.4はRC造2)事務所ビル延床面積7,583m2、地上8階・地下1階のモデルビルを対象に試 算し、1m2あたりのインベントリーを記載したものである(JEMAI-LCAデータ3)参考)。

資本財として蓄積されたRC造事務所建築物は廃棄される際に、完全に構成資材別に分離可能で あるならば、資材としてのコンクリートは廃コンクリートとして、資材としての鉄は鉄屑、資材 としてのアルミは廃アルミ屑として回収される。しかし現実には廃棄時に資材別の完全な分離は 困難であり、コンクリートに鉄筋や電線や窓枠等がが混入した鉄筋入りガラ、ゴミ入りガラといっ た混合廃棄物として排出される。このような現状を実地調査したものとして間宮らによる報告が

ある。Table.4.5は新築・改修・解体段階において、建設部門から発生する廃棄物は種類別に示し

たものである(間宮,高橋,齋藤(2004))。

廃棄の際に出力する廃棄物は再資源化原材料として産業部門に投入されるか、あるいは配分行 列に従い廃棄物処理の後、適正な処分が行われる。しかし出力する廃棄物の中には再資源化が困 難な廃棄物が存在する。再資源化を困難にする理由は大きく分けて二つある。一つ目はミンチ解 体を行ったときに発生する建設混合廃棄物のように、コンクリートと再資源化が可能な鉄屑やア ルミ屑が物理的に分離していないために、取り出すことができずに鉄屑やアルミ屑を再資源化で きないケースである。この場合、取り出すことができなかった鉄屑やアルミ屑は埋立処分される ことになり、資源循環の輪から抜けることになる。

もう一つは再資源化の過程で混入する不純物の存在により、技術的に再資源化が困難になる場 合である。建築物で使用されるセメント等の建築・土木資材には鉱滓や焼却灰などの多くの廃棄物 が使用されており、建設産業は廃棄物処理部門において処理された廃棄物のもっとも大きな受け入 れ先となっている。その一例として都市ゴミ焼却灰や下水汚泥焼却灰などを再資源化原材料とし

1)分別技術や再資源化原材料の使用等に伴う費用変化と、技術係数の変更はライフサイクルコスト(Life Cycle

Cost:LCC)の観点からも重要であり、今後の課題とすべき点である。ここでLCCとは生産・使用段階において

発生する費用だけでなく、廃棄・処理段階において発生する費用も含めた費用の概念をさす。

2)RCは鉄筋コンクリート(Reinforcement Concrete)の意味で、鉄骨で柱や梁、床、壁などを組んで、その周りに鉄 筋を配してコンクリートを打ち込み、鉄筋とコンクリートを組み合わせて造られている構造を意味する。

3)JEMAI-LCAJEMAI(Japan Environmental Management Association for Industry:社団法人産業環境管理協 )LCAの手法開発ならびにその普及のため、平成10年度より経済産業省の支援の下、その受託機関として活動 している研究開発プロジェクトで提供されたデータをさす。

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Table. 4.4: 建設物の構成素材(JEMAI-LCAより) 非住宅建築(非木造) 重量(Kg) 割合(%) 用途

コンクリート 1711 86.653 躯体、基礎、ブロック

鉄 166 8.407 鋼材、鋼管、鉄筋

砂利 34 1.722 砂利

モルタル 18 0.912 モルタル

石こうボード 15 0.760 石こうボード

陶磁器 7.8 0.395 衛生器具タイル

合成樹脂 3.8 0.192 ビニールシート、塩ビ管、断熱材、水槽

岩綿 3.7 0.187 岩綿吸音板

アルミ 3.7 0.187 アルミサッシ、アルミ部材

ガラス 3.5 0.177 窓、照明器具

鋳鉄 2.3 0.116 鋳鉄部品、鋳鉄管

銅 1.7 0.086 銅線、銅配管

アスファルト 1.5 0.076 アスファルト ガラス繊維 1 0.051 グラスウール

石 0.79 0.040 建築用石工品

ステンレス 0.54 0.027 ステンレス配管、サッシなど

銅合金 0.11 0.006 銅合金類

鉛 0.084 0.004 鉛管

ゴム 0.02 0.001 防振ゴム

Table. 4.5: 建設部門から発生する廃棄物の組成:(間宮,高橋,齋藤(2004))

項目/ (%) 集合住宅 事務所

重量ベース 重量ベース

新築 改修 解体 合計 新築 改修 解体 合計 塩化ビニールパイプ 0.5 0.3 0.4 0.5 0.6 0.4 0.6 0.5

廃プラスチック 12.2 13.2 7.7 12.1 12.2 13.6 11.1 12.8 絨毯・カーペット 0.4 0.8 0.6 0.5 0.5 3.0 2.2 1.9

ダンボール(有価) 3.6 2.0 0.4 3.3 2.5 1.3 0.7 1.8 ダンボール(焼却) 0.7 0.6 0.2 0.7 0.7 0.5 0.3 0.6 その他の紙 1.5 1.2 0.6 1.4 1.4 1.3 0.9 1.3 繊維くず 0.2 0.4 0.7 0.2 0.2 0.3 0.4 0.3 ゴミ入りガラ(解体) 15.8 14.3 14.9 15.6 15.0 11.3 9.3 12.7

鉄筋入りガラ 1.9 2.5 0.4 1.9 1.5 1.4 0.3 1.4 無筋ガラ 10.0 8.0 2.4 9.5 13.0 11.0 4.4 11.4

大ガラ 0.7 0.3 0.0 0.6 1.7 0.2 0.0 0.8 アスファルト 1.1 1.0 0.6 1.0 0.7 0.4 0.4 0.5 石膏ボード(解体) 0.8 5.3 5.2 1.4 2.7 11.5 27.0 8.8 ガラス 0.8 1.6 0.6 0.8 0.6 1.8 1.1 1.3 陶磁器・タイル 11.9 11.6 7.8 11.7 10.0 8.7 8.8 9.3 新築のガラ・ブロック 6.6 2.3 0.5 5.9 4.3 1.5 0.6 2.6 ALC 0.7 0.6 1.3 0.8 1.4 1.0 1.7 1.2 グラスウール 0.3 0.3 0.2 0.3 0.7 1.1 2.8 1.1 石膏ボード(新築) 4.0 1.1 0.1 3.5 4.2 1.9 0.6 2.8 鉄屑 5.3 9.3 2.6 5.6 4.4 14.4 5.0 9.7 ステンレス 0.2 0.4 0.0 0.2 0.2 0.3 0.1 0.3 アルミ 0.1 0.1 0.1 0.1 0.1 0.2 0.0 0.1 電線 0.1 0.2 0.0 0.1 0.3 0.2 0.1 0.3 燃料チップ用 8.4 9.1 5.4 8.4 6.8 3.7 4.2 5.0 原料チップ用 2.4 2.2 1.6 2.3 1.5 0.8 1.2 1.1 焼却木 3.4 7.6 7.8 4.0 4.1 3.7 5.5 4.0 生木 0.2 0.4 4.3 0.4 0.4 0.3 0.9 0.4 その他の木 0.1 0.1 0.1 0.1 0.0 0.0 0.1 0.0 ミンチ 0.8 1.4 31.9 2.3 0.7 2.6 8.8 2.2 残土 5.3 1.8 1.7 4.8 7.5 1.3 0.9 3.8

*ALC(AutoclavedLightConcrete:軽量気泡コンクリート)は断熱性、耐久性 に優れた特徴をもち、主に住宅の外壁、間仕切りに使われる。

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て利用したセメント(灰利用セメント)を建設資材として利用するケースがあげられる。海外におい ても焼却灰をセメント原料として再資源化する研究は関心が高い(Filipponia, Polettinia, Pomia, and Sirinib (2003), Roth and Eklund (2003))。 しかし灰利用セメントについても既成の建設廃 棄物と同様のリサイクル率を将来にわたって達成できるかという点について疑問視する声もある。

その一つの理由として、灰利用セメント中に含有される塩素や重金属の問題がある。焼却灰中 の塩素や、重金属等は灰利用セメントを介してコンクリート中に蓄積する。しかし建設物の解体 時に発生する廃コンクリートはバージン材から精製されたセメントを用いたコンクリートと異な り、重金属類を固定する役割を担っているため、粉砕し再資源化を行おうとすると重金属の溶出 の恐れがあり、通常の再資源化が困難になる。このような理由によりセメントとしての再資源化 が困難な廃コンクリートは建設混合廃棄物と同様に埋立処分されることになる。

Fig.4.1で示すような再資源化原材料の利用に伴う不純物の混入により、将来の再資源化が困難

になるリサイクルを「一回きりのリサイクル」とよび、Fig.4.2で示される「持続的なリサイクル」

とは区別される。

Fig. 4.1: 一回きりのリサイクル

ここでは、再資源化原材料として焼却灰を用いた灰利用セメントの使用は、廃コンクリート塊 のリサイクルを困難にするものであるというケースを想定して分析を行い、廃棄物化変換行列は Table.4.6、Table.4.7のように設定する。

4.1.4 寿命に関する設定

建設・土木産業における寿命推定に関する研究として、小松ら(1994)による「区間残存率推定 法」がある。小松らは都道府県庁所在地46市に川崎市、北九州市を加えた48市を対象とし、固定 資産台帳における新築年次別の現存棟数および除却棟数のデータを基に、各種の建築物について の寿命分布の推定を行った。

小松らによって得られた建築物の寿命はTable.4.8のように示されている。