第 6 章 本研究のまとめと今後の課題
C.3 ガス化溶融炉
掘り起こしゴミの再処理で大きな役割をもつガス化溶融炉について、以下で簡単にその特徴を 述べる。
C.3.1 流動床式ガス化溶融炉
運び込まれたゴミは一度ゴミピットに蓄積され、その後にガス化炉に投入される。ガス化炉の 底面には砂が敷き詰めてあり、空気比を制御することでガス化を行う。流動床内部では500℃程度 の温度で低酸素濃度を実現し、比較的酸化していない金属分を回収すし、またガス化炉底部から 分別回収された炭化物(チャー)は、続いて溶融炉に投入される。この溶融炉には、ゴミの熱分 解により得られた可燃ガスが流入し、溶融熱源となる。溶融炉内部は1200℃〜1300℃程度の高温 になっており、チャーの大半は溶融スラグ化する。溶融炉から出る排気ガスに関しては、バグフィ ルタと触媒塔反応によって無害化される。
C.3.2 シャフト炉式ガス化溶融炉
投入されたゴミは直接溶融炉に投入される。溶融炉内部には上下方向に温度分布があり、底部に 行くほど高温帯となっている。上部の温度はおおよそ400℃程度となっており、発生する可燃成分 ガスは発電システムへと送られる。下部はコークスによって1700℃以上の高温になっており、ゴ ミを溶融スラグ化する。回収された資源は水砕・磁力選別を受けて、スラグとミックスメタルとし て回収される。特徴としては以下が挙げられる。 高炉を応用したシステムである。 ガス化炉 と溶融炉が一体となっている。 溶融の後に磁力選別をかけるため、金属資源の分類が粗い。
最初から高温で処理するプロセスであるため、投入ゴミの前処理が不必要である
C.3.3 その他方式
上述の方式以外にキルン式ガス化溶融炉、ガス化改質炉がある。キルン式ガス化溶融方式は熱 分解炉と溶融炉が分かれている点では流動床式と類似しているが、日本ではあまり稼動実績が無 い。ロータリーキルンと呼ばれる分解炉で回転させて空気を遮断することにより熱分解を行うも のである。またガス化改質炉はシャフト炉と基本的構成は同じだが、発生した熱分解ガスを回収 して利用しようとしている点が異なるものである。
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Fig. C.2: 流動床式ガス化溶融炉とシャフト炉式ガス化溶融炉
付 録 D 動学的廃棄物産業連関モデルと変動経路
動学的産業連関モデルの基本方程式にしたがって、産出量の変動がどのように決定され各産業の 発展経路がどのようなコースをたどるかを考える。係数の定義は3.4.1で示したTable.3.6-2に従う ものとする。ただし簡単化のためにここでは2部門表として議論を進める。また これに基づく動
Table. D.1: 廃棄物産業連関表Table.3.6-2) Table.3.6-2 廃棄物産業連関表
産業 廃棄物処理 最終 生産 部門 部門 需要 産業部門 X11w X12w F1w∗ X1w 廃棄物処理部門 X21w X22w F2w∗ X2w
学的拡張WIOモデルは式D.1のように表される。
X1w X2w
=
Aw11 Aw12 Aw21 Aw22
X1w X2w
+
B11w B12w B21w B22w
∆X1w
∆X2w
+ 0
Jw
+ F1w∗
F2w∗
(D.1) ただしここでBijwは産出量増分にかかる資本係数とし、Fiw∗は資本形成以外の最終需要をあらわ すものとする。またJwは過去に蓄積された資本財が寿命を迎えて廃棄されることによって必要と されるX2wの活動量とする。ただし議論の単純化のために最終需要Fiw∗とともにJwは一定とし、変 動経路を考える上で取り除いて考える。
ここで投入係数A、資本係数B、生産Xをそれぞれ以下のように表すものとする。
A=
Aw11 Aw12 Aw21 Aw22
(D.2) B =
Bw11 B12w Bw21 B22w
(D.3) X =
X1w X2w
(D.4) これを用いて式D.1を書き換えると、式D.5のように表される。
Xt=AXt+B(Xt+1−Xt) (D.5)
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ここで投入係数Aについて、産業部門の投入係数Aoと廃棄物処理および廃棄物発生と再資源化に 関わる投入係数A/oに分離をおこなう。
Ao=
Aw11:t 0
0 0
(D.6) A/o=
0 Aw12:t SAw21:t SAw22:t
(D.7) Ao、A/oを用いて式D.5を書き換えると、式D.8のように表される。
Xt= [Ao+A/o]Xt+B(Xt+1−Xt) (D.8) 式D.8を書き換えると、式D.9にように表される。
[I−[Ao+A/o]]Xt=B(Xt+1−Xt) =BX˙t (D.9) ただしX˙tはXt+1−Xtとする。
Xt= [I−[Ao+A/o]]−1BX˙t (D.10)
=
I −[Ao+A/o] −1
[I−Ao][I−Ao]−1BX˙ t (D.11)
=
I −[Ao+A/o] −1
I −[A−A/o]
[I −Ao]−1BX˙t (D.12) ここで
L= [I −[Ao+A/o]]−1 (D.13)
とすると、
Xt=LI−[Ao+A/o] +A/o]
[I−Ao]−1BX˙ t (D.14)
=
I+LA/o]
[I−Ao]−1BX˙t (D.15)
(D.16) Lo= [I−Ao]−1とすると、
Xt= [I+LA/o]LoBX˙ t (D.17)
=LoBX˙ t+LA/oLoBX˙t (D.18) が成立する。ここでLoBX˙ tは産業部門のみを考慮した際の変動経路であり、LA/oLoBX˙ tは廃棄 物発生と処理を考慮した際の変動経路となる。
通常の産業部門のみの産業連関表を用いた変動経路は式D.18右辺第1項を考慮したものであり、
これで議論をおこなうと式D.18右辺第2項に関わる変動経路を無視することになる。産業活動のみ に着目した経済の変動経路を均斉成長経路であるとみなしてしまうと、廃棄物発生や処理に関わ る変動経路を無視したミスリードをおこなうことになるということが式D.18よりわかる。
産業部門のみを考慮したLoBX˙tの変動経路は労働人口や資本稼働率等が制約となる。それに 対して廃棄物排出や再資源化を考慮したLA/oLoBX˙tに関わる変動経路は物量情報を持ち、廃棄 物処理・再資源化技術や、処理残渣の受け入れ容量、最終処分場面積等が制約となると考えられ、
6.3.2で更なる課題として述べたような最終処分場制約の下での持続可能成長について論ずる必要
があると考えられる。
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謝辞
本論文をまとめるにあたり、大変多くの方々にお世話になりました。
まず学部ゼミから、修士課程、博士後期課程そして本論文をまとめるまで、一貫して研究に関 して多くのご助言、ご鞭撻を賜りました早稲田大学政治経済学術院 中村愼一郎教授に厚く御礼申 し上げます。中村先生の暖かくも厳しいご指導なくして本論文をまとめることは出来ませんでし た。心より感謝をいたします。
また早稲田大学政治経済学術院 西郷浩教授、同学術院栗山浩一助教授には審査委員として本論 文をご査読賜りましたとともに、多くの貴重なコメントを賜りました。ここに深く感謝をいたし ます。
早稲田大学政治経済学術院 近藤康之助教授には研究に関して貴重なアドバイスを賜り、またディ スカッションに多くの時間を割いていただき、深く感謝いたします。
東北大学大学院環境科学研究科 長坂徹也教授には、助手としての研究の場を与えていただき深 く感謝いたします。長坂教授には博士論文執筆のために多大なるご支援を賜り、また同分野に従 事する多くの研究者をご紹介いただきました。このことは研究の大きな刺激と励みになりました。
この場をお借りして厚く御礼申し上げます。同研究室の伊藤聰助教授、伊藤彩未秘書には新米助 手として慣れない大学業務の中で多岐にわたりお世話になりました。この場を借りて厚く御礼申 し上げます。
東北大学大学院環境科学研究科 中島謙一助手には公私にわたり大変お世話になりました。学会 活動において、また現在は研究室の同僚として研究の議論におつきあいいただき、本論文を執筆 するにあたり非常に参考になりました。まことにありがとうございます。
東北大学大学院情報科学研究科 加河茂美助手には学会活動、論文執筆において熱心に議論にお つきあいいただき、本論文をまとめるにあたりましても非常に貴重なアドバイスを賜りました。ま た研究活動のみならず公私にわたり大変お世話になりました。この場を借りて厚く御礼申し上げ ます。
東京大学大学院工学研究科 松野泰也助教授には学会活動などにおいて貴重なご助言を賜りまし た。深く感謝申し上げます。
静岡大学経済学部 高瀬浩二講師には早稲田大学大学院経済学研究科中村研究室の先輩として公 私にわたり大変お世話になりました。研究内容のみならず、研究に対する姿勢など多くのことを 学ばせていただきました。この場を借りて厚く御礼申し上げます。
京都大学大学院エネルギー科学研究科 山末英嗣助手、東京大学大学院工学研究科 醍醐市朗助 手、産業技術総合研究所ライフサイクルアセスメント研究センター 布施正暁氏、日鉄技術情報セ ンターの玉城わかな氏には学会活動、研究会において熱心に議論をしていただき、貴重なご助言 を賜りました。厚く御礼申し上げます。
国立環境研究所循環型社会形成推進・廃棄物研究センターの皆様には森口祐一センター長をは じめとして、学会活動などにおいて大変お世話になりました。中でも循環型社会形成システム研 究室の橋本征二氏、寺園淳氏、田崎智宏氏、藤井実氏、南齋規介氏、村上進亮氏、北海道大学大 学院工学研究科 稲葉陸太助手には学会活動、研究会を通じて貴重なご助言を賜りました。深く感 謝申し上げます。
東北大学大学院環境科学研究科環境創成計画学講座ライフサイクル評価学分野の学生諸君には 大変お世話になりました。中でもM2恩田隆君、M1柏倉俊介君には本論文第5章テーマの研究に協 力していただきました。深く感謝いたします。
また新潟産業大学経済学部 佐藤綾野講師、明星大学経済学部 中田勇人講師、早稲田大学大学院 経済学研究科 鈴木久美助手、同研究科 本田善基氏、同研究科 松八重泰輔氏には早稲田大学大学院 経済学研究科の同期として、公私にわたり大変お世話になりました。時に研究に関する熱い議論 をし、その中で得た刺激や励みは大変貴重なものでした。この場を借りて深く感謝をいたします。
最後に本論文をまとめることができましたのも、家族の支えがあってこそでした。常に暖かく、
時に厳しく見守ってくれた両親に深く感謝いたします。研究者の道を志すにあたり、父である工 学院大学電気工学科 横山修一教授の存在は私にとって大変大きなものでした。父からは時に研究 者として、時に父として研究生活、大学人としてのあり方ついて助言をいただきました。母から は研究者である前に女性として、社会人としてやるべきことをやるようにと常に助言をいただき ました。お二人の暖かくも厳しい支援なくして今の私はありません。この場を借りて御礼申し上 げます。
2006年2月 横山 一代
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