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年のうちに政策金利を 1.00% から 5.25%

まで引き上げたが、今回

FOMC

は緩やかな金利上 昇を示唆している。欧州や日本で金融引き締めへの 転換は当面行われないと考えられるが、世界経済の 中心に君臨する米国の金利動向は全世界の金融市場 に相応の影響を及ぼすことになるので、連邦準備制 度理事会

FRB

には、引き続き冷静な舵取りが求め られる。中長期で

3.25%

3.50%

への引き上げ(年

1.00%

程度)というのが目下のところ

FOMC

委員の 大半の意見となっているが、果たしてそこまで上げ ることができるのかという点については懐疑的な見 方も少なくない。

今後の利上げの進行と合わせて取り沙汰される のは、「次のリセッションは果たしていつ来るのか」

という問題である。世界恐慌以来で最長となった前 回のリセッション

2007

12

月〜

2009

6

月)からは 既に相当の年月が経過しており、数年のサイクルで 巡ってくるこの不可避な事象にいかに備えるか、ど う対処するかという目に見えない難題と向き合って

いくことになる。

2.

米国建設市場の現況と見通し

「米国建設投資の推移(官民別)(表

1

が示す通り、

米国建設市場は

2011

年を底にして着実な回復を続 けている。民間部門がけん引役として住宅分野・非 住宅分野ともに力強く伸びており、公共部門も安定 的に寄与している。

2015

年の建設投資額はリーマ ン・ショックが起こった

2008

年以来初めて

1

兆ド ルを超える見通しとなっている。仮に

1

ドル=

120

円で換算すると約

120

兆円超となり、日本の建設投 資の約

2.4

倍という規模である。

好調な米国経済のもとで今後もこの増加基調が継 続するという見方が現時点ではコンセンサスとなっ ている。「米国建設投資の推移と見通し(市場別)(表

2

が示す通り、インフレによる増加分を差し引いて 考える必要はあるものの、

2016

年以降も一定の伸 び率を維持しながら近年中にリーマン・ショック前 の水準に達すると予想されている。

2

はさらにいくつかの興味深い傾向を示してい るので以下に紹介する。

1,200 1,000 800 600 400 200 0

公共 民間非住宅 民間住宅

213 238 397

02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14

216 229 446

220 238 533

234 258 612

255 298 614

289 370 493

309 409 350

315 344 246

304 263 239

286 258 244

279 301 281

271 312 335

276 348 339

1 米国建設投資の推移(官民別) (単位:10億ドル)

出典:米商務省国勢調査局

①ホームビルダーの範疇である戸建住宅・修繕を除 いたカテゴリーが、われわれコントラクターの事業 領域に相当すると言えるが、建設投資全体の傾向と 同じく堅調に回復していることが窺える。さらに、

リーマン・ショック前(厳密にはサブプライム住宅ロー ン危機が起きた

2007

年より前)と比較すると、建設投 資全体に占める戸建住宅・修繕の割合が相対的に低 くなっていることが分かる。特に若者を中心として 持家志向が薄れて賃貸に移行した結果と言えるが、

このことは「米国住宅着工件数の推移」(表

3

を見 ても明らかである。当社グループも事業パートナー と共同で

SkyHouse®

シリーズという高層賃貸住宅の 開発および建設を

2011

年末から推進している。経 済環境が良好な南東部の地方都市を中心にジェネ レーション

Y

を主要な顧客ターゲットとした斬新な 商品企画が好評を得ており、これまで

10

都市

17

(総戸数

5,781

戸)のプロジェクトに携わってきた実

績がある。

②生産施設に着目すると、製造業の建設投資が増勢

を強めていることが分かる。大きくふたつの側面が 内在していると考えられるが、ひとつは需要の高い 米国市場に対する海外企業の直接投資の拡大であ り、もうひとつは米国製造業の国内回帰である。前 者に関しては、直近で目立つのは裾野の広い自動車 関連企業(サプライヤーを含む)の工場新設および既 存工場拡張である。一例を挙げると、米国南東部に 位置するサウスカロライナ州は、タイヤメーカーの 大規模工場が相次いで新設・拡張されており、今や 米国

No.1

のタイヤ生産州に躍り出ている。さらに 付け加えると、自動車関連企業の設備投資の拡大は 隣国メキシコでも顕著である。一方、後者に関して は、労働コストの上昇や地政学的リスクの高まり などによって過去に比べて海外生産の優位性が薄 れてきた(特に中国)ことが背景にあると見受けら れる。

③商業用不動産(オフィス、店舗、流通倉庫、宿泊施設 など)は、住宅や生産施設と並んで景気の波に晒さ れやすいセクターである。逆に、公益施設(教育施

1,200 1,000 800 600 400 200 0

戸建住宅・修繕 集合住宅 土木その他 生産施設 公益施設 商業用不動産

364 33 127 23 134 162

02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14

411 35 132 22 136 151

493 40 129 23 138 162

565 47 141 29 144 173

561 53 158 33 158 199

444 49 189 41 179 243

306 44 210 54 194 253

217 29 217 58 187 189

224 15 209 41 161 146

229 15 199 41 156 140

258 23 220 48 157 150

304 32 217 51 148 162

297 42 229 58 147 184

15E 16E 17E 320

56 226 68 154 202

345 63 233 72 160 220

370 68 239 76 167 233

2,500

2,000

1,500

1,000

500

0

集合住宅(賃貸)

集合住宅(販売)

戸建住宅 275

71 1,359

02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 14

262 87 1,499

225 120 1,611

203 150 1,716

185 151 1,465

194 115 1,046

220 64 622

92 17 445

101 15 471

162 16 431

225 21 535

285 22 618

328 27 648

2 米国建設投資の推移と見通し(市場別) (単位10億ドル) 3 米国住宅着工件数の推移 (単位千戸)

出典:米商務省国勢調査局およびFMI(ただし、02年〜14年については公共住 宅を除外)

出典:米商務省国勢調査局

設、医療・福祉施設など)や土木といったセクターは 相対的に景気動向に左右されにくいと言える。ま た、デベロッパーの開発事業は、国内景気の回復に 合わせて住宅からブームが始まり、徐々に商業用不 動産へと移行してくる。その商業用不動産への建設 投資が堅調に伸びているということは、米国経済が 比較的円滑に回っており、景気の先行きに対する見 方が明るいことの証左とも言える。

もうひとつ興味深いデータを紹介する。日本で も馴染みの深い米国に関する経済指標のひとつと して、非農業部門雇用者数がある。

2014

年は

1

年で

265

万人を超える新規雇用が生まれている。この国 では平均すると「新規雇用

2

人に対してひとつの世 帯」が形成されると言われている。しかしながら、

世帯数の増加は

77

万戸にとどまっており、新規雇 用が生み出す旺盛な需要に住宅の供給がまだまだ追 い付いていないことになる。

3.

日系ゼネコンにとての米国建設市場

日本国内における建設投資の先行きを見据えた上 で、“安定的な利益の創出”に主眼を置いた日系ゼ ネコンの海外展開はこの先も着実に進むと予想され るが、日系企業の進出先や高度なインフラ需要、地 理的近接度などを総合的に勘案すると、当面機軸と なる地域は引き続き

ASEAN

諸国およびインド周辺 が最有力であろう。

しかしながら、米国が果たす役割も決して小さく ない。大型インフラ分野での恩恵は限定的ではある ものの、近隣諸国を合わせた巨大経済圏(その戦略拠 点としての米国)に対する企業の設備投資意欲は旺盛 である。人口増加が続く米国市場の有する潜在力や 相対的な安定性、高付加価値製品への受容性に対す る評価は今後も高い水準が続くと考えられる。

この巨大経済圏は持続的な成長を実現していく底 力を有しており、日系ゼネコンとしても、技術力や エンジニアリング力、良質な顧客サービスに根ざし た最適なソリューションの提供によって、そのプレ ゼンスを高め続けていくことが期待される。

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