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2015

回顧

2015

年は、日本とブラジルが外交関係を樹立し てから

120

周年を迎える記念すべき年であり、さま ざまな記念行事が行われた。

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月にはリオデジャネ イロにつぐ規模で行われているサンパウロのカー ニバルに青森県五所川原市から運搬した“立佞武多

(たちねぷた)”が参加、

9

月には同じくサンパウロ市 で

4,500

発の花火を打ち上げる花火大会が開催され るなど、日本とブラジルの友好関係をさらに深化さ せる記念行事が毎月、全国各地で実施された。

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月 には秋篠宮ご夫妻も御来伯、国内各地を御訪問され 大歓迎を受けられて、記念の年に花を添えた。

 この記念行事の締め括りとして位置付けられてい たものが、

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月に予定されていたジウマ・ルセフ大 統領の日本への公式訪問であり、安倍首相との首脳 会談、天皇陛下との会見などが計画されていた。し かしながら、議会の予算審議が停滞しているなど政 局が混迷を極めているために急遽中止となり、逆に 水を差すかたちとなった。

 このルセフ大統領の訪日中止に象徴されるよう に、

2015

年のブラジル経済、政治情勢はネガティブ な数字、情報で埋め尽くされている。

 まず、主要な経済指標を確認すると、

IBGE

(ブラ

ジル地理統計院)

12

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日に発表した

2015

年第

3

四半期の

GDP

成長率は前期比−

1.7%

となり、第

3

四半期としては

1996

年の統計開始以来過去最低の 数字となった。一昨年

2014

同期比では−

4.5%

で、

前年から兆候が見られた景気の悪化は、今年に入っ て加速度的に進んだことが分かる。これは鉄鉱石や 大豆などの輸出先の大半を占める中国の経済成長 が減速していること、世界的なコモディティ価格の 大幅な下落などが主な要因として挙げられる。こう

いった外的な要因だけではなく後述する政治の混迷 や大幅な財政赤字も影響して、ブラジル中央銀行の

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日の発表によると、

2015

年通期の

GDP

成長 率予測値は−

3.5%

となっている。

 消費者心理に影響をおよぼす消費者物価指数、失 業率についても芳しくない。

IBGE

12

9

日に発 表した数字によると、消費者物価指数は

2015

11

月までの

12

カ月間累積で

10.48%

の上昇となって おり、家計を逼迫している。失業率は前年末時点で

4.3%

であったが、

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月には

7.9%

まで上昇してお り、

2009

年以来の水準となっている。

 国内の基幹産業のひとつである自動車業界の状況 に注目すると、景況感をより具体的に理解すること ができる。

ANFAVEA

(全国自動車工業会)の発表によ ると

2015

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月末時点での自動車生産累積台数は

220

万台(前年同期比−

22.3%

、新車登録累積台数は

234

万台(前年同期比−

25.2%

となり、一昨年と比較 して大幅な減少となっている。近年の経済成長によ り中間層が拡大、さらに割賦による購入が普及した ことも寄与し、販売台数を伸ばしてきたが、金利の 高騰

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月時点の政策金利は年利

14.25%

も相まって大 ブレーキがかかっている。このような状況下で、自 動車メーカー各社は一時解雇や集団休暇により解雇 を避ける努力を続けてきたが、生産調整を避けるこ とはできず、

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万人超の労働者が職を失い、

10

月末 時点の自動車メーカーの従業員数は前年より

1

割も 減少していると報じられている。

 政局の混迷もブラジル経済に暗く影を落としてい る。

2014

年に発覚した、南半球最大の事業会社であ る石油会社ペトロブラス社の汚職スキャンダルによ る逮捕者は、

2015

年に入っても止まることを知ら ない。

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月には収賄容疑で前政権の官房長官が逮捕、

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月には現職の与党上院議員が捜査妨害の容疑で

逮捕されるなどその影響はますます拡大している。

12

月現在においてもルセフ大統領の側近に対する 捜査が行われており、大統領支持率は

10%

以下に 低迷している。

 このような経済・政治の悪化により大手格付会社 では、

9

月のスタンダード・アンド・プアーズに続き、

ムーディーズもブラジルの信用格付けを投機的水準 への格下げ方向で見直すとの声明を

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9

日に発 表している。

2

2016

動向

 経済・政治の混迷が注目された

2015

年であった が、

2016

年は何と言っても南米大陸初の夏季オリ ンピック、パラリンピックの開催がリオデジャネイ ロで予定されている。開催期間はオリンピックが

8

5

日から

21

日まで、パラリンピックが

9

7

日か

18

日までとなっており、

2014

年のサッカーワー ルドカップに続き、世界中から再びブラジルに注目 が集まることになる。

 遅れが心配されている競技会場の建設は、

2015

12

月現在、比較的順調に進んでいるようである。

1904

年のセントルイスオリンピック以来の復活と なるゴルフ競技の会場も

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月にはクラブハウスを 除き、完成引渡しを終えている。その他選手村や国 際メディアセンターも大会組織委員会によれば進捗 率は

90%

を超えており、開催までの間にいくつか のリハーサル大会が行われる予定である。

 一方、大幅に遅れているのはインフラ整備の方で ある。中心街であるセントロ地区から選手村などの 施設が集中するバーラ地区までの地下鉄延長工事、

選手・関係者のための専用道路の建設、市内各地を 結ぶバス高速輸送システムの建設などは大会開催ま での完成が疑問視されている。また、国内外から集

まる来訪者の宿泊施設の不足についても問題視され ているが、こちらは

2012

年のロンドン五輪などで 採用されたクルーズ船のホテル利用などにより対応 していく模様だ。

 オリンピックという世界規模のイベントである が、経済に対する効果は限定的であり、

2015

年より 続く景気悪化の波は

2016

年に入っても収まらない と予想されている。ブラジル中央銀行の

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4

の見通しでは

2016

年の

GDP

成長率は−

2.31%

なっている。

 景気低迷の影響によりブラジルレアルも売られ、

2014

年末で

1

ドル=約

2.6

レアルの為替相場が、

2015

9

月には一時

1

ドル=

4.2

レアルと過去最安 値を付ける水準にまで落ち込んだ。

12

月現在

3.8

アル前後まで回復しているが、

2016

年も引き続き レアル安のトレンドは続くと見込まれており、再び

4.2

レアルまでレアル安が進むという予測もある。

日系企業も含め企業業績に与える影響は少なくない ものと予想される。

2.

ブラジルの建設市場の動向と見通し

 建設部門についても

2015

年は厳しい

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年になっ た。前述したペトロブラス社の汚職事件では、ブラ ジルの大手建設会社の幹部が軒並み逮捕されてい る。ここに折からの不景気も重なり公共事業のプロ ジェクト停止や新規インフラ事業の取り消し、民間 分野での新規投資の延期または中止により、建設労 働者を中心に業界全体で

50

万人以上が解雇されて いると地元紙は報じている。昨年も建設業の

GDP

成長率は−

2.6%

と減少傾向にあったが、

2015

年は さらにマイナス幅が拡大し−

11.0%

になるとの調 査結果が出ている。

Abramat

(ブラジル建設材料工業会)の予想によると

2015

年の建材販売は前年比約

12%

の減少が見込ま れている。また、

Secovi

(サンパウロ商用・住宅不動産売 買・賃貸・管理業者組合)によると

2015

年年初から

9

月までの新築住宅販売件数は約

1

4,000

(前年同

期比−

4.7%

と統計開始以来最低の数字となり、こ こにも経済停滞の影響が現れていると言えよう。

 参考までに当社が調査した主要資材などの積算 単価について、

2014

年末と

2015

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月の変動率 を紹介すると、セメント

50kg

4.8%

、砂

m

3

2.9%

、手間が

8.2%

上昇しているもののインフレ率 よりも低い上昇率となっており、コンクリートや鋼 材に至っては昨年末よりも減少している。これは、

建設需要が減少していることに関連していると考え ることができる。

 本格的な経済回復は

2017

年以降になると予測さ れており、

2016

年についても、リオ五輪があるとは 言え、経済が低迷する可能性は非常に高い。しかし

ながら、ブラジルが持っている豊富な資源、

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億を 超える人口などそのポテンシャルは長い眼で見れば 魅力的なものであることには疑いようがなく、また 現在の為替相場を考えると、今がブラジルに投資す る絶好のタイミングと考える企業も少なくない。建 設市場の縮小傾向はしばらく続き、建設業界にとっ て

2016

年はさらに厳しい年になると予想される が、こういった先見を持った企業による設備投資計 画、まだまだ脆弱なインフラ整備に活路があると考 える。

 また、ペトロブラス社に関連する汚職事件を契機 に、これまで国内の大手企業により独占的に受注さ れてきた公共事業について、公平な競争原理が働く 環境に変わっていくことを期待したい。

 いずれにせよ、まずはリオ五輪の成功と一刻も早 い経済回復、政局の正常化を待ち望みたい。

2016年オリンピクが開催されるリオデジネイロの写真

(観光地ポンアスーカルより)

本文にあるサンパウロのカーニバルで、記念行事として行わ れた立佞武多(たちねぷた)の写真