• 検索結果がありません。

平均余命

ドキュメント内 i (ページ 31-35)

第 4 章 社会統計に登場する期待値たち 21

4.2 平均余命

4.2 平均余命

平均余命(life expectancy)とは,ある年齢の人が,その後何年生きられるかという 期待値のことで,生命表を用いて計算することができる.

4.2.1 生命表

生命表は次のような形態をしている.

年齢 x 死亡率qx 生存数lx 死亡数dx 平均余命 ex

0 q0 l0 d0 e0

1 q1 l1 d1

e1

2 q2 l2 d2 e2

... ... ... ... ...

死亡率 qx 年齢 x の集団の死亡率とは,年齢 x の個体が年齢 x+ 1 になるまでに死 亡する確率のことである.

生命表において,実際の調査から求められるデータは,死亡率だけである.(詳し い求め方は後述する.)

生存数 lx 年齢x に達するまで生きていると期待される人数.

死亡数 dx x 歳における生存数 lx のうち,x+ 1 になる前に死亡する人数.

平均余命 ex x歳における生存数lx 人の集団から,無作為に選ばれた一人が以後生きる ことのできる年数を Yx で表すとき,確率変数 Yx の期待値 E(Yx) のことを,年 齢 xの集団の平均余命と呼ぶ.

単純な数値を用いた例

年齢 死亡率 生存数 死亡数 平均余命 0 0.4 100000 40000 1.49 1 0.5 60000 30000

2 0.7 30000 21000

3 1.0 9000 9000

死亡率がわかると,生存数と死亡数が容易に計算できる.

1. 年齢 0の集団の個体数は,たとえば 100000であるとする.

26 第4章 社会統計に登場する期待値たち 2. 年齢 0の集団の死亡率は0.4であるから,1歳になるまでに100000×0.4 = 40000

の個体が死亡し,したがって年齢 1 の生存数は 60000 となる.

3. 年齢 1の集団の死亡率は 0.5であるから,2歳になるまでに 60000×0.5 = 30000 の個体が死亡し,したがって年齢 2 の生存数は 30000 となる.

4. 年齢 2の集団の死亡率は 0.7であるから,3歳になるまでに 30000×0.7 = 21000 の個体が死亡し,したがって年齢 3 の生存数は 9000 となる.

年齢 0 の集団の平均余命(たんに平均寿命とも言う)e0 は,つぎのようにして計算 できる.

1. 最初の集団の個体数は 100000である.

2. 1歳になるまでに40000の個体が死亡するが,無作為に選ばれた個体がこの1年間 のいつ死亡したかは不明なので,この個体の寿命は 0と 1 の中央値0.5歳である と考える.言い換えれば,個体の寿命が 0.5歳である確率は40000/100000 = 0.40 である.

3. つぎの 1年間に 30000 の個体が死亡するが,無作為に選ばれた個体の寿命は1 と

2 の中央値 1.5 歳であると考える.言い換えれば,個体の寿命が 1.5 歳である確 率は 30000/100000 = 0.30 である.

4. つぎの 1年間に 21000 の個体が死亡するが,無作為に選ばれた個体の寿命は2 と

3 の中央値 2.5 歳であると考える.言い換えれば,個体の寿命が 2.5 歳である確 率は 21000/100000 = 0.21 である.

5. 最後の 1 年間に 9000 の個体が死亡するが,無作為に選ばれた個体の寿命は 3 と 4 の中央値 3.5 歳であると考える.言い換えれば,個体の寿命が 3.5 歳である確 率は 9000/100000 = 0.09である.

だから,確率変数 X の確率分布は,

値 0.5 1.5 2.5 3.5 確率 0.40 0.30 0.21 0.09 したがって,

E(Y0) = 0.5×0.40 + 1.5×0.30 + 2.5×0.21 + 3.5×0.09 = 1.49 となる.

4.2. 平均余命 27 問 1 年齢 1 の集団,年齢 2の集団,および年齢 3の集団について,それぞれの平均 余命を計算せよ.

一般に,年齢x の集団の平均余命 ex=E(Yx) は,次のようにして求めることができ る.はじめに,確率変数Yx の確率分布は

値 1 2

3 2

5

2 · · · 確率 dx

lx

dx+1 lx

dx+2 lx · · · したがって,

E(Yx) = 1 2 ·dx

lx + 3 2· dx+1

lx +5 2 · dx+2

lx +· · ·

= 1 lx

[1

2dx+3

2dx+1+5

2dx+2+· · · ]

(4.1)

= 1 lx

[1

2(lx−lx+1) + 3

2(lx+1−lx+2) + 5

2(lx+2−lx+3) +· · · ]

= 1 lx

[1

2lx+lx+1+lx+2+lx+3+· · · ]

(4.2) これらの式のうち,(4.1) または(4.2) を用いて計算すればよい.

4.2.2 平均余命の数学的性質

平成16年簡易生命表(男性)によれば、0 歳児の死亡率は 0.00301 であり、また 1 歳児の平均余命は 77.87 である。たとえば 0 歳児が 100000 人いるとしたとき、その うち 301 人が 1 歳になる前に死亡するから、この児たちの寿命は 0.5 歳であり、残り 100000301 = 99699 人の平均寿命は 77.87 + 1 + 78.87 歳である。したがって、0 歳 児の平均寿命は

0.5× 301

100000 + 78.87× 99699

100000 = 78.63

歳となるはずである。これは簡易生命表の結果と一致している(小数第2位が異なって いるのは、1歳児の平均余命 77.87が不正確なため。)

  

問2 もし0 歳児の死亡率を現在の約半分0.00195 に下げることができるならば、0 歳 児の平均寿命は何歳になるか。

問3 現在夫は30歳、妻は25歳である。この夫婦がそろって妻の還暦(満 60歳)を 祝うことができる確率を求めよ。

29

ドキュメント内 i (ページ 31-35)