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例:最近の世論調査より

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第 5 章 標本調査 29

5.5 例:最近の世論調査より

朝日新聞社,産経新聞社,および共同通信社が最近に行った世論調査(の一部)を比 較検討してみる.9

調査方法はどの社も RDDを用いている.回答状況は,朝日新聞社の場合「世帯用 と判明した(電話)番号は 3198件,有効回答は1736人,回答率は 54%。」であり,

共同通信社の場合「実際に有権者がいる世帯に(電話)がかかったのは1430件,う

8関東・関西・名古屋の3 地区ではPM(ピープルメータ)を用ることにより,世帯視聴率だけでなく 個人視聴率も調査できる

9朝日新聞社(5 19,20日),産経新聞社とFNN(5 19,20日),共同通信社(526,27日)

40 第5章 標本調査 1013人から回答を得た。(だから回答率は71%)」であった.なお,産経新聞社 FNNの調査対象者数は1000名であるが,回答状況は公表されていない.

つぎに,それぞれ世論調査の質問項目のうち,原発再稼働に関する質問と回答状況を比 較する.

朝日新聞社の場合.

1. 「原子力発電所の運転再開問題についてうかがいます。定期検査で停止している福 井県の大飯原発の運転再開に賛成ですか。反対ですか。

賛成 29 反対 54

2. 「あなたはいま,原子力発電に対する政府の安全対策を、どの程度信頼していますか」

大いに信頼している 1 ある程度信頼している 20 あまり信頼していない 51 まったく信頼していない 27

3. 「原発の運転再開やこの夏の電力確保について,野田内閣のこれまでの取り組みを どの程度評価しますか」

大いに評価する 1 ある程度評価する 25 あまり評価しない 49 まったく評価しない 22

4. 「原発の運転を再開しないことで,仮に電力が不足し,日々の生活に不便があった としても,よいと思いますか.よくないと思いますか.

よい 44 よくない 47

5. 「この夏,節電にどの程度取り組むつもりですか. 大いに取り組む 23

ある程度取り組む 66 あまり取り組まない 9 まったく取り組まない 1

産経新聞社とFNNの場合.「国内で稼働する原子力発電所がなくなったことなどを受け,

一部の地域でことし(2012)の夏に電力不足が懸念されています.次に挙げる考え方に ついてあてはまると思いますか,思いませんか.それぞれについてお知らせください.

1. 「電気の使用が制限された場合、経済面や安全面で悪影響が生じると思いますか」

思う 82.7

思わない 15.5

わからない・どちらともいえない 1.8

2. 「電力が不足するのなら、安全が確認された原発は再稼働させてもよいと思いますか」

思う 51.5

思わない 43.6

わからない・どちらともいえない 4.9

5.5. 例:最近の世論調査より 41 3. 「政府や電力会社が示す電力需給の見通しは、信頼できると思いますか」

思う 18.6

思わない 75.7

わからない・どちらともいえない 5.7

共同通信社の場合.

1. 「定期検査などで全国に 50基ある商業用原発はすべて停止しました.あなたは,こ の夏の電力不足に不安がありますか,不安はありませんか.

不安がある 21.6 ある程度不安がある 43.4 あまり不安はない 21.8 不安はない 12.9 わからない・無回答 0.3

2. 「原発の発電がなくなって電力供給が減っています。これまでの暮らし,ライフスタ イルに比べ,不便になることが考えられます.あなたは,これまでの暮らし,ライフ スタイルに比べ,不便になることを受け入れられますか,受け入れられませんか.

受け入れられる 76.9 受け入れられない 20.5 わからない・無回答 2.6

3. 「あなたは定期検査で停止している原発について,政府が『安全性は確認された』と して再稼働することに賛成ですか,反対ですか.

賛成 36.0

反対 56.3

わからない・無回答 7.7

42 第5章 標本調査 調査対象全体(母集団)から偏向なくサンプリングを行わなければ結果は不正確なも のとなる.また意図的・無意図的にかかわらず,設問文や設問順によって回答が誘導さ れる(残留効果),恣意的な設問,などによる世論誘導が行われないよう実施しなけれ ばならない.さらに,「あいまいな回答」や「無回答・分からない」という回答の扱い方 が難しいため,統計学的に母集団を推定するうえでは問題もある.

回答率は調査の主体によっても左右される.たとえば,朝日新聞の調査には回答を拒 否しても,産経新聞の調査には応じるなどである.特に政治的問題では,調査主体に好 意的な回答者の回答率が高くなり,そうではない回答者の回答率は極端に下がる.たと えば,死刑廃止を訴えるアムネスティ・インターナショナル日本支部が1996年の衆議院 総選挙候補者に行ったアンケートでは,当時与党であった自民党候補者の回答率が極端 に低かった.これは,調査主体に批判される材料として使われることを恐れたり,そも そも調査主体を嫌っているからと思われる(従って,アムネスティの調査に無回答の候 補者は,死刑賛成の立場である可能性が高い[独自研究?]).おおむね,公的機関や大手 マスメディアの調査に対する回答率は比較的高いが,回答率が低すぎる場合,有効回答 者の回答を,サンプル全体に当てはめることはできない.選挙プランナーと称する三浦 博史は,1社だけでは不正確なマスコミの調査も,複数の調査を合わせれば,精度の高 い結果になるとしている.10

RDD方式 [編集]

固定電話を引かず,IP電話や携帯電話の所有で済ませている人々の回答が反映されな いという問題がある.固定電話を持たない人々の年齢層などに偏りが存在すれば,サン プルにも歪みが生じる可能性がある.

さらに固定電話があっても,調査対象者がどんな世帯のどんな人物なのかを特定でき ない.場合によっては選挙の調査に選挙権がない年齢の人が答えているという可能性も ある.近年はDTMFを用いた電話調査も進んでいるが,「プッシュホンではない」「0発 信電話のため押しボタンが使えない」など電話調査に対応できないこともある.調査に 進んで参加したい人でも参加できないという不都合がでている.

調査員との直接対面で答える場合と比較し,回答者があまり熟慮せず反応的に答える 傾向がある,という点も指摘されている.[誰によって?]

10三浦『洗脳選挙』光文社ペーパーバックス,20051月,ISBN 4-334-93351-3,72頁参照

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