本章では、第1節で本研究におけるいじめ態様の類型化の1つである「悪口」につい て、判決書教材の開発の適否を検討した。第2節では、開発した判決書教材を紹介し、そ の教材に記述されている学習の要素を取り出してキーワード化し、いじめの態様やいじめ の責任等との関連で整理した。そして、開発した判決書の構成要素を授業構成において位 置付けた。第3節では授業の概要について説明した。そして第4節では、授業感想文を分 析し、判決書教材における構成要素が、生徒たちの感想文において構成要素となっている のかを検討してきた。
この節では、第2節で示したいじめ判決書教材のキーワードと第4節で分析した授業感 想文記述によるキーワードとの関連を見ていきたい。そのことで、いじめ判決書教材の開 発と授業構成によって生徒たちにどのような学びの要素があるのかを検討できる。
次の表14は、本いじめ判決書教材を活用した授業によって生徒たちの感想文記述のキ ーワードを、抽出した構成要素で類型化したものである。同時に、本章で活用した「京都 市小・中学校いじめ事件」の判決書教材記述との関連性を分析するために、いじめ判決書 教材におけるキーワードを取り出し整理したものである。
表中の「A5」は、授業を受けた一人の生徒を示し、「③」は感想文記述の三つ目に該当 するキーワードが位置付けられたことを示す。つまり感想文記述は、切片化して分類して いるものもある。
感想文記述のキーワードと、いじめの態様やいじめ責任等の抽出した構成要素、本いじ め判決書教材のキーワードとを比較する。両方を比べることで、本いじめ判決書教材にお ける学習内容としてのキーワードと生徒たちの感想文記述よって生成されたキーワードが どのような関連性があるのかについて検討できる。
<表 14 構成要素と判決書教材、感想文記述との関連>
構成要素 いじめ判決書教材における キーワード
感想文記述をもとにしたキーワード a 悪口 A(5)悪口などの言葉をめ
ぐるいじめ
A(8)悪口をめぐるけんか A(9)悪口の状況の説明 A(10)悪口に対する対策 A(11)悪口のいじめ A(12)言葉をめぐる問題 A(13)言葉をめぐる問題 A(22)脅しによるいじめ A(24)悪口をめぐる問題 A(28)脅しによるいじめ
A5②悪口のいじめ問題理解 A6③悪口によるいじめ問題の理解
A8①言葉をきっかけとしたいじめ理解と言葉の大切さ 理解、
A10①言葉をきっかけとしたいじめ理解、
A12⑤悪口や脅しによるいじめ
A15①言葉によるいじめ問題についての理解と決意、
A16④言葉によるいじめ問題の理解
A19 言葉によるいじめ発生についての理解、
A22①言葉のいじめ問題についての理解と考察 A24①言葉によるいじめの問題性についての理解 A24③言葉によるいじめでいのちを奪ういじめ理解 A26③言葉によるいじめの問題性についての理解 A28③言葉によるいじめの問題性理解
A29②言葉によるいじめの問題性理解 A30③言葉によるいじめの問題性理解
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A33①言葉のいじめ問題についての理解と決意 A34④言葉の問題性についての理解、
A35①言葉によるいじめの理解
A36①言葉によるいじめ問題についての理解と決意、
A36②言葉のいじめ問題についての理解 A38②言葉によるいじめの問題性理解 A39①言葉によるいじめの問題性理解 A41②言葉によるいじめの理解
A41⑦言葉環境についての重要性の理解 A44②言葉によるいじめの問題性理解 A45③言葉によるいじめの問題性理解 A47①悪口によるいじめ理解
A47⑦言葉によるいじめの問題性理解 A48④言葉のいじめ問題についての理解 A49④言葉のいじめによる問題性理解 A50①悪口によるいじめ問題の理解 A54④言葉のいじめ問題についての理解 A55①言葉のいじめ問題についての理解 A56①言葉のいじめ問題についての理解 b 無視・仲間は
ずれ・村八分
A(6)無視によるいじめ A(20)監視するいじめ
A12④無視によるいじめ
A27②精神的ないじめの損害賠償請求 A41③無視・仲間はずれなどのいじめ理解 A47②シカトや仲間はずれのいじめ理解 c 暴行・恐喝 A(4),A(14),A(15),A(16)暴
行によるいじめ A(19)傷害未遂事件 A(21),A(25)暴行によるい じめ
A(26)傷害 A(27)器物破損
A12③暴行によるいじめ
A27③傷害に及ぶいじめの損害賠償理解 A34①暴力によるいじめ理解
A34①脅しのいじめの理解 A41④暴力によるいじめ理解 A47③暴行によるいじめ理解
d 物理的いじめ A(1),A(7)モノを隠す A(2)モノを捨てる A(3)モノを壊す
A12②物理的いじめについての理解 A22③物理的いじめについての理解と対応 A47④物理的いじめについての理解
e いじめとふざ け
A40④いじめとふざけの違い理解 A51冗談と本当のいじめ
A52いじめ問題の現実におけるきびしさとむずかしさ といじめとふざけの区別
f 性的嫌がらせ g 特別支援いじ
め
h 学校教師の安 全配慮義務
A(17)学校教師のいじめへ の組織的対応
A(30)学校教師のいじめ対 応の組織的問題点と過失責 任
A(31)学校教師のいじめ対 応の組織的問題点と過失責 任
A1①教師の過失と責任
A2②学校教師のいじめ認知の対応不足と責任 A4①学校教師のいじめ認知の対応不足と責任 A5④学校教師のいじめ対応の組織的問題点 A6②学校教師の組織的対応と配慮義務の過失 A7①学校教師の組織的対応と配慮義務の過失 A10③学校教師のいじめ認知の対応不足と責任 A14③学校教師の組織的対応と配慮義務の過失 A16②教師の安全保持義務理解と責任
A21②学校教師の日常的な安全配慮と義務 A22②学校教師のいじめ認知の対応不足と責任 A24④学校教師のいじめ認知の対応不足と責任 A25③学校教師の安全配慮の義務
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A34②学校教師の日常的な安全配慮の理解 A37②教師の責任の理解、
A39②学校教師の安全配慮の義務理解 A40②教師の安全保持義務についての学び A42④学校教師の安全配慮の義務理解
A43⑤学校教師のいじめ認知の対応不足と責任 A45①学校教師の日常的な安全配慮と義務 A47⑧学校教師の組織的対応と配慮義務の過失 A48②学校教師の安全配慮義務の理解
A49③学校教師の日常的な安全配慮と義務 A51②学校教師の安全配慮義務
A54①学校教師の安全配慮義務違反と過失責任 A55②学校教師の日常的な安全配慮と義務 A56③学校教師の日常的な安全配慮と義務 i 加害者保護者
の保護監督義務
A(18)加害者保護者の不作 為による過失
A(23)加害者保護者の過失 責任
A(32),A(33),A(34)加害者 保護者の指導監督義務違反 と責任
A4④加害者保護者の日常的な監督の義務違反 A5③加害者保護者の日常的な安全配慮義務違反 A19③加害者保護者の過失責任
A20②加害者保護者の過失責任考察 A21③加害者保護者の監督義務
A23①加害者保護者の指導監督義務違反と責任 A25①加害者保護者の保護監督義務と責任 A29③加害者保護者の保護監督義務と責任 A34③加害者の保護監督義務違反
A42③被害者保護者の対応考察 A43④被害者保護者の過失 A51④保護者の養育責任
A56②加害者保護者の保護監督義務理解 j 被害者保護者
の保護監督義務
k 同級生の不作 為と対応考察
A1②他の生徒の対応考察
A2①他の生徒の不作為と対応考察 A3②他の生徒たちの対応考察 A4②他の生徒の対応考察と批判 A5①他の生徒の対応考察
A6①他の生徒の不作為と対応考察
A7②他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A10②他の生徒の不作為批判と対応考察
A12⑥他の生徒たちの対応についての考察
A14②いじめに対する他の生徒の不作為問題と対応考 察
A16③他の生徒の不作為と対応についての自省的考察 A17③他の生徒たちの対応理解
A18①他の生徒の不作為と対応についての批判と考察 理解
A23②他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A24⑤他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A25②他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A26①他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A32①他の生徒の不作為と対応考察
A35②他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A37①いじめ解決のための対応考察
A37③他の生徒たちの責任考察
A38①他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A41⑤他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A42①他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A43②他の生徒たちの不作為と対応についての考察
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A44①他の生徒の対応の理解
A45②他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A47⑥他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A48①他の生徒たちの対応考察
A49②他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A51③他の生徒たちの対応考察
A54②他の生徒たちの不作為と対応についての考察 A56④他の生徒たちの不作為と対応についての考察 l 被害者救済の
法的措置
A(29)被害者のいじめから 逃れるための法的措置とし ての転校
A11①被害者の法的措置についての不登校についての 考察
A13②いじめ被害者の法的措置についての考察 A15②被害者の法的措置についての理解
A17②いじめの法的措置と法的問題についての理解 A26②被害者のいじめから逃れるための法的措置とし ての不登校についての考察
A33③被害者の法的措置についての理解と考察 A35③被害者の法的措置についての理解と考察 A40③被害者の法的対応を含む対応についての理解 A44④被害者の法的措置についての理解
A48③転校という法的措置についての考察 A49①被害者対応の法的措置と対応理解
A54③被害者の法的措置としての転校についての考察 m 被害者自身の
問題点
n 被害者への共 感・心情理解
A1③被害者の心情理解と共感
A9①いじめ関係者の心情理解を含むいじめの総合的理 解
A21①被害者の心情理解の必要性
A38④人生に大きな影響を与えるいじめの理解 A43①被害者の心情理解と共感
A53①いじめ被害者への心情理解と共感の重要性 A54⑤被害者の心情理解の必要性
o 加害者対応の 批判
A1④加害者の行動批判
A3①加害者の行動や心情の批判
A14①加害者行動への疑問と批判、加害者に対する対 応考察
A27①加害者行動批判と責任についての考察 A28①加害者行動の批判と責任の考察
A31③加害者の行動や対応についての理解と批判 A42②加害者行動についての批判
p いじめ防止・
抑止の決意
A4⑤言葉遣いに対する今後への決意 A5⑤言葉遣いに対する今後への決意 A8②今後への言動、行動への決意 A19②いじめ防止抑止のための決意
A24②いじめ防止抑止のための今後への決意 A29④今後のいじめに対する言動についての決意 A30④いじめ防止抑止のための今後への決意 A32②今後のいじめ対応への決意
A33②いじめ防止抑止のための今後への決意 A34⑤いじめ防止抑止のための今後への決意 A38③いじめ防止抑止のための今後への決意 A39③いじめ防止抑止のための今後への決意 A43③いじめ防止抑止のための今後への決意 A50③いじめ防止抑止のための今後への決意 A56⑤いじめ防止抑止のための決意