• 検索結果がありません。

第7章 財務管理内部統制の新展開と官民連携型ジョイントベンチャー

2 LABVとは

LABVは、官民が出資をするジョイント・ベンチャー(JV)であり、PPPの一類 型とされる。近年、英国の地方自治体は、施設の再開発等の事業にPPPやUDC10、U RC11など幅広いパートナーシップをベースとするスキームを採用している。しかし、こ れらのスキームは間接的な関与にとどまることから、経済成長に対する十分な資源が投入 できないとしてしばしば批判の対象となっていた12。2006年12月に発表されたDCLG

(Department of Community and Local Government:英国コミュニティ・地方自治省)の 討議資料「イングランドの主要都市および都市圏の都市開発会社の役割」に、LABVの 記述を見ることができる13。そこでは不動産開発や都市再開発事業のスキームとしてLA BVの利活用が期待されることが記載されている。

LABVスキームの嚆矢は、2002年のBritish Waterways14(BW:英国水路公社)によ るISISウォーターフロント再開発事業である。BWとデベロッパーのAmec、ファンドの

Igroo によって事業スキームが立ち上げられ、再開発事業を実施した。その後、自治体で

は、クロイドン・ロンドン特別区がLABVを設立し、市街地再開発事業に応用したのが 最初である。2000年以降のLABVの設立状況は図表7-1のように示される。

またLABVの事業類型としては、①公有地開発、②施設管理、③施設運営、④中心市 街地再開発といった4類型が考えられている15。公有地開発型は、ある一定の規模を要す る単一地区における開発事業例が見られる。施設管理型については自治体であるAylesbury を除いて他は地域開発公社(Regional Development Agency: RDA)16が関与するLAB

130

Vである。この事業については事業期間10年というものが典型的である。施設運営型は、

点在する資産を一体的に運営管理することを求められる施設等に適用される例である。図 表7-1にある例では、公共部門のなかでもBritish WaterwaysやNational Railのような 公社形態のものが当事者になっていることが特徴的である。最後の中心市街地再開発型は パートナーシップ間のビジネスプランに基づき、事業期間が長期間にわたるもので採用さ れる。後段、4つのLABV事業例として取り上げたものは、いずれもこの中心市街地再 開発型である。

なお、LABVの14事業のうち、自治体の事例は6事業(うち2件は後述するように 失敗事例)しかないが、オペレーション型の2件を除けば、RDAと自治体はそれぞれ6 事業で同数実施されている。LABVは、事業形態や開発対象(特に土地の価格・広さ)

が多様なため、事業実施に際しては計画をより綿密に立てる必要があることから、計画は したものの、実際に事業実施に至らなかったものもあると考えられる。現実に、ニューカ ッスルやリバプールなどは、LABVに関心を寄せ、投資可能性を研究していたとされる17 が、LABV事業としての実施はされていない。

図表7-1 英国におけるLABVの主な事例

年度 事業 期間

事業 類型

名称 公共 民間 事業規模

(£)

目的

2002 15 ISIS Waterside Regeneration

British Waterways

AMEC 5,000 水路沿いのウォーター

フロント地区の再開発 2004 5-10

B4B One North East UK Land

Estates

15,500

49 エーカ ーに広がる 1700件の資産の投資 管理

2005 10 Blueprint EMDA and

English Partnership

Igloo 4,500 中心市街地区およびビ

ジネス地区などの開発

2006 10 Space Northwest North West RDA

Ashtenne Industrial Fund

14,000

マーシーサイドおよび カンブリアの資産の投 資管理

131

2007 10 PxP Advantage

West Midland

Langtree 6,400 60 万平方フィートの投

資管理、130 エーカー の地域開発

2008 25 CCURV Croydon LBC Laing 45,000

庁舎・住宅建設等によ る中心市街地の再開発

2008 10 Tunbridge Wells Regeneration Company

Tunbridge Wells BC

Laing 15,000

庁舎建設を含む4地区 の再開発

2008 10 Solum

Regeneration

Network Rail Kier 5 鉄道駅の再開発

2009 15-20

Skypark Devon County

Council

St Modwen 21,000

エクセター空港周辺に ビジネス拠点を整備

2009 15 Onsite North East

One North East Langtree 2,500 工業資産の開発・マネ ジメントを通じた Tees Valleyの再開発 2010 20 Aylesbury Vale

Estates

Aylesbury Vale DC

Guildhouse 360

(毎年)

未利用資産の投資およ びマネジメント

2010 20 Daresbury Science and Innovation Campus

Halton BC, North West RDA and STFC

Langtree 大学構内の科学技術

関連施設の整備

2011 20 Bournemouth Town Centre Master Vision ABV

Bournemouth BC

Morgan Sindall Investment

35,000 万~5

中心市街地再開発計 画で策定した17か所の 再開発18

132

2011 20 Torbay LABV Torbay Council McAlpine and Deeley Freed

5 商業施設・住宅の建設 を含む中心市街地の再 開発

出所:Thompson, B. and Local Partnership, Local Asset Backed Vehicles: A success story or unproven concept?, RICS, 2012, p.9. に事業類型を加筆。