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実験

ドキュメント内 吉岡, 俊暁 (ページ 30-37)

第二章 SFC/MS/MS を用いた AA の高感度迅速定量法の開発

2.2. 実験

2.2.1. 試薬,器具,およびサンプル

AA (プロテオミクス用),ギ酸 (LC/MS用),アセトニトリル (LC/MS用),メタノー ル (LC/MS用) は富士フィルム和光純薬 (大阪,日本) から,n-ヘキサン (残留農薬分 析用) は関東化学 (東京,日本) から購入した.サロゲートとして用いた 13C3-AA メ タノール溶液 (13C3-AA, 1 mg mL‒1; ヒドロキノン, 0.1 mg mL‒1含有) はCambridge Isotope Laboratories (Tewksbury, MA, USA) から購入した.Supel QuE Citrate (EN) tube (無水硫酸マグネシウム, 4 g; 塩化ナトリウム, 1 g; クエン酸三ナトリウム, 1 g;

クエン酸二ナトリウム, 0.5 g含有) はSigma-Aldrich (St. Louis, MO, USA) から購入

した.CO2 (99.5%グレード,巴商会,茨城,日本) はSFC移動相として用いた.メ

ンブレンフィルターMillex LG (4 mm 0.2 μm, 13 mm 0.2 μm) は Merck Millipore (Billerica, MA, USA) から,Dismic-13HP (13 mm 0.2 μm) は東洋濾紙 (東京,日本)

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から購入した.実験で用いた水は Merck MilliporeのミリQシステムで精製したもの を使用した.

分析サンプルとして用いた 7 種の麦茶,1種のほうじ茶,3 種の混合茶,6 種のブ ラックコーヒー,6種のミルクコーヒー,2種の焙煎麦,7種のコーヒー豆,12種の ビスケット,7 種のクッキー,3種のクラッカー,および1種のサブレはスーパーマ ーケットで日本産の製品を購入した.穀類と菓子サンプルは,フードプロセッサーで 粉砕,均一化したものを用いた.FAPAS (Food Analysis Performance Assessment Scheme) 外部精度管理試験用のビスケットサンプルはFera Science (York, UK) から 購入した.

2.2.2. SFC/MS/MS分析条件

SFC/QqQMSシステムとして,ACQUITY UPC2 (Waters, Milford, MA, USA) とXevo TQ-S micro triple-quadrupole mass spectrometer (Waters) を使用し,イオン化法には ESIを用いた.システム制御とデータ取得にはMassLynx software version 4.1 SCN

909 (Waters) を用いた.移動相の超臨界流体に溶解しない水溶性の塩などを洗浄する

ための分析後のポストランメソッドにおいて,515 HPLC pump (Waters) をメイクア ップポンプとして使用した.分析カラムには,ACQUITY UPC2 BEH,ACQUITY UPC2 CSH Fluoro-Phenyl,ACQUITY UPC2 Torus 2-PIC,ACQUITY UPC2 Torus DIOL, ACQUITY UPC2 Torus 1-AA (150 mm × 3.0 mm i.d.,particle size 1.7 μm, Waters),

およびACQUITY UPC2 HSS C18 SB (150 mm × 3.0 mm i.d.,particle size 1.8 μm,

Waters) を用いて,AA分析に最適なカラムのスクリーニングを行った.

SFCの分析条件は以下に記す.注入量は3 μL,移動相流速は1.0 mL min‒1,カラ ム温度は40 ˚Cに設定した.移動相 (A) はSCCO2,移動相 (B,モディファイアー) はメタノールとした.分析時のグラジエント条件は,SFCの移動相は0–0.2 min (5%

B), 3.6 min (22% B), 4–5 min (47% B), 5.5–5.8 min (5% B),メイクアップ溶媒は0–

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5.8 min (0 mL min‒1) に設定した.分析後に,MSへの分岐部や分岐後の配管に残存し た水溶性の塩などのつまりを防ぐための洗浄用のポストランメソッドを以下に記す.

SFC の移動相は B 液を 5%のアイソクラティックモード,メイクアップ溶媒はメタ ノール:水 (95:5 v/v) でそれぞれ流速1.0 mL min‒1で,5.8分から6.8分まで送液し,

分析時間はポストランメソッドも含めて合計 6.8 分とした.背圧制御装置 (ABPR, active back pressure regulator) 条件は,0–3.2 min (13.8 MPa), 3.3–3.6 min (20.7 MPa), 3.65 min (13.8 MPa), 3.7–5.2 min (12.4 MPa), 5.25 min (13.8 MPa) の条件に設定し,

高感度化するために ABPR を上下動させた.カラムスクリーニング分析と ABPR 固 定分析時は,ABPRを13.8 MPaに設定した.また,QqQMSの分析条件を以下に記 す.ESI はポジティブイオンモード,キャピラリー電圧は 1.6 kV,イオン源温度は 150 °C,脱溶媒ガス温度は400 °C,脱溶媒ガス流量は1000 L h‒1に設定した.質量 分析は,Multiple reaction monitoring (MRM) 測定で行った.MRM測定とは,QqQMS

の1つ目のMS (Q1) でESIによってイオン化した目的物の分子イオン (プリカーサ

イオン) を選択し,続くコリジョンセル (q2) において衝突誘起解離 (collision-induced dissociation: CID) を用いて選択したイオンを不活性ガスに衝突させること でプリカーサイオンの開裂を起こし,2つ目のMS (Q3) で開裂したイオン (プロダク トイオン) 中の特定イオンを検出する方法のことであり,Q1 と Q3 の設定値の組み 合わせのことを MRM トランジションという.MRM 測定では,MS 内部で特定の標 的イオンのみを選択的に単離し,共溶出する夾雑イオンを除去することができるため,

結果としてバックグラウンドを低下させることができる.そのため,S/N が向上し,

高感度かつ選択性の高い検出が可能となる.MRMトランジションは,AAは72 (cone voltage (CV), 25 V) > 55 (collision energy (CE), 8 V),72 (CV, 25 V) > 44 (CE, 10 V) に,13C3-AAは75 (CV, 25 V) > 58 (CE, 8 V) に設定した.

- 30 - 2.2.3. UHPLC/MS/MS分析条件

UHPLC/QqQMS シ ス テ ム と し て ,ACQUITY UPLC I-class (Waters) と 2.2.2.

SFC/MS/MS 分 析 条 件 に 記 載 の あ る Xevo TQ-S micro triple-quadrupole mass spectrometerを用いた.

UHPLC条件を以下に記す.分析カラムには,ACQUITY UPLC HSS T3 (150 mm × 3.0 mm i.d., particle size 1.8 μm, Waters) を用いた.注入量は3 μL,移動相流速は 0.35 mL min‒1,カラム温度は40 ˚Cに設定した.移動相 (A) は0.1% (v/v) ギ酸水溶 液に,移動相 (B) はメタノールとした.グラジエント条件は,0–4.75 min (0.5% B), 5–6.75 min (80% B), 7–10 min (0.5% B) に設定し,分析時間は合計10分とした.SFC

とUHPLC での分析結果の比較検討を行うために,QqQMSの装置条件とMRMトラ

ンジションは2.2.2. SFC/MS/MS分析条件に記載された数値を設定した.

2.2.4. SFC/MS/MSUHPLC/MS/MSでのフローインジェクション条件

フローインジェクション (FI) 分析はカラムを使用せずに分析する手法で,この手 法を用いて二酸化炭素の有無と溶媒比率の違いによってAAのイオン化効率に違いが 生じるか確認を行った.SFC/MS/MS での FI条件を以下に記す.注入量は 3 μL,流

速は1.0 mL min‒1に設定した.移動相にはSCCO2とメタノールを用いて,メタノー

ルの割合を5, 10, 20, 30, 40, 50, 60, 70%に設定してアイソクラティックモードで分 析を行った.

UHPLC/MS/MSでのFI条件を以下に記す.注入量は3 μL,流速は0.35 mL min‒1 に設定した.移動相には0.1% (v/v) ギ酸水溶液とメタノールを用いて,メタノールの

割合を0, 5, 10, 30, 50, 70%に設定し,アイソクラティックモードで分析を行った.

QqQMS 装置条件と MRM トランジションは,2.2.2. SFC/MS/MS 分析条件に記載さ

れた数値を設定した.FI分析のための標準溶液は,SFC分析用には2.5 ng mL‒1のAA アセトニトリル溶液を,UHPLC分析用には2.5 ng mL‒1のAA水溶液を用いた.

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2.2.5. サンプル前処理法開発のための予備検討

サンプル抽出液の希釈によるマトリックス効果の低減と,メンブレンフィルターか らのAA溶出量についての調査を行った.マトリックス効果の低減の検討では,ミル クコーヒー,ビスケット,コーヒー豆をサンプルに用いた.AA を添加した場合,サ ンプル内在性のAAによって回収率の評価が難しいため,サロゲートを添加して回収 率の評価を行った.既知のQuEChERS前処理法を参考に (Mastovska, K., 2006), d-SPE工程を実施せずに,QuEChERS抽出液の希釈操作のみを実施した.ミルクコー ヒー2 g,ビスケット1 g,コーヒー豆0.5 gをそれぞれ50 mL PPチューブに量りと

り,0.25 μg mL‒1 サロゲートアセトニトリル溶液を0.2 mLずつ添加した.ビスケッ

トには水5 mL,コーヒー豆には水1.5 mLを加えてボルテックスミキサーで30秒撹

拌後,15分放置し膨潤させた.ミルクコーヒーにはアセトニトリル9.8 mL,ビスケ ットとコーヒー豆にはアセトニトリル 9.8 mL と n-ヘキサン 2.5 mL を加えた後,

Supel QuE Citrate (EN) tubeを加えた.Supel QuE Citrate (EN) tubeに含まれる無水 硫酸マグネシウムは吸湿して固まるため,すぐに蓋を締めて手で振とう後,270 rpm の振とう機で15分振とうした.遠心分離後 (20 °C,2380 g,5分),ミルクコーヒー では上相のアセトニトリルを回収し,ビスケットとコーヒー豆では中間相のアセトニ トリルを回収した.各アセトニトリル抽出液1000,500,200,100,および100 μL を,それぞれアセトニトリル0,500,800,900,および1400 μLと混合し,1,2, 5,10,および15倍の希釈液を調製した.ミルクコーヒーは希釈液をそのまま分析に 用いて,ビスケットとコーヒー豆は遠心分離後 (20 °C,15000 g,3分) の上清を分析 に用いた.各サンプルn = 2で分析を行い,マトリックス効果低減の評価に用いた.

メンブレンフィルターからのAAの溶出量については,各メンブレンフィルターに

対してn = 3でアセトニトリルを1 mL通液したものを分析し,評価を行った.

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2.2.6. 飲料,菓子類,および穀類サンプルの前処理法

飲料サンプル前処理法:飲料2 gを50 mL PPチューブに量りとり,0.25 μg mL‒1 サロゲートアセトニトリル溶液0.2 mLを添加した.アセトニトリル9.8 mLを加えた 後,Supel QuE Citrate (EN) tubeを加えた.手でよく振とう後,270 rpmの振とう機 で15分振とうした.遠心分離後 (20 °C,2380 g,5分),上相のアセトニトリル抽出

液0.5 mLを分析バイアルに入れた後,アセトニトリル0.5 mLで希釈し,SFC/MS/MS

分析サンプルとした.UHPLC/MS/MS分析サンプルには,遠心後の上相のアセトニト リル抽出液0.5 mLを40 °Cで窒素乾固した残留物を水1 mLに再溶解したものを用 いた.

菓子類,および穀類サンプル前処理法:菓子類と穀類は食品用ミルで粉砕,均一化 したものを分析サンプルとした.菓子類は1 g,穀類は0.5 gを50 mL PPチューブに 量りとり,10 μg mL‒1 サロゲートアセトニトリル溶液25 μLを添加した.菓子類は

水5 mL,穀類は水1.5 mLを加えてボルテックスミキサーで30秒撹拌後,15分放置

して膨潤させた.アセトニトリル10 mLとn-ヘキサン2.5 mLを加えた後,Supel QuE Citrate (EN) tubeを加えた.手でよく振とう後,270 rpmの振とう機で15分振とうし た.遠心分離後 (20 °C,2380 g,5分),中間相のアセトニトリル抽出液0.1 mLとア セトニトリル0.9 mLを1.5 mL PPチューブで混合し,遠心分離後 (20 °C,15000 g, 3分) にバイアルに移してSFC/MS/MS分析サンプルとした.UHPLC/MS/MS用分析 サンプルは,遠心後の中間相のアセトニトリル抽出液0.1 mLを40 °Cで窒素乾固し た残留物を水1 mLに再溶解したものを用いた.

サンプルの定量には,サロゲートを用いた内部標準絶対検量線法を用いた.2.5 ng mL‒1となるようにサロゲート溶液を加えた,0.050–50 ng mL‒1 AA標準アセトニトリ ル溶液 (SFC分析),もしくはAA標準水溶液 (UHPLC分析) を調製した.

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2.2.7. SFC/MS/MSUHPLC/MS/MSでの感度比較

直線性と定量下限 (LOQ) の評価は,SFC にはアセトニトリル,UHPLC には水で 希釈した0.050–50 ng mL‒1 AA標準液で行った.LOQはS/N = 10となる濃度とした.

AA の保持時間,AAピークエリアの半値幅 (FWHM),再現性は,2.5 ng mL‒1のAA アセトニトリル溶液とAA水溶液を用いて比較を行った.また,2.2.6. 飲料,菓子類,

および穀類サンプルの前処理法に記載の方法で前処理を行ったミルクコーヒー,麦茶,

およびコーヒー豆の抽出液を SFC/MS/MS と UHPLC/MS/MS で分析を行い,感度比 較を行った.

2.2.8. SFC/MS/MSを用いたAA分析法のバリデーション試験

飲料サンプルにはミルクコーヒーと麦茶,菓子サンプルにはビスケット,穀類サン プルにはコーヒー豆を用いて,SFC/MS/MS によるAA 分析法の真度,再現性,検量 線の直線性のバリデーション試験を行った.真度は,サンプルにAAを一定量添加し て定量を行い,添加量100%を真値として前処理工程でのロスと分析時のマトリック ス効果の影響を真値とのずれで示す.再現性は,AA を添加したサンプルを複数分析 し,それら定量値のばらつきを示す.AAの検量線には,サロゲートを2.5 ng mL‒1と なるように加えた 0.050–12 ng mL‒1の AA アセトニトリル標準溶液を用いた.サン プリングしたミルクコーヒー,麦茶に20 ngのAAを,ビスケット,コーヒー豆には

100 ngのAAをそれぞれn = 6で添加した後に前処理を行い,その分析結果を評価に

用いた.また,各サンプルには内在性のAAが含まれており,分析結果は内在性のAA に添加分の AAが上乗せして得られるため,内在性の AAを把握するためにAA 無添 加サンプルの分析を n = 2で行った.真度を求める際は,AA 添加サンプルの各分析 値から AA 無添加サンプルの平均分析値を差し引いた値を,AA 添加量として評価に 用いた.本バリデーション試験の基準は,真度70–110%,精度は≤ 15%とした (AOAC International, 2016).LOQ,検出限界 (LOD) は,各AA無添加サンプルの分析結果か

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