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実験結果

ドキュメント内 はじめに (ページ 106-115)

1. 実験結果

子宮重量/体重比、血清エストラジオール値はばく露群、偽ばく露群、ケージ群の3群 間で有意差を認めなかった(図14、15)。陽性コントロールであるE2群においてはいず れの項目についても他群と比較し有意に増加していた(図14、15)。

NS NS NS

*

子宮重量/体重×1000

0 1 2 3 4 5

NS NS NS

*

子宮重量/体重×1000

0 1 2 3 4 5

NS NS NS

*

血中濃度(pg/ml)

0 20 40 60 80 100

NS NS NS

*

血中濃度(pg/ml)

0 20 40 60 80 100

図9 子宮重量/体重比 NS:有意差なし、*:p<0.001

図10 血清エストロゲン濃度 NS:有意差なし、*:p<0.001

ケージ群

曝露群 偽曝露群

E2群 ケージ群

曝露群 偽曝露群

E2群 ケージ群

曝露群 偽曝露群

E2群 ケージ群

曝露群 偽曝露群

E2群 ケージ群

曝露群 偽曝露群

E2群 ケージ群

曝露群 偽曝露群

E2群

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2.

各群の子宮重量、体重、子宮重量/体重比および血清エストラジオール値を表1~表9 に示す。各群の切除子宮は図16、17の通りである。

偽ばく露群 ばく露群 E2群

図11 ラット子宮

ケージ 偽曝露 曝露 E2

ケージ 偽曝露 曝露 E2

図12 各群の切除されたラット子宮

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表1 子宮重量/体重比(ケージ群)

群 体重(g) 子宮重量(mg) 子宮重量/体重比(%) 子宮重量/体重比×1000

ケージ 316 150 0.047 0.475

ケージ 323 140 0.043 0.433

ケージ 328 190 0.058 0.579

ケージ 311 180 0.058 0.579

ケージ 340 180 0.053 0.529

ケージ 322 130 0.040 0.404

ケージ 336 160 0.048 0.476

ケージ 322 130 0.040 0.404

ケージ 345 170 0.049 0.493

ケージ 326 140 0.043 0.429

ケージ 327 160 0.049 0.489

ケージ 324 200 0.062 0.617

ケージ 338 180 0.053 0.533

ケージ 353 160 0.045 0.453

ケージ 348 220 0.063 0.632

ケージ 302 180 0.060 0.596

表2 子宮重量/体重比(偽ばく露群)

群 体重(g) 子宮重量(mg) 子宮重量/体重比(%) 子宮重量/体重比×1000

偽ばく露 302 160 0.053 0.530

偽ばく露 273 190 0.070 0.696

偽ばく露 304 110 0.036 0.362

偽ばく露 306 130 0.042 0.425

偽ばく露 302 150 0.050 0.497

偽ばく露 304 160 0.053 0.526

偽ばく露 322 150 0.047 0.466

偽ばく露 285 160 0.056 0.561

偽ばく露 325 150 0.046 0.462

偽ばく露 335 140 0.042 0.418

偽ばく露 284 110 0.039 0.387

偽ばく露 336 180 0.054 0.536

偽ばく露 296 160 0.054 0.541

偽ばく露 281 170 0.060 0.605

偽ばく露 320 120 0.038 0.375

偽ばく露 292 140 0.048 0.479

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群 体重(g) 子宮重量(mg) 子宮重量/体重比(%) 子宮重量/体重比×1000

ばく露 300 280 0.093 0.933

ばく露 287 190 0.066 0.662

ばく露 260 230 0.088 0.885

ばく露 284 110 0.039 0.387

ばく露 306 140 0.046 0.458

ばく露 273 140 0.051 0.513

ばく露 276 200 0.072 0.725

ばく露 298 140 0.047 0.470

ばく露 309 150 0.049 0.485

ばく露 304 160 0.053 0.526

ばく露 313 190 0.061 0.607

ばく露 305 160 0.052 0.525

ばく露 312 190 0.061 0.609

ばく露 307 150 0.049 0.489

ばく露 306 150 0.049 0.490

ばく露 301 150 0.050 0.498

表4 子宮重量/体重比(E2群)

群 体重(g) 子宮重量(mg) 子宮重量/体重比(%) 子宮重量/体重比×1000

E2 280 900 0.321 3.214

E2 283 610 0.216 2.155

E2 272 1920 0.706 7.059

E2 296 1230 0.416 4.155

E2 299 1370 0.458 4.582

E2 306 1170 0.382 3.824

E2 300 1220 0.407 4.067

E2 297 1130 0.380 3.805

E2 302 910 0.301 3.013

E2 340 700 0.206 2.059

E2 324 960 0.296 2.963

E2 301 900 0.299 2.990

E2 310 960 0.310 3.097

E2 346 660 0.191 1.908

E2 329 650 0.198 1.976

E2 315 930 0.295 2.952

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表5 血清エストラジオール濃度 (ケージ群)

表6 血清エストラジオール濃度 (偽ばく露群)

群 血清エストラジオール濃度

(pg/ml) 群 血清エストラジオール濃度

(pg/ml)

ケージ 5.7 偽ばく露 5.4

ケージ 4.5 偽ばく露 4.3

ケージ 4.1 偽ばく露 2.1

ケージ 4.2 偽ばく露 3.6

ケージ 4.6 偽ばく露 3.4

ケージ 4.7 偽ばく露 4.6

ケージ 4.5 偽ばく露 3.3

ケージ 3.6 偽ばく露 4.4

ケージ 4.5 偽ばく露 8

ケージ 5.3 偽ばく露 5.6

ケージ 5 偽ばく露 4.5

ケージ 4.7 偽ばく露 4.9

ケージ 5.9 偽ばく露 5.8

ケージ 3.2 偽ばく露 5

ケージ 4.4 偽ばく露 5.5

ケージ 4.8 偽ばく露 5.5

表7 血清エストラジオール濃度 (ばく露群)

表8 血清エストラジオール濃度 (E2群)

群 血清エストラジオール濃度

(pg/ml) 群 血清エストラジオール濃度

(pg/ml)

ばく露 7.1 E2 122.4

ばく露 7.9 E2 109.6

ばく露 7.3 E2 108.5

ばく露 1.7 E2 46.7

ばく露 5.6 E2 52.6

ばく露 3.5 E2 64.8

ばく露 3.6 E2 51.4

ばく露 3 E2 18.3

ばく露 3.7 E2 78

ばく露 3.1 E2 40.8

ばく露 4.3 E2 29.1

ばく露 3.1 E2 39.1

ばく露 4.4 E2 65.3

ばく露 5.5 E2 22.8

ばく露 3.7 E2 23.7

ばく露 3.6 E2 83.1

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子宮重量/体重比

平均子宮重量/体重比(×1000) 標準偏差

ケージ群 (n=16) 0.508 0.075

偽ばく露群

(n=16) 0.492 0.089

ばく露群 (n=16) 0.579 0.154

E2群 (n=16) 3.364 1.280

血清エストラジオール濃度

平均血清エストラジオール濃度(pg/ml) 標準偏差

ケージ群 (n=16) 4.61 0.69

偽ばく露群

(n=16) 4.74 1.33

ばく露群 (n=16) 4.44 1.76

E2群 (n=16) 59.76 32.78

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Ⅴ 考察

携帯電話の普及は目覚しく、それに伴って携帯電話から発せられる高周波電磁波

(800MHz-2GHz)の生体に対する影響が懸念されている。特に遺伝子、癌、睡眠、

免疫系、神経系などへの影響に関する社会的懸念が生じている。これを受けて我々はこ れまでに高周波電磁波の脳の形態学的変化、記憶に対する影響がないことを報告してき

た[7,8]。続いて、我々は携帯電話から発せられる高周波電磁波による睡眠による影響を

調べるためラットを用いて松果体および血清メラトニンおよびセロトニン値を測定し、

短期および長期の高周波電磁波ばく露による有意差がないことを示した[10,11]。 近年は、携帯電話を含めた電磁波を発する電気製品の普及は一昔前と比較し格段に高 くなっており、電磁波の影響は環境問題として取り上げられることもある。また一方、

同様に環境問題として社会的関心を集めているものの一つに内分泌撹乱物質(環境ホル モン)がある。環境中に放出された化学物質がホルモン様もしくは抗ホルモン様に作用 するものとされ、生体の恒常性、生殖、発生、行動などに関与する過程に影響を及ぼす 可能性が指摘されている。これまでに報告されている“環境ホルモン”の作用の多くは エストロゲン様作用であり、本研究では携帯電話の発する高周波電磁波が“環境ホルモ ン”と同様にエストロゲン様作用をもち内分泌撹乱を起こしうるか否かを調べる目的で 実験を行った。

低周波電磁界がラットの乳癌発生、ラットの乳管上皮の増殖能の亢進に関与すること が報告されている。内分泌撹乱物質の一つである7,12-ジメチルベンゾアントラセン

(DMBA)をラットに投与すると乳腺腫瘍が発生することが知られているが[12,13]、 このDMBA乳癌誘発モデルにおいて、Thun-Battersbyらは、50Hz、100μTの低周波 垂直電磁界にラットをばく露させ、1週間後にDMBAを投与してDMBA誘発乳癌の発生 への電磁界の影響を検討した[14]。ばく露開始から14週間(DMBA投与後13週間)の 時点で、偽ばく露群と比較しばく露群では乳癌の発生が1.9倍増加していた。また、

Fedrowitzらは、同じく50Hz、100μTの低周波垂直電磁界にSDラットを2週間ばく露 させると、細胞増殖を示すBrdU、Ki-67でラベルされる細胞が乳腺組織で有意に増加し たと報告し、先に報告された電磁波ばく露によるDMBA乳癌の増加の根拠となり得る と考察している[15]。

電磁波ばく露が先進国での乳癌発生の増加の原因として考えられていることもあり

[16,17]、高周波電磁界の乳癌発生への影響についての懸念もあると言える。

先に述べたとおり、エストロゲンは乳癌の危険因子であることが知られており、エス トロゲンばく露の増加は乳癌発生リスクであるとされている。様々な報告から電磁波ば

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響については明らかになっていない。また、電磁波によるエストロゲン様作用の検討も これまでに報告がない。これを受け、今回我々は、卵巣切除後雌ラットを対象に脳平均 SAR 7.5W/kg、全身平均SAR1.2W/kgの電磁波を1日4時間、3日連続でばく露させる実 験を行ったが、血清エストラジオール濃度に変化を認めなかった。エストロゲン様作用 の検討には、卵巣切除ラットに試験物質を与えて子宮が大きくなるかどうかを観察する 子宮肥大試験がよく用いられる。卵巣を切除するとラット子宮は萎縮するが、エストロ ゲンもしくはエストロゲン様作用を有する物質を投与すると肥大する。今回、我々が用 いた電磁波ばく露条件では、この子宮肥大に影響がなかった。今回の実験では、実験系 の妥当性を確認するために17-β-エストラジオールを投与するE2群を陽性コントロ ールとしておいた。E2群は他の3群に比べ、有意な子宮肥大が確認され、また血清エス トラジオール濃度も有意に増加しており、本実験系は正しく機能していると考えられた。

今回の実験では携帯電話の発する高周波電磁波のDMBA誘発乳癌への影響について は検討を行っていない。これは本研究では携帯電話の発する高周波電磁波が内分泌撹乱 物質となり得るかに焦点を当てたからである。高周波電磁波のDMBA誘発乳癌につい てはBartschらが報告している[18]。彼らは900MHz、全身平均SAR17.5–70mW/kgの 高周波電磁波ばく露をラットに行い、DMBA乳癌の発生には影響を与えないと報告し ている。彼らのばく露条件と今回我々が用いた条件とは異なるが、今回の我々の結果も 併せて、現在のところ、携帯電話が発するような高周波電磁波には、乳癌発生を強める 可能性を示唆する結果はないと考えられる。

今回、我々は卵巣切除後の雌ラットを対象として短期ばく露実験を行い、携帯電話の 数倍を上回るSARの高周波電磁波のばく露は血清エストラジオール濃度に有意な影響 を及ぼさず、エストロゲン様作用も認めないことを示した。

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Ⅵ 結論

高周波電磁波ばく露が血清エストロゲンに及ぼす影響、及びエストロゲン様作用を有 するかをラットの血清エストラジオール、子宮重量を測定することにより検討する実験 において、脳平均SAR7.5W/kgの1439MHz TDMA PDC方式の電磁波を1日4時間、3日 間連続でばく露させたが、有意差は認められなかった。携帯電話から発生される高周波 電磁波のレベル(局所平均SAR<2.0W/kg)を大幅に上回るばく露によっても、卵巣切 除後ラットにおいて血清エストラジオール、子宮重量には有意差が認められなかった。

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