第7章 多目的 GA による通信システムの信頼性最適化設計
7.4 数値実験
7.4.4 実験結果の考察
グ範囲は0.0~0.2である。この間に解が上手く分布しているのが分かる。
③シェアリングの効果
シェアリングにより評価値を補正してパレート解を均等に分布させる仕組みは非常 に大きな効果がある(図 7-15,図 7-11)。図中の記号,Non-SH:シェアリングを使用し
ない,SH:シェアリングを使用する,である。本論文の多目的GAでは,選択の評価(第
3章の3.4.8)と LSの適応型スキームの評価(第3章の 3.4.7)にシェアリング度が使用さ
れている。
シェアリングと改良パレート解保存 戦略を組み合わせると相乗効果があ る。パレート解を均等に分布させる には,シェアリング度で選択すること が必要であるが,ある程度の親個体 がなければ効果が低くなる。パレー ト解保存戦略では,親個体の数が増 大し難いため,シェアリングの効果 が低くなる。なお,パレート解保存戦 略の場合,一度,解が増加するとパ レート解は改良パレート解保存戦略 にせまるパレート解数が発生する。
この場合でも,シェアリング度で評価関数を補正しないと部分的な集中化が起こる。
④適応型スキームによる局所探索の効果
適応型スキームによりLSを制御する技法は,常にLSを動作させることの弊害を除去す るのに効果がある。局所探索(interactive hill climbingや指向性遺伝子法など)とは,子個体 の解の方向を強制的に近傍探索さ せる。本論文の多目的 GA では,
選択の基となる子個体に近傍探索 用の複数の個体を強制的に追加す る。この操作の効果は,集団数と の相対的な問題でもある。この実 験では,集団数:30,LS の子:4
なので約 10%の影響が生まれる。
この適応型スキームは,パレート 解の分布の少ない部分を局所的に 探索する仕組みである。実験結果 (表7-16)から見て,常時稼動LS(full-LS)のGAは,LSを使わないGA(off-LS)や適応型スキ
ームのGA(adp-LS)と比べて弓形面積の値が悪い。これは,LSの悪い面が現れたものであ
る。しかし,部分的な解は良いものもある。総合的な観点から言うと,局所解を改善しな
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9
1 2 3
Model
Cover rate
Non-SH SH
Fig.7-15 Performance of sharing 図7-15 シェアリングの効果
0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8
1 2 3
Model
arch area
off-LS full-LS adp-LS
Fig. 7-16 Performance of adaptive Local Search 図7-16 適応型スキームによるLSの効果
らが全体の解を改善するのが,適応型スキームによるLSである。LSの弱点を適応型スキ ームで改善している。
このModel-3での適応型スキームによるLSは,突然変異率を高く(pm:0.6)して広域探索
を行うことで,探索のバランスを改善している。この結果を図7-17,表 7-11に示してい る。
ここで,adp-LS は適応型スキー ムによるLS,off-LSはLSなし,
世代数は8000,pmは突然変異率
である。
最大世代数が8000の場合,パ レート解が最も良い(弓形面積:
0.571129)のは adp-LS であり,
適応型LSの効果が現れている。
世代数が4000世代を超えてくる と,実行可能解の縁側の改善に焦 点が移るため,適応型LSの効果 が表れやすくなると言える。また, 適応型LSは,突然変異を0.3か ら 0.6 に上げることで,LS の効 果が表れている(表7-11)。
なお,図7-17のパレート解は,不稼働率と総コストを評価範囲で0~1.0に正規化し,解 の間隔が0.01以下のものは不表示とした,パレート解の正規化表示である。評価範囲は,
不稼働率:0.0 から 0.1,総コスト:212,900,000から216,000,000である。
表7-11 適応型スキームと突然変異の組合せ効果
Table 7-11 Performance of adaptive LS and mutation Mutation
突然変異率
arch area 弓形面積
cover rate 被覆率
適応型LS(adp-LS) 0.3 0.504095 0.71
LSなし(off-LS) 0.3 0.545901 0.80
適応型LS(adp-LS) 0.6 0.571129 0.72
LSなし(off-LS) 0.6 0.561401 0.82
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1
0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 unavailability(yr)
cost
adp-LS,pm=0.3 off-LS,pm=0.3 adp-LS,pm=0.6
Fig. 7-17 Performance of adaptive Local Search(2) 図7-17 適応型スキームによるLSの効果(2)