• 検索結果がありません。

実験の結果

ドキュメント内 main.dvi (ページ 111-117)

第 9 章 サンバ演奏技能の習得支援システムの開発 93

9.3 実験の結果

9.3 実験の結果 103

被験者の相互相関係数の推移を記録し、その相互相関係数の推移の始めと終わりの各5秒 を除いた50秒を対象として、被験者の平均相互相関係数を求めた。図9.15に、相互相関 係数の推移の例を示す。

9.15 記録された相互相関係数の例と平均相互相関係数の算出結果

50秒間の相互相関係数の推移を平均化し、平均相互相関係数とすることで(計測時にお ける)被験者のシェイカー演奏の熟練度を比較する。比較の対象となるのは、指向性を持 つフィードバック(A)を受けたグループ、指向性を持たないフィードバック(B)を受け たグループ、およびいかなるフィードバックも受けないグループである(C)。

各グループについて、それぞれの被験者の平均相互相関係数の推移を示す(図9.16,図

9.17,図9.18)。各図は、それぞれテスト回数の増加に伴う平均相互相関係数の推移を示し

ており、横軸にテスト回数(計測を行った回数)、縦軸に平均相互相関係数を示している。

また、各プロットは、個々の被験者を表しているが、各グループの被験者は同じく「A」 と呼ばれていても実際は別人であることを断っておく。

それぞれのグラフにおいて、被験者ごとにバラツキや、例外があるものの、ほとんどの 被験者において、テスト回数の増加(つまり練習時間の増加)に伴って、相関係数1の方 向に収束するような挙動が観察される。このことから、ほとんどの被験者が何らかの学習 を行っていると考えられる。

図9.19に、各フィードバック方法での全被験者の平均相互相関係数の推移を示す。図 9.19はテスト回数の増加に伴う「各グループごとに被験者の平均相互相関係数の平均を 取った値」の推移を示している。横軸はテスト回数(計測を行った回数)、縦軸はグループ 内で被験者全員の平均をとった平均相互相関係数を示している。

各グループで平均を比べることで、シェイカー演奏技能の習得状態が見えやすくなる。

9.3 実験の結果 105

9.16 指向性を持つフィードバック(A)を受けた被験者の平均相互相関係数の推移

各グループの平均の挙動を観察すると、どのフィードバック方法でもテスト回数の増加に 伴い、平均相互相関係数が上昇していることが観察される。特に、グループAとBにお いては、相互相関係数が1に向かって収束しているような挙動をとっている。

9.3.2 学習度にもとづく比較

図9.19からは、グループAとBの相互相関係数がフィードバック無しグループ(C)に 比べて高いため、学習がなされているように見えるが、学習前(テスト回数=1のとき)か らの増加率で観察するとフィードバック無しのグループと同程度の学習効果にも見える。

実験では相関係数という値の上限が1であるから、上限付近の数値は相関係数0.5という 値とは同等に取り扱うべきではない。そこで、図9.20に示すような学習曲線を仮定し、

学習係数という概念を導入して習熟度を比較する。

図9.20の学習曲線は、次式によって与えられる反比例曲線である。

熟練度= 1(1/(α×学習回数)) (9.3)

ここで、熟練度は本実験における平均相互相関係数を指しており、αは学習係数である。

1単位の学習を行った場合に学習できる効率は学習係数α によって変動し、学習係数が高 いほど技能はより早く熟練に向かうことを示す。ここで、学習係数であるαを求めること ができれば、相互相関係数の変動から、技能の学習の効率を各グループにおいて算出する ことが可能となる。

本研究では熟練度を相互相関係数で表す。このとき‘学習度=(α×学習回数)’とすると、

9.17 指向性を持たないフィードバック(B)を受けた被験者の平均相互相関係数の推移

上式は次式に置き換わる:

相互相関係数= 1(1/学習度) (9.4) 変形により、各被験者の学習度は以下の式で導かれることとなる:

学習度= 1(1/相互相関係数) (9.5) 各フィードバック方法について、グループごとに学習度を求め、テスト回数に対する学 習度の推移を取ると図9.21、図9.22、および図9.23のようなグラフが得られる。グラフ の横軸はテスト回数、縦軸は学習度を示しており、各々のプロットは被験者を表してい る。各々のグラフにおいて、多少の波はあるものの、テスト回数の増加に伴って学習度が 増加していることが観察された。

また、各被験者の学習度をそれぞれのグループごとで平均した時の学習度の推移を図 9.24に示す。図9.24は、図9.21、図9.22、および図9.23と同様、グラフの横軸はテス ト回数、縦軸は平均を取った学習度を示している。図9.24からは、よりはっきりテスト 回数の増加に伴う学習度の増加が観察される。

また、図9.24に示された各グループの学習度の推移は、ほぼ直線で近似可能である と考えられる。これは、本研究で仮定した学習曲線と実測された学習曲線がほぼ正確に フィッティング可能であり、本研究で仮定した学習曲線が現実の現象と近いことを示唆し ている。

9.3 実験の結果 107

9.18 いかなるフィードバックも受けない被験者(C)の平均相互相関係数の推移

9.19 各フィードバック状態での全被験者の平均相互相関係数の推移

9.3.3 学習係数にもとづく比較

学習度 = α×学習回数であったことから、i回目のテストの学習度をLiとしたとき、

学習係数αは次の式で導くことができる:

α = ΔLi=Li−Li−1 (9.6)

各グループの被験者群について学習係数を計算し、平均を取ったものを図9.25に示す。

9.20 本研究で仮定する学習曲線

9.21 指向性を持つフィードバック(A)を受けた被験者の学習度の推移

被験者数が1グループ6人と少ないので統計的に強くは言えないが、t検定(有意水準=

0.1)により有意差を調べたところ、指向性を持つフィードバック(A)によって練習を行っ たグループと、フィードバック無し(C)で練習を行ったグループの学習係数には有意な 差が認められた。また、t 検定による有意差は認められなかったものの、指向性を持つ フィードバック(A)によって練習を行ったグループと、指向性を持たないフィードバック (B)によって練習を行ったグループとでは学習係数に大きな差があることが観察された。

ドキュメント内 main.dvi (ページ 111-117)