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2.4. 時間関係算定プロセスによるテンス・アスペクト記述

2.4.1. Reichenbach(1947)、工藤(1995)による時間関係図

2.4.3.3. 完了の時間関係図

ここでは、完了、及び完了と時制の組み合わせの時間関係について見る。 

既に見たように、完了はteがtrに先行するという関係を表す。従って、完了の表す時間関 係は、次の(102)のように言える(この時点では時制は含まない)。 

(102) 完了(時制を除く): 

teがtrに先行する。 

このことから、完了は以下の(103)のように図示できる。図ではteがtrに先行するという 関係が示されている。 この時点では、まだ時制は特定されていないため、tsは( )つきで記

 ここでは、過去の場合にはteがts以前に終了しており、未来の場合にはteがts以降に開始されるものとし

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て図示されているが、これは一例である。2.4.2.2.2で、みたようん実際には、過去の場合、teは必ずしも ts以前に終了している必要はなく、未来の場合、teは必ずしもts以降に開始していなくてもいい。

述してある。 

(103) 完了(図) 

   

これに時制を付け加えると、次の(104)のようになる。 

(104) 完了の時制: 

a. 過去:trがtsに先行する。 

b. 未来:tsがtrに先行する。 

c. 現在:trがtsを含む。 

これを図示すると、次の(105)のようになる。  21 (105)

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  a. 過去完了    b. 未来完了     c. 現在完了 

       

以上、「完了」の意味、及び「過去完了」「未来完了」「現在完了」の表す時間関係を 確認した。 

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2.4.4.

時間関係算定プロセス記述の準備 

ここまで、各tの間の関係について見てきたが、2.4.3の冒頭で述べたように、全てのt同 士の関係が意味の区別に貢献しているわけではない。例えば、「状態」や「完了」の場 合、tsとteの時間関係は、意味の区別には貢献していない。従って、上の時間関係図は、

各意味が表す時間関係を厳密には示しているとは言えない。 

このため、次節から、この「テイ」と「タ」の有無の組み合わせの表す時間関係を二項 対立の形で記述するが、本節では、そのための準備として、この二項対立関係の原理につ いて見ていく。 

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2.4.4.1.

3つの関係(「含む・先行する・後続する」)の算定プロセス 

ここまでの分析から、各tの間の関係には、あるtが別のtを「含む」関係と、「先行す る」関係、そして「後続する」関係とがあることが分かる。この3つ関係の組み合わせ

 ここでは、未来完了の場合にteがts以前に開始するものとして図示されているが、これは一例である。te

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はtr以前でありさえすればいいので、ts以前に開始している場合もあり得る。

で、テンス・アスペクトの表す時間関係が成立している。ここでは、この3つの関係の組 み合わせが、どのような算定プロセスから算出されるかについて、算定の流れを二項対立 的に表すことで、示していく。 

まず、「含む」関係と、それ以外(「先行する・後続する」関係)とを分けるプロセスに ついて見る。 

あるt(仮に「tx」)と別のt(仮に「ty」)との関係の中で、txがtyに「先行する」関係とtxがty に「後続する」関係は、txがtyを「含む」関係が偽の場合だけ成立する。従って、txがty

「含む」関係が成立しない場合のみ、「先行」か「後続」かの区別をすればいい。 この22 ことから、(106)のように「含む」関係を判定するプロセスが「先行/後続」関係を判定す るプロセスに先行して存在していると考える。 

(106)

!

   

!

次に、「先行する」「後続する」関係について見る。 

この判定処理は、「含む」関係の判定処理が偽だった場合にのみ、問題になる。ここ で、「txがtyに先行するかどうか」を判定し、これが真であれば、txがtyに「先行する」関 係となる。そして、これが偽の場合、txがtyに「後続する」関係となる。ここで、txがtyに 後続するか否かの判定は不要だと考える。なぜなら、「含む」関係と「先行する」関係が 共に偽と判定された時点で、「後続する」関係だけが真となる場合だけが残るからであ る 。これを図示すると、次の(107)のようになる。 23

(107)

!

   

これが、「含む・先行する・後続する」というt間の関係を算定するプロセスの流れで

t

x

 が  t

y

true false を含む

true(先行する) false(後続する)

t

x

 が  t

y

に先行する true(含む)

false を含む

 論理的には、txがty以前に開始し、かつtyの時点でまだ持続しているという事態(つまり、txとtyとがオー

22

バーラップしている状況)もあり得るが、2.4.2.2で見てきたことから、そのような時間関係が言語におけ る時間計算にとって有意となるケースは存在しないと考えられる。

 論理的には、ここで、txがtyと「部分的に」重なっている状態を想定することも可能である。しかし、

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そのようなt間の関係を表すテンス・アスペクト形式は存在しないので、ここでは、そのような関係ははじ めから除外されているものと考える(例えば、1時から2時までがteで、1時半から2時半までがtr、というよ うな関係を表すことはそもそもできない)。

ある。以下では、これらの組み合わせで、各テンス・アスペクトが表す時間関係を記述し ていく。 

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2.4.5.

時間関係算定プロセス 

ここからは、以上見てきた時間関係算定の基本プロセスを組み合わせることで、「テ イ」と「タ」の有無の組み合わせから生じる時間関係を表記していく。 

以下では、まず、「非状態相」の時間関係算定プロセスについて見、次いで、「状態 相」、「完了」の時間関係算定プロセスについて見る。そして、最後に、これらの時間関 係算定プロセスを一般化した規則を示す。 

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