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学習・教育クラウド・プラットフォームの汎用性および拡張性

2. 学習者を中心とした学習・教育クラウド・プラットフォームのあり方

2.2 学習・教育クラウド・プラットフォームの汎用性および拡張性

2.2.1.1 現状調査

学習・教育クラウド・プラットフォームの汎用性を検証するにあたり、昨年度の「教育分 野における最先端ICT 利活用に関する調査研究」より、汎用性に関する要件を整理した。

具体的に要件としてあげられていた内容は下表のとおりである。

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表 2-7 昨年度成果物における汎用性に関する要件 クラウドコンピューティング

1. システム利用拡大への柔軟性

2. 開発・運用を含むトータルコスト削減 3. デバイス・地理的制約からの開放

アプリケーションの実行方法 : Web アプリケーション

Web アプリケーションとは、インターネット (もしくはイントラネット) などのネット ワークを介して動作するアプリケーションソフトウェアである。JavaScript言語等で記述 されたプログラムによって端末側で動作するとともに、クラウド側のプログラムとも連携 が可能で、双方の利点を活かしたリッチな機能を、利用者は端末のWeb ブラウザーのみで 利用できる。

いつでもどこでもの手軽さが大きな利点であるが、アクセス集中に対する負荷への検討 やセキュリティ面での配慮も重要となり、その設計においては、一般に多方面からの検討 を必要とする。

ユーザ認証の方法 : SAML2.0

今年度の実証では、児童生徒・教職員・保護者が学校・家庭でシングルサインオンによ りインターネット上で提供される複数の教育向けクラウドサービスを利用できる環境の実 現を目指したユーザ認証を行うこととした。さらに、教育委員会 / 学校が管理するアカウ ント管理情報資産を利用して教育向けクラウドサービスが全国の教育委員会 / 学校と信 頼関係を結び、個人情報に配慮した安全・安心な利用環境を、SAML 2.0/ Shibboleth を用 いた認証フェデレーションを採用し実現した。

コンテンツの記述方法 : HTML5

今年度の実証では、デジタル教材やツール類を含む教育用コンテンツの規格として HTML5を採用した。

HTML5とは、WWW23に関する各種技術の標準化を進める団体であるW3C24により

策定が進められている HTML25 の最も新しい標準規格である。ただ、広義には、厳密に W3C が定義したHTML5仕様だけではなく、Web APIと呼ばれるWebアプリケーション 向けの機能に関わる規格と、CSS326と呼ばれる表示に関わる規格など、Web技術全般の 急速な進化を指すことが多い。本報告書では、Web APIとCSS3 などを含む、Webアプリ ケーション開発に必要なWeb技術全般を指す広義の意味で、HTML5を定義する。

Experience (Tin Can) API

本事業においては、学習記録データの記録方式として、Experience API を採用した。

Experience APIは、以前はTin Can APIと呼ばれていた規格で、xAPIとも表記される。

Experience API とはさまざまなツールを介した個人またはグループの活動を一元的に

記録するためのシステムである。近年のデバイスや学習方法の多様化にともなって表面化

してきたSCORM (「2.6.2 他の方法との比較」参照) の課題を克服するために、米国の標

準化推進団体であるADLによって仕様が策定され、平成26年3月現在、version 1.0.1 が リリースされている。

(出所)「教育分野における最先端ICT利活用に関する調査研究報告書」

46 2.2.1.2 結論・得られた知見

昨年度報告書における検討結果、および今年度の実証事業の結果を中心に、学習・教育ク ラウド・プラットフォームにおける汎用性の要件を、以下のとおり整理した。

 ハードウェアの汎用性

 パブリッククラウドの利用

 複数クラウド事業者による提供

 ソフトウェアの汎用性

 汎用なOS、ミドルウェアの選択

 標準プロトコルの採用(WebSocket)

 データの汎用性

 教材コンテンツの記述方法として採用するHTML5

 学習記録データの記録方式として採用する xAPI

検討結果にもとづく機能要件および非機能要件は、別途「要件定義書」にとりまとめた。

2.2.1.3 今後の課題

ハードウェアの汎用性については、今年度は複数クラウド事業者が提供するパブリックク ラウドを利用することにとどまったが、異なるクラウド事業者間で仮想マシンを移動させる インタークラウドの機能を取り込むことで、可用性の向上やベンダロックインの防止がより 可能となる。

ソフトウェアの汎用性については、共通インタフェースの汎用性を高める方策の検討や、

外部サービスとの汎用な連携方式の検討が考えられる。

データの汎用性については、教材コンテンツ制作に HTML5 を採用するとしたが、既存 のePUB等の標準フォーマットへの対応が望まれる。

2.2.2 拡張性の評価

2.2.2.1 現状調査

学習・教育クラウド・プラットフォームの拡張性を検証するにあたり、昨年度の「教育分 野における最先端ICT利活用に関する調査研究」より、拡張性に関する要件を整理した。

表 2-8 昨年度成果物における拡張性に関する要件 クラウドコンピューティング

クラウドサービスでは、仮想化技術等によって、複数の利用者でサーバのリソースを共 有する。そのため、柔軟にシステムを拡張することが可能になっている。

オンプレミス (専有ハードウェアにソフトウェア / データを実装するモデル) と比較し て、必要なソフトウェアやデータ保存領域を必要な時に必要な分だけ割り当て調整で増減 できる。そのため、事業やサービス拡大に伴う処理能力の拡張にも即時に対応できる柔軟 性、スケーラビリティのメリットもある。

47 共通インタフェース

本事業では、デジタル教材間にて共通利用されるインタフェースを搭載し、各デジタル 教材と連携することで利用者の利便性を高める制御プログラムを「共通インタフェース」

と呼ぶ。

大規模運用時の拡張性に関する検討

本事業では限定されたクラスでの利用であったため、比較的小規模の実証であった。そ のためクラウドの特徴の1 つである拡張性については実証することができていない。

大規模な施設や機器を、極めて多人数のエンドユーザで共有することにより、柔軟かつ 低廉で、スケーラビリティの高いサービス提供形態が実現できることとなる。それではど の規模で共有するのがコスト・運用上適切か。仮にすべての小・中・高生が単一のクラウ ドを利用する場合、学校の始業に合わせ、1,400万人分のアクセス集中が想定される。この ようなアクセス特性に対して、どのようにクラウドサービスを提供すべきか、都道府県単 位、市町村単位等、どのように提供するのがコスト、運用上適切かを明らかにするため、

今後、より大規模での実証を通じて、クラウドに要求されるリソース、またそれの限界費 用を分析し、検討する必要がある。

(出所)「教育分野における最先端ICT利活用に関する調査研究報告書」

2.2.2.2 結論・得られた知見

昨年度報告書における検討結果、および今年度の実証事業の結果を中心に、学習・教育ク ラウド・プラットフォームにおける拡張性の要件を、以下のとおり整理した。

 ハードウェアの拡張性

 クラウド環境におけるCPU・メモリ・ディスク・ネットワークなどの拡張性

 リバースプロキシによる拡張性

 ソフトウェアの拡張性

 APIによる機能の提供

 データの拡張性

 様々な教材コンテンツを増やせる共通インタフェースの仕組み

 マーケットプレイスによる教材コンテンツ提供

検討結果にもとづく機能要件および非機能要件は、別途「要件定義書」にとりまとめた。

2.2.2.3 今後の課題

ハードウェアの拡張性については、今年度の実証事業で実装したリバースプロキシでは、

特定の教材コンテンツにアクセスが集中した場合にボトルネックとなる場合が確認された。

リバースプロキシをスケールアウトにより拡張する方式や、負荷に応じて自動的にスケール アウトを行う機能などの検討が必要である。

ソフトウェアの拡張性については、今年度の実証事業では実装しなかった、ユーザ管理関 連の機能に対するAPIの検討が考えられる。

データの拡張性については、今年度の実証事業で確認された共通インタフェースの課題

(iFrame化など)に対する検討が必要である。

48 2.3 学習記録データの蓄積方法および活用方法