3. 学校現場での教育 ICT システムのあり方
3.4 学校、家庭、校外学習等様々なロケーションでの学習
68 3)障害・トラブル発生時の対応
校内における利用であれば、教員や ICT 支援員が直接対応することは可能であるが、家 庭での持ち帰り学習の場合、障害・トラブルが発生した際の対応ができない。教員に対する ヒアリングでも、何らかの理由によりタブレットPCや学習・教育クラウド・プラットフォ ームが利用できない場合、学習が停止してしまうことを懸念する意見があった。障害・トラ ブルが発生した際の対応方法まで学習者に習熟させることはハードルが高く、システム的に 自動復旧する仕組みが必要との意見もあり、次年度以降の課題となる。
本年度の実証では、障害発生時の対応のためにヘルプデスクを設置し、家庭からの問い合 わせについても対応できる状態としていた(原則として保護者からの問い合わせを想定)。
しかし、児童生徒に対するアンケートからはこのヘルプデスク機能が十分に活用されなかっ た実態が把握できる。
「自宅では端末を問題なく使うことができましたか?」という設問に対し、「先生や友達 に聞いて解決した」もしくは「解決しなかった」と回答した児童生徒は全体の18%に上る。
しかしながらこの回答をした児童生徒のうち、「ヘルプデスクに問い合わせを行った」と回 答した児童生徒は 1 名も存在しなかった。問い合わせをしなかった理由までは確認できて いないが、ヘルプデスクの周知状況、開設時間帯、利用方法等に改善の余地があった可能性 が考えられる。
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1-4 コンテンツを選択して起動。コンテンツ内容を確認する。
1-5 共通インタフェースよりマイポータルに戻る。
1-6 担当する学習者に、学習時に利用するコンテンツを割り当てる。
<授業学習時>
1-1 マイポータルよりシングルサインオンによりログインする。
1-2 コンテンツの一覧を表示する。
1-4 コンテンツを選択して起動し、授業にて使用する。
<学習後>
1-1 マイポータルよりシングルサインオンによりログインする。
1-7 「りれき」画面にて、学習者の一覧を表示する。
1-8 特定の学習者を選択し、その学習者の学習記録データ(コンテンツ利用履歴)
を参照する。
1-9 共通インタフェースよりログアウトする。
表 3-6 学校内・学校外での学習におけるユースケース(アクター:学習者)
ユースケース(アクター:学習者)
<授業学習時>
2-1 マイポータルよりシングルサインオンによりログインする。
2-2 コンテンツの一覧を表示する。
2-3 コンテンツを選択して起動。コンテンツ内容を確認する。
2-4 共通インタフェースよりマイポータルに戻る。
2-5 共通インタフェースよりログアウトする。
3.4.2 結論・得られた知見
1)教材コンテンツの検索性
校内・校外において教材コンテンツを組み込んだ授業を実施するにあたり、教員が多様な 教材コンテンツを検索・選択する部分について、様々な意見が寄せられた。本年度は 200 以上の教材コンテンツを用い実証を行ったが、教材コンテンツが増えていった場合に有効と 考えられる意見も多く見受けられた。
校種・学年・教科・単元による検索
キーワード検索
利用頻度の高い教材コンテンツの自動表示・レコメンド
動画コンテンツのカテゴライズ(動画の内容にもとづいた分類)
上記のような教材コンテンツの検索性向上にあたって検討されるべきは、標準的なコンテ ンツメタデータの整備・充実である。教材コンテンツの内容を説明する属性情報を標準的に 定め、また、項目を充実することにより、キーワードや利用頻度など、それぞれの要望に合 わせた教材コンテンツの検索性が可能になる。このような仕組みは、学習・教育クラウド・
プラットフォーム上に教材コンテンツを自由に売買できるマーケットプレイスや、教員が自 作した教材コンテンツを共有する機能が具備されるなど、教材コンテンツの流通量が飛躍的
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2)教材コンテンツのパーソナライズと学習者への配慮
教員に対するヒアリングから、「同じクラスでも児童生徒の能力差が激しいため、個別に 課題の設定ができるようにしてほしい」という要望が確認された。これはアダプティブラー ニングにも通ずる考え方であるが、クラス一律の授業ではなく、児童生徒の理解度や進捗度 合、得意・不得意等の状況に応じて、教材コンテンツの種類や難易度を柔軟に設定できるよ うな仕組みが望ましい。
なお、教材コンテンツには想定される単元にもとづいて、「小学○年生向け」との記述が あるものがあるが、「個別の能力に応じた学習を行うため、中学生でも小学校低学年の課題 に取り組むこともある。その際、教材に「小学○年生」と表示されていない方が良い場合も ある」という意見もあった。
3.4.3 今後の課題
1)ログインに関する課題
本クラウド・プラットフォームでは、学習者や教員が様々な教材コンテンツを利用できる 環境を提供するため、教材コンテンツごとに個別の認証を行うのではなく、利用の最初に一 度だけIDとパスワードを入力すれば、ログアウトをしない限り様々な教材コンテンツにそ のままアクセスできるシングルサインオンの機能を搭載している。
また、IDやパスワードを児童生徒が覚えることには困難があることが想定されたため、
下表のとおり、児童生徒の年次によって複雑さをある程度緩和するといった工夫を行った。
表 3-7 ID・パスワード要件
ID 数字5ケタ
パスワード 小学生 数字4ケタ 中高生 数字7ケタ
しかし実際には、「パスワードを忘れてしまう」「半角ではなく全角で入力してしまう」「誤 操作によってログアウトしてしまう」などの理由から、ログイン処理に想定以上の時間を費 やすという事象が発生した。これらの処理は授業の冒頭など授業時間内におこなわれ、また その問題に対して教員がサポートしなければならず、実質的な授業時間の減少を招いてしま うケースが存在した。
ログイン認証は児童生徒や教員の情報を保護する上で極めて重要な要素であり、セキュリ ティレベルを担保するためには過度な簡略化は不可能であるが、実証地域からは生体認証な ど ID とパスワードに代わる認証方式を使用することはできないか、という提案もあった。
ICT 環境の利用により授業時間が短くなる、教員の負荷が高まることは目指すべき姿とは 異なるため、次年度以降に向けた課題として検討する必要がある。
2)ネットワークの通信制限
おもに学校外における利用について、端末の機能を制限しているという実証地域が見られ
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た。特にネットワーク機能の制限、すなわちインターネットの利用や端末同士のコミュニケ ーションなど端末外部との通信機能を使用させないようにすることにより、Web サイトの 閲覧やSNSの利用など、授業とは関係のない端末の利用に制限を設けているケースがある。
この問題については、議論の観点がいくつか存在する。まず技術的な観点として、本クラ ウド・プラットフォームにおける HTML5 コンテンツはオンラインのみの利用を想定して おり、オフラインでの利用はできないという点があげられる。校外学習がオフライン利用を 前提とする場合、教材コンテンツを利用する仕組みを大きく見直さなければならない可能性 がある。
一方で、ネットワーク機能を制限することそのものに対する是非についての議論も存在す る。今回の実証地域においても、ネットワーク制限をより強化してほしいという意見と、開 放してほしいという方向性が全く異なる意見が寄せられている。後者については、児童生徒 や教員との間でメッセージのリアルタイムなやり取りができれば、たとえば校内に残るチー ムと校外に出るチームに分かれてコラボレーションを体験するなど、学びあいの場としても 使用できるのではないか、という意見があった。
学校外における効果的な ICT 環境利活用と、授業に関係のない操作の制限についてはト レードオフとなる部分があり、次年度以降に更なる議論が必要な課題である。また、学習・
教育クラウド・プラットフォームとしては、オフライン利用の場合も想定したシステムの検 討が求められる。
3)学校外における通信回線の種類
学校外での実証授業では、モバイルルータと端末の組み合わせ、もしくはセルラータイプ の端末が使用された。モバイルルータと端末の組み合わせの場合、学校内と学校外とで使用
する無線 LAN(Wifi)を手動で切り替える必要があり、学習者にとっての負担となるとい
う意見がヒアリングより得られた。
一方、セルラータイプの端末の場合、学校内では無線 LAN(Wifi)に自動的に接続する が、その電波が届かない場所に移動すると、通信キャリアが提供する公衆網に自動的に切り 替わるため、インターネットアクセスの方法を学習者が意識的に変更する必要はない。この 点で、モバイルルータと端末の組み合わせよりも、学習者にとっての負担が小さいと考えら れる。
しかし、学校内LANからインターネットに接続する際にプロキシサーバを使用している 場合、公衆網からプロキシサーバにアクセスすることはできないため、端末側での設定変更 が必要となり、これも同様に学習者にとっての負担となる、という意見も得られた。
校外学習では移動時間等を考慮すると、実質的に授業に充てられる時間は限られることか ら、端末の設定変更作業やそれに関するサポートなどの手間を極力省略できることが望まれ る。