• 検索結果がありません。

3 生体認証システム導入・運用事例

3.11 嬉野医療センター

51

52

http://www.hitachi.co.jp/products/it/veinid/case_studies/ureshino/casestudy3.htmlより 引用

図 3-12 嬉野医療センター 指静脈認証システム利用イメージ

手の甲の静脈認証システムは、サーバ室と医療情報管理室の入退室管理に用いてお り、サーバ管理者と医療情報管理室職員だけが登録されている。

図 3-13 手の甲の静脈認証装置

53 (3) ユーザに配慮した点

ユーザの利便性を重視し、1:N認証を採用し、IDの入力を行わないで指静脈認証シ ステムだけで電子カルテシステムにログインできるようにした。登録する指静脈パタ ーンは左右の1指ずつ計2指である。他人受入の問題もあるため、静脈パターンの近 い人をシステム側で認識し、そのような人だけ2指登録しておき2指で認証する形態 としている。

医療スタッフの移動が頻繁に行われるため、生体情報の登録を各自で行えるように した。初回登録時は、管理者が発行したID/PW を用いてログインし、その後各自で 認証装置を用いて生体情報の登録を行う。認証精度などが安定しない場合など再登録 を行う場合は、指静脈認証システムを通してログインを行った後、認証装置を用いて 再登録を行う。このため、認証が安定しない場合などは医療スタッフ各自の判断で何 度でも再登録を行うことができる。

医療スタッフが患者の巡回の際にもモバイル PCを通して電子カルテに情報を入力 するため、指静脈認証装置が固定されるように専用のキャリアも自作している(図 3-17)。

図 3-14 嬉野医療センターで自作した専用のキャリア

2010年の指静脈認証システム導入時には、医療スタッフに向けて説明会を実施した。

医療スタッフの中には嫌悪感を示す方もいたが、電子カルテシステムのログインにだ け用いること、その他で流用することはないことを説明し理解を得た。

また、指静脈認証システム導入後、新人医療スタッフに向けて行われるオリエンテ ーションの中で、指静脈認証システムの使い方や登録方法などを指導している。

54 (4) システム管理に配慮した点

電子カルテシステムと、電子カルテシステムのログインを担う認証システムを提供 するベンダが異なるため、電子カルテシステムのパッケージに入出力用の API を標 準で組込んだ。

また、医療機関であるため、手術などを行う医療スタッフ向けにID/PWも利用でき るようにした。手術室では、手袋を着用することが多く、指静脈認証装置を使うこと が難しい場合が多いためである。

(5) 運用状況

運用開始後2年が経過し、安定的に運用が行われている。

今後は、医療器具や薬剤の管理のため、現状カードキーで行っているこれらの部屋 への入退室管理を生体認証に代え、誰が入出したのかを正確に把握できるようにする ことも検討している。また、長期的には、会議への出欠管理など、様々な局面で生体 認証を利用できないかを検討していく予定である。

(6) システム導入の効果

ID/PWを利用していたころと比べて、認証速度が速くなり便利なった。医療スタッ

フの中には20文字のパスワードを設定する方もいて、パスワード更新時に失念する ケースもあったが、生体認証の導入により利便性が向上した。

また、ID/PWでは覗き見などを気にする医療スタッフも多かったが、生体認証シス

テムを導入して解消された。

55