• 検索結果がありません。

3 生体認証システム導入・運用事例

3.8 パナソニックESネットワークス

(1) 導入の経緯

パナソニックES ネットワークスでは、サーバルーム及び書類倉庫の入退室管理に それぞれ虹彩認証システムおよび指紋認証システムを2005年に導入し、顧客に積極 的に開示し、営業的効果を得ている。パナソニック ES ネットワークスでは、「見せ るセキュリティ」をコンセプトとして、製品仕様だけでは伝えきれない、セキュリテ ィ対策の運用面を開示することにより、顧客の理解促進と営業促進の向上を戦略的に 実施している。その一環として、生体認証システムを導入し、顧客に積極的に開示す ることとなった。

生体認証システムの選定に当たっては、虹彩認証システムはスループットが良かっ たこと、および、誤認識率が低かったことにより選定し、指紋認証システムの導入に 際しては、虹彩認証システム以外のバリエーションを顧客に示すことを目的として選 定した。

しかし、虹彩認証システムは開発ベンダによるサポートが停止されたため、指静脈 認証装置に変更して、現在運用を行っている。

(2) 認証システムの概要

パナソニックESネットワークスの本社オフィスは、取扱う情報の重要度に応じてセ キュリティレベルを設定し管理している。セキュリティレベルは 5 段階で設定され、

セキュリティレベル1はエントランス、セキュリティレベル2は顧客との打合せなど を行う打合せスペース、セキュリティレベル3は基本的に社員のみ入室可能な執務室、

セキュリティレベル4は書類倉庫、セキュリティレベル 5はサーバルームとなってお り、レベルが高くなるほど安全に管理すべきスペースとなっている。

サーバルーム(セキュリティレベル5)の入退室管理には指静脈認証システムを用い、

社員用ICカードとの組み合わせにより認証を行う方式となっている。また、書類倉庫

(セキュリティレベル4)の入退室管理には指紋認証システムを用いている。指紋認証 システムでは、指紋照合のみの認証ではスループットがかかることから、暗証番号を 入力した上で、指紋照合を行なう手順で実施する方式となっている。認証に利用する 生体情報は、管理装置内に格納されている。

43

図 3-8 パナソニックESネットワークスの入退室管理システム

サーバルームにはサーバやネットワーク機器を保守、管理する約20名が登録されて いる。書類倉庫は、管理部署が決められており、その部署員15名程度が登録されて いる。

指静脈認証システムおよび指紋認証システムの各認証端末は、管理装置に接続され ており、管理装置経由で社内ネットワークに接続されてサーバと通信を行う構成とな っている。

(3) ユーザに配慮した点

指紋認証システムでは、1 指では指紋の認識がうまく行えないことがあるため、事 前に2指を登録している。

(4) システム管理に配慮した点

社内システムを管理するためのソフトウェアは、実績あるパッケージソフトウェア を導入したため、特段の配慮はしていない。

(5) 運用状況

導入直後、社員がシステムに慣れるまでの間、ICカードをかざさないなどの操作ミ スが発生したが、導入後数年で社員もシステムに慣れてきたため、操作ミスはなくな っている。

また、虹彩認証システムのサポート停止に伴い、指静脈認証システムに切り替えて 運用を行っている。

44 (6) システム導入の効果

自社で行っているセキュリティ対策を積極的に顧客に公開することで、顧客の理解 が促進され、販売促進としての効果が得られている。また、パナソニックグループ内 での認知度が高まると共に、メディア等にも取上げられ、さらに効果が高まるという 好循環を得ている。

45