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3 生体認証システム導入・運用事例

3.14 大垣共立銀行

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61 (2) 認証システムの概要

手のひら静脈認証装置は、ATM の操作画面の脇に設置されている。手のひら静脈認 証装置には、手をかざした際のずれ等による認証精度の低下を防止するためのフレー ムが設置されており、手首の位置と中指の位置を固定できるような工夫がなされてい る。

手のひら静脈認証でATMを利用する場合、利用したいサービスを選択して「手のひ ら認証」を選択する。その後に、生年月日(和暦)を入力し、手のひらを認証装置に かざし、登録されている口座を選択して、暗証番号を入力する。手のひら静脈認証と 暗証番号による認証にパスすると、選択したサービスが利用できる。

手のひらをかざす前に入力する生年月日(和暦)は、センターで保有する複数の静脈 データから利用者の絞り込みのために用いている。これは手のひら静脈だけで認証を おこなうことを考えた場合、認証の処理にかかる時間が長くなることを回避するため の工夫である。また、他人受入率が低いとはいえ、1,000万人中数人程度の他人受入が 発生するということがあり、金融機関という性質上、高い精度が求められることから4 桁の暗証番号との組み合わせとした。これにより、不正な取引が成立する確率をほぼ ゼロとなるように工夫している。

2012年現在、手のひら認証ATMで利用できるサービスは、ATM取引の7割強を占 める入出金と残高照会で、今後は振込等にも対応することを検討している。

図 3-18大垣共立銀行の手のひら認証ATMの外観

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図 3-19 ATMに設置されている手のひら静脈認証装置

生体情報の登録については、口座開設後、店頭の専用ブースで行う。利用者は、銀行 オペレータの指示に従い、登録用端末を用いて手のひら静脈の登録を行う。

(3) ユーザに配慮した点

震災時にはキャッシュカードと通帳のみならず口座情報にかかるメモ等も紛失した ケースを想定しており、お年寄りも含め、誰もが忘れることのない和暦の生年月日 6 ケタを採用した。

また、利便性を重視して、生体情報の検索にかかる時間を1秒以下となるように設計 を行った。実際、ATMの画面は4秒以内で遷移するため、ユーザはストレスなく認証 を行うことができる。

利便性という面では、複数口座の保有者も考慮し、最大5口座まで登録できるように 設計を行った。

生体情報の登録についても1回の来店で実施できるようにし、怪我などをした場合を 想定し、両手の手のひらの登録を推奨している。この際、必要なものは運転免許証等 の本人確認資料のみで印鑑は不要とし、登録時間は10分以内で終了することを目標に 運用を行っている。また、生体情報の登録後、行員が付き添いながらお客さまに手の ひら認証ATMをご利用いただき理解度の向上に配慮している。

また、ショッピングセンター等に手のひら認証の登録端末を搭載したレスキュー号を 派遣しており、買い物のついでなどに手のひら認証ATMの利用手続きを行えるサービ スを実施している。

なお、大垣共立銀行では、ドライブスルー型のATMを運用しているが、そこでも手 のひら認証ATMを導入している。運転席からATMを利用する際に、財布やキャッシ ュカードの出し入れ等を行う必要が無く、利便性が高いものとなっている。