2.5 臨床に関する概括評価
2.5.5 安全性の概括評価
2.5.5.9 外国での安全性
2.5.5.9.1 外国での臨床試験における安全性
FN
患者を対象として外国で実施されたD68P19, D68P523, D68P533
及びD68P542
の試験で認 められた有害事象を記載した.また,D68P19, D68P523
及びD68P533
の有害事象を試験ごとに表2.5.5.9.1.1-1,表 2.5.5.9.1.2-1
及び表2.5.5.9.1.3-1
に示した.外国で実施された
FN
患者を対象とした第III
相臨床試験では,成人266
例及び小児76
例を合 わせた342
例に対して TAZ/PIPCが投与された.各試験の患者背景を表2.5.5.9.1-1
に示した.成人を対象とした
D68P19
試験,D68P523試験,D68P533試験での治験薬投与症例266
例のう ち,男性は約55%~60%,女性は約 40%~45%であった.人種別では患者の大半が白人であった.
平均年齢は
45.3~48.0
歳であり,3試験の平均は46.8
歳であった.また,平均体重は,67~71 kgであった.各試験での成人の症例集団は,性別,人種,年齢,身長,体重の各要素に大きな差は 見られなかった.小児を対象とした
D68P542
試験での治験薬投与症例76
例の年齢の平均は6.1
歳 であり,体重の平均は22.2 kg
であった.各試験の投与量は,
D68P19
試験で3.375g×6
回/日,D68P523
試験及びD68P533
試験では4.5 g
×4回/日,D68P542試験では
90 mg/kg×4
回/日であった.また,4試験すべてでアミノグリコシ ド系薬剤を併用していた.これらの臨床試験では除外基準として,成人では腎機能障害,肝機能 障害,妊婦,授乳婦,小児では腎機能障害を設定していることから,これらの患者での安全性デ ータは得られていない.表
2.5.5.9.1-1
発熱性好中球減少症患者に対して実施された臨床試験での患者集団の特性試験番号 D68P19 D68P523 D68P533 D68P542 被験者数 104 114 48 76 性別
男 女
57(54.8%)
47(45.2%)
67(58.8%)
47(41.2%)
26(54.2%)
22(45.8%)
40(52.6%)
36(47.4%)
人種 白人 黒人 東洋人 その他
93(89.4%)
7(6.7%)
- 4(3.8%)
104(91.2%)
4(3.5%)
1(0.9%)
5(4.4%)
48(100%)
- - - 年齢(歳)
平均 範囲
48.0 17 – 79
45.3 15 – 84
47.7 16 – 83
6.1 1 – 18 身長(cm)
平均 範囲
168.6 121 – 191
171.6 156 – 192
163.7 143 – 183 体重(kg)
平均 範囲
71.0 39 – 120
69.5 40 – 129
67.0 45 – 96
22.2 5 – 80
第5.3.5.1.1項 D68P19 CSR 表9.6と表9.7,第5.3.5.1.2項 D68P533 CSR 表9.9~表9.12と付録2の表5,
第5.3.5.1.3項 D68P542 CSR 表D ,第5.3.5.2.2項 D68P523 CSR 表Dと表9.8と表9.9を合体
2.5.5.9.1.1 発熱性好中球減少症患者におけるイミペネム / シラスタチン+トブ
ラマイシンとの比較試験(試験番号:D68P19)
TAZ/PIPC
を投与された104
例のうち78
例(75.0%)に346
件の有害事象が発現した.IPM/CS を投与された101
例のうち82
例(81.2%)に416
件の有害事象が発現した.TAZ/PIPC
群で最も多 く見られた有害事象は下痢32
件(30.8%)であり,悪心23
件(22.1%),発疹16
件(15.4%),嘔 吐及び頭痛各14
件(13.5%)の順であった.有害事象の程度は,TAZ/PIPC群で軽度が
13
例(16.7%),中等度が45
例(57.7%),高度が20
例(25.6%),IPM/CS群で軽度が17
例(20.7%),中等度が45
例(54.9%),高度が20
例(24.4%)であった.
治験責任医師が副作用と判断した事象は,
TAZ/PIPC
群35
例(33.7%),IPM/CS
群45
例(44.6%)であった.TAZ/PIPC群で多く見られた副作用は下痢
19
件(18.3%),悪心10
件(9.6%),嘔吐8
件(7.7%)であった.重度又は生命を脅かすとされた副作用は,
TAZ/PIPC
群2
例(下痢1
例,メレナ1
例),IPM/CS
群5
例(斑状丘疹性発疹3
例,紅斑性皮疹1
例,頭痛と錯乱1
例)に認められた.また,死亡例 は, TAZ/PIPC群104
例のうち13
例(12.5%)であり,IPM/CS群101
例のうち3
例(3.0%)で あった.これらの患者のうち死亡とTAZ/PIPC
との因果関係が否定されなかったのは1
例(死因 不明)のみであり,12例については因果関係が否定された.有害事象のため治療を完了しなかった患者は
TAZ/PIPC
群104
例のうち6
例(5.8%),IPM/CS 群101
例のうち16
例(15.8%)であった.TAZ/PIPC群において,因果関係が否定されなかったの は5
例であり,IPM/CS群では全例で因果関係があると判断された.TAZ/PIPC
はFN
患者の治療において,IPM/CSと同程度に安全な薬剤であった.表
2.5.5.9.1.1-1
有害事象一覧(4例以上)(試験番号:D68P19)評価対象例 TAZ/PIPC IPM/CS p値
104 101 -
適用部位
注射部位痛 3(2.9) 2(1.9)
5(5.0) 2(2.0)
0.43 0.96 自律神経系
高血圧 低血圧
15(14.4) 2(1.9) 11(10.6)
12(11.9) 3(3.0) 6(5.9)
0.60 0.64 0.23 全身障害
無力症 胸痛 疲労 発熱 浮腫 全身性浮腫 末梢性浮腫 疼痛 硬直
34(32.7) 3(2.9) 9(8.7) 2(1.9) 1(1.0) 4(3.8) 4(3.8) 1(1.0) 6(5.8) 13(12.5)
37(36.6) 3(3.0) 2(2.0) 2(2.0) 4(4.0) 4(4.0) 1(1.0) 5(5.0) 11(10.9) 16(15.8)
0.50 0.96 0.03 0.98 0.17 0.97 0.18 0.09 0.18 0.49 中枢神経系
浮動性めまい 頭痛
24(23.1) 10(9.6) 14(13.5)
20(19.8) 3(3.0) 12(11.9)
0.52 0.05 0.76 胃腸障害
腹痛 便秘 下痢 消化不良 痔核 メレナ 悪心 口内炎 潰瘍性口内炎 嘔吐
58(55.8) 9(8.7) 7(6.7) 32(30.8)
9(8.7) 2(1.9) 2(1.9) 23(22.1)
10(9.6) 1(1.0) 14(13.5)
67(66.3) 12(11.9) 12(11.9) 32(31.7) 8(7.9) 6(5.9) 2(2.0) 35(34.7)
7(6.9) 5(5.0) 20(19.8)
0.43 0.48 0.18 0.87 0.82 0.14 0.98 0.06 0.44 0.09 0.22 心拍数/調律
頻脈 4(3.8) 1(1.0)
4(4.0) 3(3.0)
0.99 0.31 代謝及び栄養障害
水分過負荷 2(1.9) 1(1.0)
6(5.9) 3(3.0)
0.14 0.30 血小板,出血及び凝固
鼻出血 紫斑
10(9.6) 3(2.9) 4(3.8)
18(17.8) 11(10.9) 4(4.0)
0.08 0.02 0.96 精神障害
食欲不振 不安 錯乱 うつ病 不眠症 傾眠
22(21.2) 2(1.9) 7(6.7) 3(2.9) 1(1.0) 7(6.7) 3(2.9)
23(22.8) 3(3.0) 6(5.9) 4(4.0) 3(3.0) 10(9.9)
3(3.0)
0.81 0.63 0.83 0.69 0.30 0.42 0.97 感染症及び寄生虫症
カンジダ症 3(2.9) 1(1.0)
5(5.0) 3(3.0)
0.45 0.30 呼吸器,胸郭及び縦隔障害
咳嗽 呼吸困難 咽頭炎 鼻炎
20(19.2) 3(2.9) 12(11.5)
1(1.0) 3(2.9)
17(16.8) 2(2.0) 2(2.0) 6(5.9) 4(4.0)
0.64 0.69
<0.01 0.05 0.67 女性生殖器
膣炎
6(5.8) 2(1.9)
3(3.0) 2(2.0)
0.32 0.98 皮膚及び付属器
そう痒症 紅斑性発疹 斑状丘疹性発疹 発疹
皮膚潰瘍形成
26(25.0) 4(3.8) 5(4.8) 1(1.0) 16(15.4)
4(3.8)
36(35.6) 4(4.0) 8(7.9) 4(4.0) 22(21.8)
4(4.0)
0.07 0.97 0.33 0.17 0.21 0.96 眼障害
結膜炎 2(1.9) 1(1.0)
7(6.9) 4(4.0)
0.09 0.17 ( ):%
第5.3.5.1.1項 D68P19 CSR 表11D
2.5.5.9.1.2 発熱性好中球減少症患者におけるアミノグリコシド系薬剤との併 用試験(試験番号: D68P523 )
TAZ/PIPC
を投与された114
例のうち34
例(29.8%)に50
件の有害事象が発現した.最も多く見られた有害事象は下痢
14
例(12.3%)であり,次いで多形紅斑又は蕁麻疹などのアレルギー性 皮膚反応9
例(7.9%)と悪心7
例(6.1%),嘔吐5
例(4.4%)の順であった.有害事象の程度は,軽度が
11
件(22.0%),中等度が28
件(56.0%),高度が7
件(14.0%),重 症度が特定されていなかった事象は4
件(8.0%)であった.治験責任医師が副作用と判断したの は,有害事象50
件のうち36
件(72.0%)であった.事象の程度が重度又は生命を脅かすとされた副作用は,4例(下痢
2
例,悪心・嘔吐1
例,多 形紅斑1
例)に認められた.また,死亡例は
16
例(14.0%)であり,全例で死亡とTAZ/PIPC
との因果関係が否定された.TAZ/PIPC
とアミノグリコシド系薬剤との併用療法は,好中球減少症を有し,細菌感染症の疑いがある患者の治療において安全である.
表
2.5.5.9.1.2-1
有害事象一覧(試験番号:D68P523)有害事象 例数 発現率
(%) 男 女 重症度 因果関係
軽度 中等度 高度 不明 ① ② ③ ④ ⑤ ⑥ 自律神経系障害 3 (2.6) 2 1 1 1 1 1 2 低血圧 2 (1.8) 1 1 1 1 1 1
麻痺性イレウス 1 (0.9) 1 1 1
全身障害 1 (0.9) 1 1 1
発熱 1 (0.9) 1 1 1
結合組織障害 1 (0.9) 1 1 1
脈管炎 1 (0.9) 1 1 1
胃腸障害 24 (21.1) 11 13 2 18 3 1 1 7 10 3 2 1
肛門疾患 1 (0.9) 1 1 1
便秘 1 (0.9) 1 1 1
下痢 14 (12.3) 6 8 1 11 2 4 7 1 2
心窩部痛 1 (0.9) 1 1 1
悪心 7 (6.1) 3 4 2 3 1 1 1 2 3 1
食道炎 1 (0.9) 1 1 1
嘔吐 5 (4.4) 3 2 1 2 1 1 1 2 2
肝・胆道障害 1 (0.9) 1 1 1
黄疸 1 (0.9) 1 1 1
筋骨格系障害 2 (1.8) 1 1 2 1 1
筋肉痛 1 (0.9) 1 1 1
筋肉圧痛 1 (0.9) 1 1 1
血小板・出血・凝固系 1 (0.9) 1 1 1
点状出血 1 (0.9) 1 1 1
皮膚及び付属器 11 (9.6) 6 5 5 4 2 7 3 1 多形紅斑 2 (1.8) 2 1 1 2
かゆみ 1 (0.9) 1 1 1 発疹 3 (2.6) 1 2 1 2 2 1 紅斑性発疹 2 (1.8) 1 1 1 1 1 1
丘疹 1 (0.9) 1 1 1
皮膚疾患 1 (0.9) 1 1 1
蕁麻疹 1 (0.9) 1 1 1
発現例数(%) 9
(20.5) 26 (59.1)
6 (13.6)
3 (6.8)
1 (2.3)
14 (31.8)
16 (36.4)
4 (9.1)
4 (9.1)
5 (11.4) 発現件数 11 28 7 4 2 15 19 5 4 5 対象患者数 114 (100) 67 47
発現例数総計(%) 34 (29.8) 16 18
因果関係;①関係あり,②多分関係あり,③可能性あり,④多分関係なし,⑤関係なし,⑥不明 第5.3.5.2.2項 D68P523 CSR 表11.3と表11.4を合体
2.5.5.9.1.3 発熱性好中球減少症患者におけるセフタジジム+アミカシンとの 比較試験(試験番号: D68P533 )
TAZ/PIPC
を投与された48
例のうち22
例(45.8%)に34
件の有害事象が発現し,CAZを投与された
51
例のうち24
例(47.1%)に37
件の有害事象が発現した.TAZ/PIPC
群で最も多く見られ た有害事象は胃腸障害15
件(50.0%)であり,主な事象は下痢であった.有害事象の程度は,TAZ/PIPC群で軽度が
7
件(23.3%),中等度が9
件(30.0%),高度が14
件(46.7%),CAZ群で軽度が11
件(29.7%),中等度が12
件(32.4%),高度が14
件(37.8%)であった.
治験責任医師が副作用と判断した事象を発現したのは,
TAZ/PIPC
群における有害事象34
件の うち9
件(26.5%)(下痢3
件,急性腎不全2
件並びに黄疸,肝性昏睡,脈管炎及び紅斑性発疹各1
件),CAZ群有害事象37
件のうち2
件(5.4%)(下痢と黄疸各1
件)であった.また,事象の程度が重度又は生命を脅かすとされた副作用は, TAZ/PIPC群
4
件(急性腎不全2
件,黄疸1
件,紅斑性発疹1
件),CAZ群1
件(下痢)認められた.死亡例は,TAZ/PIPC群
13
例(27.1%)で,これらの患者のうち,死亡とTAZ/PIPC
との因果 関係が否定されなかったのは,2
例(肝不全1
例,腎不全1
例)であった.CAZ
群17
例(33.3%)で,これらの患者のうち,死亡との因果関係が否定されなかったのは,1例(胃腸出血
1
例)あ った.有害事象のため治療を完了しなかった患者は
TAZ/PIPC
群3
例(6.3%),CAZ群1
例(2.0%)であった.
TAZ/PIPC
群において,因果関係が可能性ありとされたのは肝性昏睡に至る生命を脅か す黄疸,紅斑性発疹各1
例,多分関係ありとされたのは脈管炎1
例,CAZ群において,脳出血が1
例発症したが,因果関係は関係なしであった.TAZ/PIPC+AMK
は,FN患者の治療においてCAZ+AMK
と同程度に安全な薬剤であった.表
2.5.5.9.1.3-1
有害事象一覧(試験番号:D68P533)有害事象
TAZ/PIPC CAZ
計 重症度
計 重症度 軽度 中等度 高度 軽度 中等度 高度 適用部位
注射部位炎症 1 1 0 全身障害
浮腫 0 1 1
心血管障害
心不全 1 1 2 1 1 結合組織障害
脈管炎 1 1 0
胃腸障害
腹痛 0 1 1
便秘 0 1 1
下痢 8 4 2 2 9 5 3 1
嚥下障害 1 1 0
胃出血 0 1 1
吐血 1 1 1 1
直腸出血 1 1 0
メレナ 1 1 1 1
悪心 0 2 1 1
口内炎 1 1 0
潰瘍性口内炎 1 1 5 1 3 1 嘔吐 1 1 3 1 1 1 肝・胆道障害
肝性昏睡 1 1 0
肝炎 1 1 1 1
黄疸 1 1 1 1
呼吸器,胸郭及び縦隔障害
呼吸困難 0 2 1 1
肺炎 1 1 0
肺浮腫 1 1 0
呼吸不全 1 1 2 2
皮膚及び付属器
紅斑性発疹 3 2 1 0 腎及び尿路障害
多尿 0 1 1
急性腎不全 3 3 0 血管障害
脳出血 0 2 2
頭蓋内出血 0 1 1
合計 30 7 9 14 37 11 12 14 第5.3.5.1.2項 D68P533 CSR 表11.3と表11.4を合体
2.5.5.9.1.4 発熱性好中球減少症小児患者におけるセフタジジム+アミカシン
( CAZ + AMK )との比較試験(試験番号: D68P542 )
TAZ/PIPC+アミカシン(AMK)を投与された 76
例のうち20
例(20/76例,26.3%)に有害事象が発現した.CAZ+AMKを投与された
70
例のうち7
例(7/70例,10.0%)に有害事象が発現 した.群間差は有意であったが,これは,発疹/蕁麻疹と低カリウム血症の発現率がTAZ/PIPC
群 で高かったことに起因していた.TAZ/PIPC 群で最も多く見られた有害事象は低カリウム血症8
例(8/76例,10.5%)であり,次いで発疹又は蕁麻疹7
例(7/146例,4.8%)が多く見られた.治験責任医師が副作用と判断した事象を発現したのは,
TAZ/PIPC
群で(12/76例,15.8%)
,CAZ
+AMK群で(3/70例,4.3%)であり,低カリウム血症(5/76例,6.6%),発疹/蕁麻疹(5/76例,
6.6%)
,肝毒性(2/76例,2.6%),消化管毒性(2/76例,2.6%)及び腎毒性1
例(1/76例,1.3%)がみられ,治療群間の差は統計的に有意であった.また,死亡例は,TAZ/PIPC群で
2
例(2.6%)で,基礎疾患であるがんの進行と多臓器不全が各
1
例であり,CAZ+AMK群で2
例(2.9%)で,感染と心不全が各
1
例であり,4例(2.7%,4/146例)はいずれも最初の治療後に死亡した.皮膚反応は
CAZ+AMK
群よりTAZ/PIPC
群と関連がみられたが,この副作用は比較的軽度で あり,発現率は他のPIPC
化合物と同程度であった.また,重症の低カリウム血症については治療 群間の差は統計的に有意ではなかった.したがって,TAZ/PIPC+AMKは小児