5. 応答加速度および相対変位
5.4. 基礎の地盤変状に起因する配管サポートの相対変位
図 5-7 基礎の地盤変状変位の計算
ここで、WL :地盤変状に伴う流動に起因する水平移動量: (式 5-20) による。
Sg :地盤の液状化に伴う地盤の沈下量: (式 5-21) による。
SL :護岸背後地盤の流動に伴って発生する地盤の沈下量: (式 5-22) による。
SF :直接基礎のめり込み沈下量: (式 5-23) による。
ΘF :直接基礎のめり込み沈下にともなう傾斜角度: (式 5-24) による。
(2) 地盤変状に伴う流動に起因する水平移動の算定
過去の震害事例に基づく地盤変状量の算定方法(簡便法)について示しておく。
以下の手順に従い、護岸背後地盤の地盤変状に伴う流動に起因する水平移動の算定を簡易に推定す る。
[手順 1] 護岸変位量の推定
レベル 2 地震動に対して、護岸の水平移動量△は適切な方法により求める。
[手順 2] 流動範囲の推定
液状化が生じると推定される層のN値と、[手順1]求めた護岸の水平移動量△から、(式 5-18) を用いて、流動範囲(流動が生じる範囲)を推定する。不明の場合は L=100 (m)と置いてよい。
L = 250⋅ ∆ N1
( )
av ―――――――――――――――――― (式 5-18) ここに、L:地盤の流動範囲(単位 m)△:護岸の水平移動量(単位 m)
(Nl)av:護岸近傍の液状化層における基準化N値の平均値。基準化N値 N1は(式 5-19より得ら れる値とする。
70 170
1= ′+
v
N N
σ ――――――――――――――――― (式 5-19) ただし、σ’v:有効上載圧(単位 kN/m2)
[手順 3] 水平移動量分布の推定
∆
=
− XLL
e
W 1 . 0
3.35 ――――― (式 5-20)ここに、 WL :地盤の流動に伴って発生する地盤の水平移動量(m) L :流動範囲(m)
X :護岸から当該基礎までの距離(m)
△ :護岸の水平移動量(単位 m)
(3) 地盤変状に伴う液状化及び流動に起因する沈下量の算定 過去の震害事例に基づいて提案された簡便法を以下に示す。
地盤の液状化に伴う地盤の沈下量 Sg は(式 5-21)により算定する。ただし、地盤条件等が不明の場 合は、Sg =50cm としてよい。
Sg = εvZ ――――― (式 5-21)
ただし、 Sg :護岸から距離 x(m)の地点における地震の液状化に伴う地盤の沈下量(m) εv :地盤の液状化に伴って生じる体積ひずみで、(図 5-8)から求める。
Z :液状化層厚(m)
Dr= 30 Dr= 40 Dr=50
Dr=60
Dr=70 Dr=80 Dr=90
εv (%) 液状化に伴い生じる体積ひずみ
液状化に対する抵抗率 FL
0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 1.2 1.4 1.6 1.8 2.0
0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0
FL:液状化に対する抵抗率、Dr:相対密度(%)で、
7 . 21 1 N
1D
r=
、N1:基準化N値であって、(式 5-19)による。
図 5-8 FL値、相対密度Dr(%)と体積ひずみεvの関係
護岸背後地盤の流動に伴って発生する地盤の沈下量SL は、(式 5-22)によりにより算出する。
∆
=
− XLL
e
S 0 . 8
6.37 ――――― (式 5-22)ここに、 SL :地盤の流動に伴って発生する護岸から距離x(m)の地点における地盤の沈下量(m) L :流動範囲(m)
X :護岸から当該基礎までの距離(m)
△ :護岸の水平移動量(単位 m)
(4) 地盤変状に伴う直接基礎のめり込み沈下量及び傾斜の算定
簡易的な推定方法を示す。
液状化層の剛性低下を考慮して直接基礎のめりこみ沈下量 SF 及び基礎の傾斜θFを下記により計算 する。
H1
H2
H
非液状化層 E1、ν1
液状化層 E2、ν2
q
L 又は B
( ) ( ) ( )
q AE H H
E
SF h H h h
+ −
=
2
1 1 2
2 1
1
1,ν µ ,ν µ ,ν
µ ――――― (式 5-23)
( )
<
−
<
=
m B for S
m B for
S B
m B for S
F F F F
8 04
. 0
8 4
03 . 0 28 . 0
4 16
. 0
≧
θ
≦ ――――― (式 5-24)ここに、
SF;基礎の沈下量(m)
q:基礎の平均荷重(kN/m2) A :基礎底面積(m2)
H1,E1,ν1:第1層(上層/地下水位上の非液状化層)の厚さ、縦弾性係数、ポアソン比 H2, E2,ν2:第2層(下層/地下水位下の液状化層)の厚さ、縦弾性係数、ポアソン比(= 0.5)
μh; 地盤ポアソン比・厚さ・基礎底面形状から決まる係数で表 5-7 による。
表 5-7 μh の値
ν H/A1/2
L/B 0.5 1 2 3 5 ∞ 備考 1 0.125 0.267 0.413 0.479 0.537 0.631
2 0.125 0.257 0.395 0.458 0.516 0.609 0.5
5 0.125 0.223 0.331 0.385 0.438 0.529
飽和した 粘性土 1 0.214 0.379 0.537 0.607 0.668 0.766
2 0.210 0.364 0.514 0.582 0.642 0.739 0.3
5 0.195 0.313 0.433 0.491 0.547 0.642
砂質土 関東ローム 1 0.259 0.433 0.594 0.664 0.716 0.823
2 0.254 0.416 0.569 0.637 0.688 0.794 0.15
5 0.231 0.357 0.480 0.539 0.595 0.690
間隙比の 大きい 関東ローム ここで、L:基礎の長辺長さ(m)、 B:基礎の短辺長さ(m)
H:地層の厚さ H1+H2 (m)、A:基礎の面積(m2)
縦弾性係数 E は、砂地盤では、おおむね E=2800N kN/m2 (N:地盤の N 値)
液状化後の剛性低下率として以下の値を用いて、地盤の縦弾性係数を調整してよい。
表 5-8 液状化後の剛性低下率
液状化層の N 値 4 6 8 12 16 24 剛性低下率 1/200 1/150 1/100 1/75 1/50 1/33