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スパン長に関する一次耐震診断

6. 耐震重要度ⅠA,Ⅰ配管系の一次耐震診断定量評価

6.1. スパン長に関する一次耐震診断

スパン長に関する診断は、地震の影響要因のうち4.2.1に規定する「配管の地震応答加速度」に対し て、4.1に規定する配管系損傷(1)曲がり管、分岐管等の配管部品の変形、亀裂又は破断による漏洩に係 る一次耐震診断である。

(1) スパン長に関する地震影響比 スパン長に関する地震影響比は、

La

L とする。

ここで、L は、配管の管軸と直交する 2 方向及び管軸に平行な方向の地震方向に係る配管スパ ン長L、Laは、許容スパン長La

(2) 配管スパン長

配管スパン長Laは、配管の管軸と直行する2方向及び管軸に平行な方向の3方向の地震動のそ れぞれ対して配管スパンの管軸方向に沿った長さを当該方向に係る配管スパン長という。

(3) 許容スパン長

配管スパン長Laは、次表に掲げる運転状態におけ配管内の高圧ガスの状態及び配管の外径に応 じ、それぞれ同表に掲げる値とする。

表 6-2 許容スパン長

許 容 ス パ ン 長 (m)

配 管 の 外 径 (mm)

運転状態における 配管内の

高圧ガスの状態 48.6 60.5 89.1 114.3 216.3 318.5 406.4 508.0 609.6 液化ガス 6.6 7.1 8.6 9.5 12.2 14.2 16.0 17.6 19.1 圧縮ガス 7.0 7.8 9.5 10.7 14.8 18.0 20.3 22.7 24.9

ただし、当該配管スパン内に保温材等の分布重量及び弁等の集中重量等の付加重量がある場合は、そ の影響を考慮して、適切に低減する。

(1)許容スパン法の適用

耐震告示では、耐震重要度Ⅱ、Ⅲの配管系については、同告示第17 条に規定する簡易的耐震性能確認方法(「許容 スパン法」)によってもよいとしている。同方法は、支持間隔を(表 6-2)に示す値以下となるように設計する手法で ある。支持間隔は単純支持梁配管において、1Gの地震力に対して応力40 N/mm2 、固有振動数4Hz程度にとなる よう設定されている。既存配管系の簡易的な耐震性確認として、重要度Ⅰa、Ⅰの配管系についても同手法を準用する ことにした。

極端に不適切なサポート配置でない限り地震慣性力に起因する配管被害の事例が少ないことを考慮して、すべての配 管スパンに関して地震影響比を算出するのではなく、次のような項目に着目して目視により判断して必要な配管スパン について地震影響比を算出して診断を行うものとする。

わたり配管(1.2定義(23)による。

駆動弁等の重量物が負荷されている配管スパン

モーメントの集中する位置にフランジ継ぎ手がある配管スパン

地震動により配管スパンが大きく揺れるとき、落下、倒壊等の可能性が予測できる配管スパン たとえば、パイプラック上の配管でラック端部に配置される配管系などがこれに相当する。

地震動により配管スパンが剛体的に移動する可能性のあるとき

たとえば、パイプラック上の配管で管軸方向に支持がない時、配管はラック上を管軸方向に剛体的に移動する。

このために、周辺の曲がり管などに局部的に変形が集中する可能性がある配管系などがこれに相当する。

(2)配管スパン内に付加重量がある場合

配管自重及び配管内液重以外の保温材等の分布荷重及び弁等の集中重量が付加されている場合は、当該配管スパンの 付加重量分の影響を考慮して得られる相当配管スパン長が許容スパン長以下であることを確認する。

保温材の重量のように配管スパン全長にわたり分布する重量を分布重量という。また、弁などのように 1 点に集中 的に付加される重量を集中重量という。

① 相当配管スパン長Lの算出

相当配管スパン長Lは次式により算出する。

d c

L l φ φ

= 1

( 6-1)

ここで、L、l

φ

d及び

φ

cは、次の値とする。

L :付加重量に応じて定まる相当配管スパン長 (m)

l :管軸に沿った配管実長 (m)

φ

d及び

φ

c:それぞれ分布重量係数及び集中重量係数で②及び③による。

分布重量係数φd

分布重量係数φdは、(式 6-2)によりを算出するものとする。

4

Γ + Γ

= Γ

p p

φ

d (式 6-2)

ここで、φdΓp、及びΓは、次式に掲げる値とする。

φd :分布重量係数、なお、Γ/Γp ≦0.5とき、φd =1.0と見なすことができる。

Γp :指針分布荷重に表 6-4)に示す値 (N/m)

Γ :配管長さ1mあたりの、保温材等の分布重量(単位 N/m)

③ 集中荷重係数φc

集中荷重補正係数φcは、(表 6-3)により算出するものとする。

表 6-3 集中重量係数

集中重量率の範囲 集中重量係数φc

rw ≦ 0.25 φc = 1

0.25 < rw 5 φc 1.5/(1+ rw)

5 < rw φc 9.66(16.1+rw) ここで、集中重量率rw は、により算出される値とする。

d 3 W a

w

rw = φ ( 6-3)

ここで、rwwWa及びφdは、次の値を表す。

rw :集中重量率。

w :当該スパンの集中重量の和 (N) Wa:指針集中重量で表 6-4)に示す(N) φd:②で得られる値

表 6-4 配管の許容スパン長

液化ガス配管 圧縮ガス配管

La Γp Wa La Γp Wa

公称径 外径 (mm)

(m) (N/m) (N) (m) (N/m) (N)

40A 48.6 6.6 61.7 407 7.0 43.5 304

150A 60.5 7.1 85.3 605 7.8 57.1 445

65A 76.3 7.9 140.8 1,116 8.7 96.0 839

80A 89.1 8.6 179.7 1,545 9.5 118.5 1,126

90A 101.6 9.0 219.6 1,986 10.1 140.1 1,414

100A 114.3 9.5 266.5 2,532 10.7 165.9 1,775

125A 139.8 10.2 373.7 3,802 11.7 223.1 2,616

150A 165.2 10.8 493.9 5,357 12.7 283.7 3,616

200A 216.3 12.2 789.3 9,629 14.8 429.0 6,349

250A 267.4 13.2 1152.2 15,208 16.4 601.4 9,863

300A 318.5 14.2 1574.7 22,361 18.0 793.4 14,281

350A 355.6 15.0 1928.6 28,851 19.0 954.6 18,110

400A 406.4 16.0 2520.3 40,325 20.3 1248.2 25,339 450A 457.2 16.8 3191.2 53,612 21.5 1581.2 33,995

500A 508 17.6 3842.8 67,633 22.7 1855.2 42,112

550A 558.8 18.4 4553.8 83,563 23.8 2148.8 51,141 600A 609.6 19.1 5442.2 103,946 24.9 2580.0 64,243

その他、配管スパンに分岐がある場合や管径が変わる場合など詳細については、耐震設計指針(レベ ル1配管編第2章第3節)の準じる。