3. 環境家計簿への応用:廃棄物環境家計簿の作成と分析
3.3. 埋立容積点数表
第
i
財消費によって誘発された埋立容積を(13)
式(2.1
節)で評価し,それらを第i
財の購 入者価格評価の家計消費支出額で割ると,第i
財の購入価格単位あたり(1万円あたり)の消費に よる誘発埋立容積が計算できる。家計調査品目の購入額1
万円あたり消費が誘発する埋立容積1 m
3をそれぞれ1
点として点数表示したものが埋立容積点数である。すなわち,埋立容積点数は,(14)式(2.1
節)のq
iを一般消費者にわかりやすい形として,財消費1
万円あたりの埋立容積で表し たものである。表 6は,埋立容積点数表の一部である。表 6: 埋立容積点数表(家計消費1万円あたりの埋立容積)
鶏卵・乳製品 0.0067 ティッシュペーパー等 0.0079 船・自転車 0.0163
飲食店 0.0020 ガス台・ストーブ 0.0048 乗用車 0.0068
食料品製造業 0.0019 木製装飾品等 0.0019 二輪自動車等 0.0063
飲料 0.0015 家具・装飾品製造業 0.0017 ガソリン・軽油 0.0013
漁業 0.0013 冷蔵庫・洗濯機・掃除機 0.0011 自動車整備業 0.0008
きのこ 0.0012 食卓用プラスチック製品 0.0011 鉄道業 0.0008
野菜・果物 -0.0042 じゅうたん 0.0006 バス・タクシー 0.0007
ミシン等 0.0005
ほうろう鍋等 -0.0005 第8費目:教育費
砂利・採石 0.0240 食卓用ガラス製品 -0.0007 教科書・参考書 0.0005
鋳鉄管等 0.0042 アルミはく等 -0.0231
修繕用金属製品 0.0036
粘土等 0.0012 紙・板紙 0.0043
畳 0.0007 ゴム製靴 0.0013 新聞・書籍 0.0042
修繕用プラスチック製品 0.0005 衣服 0.0010 ペット 0.0041
ガラス -0.0005 生地・糸 0.0008 ノート 0.0023
修繕用アルミ圧延製品 -0.0017 革靴 0.0007 文具 0.0009
修繕用窯業・土石製品 -0.0021 テレビ・ステレオ 0.0006
非鉄パイプ等 -0.0072 パソコン・ワープロ 0.0005
セメント -0.1314 紙おむつ 0.0068 花卉・花木 -0.0006
医療業 0.0010
眼鏡等 0.0007
熱供給業 0.0380 医薬品 0.0007 化粧品・歯磨き 0.0014
下水道業 0.0155 保健用繊維製品 0.0006 各種商品卸売業 0.0007
水道業 0.0054 小売業 0.0006
電気業 0.0044 かばん 0.0006
石炭 0.0017 公務 0.0005
石炭製品 0.0016 装身具用非鉄金属地金 -0.0030
ガス業 0.0014
プロパンガス・灯油 0.0009 [m3/万円]
第2費目:住居費 第1費目:食料費
第3費目:光熱・水道費
第5費目:被服及び履物費
第10費目:その他の消費支出 第9費目:教養娯楽費
第6費目:保健医療費
第4費目:家具・家事用品費 第7費目:交通・通信費
表 6 によれば,畜産関連,鉱業,熱供給,下水道,紙関連財,船・自転車,乗用 車などの消費による誘発埋立容積点数が高い。また,野菜・果物,金属関連の点数は負と なった。埋立容積点数が負になる要因は,当該動脈部門で,動物ふん尿や金属屑等のリ サイクル活動が行われていることによるところが大きい。また,それらが誘発する原材料生産 過程での再資源化を通した総合的な効果であると言える。
次に,「乗用車」(
#35
)と「飲料・飼料・たばこ」(#8
)について,各財の1
万円あたり消費が 誘発する埋立容積を,WIO
モデルによるLeontief
逆行列の級数展開によって考察する。表7
は,「乗用車」(#35)についての計算結果である。「家計排出」の列は,家計から排出された廃棄物の処 理過程で必要とされる埋立容積である。「直接」の列は乗用車の生産・流通過程,「間接
1
次」「間 接2
次」の列は材料生産過程で排出される廃棄物の処理により誘発される埋立容積である。また,「直接・間接計」は,さらに高次の波及までを含めた生産過程が必要とする埋立容積の合計であ る。
表 7: 家計の乗用車消費による誘発埋立容積
埋立
0.085
破砕5.475
乗用車
0.320
各種商品卸売業
0.089
その他(+)計0.036
合計
0.085
合計5.920
累積
0.085
累積6.005
その他の自動車
0.317
その他の自動車0.127
破砕5.475
建設業
0.030
冷延・めっき鋼材0.085
その他の自動車0.530
電気業
0.028
鋳鍛造品0.085
乗用車0.320
その他(+)計
0.164
その他(+)計0.275
その他(+)計1.606
その他(-)計-0.001
その他(-)計-0.053
その他(-)計-0.363
電線・ケーブル-0.004
伸銅品-0.025
アルミニウム-0.064
プラスチック製品-0.006
アルミ圧延製品-0.026
セメント-0.094
ガラス
-0.044
セメント-0.027
粗鋼(電気炉)-0.626
合計
0.484
合計0.441
合計6.784
累積
6.489
累積6.930
累積[10-3m3/万円]
家計排出 直接
間接1次 間接2次 直接・間接計
家計が
1
万円分の「乗用車」(#35)を購入するときに平均的に発生する使用済み乗用車によって,直接必要とされる埋立容積は
0.085×10
-3m
3に過ぎない。しかし,その破砕過程で5.475×10
-3m
3 の埋立容積を必要とする。また,間接1
次効果以降では乗用車の原材料,さらにその原材料の生 産過程で排出される廃棄物が誘発する埋立容積が示される。級数展開の各段階に負の数値があ るが,ガラス,金属関係,セメントなどは,廃棄物の再生利用が進んでいる動脈部門であるため,そ れらへの生産波及は負の埋立容積を誘発する。乗用車が高度に複合的な生産財であることを反 映して,廃棄物排出あるいは再資源化活動が多岐にわたる部門で誘発されている。また,高次の 間接効果になるにつれて,負の誘発効果が比較的大きくなっていることが特徴的である。表 8は同じ計算を「飲料・飼料・たばこ」(#8)について行った結果である。
表 8: 家計の飲料・飼料・たばこ消費による誘発埋立容積
埋立
3.546
各種商品卸売業0.065
焼却
0.053
小売業
0.032
その他(+)計
0.005
飲料・飼料・たばこ
-1.922
合計
3.546
合計-1.767
累積
3.546
累積1.779
紙加工品製造業
0.150
冷延・めっき鋼材0.058
埋立3.546
その他の金属製品0.092
紙加工品製造業0.052
紙加工品製造業0.227
建設業
0.040
建設業0.030
その他の金属製品0.105
その他(+)計
0.152
その他(+)計0.183
その他(+)計0.753
その他(-)計-0.026
その他(-)計-0.031
その他(-)計-0.333
飲料・飼料・たばこ-0.026
アルミ圧延製品-0.012
粗鋼(電気炉)-0.225
ガラス
-0.038
伸銅品-0.017
耕種農業-0.340
耕種農業
-0.290
耕種農業-0.037
飲料・飼料・たばこ-1.956
合計
0.053
合計0.226
合計1.778
累積
1.832
累積2.057
累積[10-3m3/万円]
家計排出 直接
間接1次 間接2次 直接・間接計
1
万円分の「飲料・飼料・たばこ」(#8)の消費によって,家計で3.546×10
-3m
3分の埋立容積を必要 とする廃棄物が発生する。その生産過程で,食品廃棄物を飼料として再資源化するため,1.922×10
-3m
3分の埋立容積が節約されている。間接効果では,耕種農業,金属関連,ガラスなどの部門 にマイナスの誘発がみられる。さらに,級数展開が高次になると,飲料用のびんや缶を製造するガ ラス,アルミ圧延,粗鋼(電気炉)の各部門でも負の埋立が誘発されるが,それらは当該部門での 再資源化活動を表している。0.000 0.100 0.200 0.300 0.400 0.500 0.600 0.700 I
II III IV V
年間収入五分位階級
[m3/世帯/年]
第1費目:食料 第2費目:住居 第3費目:光熱・水道
第4費目:家具・家事用品 第5費目:被服及び履物 第6費目:保健医療
第7費目:交通・通信 第8費目:教育 第9費目:教養娯楽
第10費目:その他