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シナリオ分析 2: 家庭用電化製品の長寿命化シナリオ

4. シナリオ分析への応用:所得に関するリバウンド効果の分析

4.2. シナリオ分析

4.2.2. シナリオ分析 2: 家庭用電化製品の長寿命化シナリオ

費・廃棄行動に起因する環境負荷排出量を求めた。このシナリオでは,所得に関するリバウンド効 果については,CO2排出量の調整分は

333

t-C,埋立容積の調整分は 103

m

3である。これら のリバウンド効果の調整分は,現状消費からシナリオ消費へのシフトによって低減した環境負荷量 に比較して相対的に小さい。したがって,鉄道輸送へのシフトと同様に,所得に関するリバウンド効 果を考慮した場合でも考慮しない場合でも,シナリオ消費の方が現状消費より低環境負荷であると いう結論に変化はなかった。以上の結果を表 12にまとめる。

表 12: 自家用車による移動のバス利用への振替シナリオ(推定結果)

CO

2排出量 埋立容積

現状からの変化

Q

( )sc

Q

( )o -1,950,230

[t-C]

-1.05 % -629,399

[m

3

]

-1.21 % 現状からの変化

Q

( *)sc

Q

( )o -1,616,929

[t-C]

-0.87 % -525,979

[m

3

]

-1.01 %

(リバウンド効果調整済み)

リバウンド効果の調整分

Q

RE

333,301 [t-C] 103,420 [m

3

]

注:数値は現状消費パターンからの変化分および変化率

である。

表 13: 家電の長寿命化シナリオ

財,廃棄物,環境負荷 現状消費からの変化

家計消費

33

民生用電気機械

17,941 [

億円

]

33.3 %

53

機械修理

490 50.0 %

商業マージンおよび 卸売 -5,235 [億円] -2.8 % 国内貨物運賃 小売 -6,808 -2.2 % 鉄道貨物輸送 -1 -0.4 % 道路貨物輸送

227

1.0 %

その他の貨物輸送

40

0.7 %

家庭系廃棄物 紙ごみ -40,413 [t] -0.3 % 小型家電 -74,076 -27.1 %

テレビ

70,594

33.3 %

冷蔵庫

77,056

33.3 %

洗濯機

36,332

33.3 %

エアコン -49,461 -33.3 %

直接環境負荷排出 直接

CO

2排出

0 [t-C] 0.0 %

生産者価格評価

表 13の設定を用い,(15)式(2.1節)により仮想的消費パターンが直接・間接に誘発する 環境負荷を評価した。現状消費パターンと比較すると,この仮想的な消費パターンは,CO2排出量 を

1,656

t-C(0.89%),埋立容積を 607

m

3(1.17%)減少させるという結果を得た。このとき,現 状消費パターンの家計支出総額(2,665,843 億円)のうち,シナリオ関連の支出(家電関連)が

91,739

億円,その他のシナリオ関連以外の財への支出が

2,574,104

億円である。このシナリオ消費 の家計支出総額は

2,636,081

億円であり,これは,現状消費の家計支出総額(2,665,843億円)より

29,762

億円少ない。そこで,前節の

2

つの交通シナリオと同様の方法で,シナリオ関連以外の財へ の支出額を

1.012

倍(=1+29,762/2,574,104)し,所得に関するリバウンド効果を考慮した分析を行い,

その結果を表 14にまとめた。このシナリオでは,所得に関するリバウンド効果を考慮することによっ

て,現状消費とシナリオ消費のどちら消費パターンがより低環境負荷かについて,異なった結論が 得られた。所得に関するリバウンド効果を考慮しない場合,シナリオ消費は

CO

2排出量を減少させ る。しかし,所得に関するリバウンド効果を考慮した場合,その逆の結論が得られた。CO2排出量に ついてのリバウンド効果の調整分は

2,089

t-C

であるが,この調整分がシナリオ消費により低下し た

CO

2排出量(1,656千

t-C)と比べて大きいため,結論の逆転が起こった。その結果,CO

2排出量 に関しては,家電の長寿命化シナリオは,より高い環境負荷をもたらす消費パターンであるという結 論が得られた。一方,埋立容積については,所得に関するリバウンド効果を考慮するしないにかか わらず,シナリオ消費パターンはより低環境負荷な消費パターンであることが示された。

表 14: 家電の長寿命化シナリオ(推定結果)

CO

2排出量 埋立容積

現状からの変化

Q

( )sc

Q

( )o

1,655,647 [t-C]

0.89 %

607,122 [m

3

]

1.17 %

現状からの変化

Q

( *)sc

Q

( )o

433,264 [t-C] 0.23 %

27,119 [m

3

]

0.05 %

(リバウンド効果調整済み)

リバウンド効果の調整分

Q

RE

2,088,911 [t-C] 580,003 [m

3

]

注:数値は現状消費パターンからの変化分および変化率

現実には,新型の家電製品の方が,旧式のものに比べてエネルギー効率が良いものが 多い。したがって,新型の家電製品への買い替えは,家計の電力消費を減らす行動である可能性 がある。しかし,このシナリオでは,電力消費量の変化を考慮していない。しかし,現実には,このシ ナリオ設定により,消費者が電気効率の悪い家電製品を使用するため,その結果,家計の電力需 要の増加をもたらし,「電気業」(#40)の環境負荷を増加させているかもしれない。また,その電力 需要の増大が,その他のシナリオ設定による

CO

2排出の減少分を相殺する可能性も否定できない。

このシナリオでは,「機械修理」(#53)の増加により,家電製品の長期使用により故障確率が上がる ことを考慮してはいるものの,このシナリオの結論が静学モデルから得られたことに留意する必要 がある。