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右折車の信号切り替わり時における停止/通過挙動について分析するため,直進車と同様に切り替わり時 のX-V図および速度変動図を比較する.

右折車についても同様に分析を行った.分析対象とする交差点および取得サンプル数を表 4.1に示す.

表 4.6  停止/通過挙動の分析に使用したデータ(右折車)  交差点 流入部 右折矢 黄 全赤 交通量

[veh/h]

サンプル数 停止 通過 合計 末盛通2 東 11

2 5

206 56 60 116 太閤通3 南 14 216 42 44 86

西大須 北 12 147 20 16 36

熱田神宮南 南 17

3 133 31 24 55 西 40 4 362 362 53 112

末盛通2・東,太閤通3・南,熱田神宮南・西について,黄開始および全赤開始を基準としたX-V図を 図 4.10に示す.これらの図より,いずれの交差点において黄開始時に停止領域にある車両の多くが通過判 断を行っていることがわかり,全赤開始時点で停止車両と通過車両が分かれはじめている.また,黄開始 時のX-Vより判定された停止/通過判断と実際の停止/通過挙動と相違のあったサンプル数,およびジレン マ・オプションゾーンに存在したサンプル数を表 4.7に示す.これより,多くの交差点において,停止領 域にあるにもかかわらず通過を選択する車両が4割近く存在していることがわかる.これらのことから,

全赤時間が5秒と長いために,ドライバーは全赤時間が長いことを見越して駆け込み進入しているものと 考えられる.

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表 4.7  誤判定とジレンマ/オプション・ゾーンの件数(右折) 

交差点 流入部 停止(通過領域) 通過(停止領域) ジレンマ オプション 台数 割合 台数 割合 台数 割合 台数 割合 末盛通2 東 0 0.0% 42 36.2% 0 0.0% 5 4.3%

太閤通3 南 2 2.3% 27 31.4% 3 3.5% 0 0.0%

西大須 北 0 0.0% 11 30.6% 2 5.6% 0 0.0%

熱田神宮南 南 1 1.8% 19 34.5% 1 1.8% 12 21.8%

西 0 0.0% 46 41.1% 0 0.0% 6 5.4%

(a) 末盛通2・東

(b) 太閤通3・南 0

2 4 6 8 10 12 14 16

0 20 40 60 80 100

走行速度[m]

黄開始時の停止線からの距離 [m]

通過(n=46) 停止(n=46) L1

L2 0

2 4 6 8 10 12 14 16

0 20 40 60 80 100

走行速度[m/s]

黄開始時の停止線からの距離 [m]

通過(n=46) 停止(n=46) L1' L2'

0 2 4 6 8 10 12 14 16

0 20 40 60 80 100

走行速度[m/s]

黄開始時の停止線からの距離 [m]

通過(n=37) 停止(n=40) L1

L2 0

2 4 6 8 10 12 14 16

0 20 40 60 80 100

走行速度[m/s]

全赤開始時の停止線からの距離 [m]

通過(n=37) 停止(n=40) L1' L2'

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(c) 熱田神宮南・西

図 4.10  黄開始時および全赤開始時の X‑V 図  (c) 黄開始以降の速度変動 

黄開始/終了前後での速度変動を示した図 4.11を比較すると,右折矢時間の短い末盛通2・東,太閤通3・ 南では,停止・通過車両ともに加速傾向にある.末盛通 2・東,熱田神宮南・西では,全赤開始以降も停 止線上流から駆け込み進入する車両が存在しており,特に熱田神宮南・西では全赤開始時に上流に位置し ていても駆け込み進入しやすい箇所であることが考えられる.

(a) 末盛通2・東 (b) 太閤通3・南

0 2 4 6 8 10 12 14 16

0 20 40 60 80 100

走行速度[m/s]

黄開始時の停止線からの距離 [m]

通過(n=40) 停止(n=42) L1

L2 0

2 4 6 8 10 12 14 16

0 20 40 60 80 100

走行速度[m/s]

全赤開始時の停止線からの距離 [m]

通過(n=40) 停止(n=42) L1' L2'

0 5 10 15 20 25

0 5 10 15 20 25

全赤開始時の走行速度[m/s]

黄開始時の走行速度 [m/s]

通過 停止

0 5 10 15 20 25

0 5 10 15 20 25

全赤開始時の走行速度[m/s]

黄開始時の走行速度 [m/s]

通過 停止

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(c) 熱田神宮南・西

図 4.11  右折車の黄開始/終了前後での速度変動  4.4.1 モデル分析 

係数の符号条件の整合性および統計的有意性を考慮して得られたモデルの推定結果を表 4.8に,本モデ ルによる交差点ごとの的中率を表 4.9に示す.説明変数として以下の要因を考慮した.

信号制御に関する要因: 矢印制御ダミー

道路構造に関する要因: 停止線セットバック量[m],停止線から交錯点までの距離[m],交差角度[°]

車両ごとの状態量: 黄開始時の交錯点通過までの所要時間[s],追従状態ダミー(車間距離が 30m 以 下のときを追従),大型車ダミー

表 4.8  右折車の停止選択モデルの推定結果 

説明変数 係数(t値)

単純4現示制御 矢印制御 黄開始時の停止線までの所要時間[秒] 0.71 (7.33) 0.88 (6.29) 追従状態ダミー -1.12 (-2.00) -1.37 (-2.57) 定数項 -2.25 (-3.56) -3.25 (-4.44)

𝜌̅ 値 0.362 0.366

的中率 [%] 80.7 79.6

サンプル数 238 167

表 4.8より,いずれの制御方式においても黄開始時の停止線までの所要時間,追従状態ダミーが有意と なった.所要時間の算出基準を停止線にした場合と交錯点にした場合とで比較したところ,どちらも停止 線を基準とした場合のモデルが尤度比,的中率ともに高かったことから,ドライバーは停止線を通過でき るかどうかをより意識していると考えられる.しかしながら,今回のモデル化に使用したデータは大規模 交差点での観測値を主としたものであるため,この点については今後,小規模交差点での観測データを追 加することで,交錯点位置をはじめとした道路構造要因についても検証する必要がある.また,右折矢後 の全赤時間は,今回の対象交差点では5秒と全て同一のサンプルであるために,全赤時間長が及ぼす影響 について明らかにできていない.したがって,今後,右折矢後の全赤時間長が異なる複数の信号交差点に

0 5 10 15 20 25

0 5 10 15 20 25

全赤開始時の走行速度[m/s]

黄開始時の走行速度 [m/s]

通過 停止

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おいて追加調査を行い,観測データを蓄積することで,全赤時間長がドライバーの停止/通過判断に及ぼす 影響について検討が必要といえる.

表 4.9  流入部ごとの判定結果 (右折)  制御方式 交差点 流入部 停止 通過

合計 的中率 正 誤 正 誤 [%]

単純4現示制御

末盛通2 東 45 12 48 11 116 81.0 太閤通3 南 25 1 41 19 86 80.2 西大須 北 14 4 16 2 36 80.6 矢印制御 熱田神宮南 南 19 1 30 5 55 85.5 西 44 18 41 9 112 76.8 また,これらモデルより流入部ごとに的中率を算出した表 4.9を比較すると,熱田神宮南・西を除く全 ての流入部で的中率は80%を上回っており,モデルの精度は良好であるといえる.しかしながら,熱田神 宮南の西側流入部においては的中率が低く,通過車両が停止として判定されており,これは前述のように 黄開始以降に加速して駆け込み進入する車両が多いためと考えられる.

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