• 検索結果がありません。

受入地日本での中国と関連する人々のネットワーク

第 3 章 私費日本留学の中間ネットワーク

3.5 受入地日本での中国と関連する人々のネットワーク

中国では日本に人を送るネットワークが存在する一方、受け入れ地の日本では中国人を 受け入れるネットワークも存在している。移動者は自国を出国後、受け入れ先の既存ネッ トワークに入って、自分の生活の利便性をアップさせる一方で、中国人の生活ネットワー クを増大させる役割も果たすことになった。

3.5.1 受け入れ地日本でのソーシャル・ネットワーク

日本におけるネットワークには、戦前から日本に渡り、三大居留地を中心に住んでいる 老華僑の人たち、戦時中に中国に渡り、戦後中国から帰国した残留孤児とその婦人たち、

戦時中に日本に連れられた人たち、また国交正常化以降、留学を契機にして長期滞在にな った新華僑たちがいる。この様な歴史的経緯を背景にした形成されたネットワークの存在 が、「中国」をキーワードにしながら、たくさんの人を吸引し、次から次へと中国から来 る人たちの数を膨らませていた。

筆者が調査した例では、日本人と思っていた方が、急に「私は戦前中国で生まれ」とか、

または「实はお父さんは中国人、どこにいるかは知らないが、元の名前だけ印象がある」

89

という話を数回に耳をした。その多くの方々は日本社会に散在していたが、移住地の既存 ソーシャル・ネットワークを知るためにも無視出来ない存在という。

日本における中華料理産業の興隆は、留学生のパートタイムワークの場所と同時に、中 国人の多く集まる場所を提供することになった。金沢の中国人経営の中華料理屋「菜香楼」

を例に取り上げると、現在は県内数箇所の店舗に、中国国内から雇われたコック、中国人 留学生アルバイト、および中国人マネージャがいる。ほかにも中国人や日本人が経営する 中華料理店が何箇所かある。また、中国人移住者にとっては、中華料理屋の開業が簡卖な どの理由で、経営に参入する例も珍しくない。

日本人が経営者の中華料理屋でも、様々な中国との繋がりがある。よくある例は、コッ クは中国から雇う、または女将さんが中国人であるとかである。この様なエスニック産業 の一般社会への浸透は、移住者を招請する一つの手段になるだけではなく、中国人にも働 く場所を提供し、長期間滞在することも可能にさせた。

3.5.2 留学生のインフォーマルなソーシャル・ネットワーク

留学生は出身地、派遣手段、派遣ルートの違いがあり、それぞれのソーシャル・ネット ワークは違っており、移住先においても、留学生ソーシャル・ネットワークが再編成され た。このパターンは、従来的に存在していたソーシャル・ネットワークとは違い、お互い に助け合うだけでなく、時には金銭面の援助も行うソーシャル・ネットワークである。こ のようなネットワークの存在によって、過去の生活経験や学業の経験は先輩から後輩に伝 えられてゆく。場合によっては先輩が後輩から金品を騙し取る事件があるにも拘わらず、

異社会に入った新人留学生にとっては効率よく受け入れ社会に溶け込む手段として受け 入れられているのが現状である。

留学生のアルバイト探しは、同じ学校の先輩か、友達同士に紹介されることが多くある。

卒業して辞める時に次の人を紹介するため、1 つの大学の留学生たちは、先輩から引き継 いだ同じアルバイト先に勤務することが多くなった。このようなことが可能になる背景と しては、留学生のアルバイト先のオーナーが中国のことや中国人留学生のことを熟知する ため、募集を掛ける時、留学生を雇うことを耂えになる。

中国人留学生同士の連絡は、ネット掲示板やインスタントメッセンジャーソフトを利用 している。掲示板の「小春日本」やインスタント通信ソフトにおいて、留学生間のネット 連絡法が作られていた。「小春日本」は日本に関する相互ウェブサイトで、元日本研修生 によって作られ、現在在日中国人に最も利用されているウェブサイトである。その電子掲 示板チャンネルは在留資格向けおよび地域向けによっていくつかの欄を設けている。在留 資格の留学生チャンネルは留学手続きの悩み相談や、留学中の様々な質問を募り答えるも のである。地域向けの欄は日本をいくつかの大きな地域に分けて、その地域の生活情報を 交換できるようにしたものである。

「小春日本」のたくさんの利用者に対して、インスタントメッセンジャーソフトのグル ープは加入人数が限定されている。その一つのネットグループの創始者兹管理者の WB さ ん(男性 26 歳)にインスタント通信ソフトのグループについての話を聞くと、加入す る人が多ければ良いわけではないということであった。「グループの加入者が増えると、

世話をすることが難しくなる、結局は全然知らない人が入る可能性がある」。

世話人である WB さんが世話する留学生向けのグループは、現在 200 人ほどの加入者が いる。加入者はある大学の元留学生 OB と在学留学生である。グループの加入者の間に、

一種の助け合いのソーシャル・ネットワークが形成されるなど、当該大学に通う留学生の

90

生活の一部として、留学生の生活情報交換、中古商品の売買所として機能してきた。Wさ んは、それを通じて、アルバイトの紹介、家具家電の転売、さらに航空券の注文、ゲーム ポイントの販売業務など様々なサービスを請け負っている。

バーチャルな空間であるネットの付き合い以外に、現实的な生活ソーシャル・ネットワ ークも存在する。WB さんによると、重要な要素は共同の趣味があるかどうかや相性が合 うかどうかということであった。また、インタビューを行った留学生の M(女性 29 歳)

は、留学生には 2 つのタイプがいると語っていた。1つのタイプは勉強を熱心にするが、

もう 1 つのタイプは遊ぶタイプであり、学業に対する態度からこのようなはっきりした二 つのグループに分かれるということであった。留学生は自分に向いたグループに近寄って いくということになる。

留学生たちは、勉強する場と生活場よって作られた現实の生活空間、およびバーチュア ルなインターネット空間によって組み立てていた。

3.5.3 エスニック・ビジネスネットワーク

受け入れ地にあるエスニック・ビジネスネットワークの広がりは、留学生の生活ニーズ やビジネスチャンスを提供するだけでなく、留学生の受け入れにもある種の役割を担って きたといえる。

アルバイト有料紹介

留学生たちにとって最も喫緊なことは、物価の高い日本での生活を続けるために経済上 の収入を得ることである。仕事先の多くは料理屋やスーパー、または小さい工場の軽作業 が多い。仕事を探すには、日本語の上手さだけではなく、紹介人も必要となる。その紹介 人の多くは留学生同士である。

紹介人による紹介のさらなる意義は、紹介人の仕事ぶりや人柄が責任者に認めてもらえ ていることで、紹介してもらう方もある程度の信用が得られることである。また別の意義 は、多くの仕事場は外国人を雇う経験がなかったら外国人を雇わないが、紹介人に紹介さ れる仕事先の多くは外国人を雇った経験があり、仕事先に評判が悪くなく、ひき続き外国 人を受け入れるということである。

仕事の紹介は、紹介人が紹介先から紹介料をもらう場合がある。そのような場合は、新 しい留学生が来ると、紹介人が喜んで後輩に仕事を紹介する。日本経済の不景気に伴って、

アルバイトを探すは難しくなってくると、紹介人なしの面接、応募が難しくなってきてお り、紹介人の存在が一層重要となってきた。

紹介する場合は身近な人に紹介するのが一般的であり、同郷、同校の親友が最も優先さ れ、その次に知人等に回していくことになる。仕事の紹介は稀なものとして扱われている。

卖なる知人の場合、接点がほとんどない人であれば、完全にビジネスとして仕事紹介の話 が進む。

有料アルバイト紹介は最初に大都市など、留学生がたくさん集まる所からはじまり、そ の後徐々に地方に広まって行った。このような有料で紹介される仕事は、为に安定的なア ルバイトと位置づけられている。

紹介人から勤務担当者を紹介してもらい、その担当者に採用して貰う。紹介された人は、

雇われたことを確認できたら、相談で決まった紹介料を紹介人に払い、有料紹介が完了す る。一般的に、その過程は勤務先の募集担当者には知らせない。紹介料は、紹介人と紹介 される人の交渉によって決めるが、大体の金額はアルバイト月給の半分から7、8割ほど