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双極子モーメント法 (DM - Dipole Moment Method)

第 3 章 計算方法

3.2 局所誘電率の評価方法

3.2.5 双極子モーメント法 (DM - Dipole Moment Method)

外部電界印加下での内部電界評価から誘電率を求めるアプローチ以外にも、分極を評価することで誘電 率を求める方法を提案した。双極子モーメント法と名付けた本方法は、薄膜全体もしくは各原子層ごとの 電気双極子モーメントを計算することで、誘電率を評価する方法である。外部から電界を加えると、電界印 加方向(+z方向)の電束密度連続条件により、

Dz = Eext=Ein+ 4πP =εEin (3.31)

ε = Ezext Ezext−4πPz

(3.32) として、分極P と誘電率は関連づけられる。また、分極は単位体積あたりの双極子モーメントなので、電 界によりスラブに誘起された、任意の領域ごとの双極子モーメントを計算すれば誘電率を求めることがで きる。

-0.18 -0.16 -0.14 -0.12 -0.10 -0.08 -0.06 -0.04 -0.02 0.00

-10 -5 0 5 10

z [Å]

E le ct ri c fi el d [V / a B ]

σ=1.3Å

図 3.9: 7ML SiO2(β-quartz)薄膜の表面垂直方向の電界分布.平均化のためのガウス分布関数のσは1.3˚A とした.破線、実線はそれぞれ電界下での格子緩和を行わない場合、行った場合の電界分布である.

1 1.5 2 2.5 3 3.5 4 4.5 5

-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20

D ie le ct ri c Cons ta nt

z ( a

B

)

optical static

ICD ES

図 3.10: 7ML SiO2(β-quartz)薄膜の局所誘電率分布.プロット点はES法によるものである.ICD法での 平均化のためのガウス分布関数のσは1.3˚Aとした.破線、実線はそれぞれ電子、格子による誘起電荷密度 である.

3.2.6 薄膜中心層の誘電率

薄膜モデルにおいて、双極子モーメントは膜厚によらず表面の影響が同じであるならば、膜厚が1分子 層厚くなるごとに、一定の大きさだけ増加するはずである。そこで、N分子層厚とN−1分子層厚の薄膜

に対する双極子モーメントmN

P1ML = mN−mN1

V1ML

(3.33) のように、1分子層厚の体積で割ることによって、バルク結晶の分極に相当するPが得られる。

膜厚が十分大きい場合に1分子層を追加するという事は、バルクの1分子層を中心に挿入する事と等価 になる。よって式(3.33)から、薄膜中心層の誘電率を評価することができる。しかし、この方法では局所 誘電率の空間分布を計算する事は出来ない。

局所誘電率評価

局所誘電率を計算するために、各層ごとの双極子モーメントを定義し、計算することを考える。まず、電 子の電荷密度ρに対して以下の積分、

F(z) =# z 0

ρz(z)dz (3.34)

を行うと図3.11)のようになり、関数F(x)の節と節の間では正味の電荷量が0となり、この領域では電荷中 性となっている。また、F(x)の節は各原子層の位置近傍と原子層間に存在する。節の周りでの双極子モー

-0.1 -0.05

0 0.05

0.1

-15 -10 -5 0 5 10 15

z [ a

B

]

図 3.11: 7分子層厚のSiO2(0001)薄膜にEext= 0.2V/aBの外部電界を印可したときの電荷密度を0からz の範囲で積分した値.

メント、

mi=# zi+1 zi−1

ρz(z)zdz (3.35)

を計算すれば各原子層位置での分極mi/(zi+1−zi1)が求まる。ここで、ziは各原子層のz位置、ρ(z)は 面平均電荷密度である。最後にガウス分布関数を用いてマクロな量である分極を、

Pz(z) =#

mz(z)g(z−z%)dz% =$

i

mi

√2πσ1 exp!

−(z−zi)22

"

(3.36) として定義し、式(3.32)より誘電率を計算した。図3.12は式3.35により求めた場所ごとの双極子モーメ

ント(黒線とプロット)、式3.36により平均化された分極の空間分布(赤線)を示している。ガウス分布関数

による平均操作を行わない場合は、誘起電荷密度分布と同様に薄膜内部で周期的に揺らいでいるが、平均 化を行うことにより、連続体近似による誘起電荷密度分布と対応している。そして、図3.12の分極から式 3.32を使って得られた局所誘電率分布を図3.13に示した。

-0.015 -0.01 -0.005 0 0.005 0.01 0.015

-20 -15 -10 -5 0 5 10 15 20

with gaussian kernel

z [ a

B

]

P ol ari za ti on [a .u.]

図 3.12: 7分子層厚のSiO2(0001)薄膜にEext=±0.2V/aBの外部電界を印可したときの分極。実線は破線 の分極に対しガウス分布関数(σ= 4aB)で平均化を行ったもの.

1 2 3 4 5 6

-15 -10 -5 0 5 10 15

z [ a

B

]

D ie le ct ri c Cons ta nt ε 0

ε

図 3.13: 7分子層厚のSiO2(0001)薄膜にEext=±0.2V/aBの外部電界を印可したときの分極から求めた光 学的・静的誘電率。

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