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 公社債の譲渡による所得については、原則とし て15%の税率による申告分離により課税すること とされたことに伴い、この特例は廃止されました

(旧措法37の16、旧措令25の15、旧措規18の16)。

3  適用関係

 上記2の改正は、個人が平成28年 1 月 1 日前に 行った公社債の譲渡については、従前どおりとさ れています(改正法附則51)。

二十一 株式等の譲渡の対価に係る支払調書等の特例の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 株式等の譲渡の対価等の支払調書の提出時期 等の特例

① 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居 住者(以下「居住者等」といいます。)に対 し、国内において株式等の譲渡の対価の支払 をする者又は株式等証券投資信託、非公社債 等投資信託若しくは特定受益証券発行信託

(以下「株式等証券投資信託等」といいま す。)の償還金等の交付をする者は、所得税 法の規定による提出方法に代えて、株式等の 譲渡の対価等の支払調書を同一の居住者等に 対する一回の支払又は交付ごとに作成する場 合には、株式等の譲渡の対価等の支払調書を その支払又は交付の確定した日の属する月の 翌月末日までに税務署長に提出することがで きることとされていました(旧措法38①)。

② ただし、同一人に対するその株式等の譲渡 の対価の額又は償還金等の額が30万円以下で あるときは、その株式等の譲渡の対価に係る 当該支払調書の提出を要しないこととされて いました(旧措規18の17①)。

⑵ 名義人受領の株式等の譲渡の対価の調書の提 出時期等の特例

① 業務に関連して他人のために名義人として 株式等の譲渡の対価の支払を受ける者又は株 式等証券投資信託等の償還金等の交付を受け る者は、所得税法の規定による提出方法に代 えて、その者がその名義人として株式等の譲 渡の対価又は償還金等の支払又は交付を受け る当該他人について、名義人受領の株式等の 譲渡の対価に関する調書を同一のその他人に 対する一回の支払又は交付ごとに作成する場 合には、名義人受領の株式等の譲渡の対価に 関する調書をその支払又は交付を受けた日の

属する月の翌月末日までに税務署長に提出す ることができることとされていました(旧措 法38②)。

② ただし、同一人に対するその株式等の譲渡 の対価又は償還金等の額が30万円以下である ときは、その株式等の譲渡の対価又は償還金 等に係る当該調書の提出を要しないこととさ れていました(旧措規18の17③)。

⑶ 上場投資信託等の償還金等に係る支払調書の 提出義務者の特例

 株式等証券投資信託等でその受益権が上場株 式等に該当するもの(以下「上場投資信託等」

といいます。)の終了若しくは一部の解約又は 特定受益証券発行信託に係る信託の分割により 交付を受ける償還金等をその上場投資信託等の 配当等に係る支払の取扱者を通じて交付を受け る場合には、その支払の取扱者が、その上場投 資信託等の償還金等の受領者から氏名又は名称 及び住所の告知を受け、株式等の譲渡の対価等 の支払調書を提出しなければならないこととす る特例が設けられていました(旧措法38③)。

2  改正の内容

 この特例について、次の改正が行われました。

⑴ 株式等の譲渡の対価等の支払調書の提出時期 等の特例等の改正

① 対象となる株式等の譲渡の対価及び償還金 等の範囲の拡充

イ 所得税法の改正により、株式等の譲渡の 対価等の支払調書及び名義人受領の株式等 の譲渡の対価の調書の提出対象となる株式 等の譲渡の対価及び償還金等の範囲に、次 に掲げる受益権又は公社債の譲渡の対価及 び下記⑵①から③までの償還金等が追加さ れるとともに、株式等の譲渡の対価等の支

払調書の提出対象に国内に恒久的施設を有 しない非居住者、内国法人で一定のもの又 は外国法人に対して支払った割引債の償還 金が追加されたことに伴い、これらの譲渡 の対価又は償還金等に係る株式等の譲渡の 対価等の支払調書を提出する場合において も、上記1 ⑴①又は⑵①による提出時期等 の特例の適用対象とされました(措法38①

②)。

イ 公社債投資信託及び公社債等運用投資 信託の受益権

ロ 特定目的信託の社債的受益権

ハ 公社債(預金保険法に規定する長期信 用銀行債等及び償還差益について発行時 に源泉徴収がされた割引債を除きます。)

ロ 提出時期の特例の対象に、交付金銭等の 支払調書(所法225①十、所規90の 3 ・別 表第五(二十九))が追加され、交付金銭 等の支払調書を同一の居住者等に対する一 回の交付ごとに作成する場合には、交付金 銭等の支払調書をその交付の確定した日の 属する月の翌月末日までに税務署長に提出 することができることとされました(措法 38①)。

② 提出省略限度額の撤廃

 株式等の譲渡の対価等の支払調書及び名義 人受領の株式等の譲渡の対価の調書の提出が 不要となる株式等の譲渡の対価等の限度額が 撤廃されたことに伴い、これらの調書を同一 人に対する一回の支払ごとに作成し、提出す る場合における提出が不要となる上記1 ⑴② 及び⑵②の株式等の譲渡の対価等の限度額

(30万円以下)も撤廃され、全ての支払調書 の提出を要することとされました(措規18の 17①③)。

(注) 株式等の譲渡の対価等の支払調書及び名 義人受領の株式等の譲渡の対価の調書に関 する改正は、後述「二十九 支払調書等の 改正」を参照してください。

⑵ 上場投資信託等の償還金等に係る支払調書の 提出義務者等の特例の改正

 所得税法の改正により、株式等の譲渡の対価 等の支払調書の提出対象となる償還金等の範囲 に、次に掲げる償還金等が追加されたことに伴 い、これらの償還金等でその交付の基因となっ た受益権又は公社債が上場株式等に該当するも のをその国内における交付の取扱者が交付する 場合にも、その交付の取扱者が、その償還金等 の受領者から氏名又は名称及び住所の告知を受 け、株式等の譲渡の対価等の支払調書を提出し なければならないこととされました(措法38③)。

① 公社債投資信託又は公社債等運用投資信託 の終了若しくは一部の解約により交付を受け る金銭その他の資産のうち一定のもの

② 社債的受益権又は公社債の元本の償還によ り交付を受ける金銭その他の資産(その金銭 その他の資産とともに交付を受ける金銭その 他の資産で公社債の元本の価額の変動に基因 するものを含みます。以下同じです。)

③ 分離利子公社債(公社債で元本に係る部分 と利子に係る部分とに分離されてそれぞれ独 立して取引されるもの(ストリップス債)の うち、その利子に係る部分であった公社債を いいます。以下同じです。)に係る利子とし て交付を受ける金銭その他の資産

 あわせて、この特例が適用されて償還金等の 受領者からの告知及び支払調書の提出が行われ る償還金等の交付をする者は、その償還金等に つき償還金等の受領者の告知の手続及び株式等 の譲渡の対価等に係る支払調書の提出を行うこ とが不要であることが明確化されました(措法 38④)。

 なお、上記の「国内における交付の取扱者」

とは、上場株式等の配当等に係る源泉徴収義務 等の特例(措法 9 の 3 の 2 )により、その投資 信託等、社債的受益権又は公社債に係る上場株 式等の配当等の源泉徴収義務者となる国内にお ける支払の取扱者に該当するものをいいます

(措令25の15②)。

(注) 償還金等の交付を受ける者が公共法人等(国 及び次に掲げる法人をいいます。以下同じで す。)である場合には、その償還金等の受領者 の告知及び支払調書の提出は不要とされてい ます(措令25の15①)。

イ 法人税法別表第一に掲げる法人 ロ 特別の法律により設立された法人(そ

の特別の法律において、その法人の名称 が定められ、かつ、その名称として用い られた文字を他の者の名称の文字として 用いてはならない旨の定めのあるものに 限ります。)

ハ 外国政府、外国の地方公共団体及び国 際間の取極に基づき設立された機関のう ち日本国が構成員になっているものその 他国を構成員とするもので財務大臣が指 定するもの

⑶ 国外発行の公社債等の償還金等の支払調書の 提出義務者等の特例の新設

 国外の投資信託等及び公社債等の償還金等の 適正な課税を確保する観点から、国外において 発行された投資信託等の受益権又は公社債等の 償還金等で国内における金融機関を通じて交付 がされる場合には、その金融機関を株式等の譲 渡の対価等の支払調書の提出義務者等とする特 例が設けられました。

 具体的には、国外において発行された投資信 託若しくは特定受益証券発行信託(以下「投資 信託等」といいます。)の受益権又は公社債、

社債的受益権若しくは分離利子公社債(以下

「公社債等」といいます。)を有する者(公共法 人等を除きます。)が、その投資信託等又は公 社債等に係る償還金等(国外において交付され るものに限ります。)を国内における交付の取 扱者を通じて交付を受ける場合には、その償還 金等は国内において交付されるものと、その交 付の取扱者をその償還金等の交付をする者とし て、その交付の取扱者が、償還金等の受領者か らその者の氏名又は名称及び住所の告知を受け、

株式等の譲渡の対価等に係る支払調書を提出し なければならないこととされました(措法38⑤)。

① 償還金等の範囲

 上記の償還金等の範囲は、改正後の上記⑵ の特例と同様に償還金等の受領者の告知(所 法224の 3 ④、所令346)の対象となる償還金 等ですが、具体的には次のものです。

イ 投資信託等の終了若しくは一部の解約又 は特定受益証券発行信託に係る信託の分割 により交付を受ける金銭その他の資産のう ち一定のもの

(注) 上記の「金銭その他の資産のうち一定 のもの」とは、投資信託等の終了若しく は一部の解約又は特定受益証券発行信託 に係る信託の分割により交付を受ける金 銭その他の資産のうち、所得税法施行令 第58条の規定により収益の分配の額とし て利子所得又は配当所得の収入金額とさ れる部分の金額を除いた金額です(所令 346①②)。

ロ 社債的受益権又は公社債の元本の償還に より交付を受ける金銭その他の資産 ハ 分離利子公社債に係る利子として交付を

受ける金銭その他の資産

② 国内における交付の取扱者の範囲

 上記の「国内における交付の取扱者」とは、

国外で発行された公社債等の利子所得の分離 課税等の特例(措法 3 の 3 )又は国外で発行 された投資信託等の収益の分配に係る配当所 得の分離課税等の特例(措法 8 の 3 )により、

その投資信託等の受益権又は公社債等に係る 国外公社債等の利子等又は国外投資信託等の 配当等の源泉徴収義務者となる国内における 支払の取扱者に該当するものをいいます(措 令25の15③)。

③ 名義人受領の株式等の譲渡の対価の調書の 適用

 国外において発行された投資信託等又は公 社債等に係る償還金等を国内における交付の 取扱者を通じて交付を受ける場合には、その