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 改正前の制度では、個人の公社債や公社債投資 信託等の受益権の譲渡による所得が非課税とされ ていたことから、譲渡の対価又は償還金等の受領 者の告知制度の対象とされていませんでしたが、

平成28年 1 月 1 日以後に支払又は交付を受けるべ きこれらの譲渡の対価又は償還金等については告 知制度が適用されることとなることに伴い、次の ような経過措置が設けられています。

 具体的には、平成27年12月31日において次に掲 げる受益権又は公社債(以下「公社債等」といい ます。)を金融商品取引業者等の営業所において その金融商品取引業者等の社債、株式等の振替に

関する法律に規定する振替口座簿に記載若しくは 記録を受け、又は保管の委託をしている者が、平 成28年 1 月 1 日以後最初にその公社債等の譲渡の 対価(償還金等を含みます。以下同じです。)の 支払(償還金等の交付を含みます。以下同じで す。)を受ける日までにその金融商品取引業者等 の営業所の長に上記1 ⑴②イからニまでによる告 知に相当する告知をした場合には、その告知をし た場合は上記1 ⑴②ロの株式等の保管の委託に関 する契約を締結する際に告知をした場合と、その 公社債等の譲渡の対価はその譲渡の時までその契 約に基づき保管の委託をしていた株式等の譲渡の 対価として取り扱い、平成28年 1 月 1 日以後にそ の公社債等の譲渡の対価の支払を受ける際には、

告知を要しないこととされました( 5 月改正所令 附則 8 )。

① 公社債投資信託及び公社債等運用投資信託の 受益権

② 特定目的信託の社債的受益権

③ 上記2 ⑴③の公社債(新株予約権付社債を除 きます。)

(注) 上記の新株予約権付社債には、資産の流動 化に関する法律の転換特定社債及び新優先出 資引受権付特定社債を含みます。

二十九 支払調書等の改正

1  改正前の制度の概要

⑴ 利子等の支払調書

① 国内において利子等の支払をする者(国外 において発行された公社債又は公社債投資信 託若しくは公募公社債等運用投資信託の受益 権に係る利子等で居住者又は内国法人に対し て支払われるものの国内における支払の取扱 者を含みます。)は、その支払の確定した日 の属する年の翌年 1 月31日までに、利子等の 支払を受ける者の各人別に、利子等の支払調 書を、その利子等に係る納税地の所轄税務署 長に提出しなければならないこととされてい

ます(所法225①一、所規82①)。

② ただし、その利子等が障害者等の少額預金 の利子所得等の非課税(所法10)の適用を受 けるものなど、所得税法又は租税特別措置法 の規定により非課税又は源泉徴収を要しない ものとされているものである場合には、その 利子等については利子等の支払調書の提出は 要しないこととされています(所規82②一)。

⑵ 配当等の支払調書

① 居住者又は内国法人に対し、国内において 配当等の支払をする者(国外において発行さ れた投資信託(公社債投資信託及び公募公社

債等運用投資信託を除きます。)若しくは特 定受益証券発行信託の受益権又は株式(優先 出資、公募公社債等運用投資信託以外の公社 債等運用投資信託の受益権及び社債的受益権 を含みます。)に係る配当等で居住者又は内 国法人に対して支払われるものの国内におけ る支払の取扱者を含みます。)は、その配当 等の支払を受ける者の各人別に、その支払の 確定した日から 1 月以内に、配当等の支払調 書を、その配当等に係る納税地の所轄税務署 長に提出しなければならないこととされてい ます(所法225①二、所規83①)。

② ただし、その配当等が障害者等の少額預金 の利子所得等の非課税(所法10)の適用を受 けるものなど、所得税法又は租税特別措置法 の規定により非課税又は源泉徴収を要しない ものとされているものである場合には、その 配当等については配当等の支払調書の提出は 要しないこととされています(旧所規83②五)。

⑶ 無記名割引債の償還金の支払調書

 国内において無記名割引債の償還金の支払を する者は、その支払の確定した日の属する年の 翌年 1 月31日までに、その償還金の支払を受け る者の各人別に、無記名割引債の償還金の支払 調書を、その支払をする者の事務所、事業所そ の他これらに準ずるものでその償還金の支払事 務を取り扱うものの所在地の所轄税務署長に提 出しなければならないこととされていました

(旧所法225①七、旧所規88の 2 )。

(注) 上記の無記名割引債の範囲は、前述「二十七  利子、配当、償還金等の受領者の告知の改 正」の1 ⑶の(注)を参照してください。

⑷ 株式等の譲渡の対価等の支払調書

① 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居 住者(以下「居住者等」といいます。)に対 し国内において株式等の譲渡の対価の支払を する者又は株式等証券投資信託等の償還金等 の交付をする者は、株式等の譲渡の対価等の

支払調書を、その支払又は交付の確定した日 の属する年の翌年 1 月31日までに、その支払 又は交付をする者の事務所、事業所その他こ れらに準ずるものでその対価の支払事務又は 償還金等の交付事務を取り扱うものの所在地 の所轄税務署長に提出しなければならないこ ととされています(旧所法225①十、旧所規 90の 2 )。

② ただし、同一人に対するその年中の株式等 の譲渡の対価の支払金額又は償還金等の交付 金額が100万円以下であるときは、その株式 等の譲渡の対価又は償還金等については当該 支払調書の提出を要しないこととされていま した(旧所規90の 2 ②)。

③ この支払調書の対象となる株式等の範囲は、

前述「二十八 株式等の譲渡の対価の受領者 等の告知の改正」の1 ⑴③の株式等と同様で す。また、株式等証券投資信託等の償還金等 の範囲は、前述二十八の1 ⑵①と同様です。

⑸ 交付金銭等の支払調書

① 居住者等に対し国内において交付金銭等の 交付をする者は、その交付の基因となった事 由ごとに、その支払の確定した日の属する年 の翌年 1 月31日までにその交付金銭等の交付 を受ける者の各人別に、交付金銭等の支払調 書を、その交付をする者の事務所、事業所そ の他これらに準ずるものでその交付金銭等の 交付事務を取り扱うものの所在地の所轄税務 署長に提出しなければならないこととされて います(旧所法225①十一、所規90の 3 )。

② ただし、同一人に対するその交付金銭等の 額(その交付が 2 回以上にわたって行われた 場合には、その累計額)が30万円以下である ときは、その交付金銭等については当該支払 調書の提出を要しないこととされていました

(旧所規90の 3 ②)。

⑹ 信託の計算書

① 信託(所得税法第13条第 1 項ただし書に規

定する集団投資信託、退職年金等信託又は法 人課税信託を除きます。以下同じです。)の 受託者は、その信託に係る受益者等別に、信 託の計算書を、信託会社については毎事業年 度終了後 1 月以内に、信託会社以外の受託者 については毎年 1 月31日までに、その受託者 の事務所、事業所その他これらに準ずるもの でその信託に関する事務を取り扱うものの所 在地の所轄税務署長に提出しなければならな いこととされています(所法227、所規96①)。

② ただし、信託会社については各事業年度中、

信託会社以外の受託者については前年中の各 人別の信託財産に帰せられる収益の額の合計 額が 3 万円(その合計額の計算の基礎となっ た期間が 1 年未満である場合には、 1 万 5 千 円)以下であるときは、その信託に係る当該 計算書の提出を要しないこととされています

(所規96②)。

 なお、その信託が次に掲げる場合に該当す るときは、上記の収益の提出省略基準額の適 用はなく、その信託に係る当該計算書の提出 が必要となります(旧所規96③)。

イ 特定寄附信託である場合

ロ 収益の額に確定申告不要制度(旧措法 8 の 5 ①二~四)の対象となる配当等が含ま れる場合

⑺ 名義人受領の株式等の譲渡の対価の調書

① 業務に関連して他人のために名義人として 株式等の譲渡の対価の支払を受ける者は、名 義人受領の株式等の譲渡の対価の調書を、そ の支払を受けた日の属する年の翌年 1 月31日 までに、その支払を受ける者の事務所、事業 所その他これらに準ずるものでその他人のた めに名義人としてその株式等の譲渡の対価の 支払を受ける契約に関する事務を取り扱うも のの所在地の所轄税務署長に提出しなければ ならないこととされています(所法228②、

所規97⑤)。

② ただし、同一人に対するその年中の株式等

の譲渡の対価の額が100万円以下であるとき は、その株式等の譲渡の対価に係る当該調書 の提出を要しないこととされていました(旧 所規97⑥)。

(注) 上記の「株式等の譲渡の対価の支払」に は、上記⑷の株式等証券投資信託等の償還 金及び⑸の交付金銭等の交付を含みます。

2  改正の内容

⑴ 利子等の支払調書及び配当等の支払調書の改

 上記1 ⑴②及び⑵②の利子等の支払調書又は 配当等の支払調書の提出を要しない利子等又は 配当等の範囲に、資本金等 1 億円以上の内国法 人が支払を受ける公社債等の利子所得等の源泉 徴収不適用の特例(措法 8 ③)の適用を受ける 公社債の利子及び特定目的信託の社債的受益権 の剰余金の配当が追加されました(所規82②一、

83②五)。

(注) これまで利子等の支払調書又は配当等の支 払調書の提出を要しないこととされていた公 社債の利子、公社債投資信託若しくは公社債 等運用投資信託の収益の分配又は社債的受益 権の剰余金の配当に関する改正は、前述「一  利子所得の分離課税の改正」及び「五 私募 公社債等運用投資信託等の収益の分配に係る 配当所得の分離課税等の改正」を参照してく ださい。

⑵ 株式等の譲渡の対価等の支払調書の改正  株式等の譲渡の対価等の支払調書について、

次の改正が行われました。

① 株式等の譲渡の対価の範囲の拡充

 この調書の対象となる上記1 ⑷③の株式等 の譲渡の対価の範囲に、居住者等に対して支 払う次に掲げる受益権又は公社債の譲渡の対 価が追加されました(所法224の 3 ②、225① 十、所令344の 2 、所規90の 2 ①)。

イ 公社債投資信託及び公社債等運用投資信 託の受益権