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第4章 実証研究の方法と仮説

2. 分析方法

(1)調査紙

前述のとおり、

Paul E.Spector

JSS

(Job Satisfaction Survey)の調査項目は全部で

36

問であり、職業に関する9の項目(給料、昇進、上司、福祉、特別報酬、作業手順、同僚、

業務の性質、交流)について尋ねるものである。

各項目には

4

つの選択肢があり、点数の範囲は

4

点から

24

点で、14点が中間値とされ ている。同じように、全体的満足度の中間値は

126

点である。調査紙全文は付録1として 文末に添付してあるが、以下に例を示しておく。

項目

1 仕事に対する報酬は公平だと思う 1 2 3 4 5 6 2 昇進の機会が少ない 1 2 3 4 5 6 3 上司はこの仕事に適任だ 1 2 3 4 5 6 4 今の給付内容に満足していない 1 2 3 4 5 6 5 いい仕事をすれば能力を認められる 1 2 3 4 5 6 6 手続や規則が多く、繁雑すぎて、いい仕事ができない 1 2 3 4 5 6 7 同僚に好感を持っている 1 2 3 4 5 6

55

ストレス度簡易調査票の判定モデルは、

10

点及び

10

点以上は厳重なストレス症状があり、

速やかに対応措置を求めている状況にある。

5

点から

9

点の状況はストレス症状があり、休 憩をとり、自己調整ができる範囲である。

5

点以下の場合はストレス症状がなく正常である。

アンケート調査を実施する際には、最初に説明分を読み上げ、アンケート調査の趣旨や 調査結果の使用状況などを調査対象者に説明した後、匿名により回答を得た。26この調査紙 は公共機関または NPO のメンバーを対象として職業満足度を調査するために開発されたも のであり、公務員の調査にも適している。

調査紙の例:

あなたの仕事についてお尋ねします。最もあてはまるものに○を付けてください。

そ そま ちや ち う うあ がや が だ だ う う 1. 非常にたくさんの仕事をしなければならない---1 2 3 4 2. 時間内に仕事が処理しきれない---1 2 3 4 3. 一生懸命働かなければならない---1 2 3 4 4. かなり注意を集中する必要がある--- 1 2 3 4 5. 高度の知識や技術が必要なむずかしい仕事だ--- 1 2 3 4 なお、職業性ストレス簡易調査票(東京医科大学、1998、2005年改訂)は、1か月の体 調ストレス、職場のストレス感(仕事と人間関係)、ストレスがある時の解決方法を調査 するものである。本研究は職業性ストレス中心の研究ではないため、補助的にこの調査票 を選んだ。

統計ソフトの

SPSS17.0

は、データ整理のために応用されたソフトである。

(2)データ収集と統計

本研究のアンケート調査対象はすべて上海市と神奈川県の地方公務員である。調査紙各

200

部を配布し、実際に回収したのは上海の

172

部と神奈川県の

153

部である。

ア. 性別

調査対象者の属性は以下のとおりである。調査対象の男女比例は表4-2のように、上 海の調査対象は6:4、神奈川県は7:3である。完全に1:1ではないが、調査対象者

26説明文は以下のとおりである「私こと貝蕾は、横浜国立大学大学院国際社会科学研究科の博士課程にお いて、日中の地方公務員の心理契約について研究をしております。今回はその一環として中国上海市と神 奈川県の地方公務員各200名を対象に、職務満足度と仕事ストレス度についてアンケート調査を実施させ ていただきたく存じます。皆様にはご多忙のところ申し訳ありませんが、ご協力のほどよろしくお願い申 し上げます。なお、本調査で得られたデータは、博士論文のためにのみ用いられます。また、データは集 合体として扱い、回答者の個人名が特定されることはありません。

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数が多いため、研究結果の信用度に対する影響は限定的と考えられる。

表4-2 上海市調査対象者の性別状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 女性 64 37.2 37.2 37.2

男性 108 62.8 62.8 100

合計 172 100 100

表4-3 神奈川県調査対象者の性別状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 女性 46 30.1 30.1 30.1

男性 107 69.9 69.9 100.0

合計 153 100.0 100.0

イ. 年齢階層

調査対象の年齢層を見ると、上海市の調査対象は

50

歳以上が少ないが、他の年齢層は平 均的に分布している。年齢因子が職業満足度やストレス度に対する影響を測る際には有利 である。神奈川県の調査対象の年齢層を見ると、40代が

4

割を占めている、30歳以下と

50

歳以上は

1

割未満で、調査結果に多少の影響があると考えられる。

表4-4 上海市調査対象者の年齢状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効

30歳以下 52 30.2 30.2 30.2

30-35 40 23.3 23.3 53.5

36-40 38 22.1 22.1 75.6

41-50 40 23.3 23.3 98.8

50歳以上 2 1.2 1.2 100

合計 172 100 100

表4-5 神奈川県調査対象者の年齢状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 30歳以下 6 3.9 3.9 3.9

30-35 18 11.8 11.8 15.7

36-40 50 32.7 32.7 48.4

41-50 74 48.4 48.4 96.7

50歳以上 5 3.3 3.3 100.0

合計 153 100.0 100.0

57 ウ. 学歴

上海市の調査対象者の

6

割が大学卒、

2

割が専門学校や短大卒で、1割が院卒である。高 卒の地方公務員は

1%未満で最も少ない。

一方、神奈川県の調査対象の

7

割以上が大卒、修士修了者が上海市と同じく8%で、高 卒が専門学校や短大卒より多く、7.8%を占めている。

表4-6 上海市調査対象者の学歴状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 高卒 1 0.6 0.6 0.6

専門学校、短大 41 23.8 23.8 24.4

大卒 114 66.3 66.3 90.7

修士号 14 8.1 8.1 98.8

修士号以上 2 1.2 1.2 100

合計 172 100 100

表4-7 神奈川県調査対象者の学歴状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 高卒 12 7.8 7.8 7.8

専門学校卒 10 6.5 6.5 14.4

大卒 118 77.1 77.1 91.5

修士修了 13 8.5 8.5 100.0

合計 153 100.0 100.0

エ. 勤務年数

上海市の調査対象者のうち、勤務年数

10

年以上の公務員と勤務年数

10

年以下の公務員 の比例は約6:4である。神奈川県の調査対象者の場合、勤務年数

10

年以下の公務員と

10

年以上

20

年未満の人と勤務年数

20

年以上の公務員の比例は約

1:6:3

であり、ベテラン職員 と新人職員の比較が可能である。

表4-8 上海市の調査対象者の勤続年数状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 1年以下 5 2.9 2.9 2.9

1-3 17 9.9 9.9 12.8

3-5 20 11.6 11.6 24.4

6-10 22 12.8 12.8 37.2

10年以上 108 62.8 62.8 100

合計 172 100 100

58

表4-9 神奈川県調査対象者の勤続年数状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 1年以内 2 1.3 1.3 1.3

1-5 10 6.5 6.5 7.8

6-10 7 4.6 4.6 12.4

11-20 95 62.1 62.1 74.5

20年以上 39 25.5 25.5 100.0

合計 153 100.0 100.0

オ. 職位

職位は、表4-10のとおりとなっている。なお、神奈川県の調査対象は県職員と市町村 の職員の2種類に分かれている。7割以上が県職員であり、市町村職員は

3

割未満である。

上海市の調査対象にも市の職員と区の職員がいるので、今回の調査対象は上海市と神奈川 県の地方公務員を代表すると思われる。

表4-10 上海市の調査対象者の職位状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント 有効 一般事務 73 42.4 42.4 42.4

副科長 46 26.7 26.7 69.2

正科長 48 27.9 27.9 97.1

副処長 5 2.9 2.9 100

合計 172 100 100

*「公務員法」の職級によると、一般事務=15-10級、副科長=9-13 級正科長=9-12 級副処長=10-11 級

表4-11 神奈川県調査対象者の職位状況

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 係員 74 48.4 70.5 70.5

係長級 28 18.3 26.7 97.1

課長補佐級 3 2.0 2.9 100.0

合計 105 68.6 100.0

欠損値 システム 48 31.4

合計 153 100.0

そして、神奈川県調査対象の4分の1以上は民間企業の勤務経験がある。民間企業の勤 務経験がどの程度地方公務員の満足度に影響があるのかも調査する予定である。

59

表4-12 神奈川県調査対象者の部門

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 県職員 115 75.2 75.2 75.2

市町村職員 38 24.8 24.8 100.0

合計 153 100.0 100.0

表4-13 神奈川県調査対象者の民間企業勤務経歴

度数 パーセント 有効パーセント 累積パーセント

有効 ある 40 26.1 26.1 26.1

なし 113 73.9 73.9 100.0

合計 153 100.0 100.0

(3)インタビュー調査の概要

アンケート調査の後にインタビューを実施する。これは個人インタビューをつうじて 調査結果を討論し、公務員の見方と感想を直接収集するためである。客観的なデータ結果 と併せて分析することで、結論の信用性が向上すると考えられる。

・インタビュー調査対象

上海市:上海市地方公務員

10

華東師範大学行政管理学教授 業績管理学教授

政治学教授

危機管理専攻副教授

中国共産党上海市委員会共産党学校 役員 神奈川県:公務員人事担当者

・インタビュー調査内容

有意差があった項目に対する意見

職業ストレスの解消方法(職場内外のサポート)

地方公務員の満足度を高めるための意見 地方公務員のモチベーション向上に関する意見 国や国民に奉仕する精神を強めるための意見

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