第 6 章 共振器ポラリトンの超高速分光 85
6.4 結言
94 第6章 共振器ポラリトンの超高速分光
参考文献 95
参考文献
[1] M. G. Raizen, R. J. Thompson, R. J. Brecha, H. J. Kimble, and H. J. Carmichael.
Normal-mode splitting and linewidth averaging for two-state atoms in an optical cavity. Phys. Rev. Lett., Vol. 63, pp. 240–243, 1989.
[2] C. Weisbuch, M. Nishioka, A. Ishikawa, and Y. Arakawa. Observation of the coupled exciton-photon mode splitting in a semiconductor quantum microcavity.
Phys. Rev. Lett., Vol. 69, pp. 3314–3317, 1992.
[3] D.G. Lidzey, D.D.C. Bradley, M.S. Skolnick, T. Virgili, S. Walker, and D.M.
Whittaker. Strong exciton-photon coupling in an organic semiconductor micro-cavity. Nature, Vol. 395, No. 6697, pp. 53–55, 1998.
[4] B. R. Mollow. Power spectrum of light scattered by two-level systems. Phys.
Rev., Vol. 188, pp. 1969–1975, 1969.
[5] C. C. Yu, J. R. Bochinski, T. M. V. Kordich, T. W. Mossberg, and Z. Ficek.
Driving the driven atom: Spectral signatures. Phys. Rev. A, Vol. 56, pp. R4381–
R4384, Dec 1997.
[6] F. Quochi, G. Bongiovanni, A. Mura, J. L. Staehli, B. Deveaud, R. P. Stanley, U. Oesterle, and R. Houdr´e. Strongly driven semiconductor microcavities: From the polariton doublet to an ac stark triplet. Phys. Rev. Lett., Vol. 80, pp. 4733–
4736, 1998.
[7] S. M. Ulrich, S. Ates, S. Reitzenstein, A. L¨offler, A. Forchel, and P. Michler.
Dephasing of triplet-sideband optical emission of a resonantly driven InAs/GaAs quantum dot inside a microcavity. Phys. Rev. Lett., Vol. 106, p. 247402, 2011.
[8] C. Roy and S. Hughes. Phonon-dressed mollow triplet in the regime of cavity quantum electrodynamics: Excitation-induced dephasing and nonperturbative cavity feeding effects. Phys. Rev. Lett., Vol. 106, p. 247403, 2011.
[9] D. G. Lidzey, D. D. C. Bradley, T. Virgili, A. Armitage, M. S. Skolnick, and S. Walker. Room temperature polariton emission from strongly coupled organic semiconductor microcavities. Phys. Rev. Lett., Vol. 82, pp. 3316–3319, 1999.
[10] K. Ishii, S. Nakanishi, and N. Tsurumachi. Ultrafast transition between polariton doublet and alternating current stark triplet in organic one-dimensional photonic crystal microcavity. Appl. Phys. Lett., Vol. 103, No. 1, p. 013301, 2013.
[11] R Gagel, R Gadonas, and A Laubereau. Evidence for biexcitons and dynamic stark effect in J-aggregates from femtosecond spectroscopy. Chemical physics
96 第6章 共振器ポラリトンの超高速分光 letters, Vol. 217, No. 3, pp. 228–233, 1994.
97
第 7 章
結論
本研究は有機色素を含む1次元フォトニック結晶微小共振器中での共振器ポラリトンの 超高速分光を行い,ACシュタルク三重項を観測することを目標とした.そして共振器ポ ラリトンの光デバイスへの応用の可能性を提案した.以下に本論文の総括を述べる.
本研究では.シアニン系有機色素であるPICを用いた.PICは高濃度の場合自己組織 的に配向してJ会合体を形成する.PIC/gelatine薄膜を作製して吸収・発光スペクトル を測定した場合,2.14eVに吸収ピークを持つJ会合体に起因する鋭い吸収スペクトルを 観測した.また発光は,ストークスシフトのほとんどない強い発光スペクトルを観測し た.次に,PICとチタン酸ナノシート複合体を作製した.PIC/HTO 複合体は PICが HTOナノシートの層間に挿入されてサンドウィッチ構造を形成している.PICがHTO の層間に入り込む際にPICが配向し会合体を形成する.PIC/HTO複合体では,PICは J会合体を形成している.吸収スペクトルを測定した結果,モノマーの吸収ピークに比べ て低エネルギー側にシャープな吸収ピークを観測したことから,PIC/HTO複合体中で PICがJ会合体を形成していることが分かる.PIC/HTO複合体ではPICのからHTO へ電子移動が起こりその結果,発光が消失している.
次に,PIC J会合体を含む1次元フォトニック結晶微小共振器を作製して共振器ポラリ
トンの観測を行った.まずPIC/gelatineを含む1次元フォトニック結晶微小共振器で共 振器ポラリトンの観測を行った.サンプルの作製方法は,スピンコート法を用いた簡便な 方法を使用した.作製したサンプルの透過スペクトルから共振器ポラリトンの分散関係を 測定した.その結果PIC/gelatine薄膜を含む1次元フォトニック結晶微小共振器中での 共振器ポラリトンは,49.2 meVのラビ分裂エネルギーを示した.次に発光が消失した系 での共振器ポラリトンの観測を行うため,PIC/HTO複合体を含む1次元フォトニック結 晶微小共振器を作製した.その結果発光が消失した系においても共振器ポラリトンの観測 に成功した.これは,共振器ポラリトンの生成にはコヒーレントなエネルギー交換過程が 必要であるため,インコヒーレントな過程である発光過程は必要ないためである.このコ
98 第7章 結論 ヒーレントなエネルギー交換の周波数がラビ周波数であり,このエネルギー交換がPIC からHTOへの電子移動よりも速く起っていることが分かる.ラビ分裂エネルギーから考
えると720fsよりもPICからHTOへの電子移動が遅いことが分かる.
最後に,有機色素J 会合体を含む1次元フォトニック結晶微小共振器でのACシュタ ルク三重項の観測を行った.まず透過光強度の入射光強度依存性を観測した.入射光強度 が低い場合は共振器ポラリトンに起因する,2つの透過ピークが観測された.強度が高く なった場合は共振器ポラリトンに起因する2つのピークの間から,新たにACシュタルク 三重項による透過ピークを観測した.次に,作製したサンプルに対してポンプ・プローブ 過渡透過分光を行った.その結果,共振器ポラリトン状態から,ACシュタルク三重項状 態への遷移を観測した,その後共振器ポラリトン状態へ緩和していく様子を観測した.そ の緩和時間は210fsという非常に速い緩和であった.このACシュタルク三重項を利用す ることによって,光スイッチングを行うことが可能であると考えている.
99
謝辞
本研究を行うにあたって,私が研究室に配属されてこれまでご指導くださいました鶴町 徳昭准教授に深く感謝を申し上げます.鶴町先生からは,学問だけでなく深く人生につい て学ばせて頂きました.6年半という長くもあり,短くもある期間でしたが本当にお世話 になりました.
本研究の副査を引き受けてくださいました,中西俊介教授,舟橋正浩教授に深く感謝を 申し上げます.中西先生,舟橋先生のお二方からのご指導によって本論文をかき上げるこ とが出来ました,有難う御座いました.中西先生におかれましては,学会発表・投稿論文 の共著者として様々なご指導頂きました事に関してもこの場を借りてお礼申し上げます.
本研究で用いたサンプルとして用いたチタン酸ナノシートを提供して頂きました馮旗教 授,また実際にチタン酸ナノシートを合成して頂きました陳常東さんには深く感謝致しま す.チタン酸ナノシートを用いることによって,大変興味深い物理現象を観ることができ ました.
主論文である”Formation of aggregates in nanohybrid material of dye
molecules-titanate nanosheets.”において共著者として研究を行なってくださった,岡本太樹さん,
鴻上弘伸さん,石井知彦教授,高橋尚志,Chunsheng Douさん,Puhong Wenさんにこ の場を借りて御礼を申し上げます,有難う御座いました.
2012年の 1月から3月まで分子科学研究所で私を研究員として受け入れて下さいまし た,藤研究室の藤貴夫准教授と野村雄高助教にこの場を借りて感謝を申し上げます.お二 方は香川大学という場所での研究しか知らなかった私に新たな知見を与えて下さいまし た.この経験は本論文を書き上げるために大きな力となりました,有難う御座いました.
鶴町研究室で先輩として,そして同じ博士課程を修める者として共に切磋琢磨した白井 英登さんにこの場を借りて深く感謝を申し上げます.白井さんは博士課程で学問を修める にあたって良き目標となってくださいました,有難う御座いました.
鶴町研究室で,これまで共に研究をしてきた先輩,後輩そして同級生の米田弘志君,服 部佳祐君,森貴敏君にこの場を借りて感謝を申し上げます.特に,鶴町研究室10期生の 鈴木信さんには本論文の5章における”非発光な系を含む微小共振器中での共振器ポラリ