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第 3 章 アナトリア方言について

3.2 先行研究

トルコの全体的な方言地図は未完成であるが、アナトリア方言をまとめた方言分類に 関 す る 研 究 は い く つ か 存 在 す る (Kúnos 1896、Caferoğlu 1946、Caferoğlu 1959、

Banguoğlu 1990など)14。アナトリア方言を最初に分類したのはKúnos(1896)であり、

その後の代表的な分類としては Caferoğlu(1946,1959)と Banguoğlu(1990)による分類 がある。

さらに、現在、アナトリア方言についての代表的な研究として Karahan(2011)によ る『アナトリア方言分類』がある。

Karahan によれば、「現在、アナトリアに多様な方言が存在することは 11世紀からア

ナトリアに移住して来たオグズ族の様々な方言特徴に由来している。加えて、歴史上の 各時代における様々な理由から、オグズ族以外のチュルク系民族とそれ以外の民族がア ナトリアに移住してきたことも重要な要因になっている。全く同じまたは似ている特徴 があるこの方言は歴史的・民族的につながりを持ち、アナトリアの近郊に分布している。

14筆者は未見であり、Buran 2011:42-43)からの転載である。

このグループは国内移住が原因で混合あるいは融合しており、教育やメディアによる影 響があるにもかかわらず、存在し続けている(Karahan 2011:1)。」15と指摘される。

さらに、アナトリア方言は音声的・形態的・統語的な根拠にもとづいて東グループ、

北東グループ、西グループの三つのグループに分類されている。チャナッカレ方言は、

このうち西グループに属する。それぞれの方言グループの分類は以下の地図 1 の通りで ある。

地図116 トルコの方言グループの分類

上記の地図 1 のⅢで示されるところはチャナッカレ方言が属する西グループ方言に相 当するところである。地図にも見られる通り、アナトリアの大部分を占めている。

なお、Karahan(2011)によれば、各グループはさらにそれぞれの方言グループに下位 分類されるが、ここでは本論に関連するⅢの下位分類だけを提示したい。上記の地図の

Ⅲで示される西グループの下位分類は、以下の地図 2 に表示される九つの下位グループ から成っており、チャナッカレ方言はⅠグループに属している。

15 Anadolu'da bugün birbirinden farklı ağızların bulunması, 11.yüzyıldan itibaren bu topraklara yerleşen Oğuz boylarının farklı ağız özelliklerine sahip olmasından kaynaklanmaktadır. Anadoluya çeşitli zamanlarda ve çeşitli vesilelerle gelen Oğuz dışı Türk unsurlarla, yabancı unsurların da bu ağızların oluşumunda önemli katkıları olmuştur. Aynı veya benzer özelliklere sahip bu ağızlar, tarihi ve etnik yapı ile bağlantılı olarak Anadolu'nun belirli yörelerinde kümelenmiştir. Bu kümeler iç göçlerin doğurduğu karışma ve kaynaşmalara, eğitim-öğretimin ve iletişim araçlarının etkisine rağmen, henüz varlıklarını sürdürmektedirler (Karahan2011:1)

16:東グループ方言、Ⅱ:北東グループ方言、Ⅲ:西グループ方言の位置を示している(Karahan2011:

Harita 2)。

地図2 西グループ方言の下位分類

さらにトルコの方言研究が行われた地域を示す Karahan(2011)の地図を下記地図 3 に 示す。

地図317 トルコの方言研究が行われた地域

この中で、本論文で取り扱っているチャナッカレ方言に関して先行研究は存在するが 綿密なものではなく、トルコ語方言全体から見ても研究が十分になされていない地域で あるといえる。次節で、チャナッカレ方言についての具体的な情報を見ていく。

17 Karahan(2011)によるアナトリア方言について行われてきた研究を表す地図(赤色のスポットは博士レ

ベルの研究が実施された地点であることを示す。黄色および緑色のスポットもこれまでに研究がなされ た地点であることを示すが、学術的水準に達しないものであることを示す)。