第 3 章 石灰石骨材のすべり抵抗に関する検討
3.2 供用されている石灰石コンクリートの現地調査
3.2.1 調査目的
石灰石骨材を用いたコンクリート舗装の実道におけるすべり抵抗の調査。
3.2.2 調査箇所
現地調査は、2012年6月から2014年3月にかけて、下記の表3-2-1に示すA~Iまでの全 9箇所で行なった。路面の様子を写真3-2-1~3-2-9に示す。供用年数が短い箇所は、路面の すり減りがあまり進んでおらず、路面がモルタルに覆われている箇所も認められたが、供 用20年を超えるような長期供用箇所は粗骨材まで完全に摩耗していた。調査箇所A、Bは 比較のための、石灰石骨材以外を使用したコンクリート舗装である。また、調査箇所 D は 細骨材に混合砂を使用しているが石灰石砕砂の割合が大きく、ほぼ石灰石砕砂を使用して いる箇所である。ただし、配合割合は不明である。
写真3-2-1 A 写真3-2-2 B
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写真3-2-3 C 写真3-2-4 D
写真3-2-5 E 写真3-2-6 F
写真3-2-7 G 写真3-2-8 H
28 3.2.3 調査手法
調査では BPT(スキッドレジスタンステスター)によりBPN(ブリティッシュペンデュ
ラムナンバー)を、DFT(回転式すべり抵抗測定器、写真3-2-10)により動摩擦係数を測定 した。測定方法は舗装調査試験法便覧に準拠した。BPT は、簡易なすべり抵抗の測定装置 として広く普及している機材である。測定では、測定器の振り子を路面に接触するように 自由落下させ、反対側に振り上がった高さを付属のメモリで読み取り、BPN を得る。振り 子には、幅約8cm のゴム板が付けてあり、このゴム板を路面に接触させる。このときの接 触距離は約13cmである。BPNは路面との摩擦が全くない時を0として、値が大きくなるほ どすべり抵抗が高いことを示している。BPT は英国で開発された測定機器であり、英国で はBPNの基準値として一般道では 45以上と規定が示されている(2-22)。また、試験法便覧 では、BPN は温度依存性があるとされており、路面温度によって補正する方法が示されて
いる(3-1)。しかし、補正式はアスファルト舗装の結果を基に示されたものであり、補正量は
舗装種類によって異なる可能性が示唆されているため、本調査では、温度補正を行なわず 測定値と路面温度を併記した。
DFTは日本で開発された機械式の測定装置である。測定原理は、写真 3-2-11に示すゴム 写真3-2-9 I
写真3-2-10 DFT 写真3-2-11 DFT回転円盤及びゴム片
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片のついた円盤を回転させながら路面に接地させ、回転の減速速度を測定することにより、
路面とゴム片の動摩擦係数(μ)を直接測定するものである。今回は円盤の回転速度が
90km/h の時に路面に接触させ、回転の停止までの速度変化を測定し、結果として、80km/h
~20km/hまでの路面の動摩擦係数を得た。なおBPT、DFT共に測定時は路面に散水を行な い湿潤状態におけるすべり抵抗を評価した。
現在国内においてBPT、DFT共に基準となるすべり抵抗の値は示されていない。よって、
本研究では、実道におけるすべり抵抗の基準値として、NEXCOが旧道路公団時代に公開し ていた出来形基準であるBPN、60以上及び、60km/hにおける動摩擦係数、μ60、0.35以上 をすべり抵抗の基準として用いた。
3.2.4 調査結果
調査結果を表3-2-2に示す。結果として、F、G、H、Iの石灰石コンクリート舗装は石灰 石骨材を使用していても十分なすべり抵抗を有しており、石灰石以外の骨材を使用してい るA、Bと比較して大きな違いはない。また、供用20年以上が経過し粗骨材まで摩耗して いる箇所であっても十分なすべり抵抗有している箇所が有り、石灰石骨材を使用する事が すべり抵抗が低い原因であるとは一概に言えない結果となった。しかし、C、D、E のよう にすべり抵抗が低く基準を下回る箇所も認められた。
3.2.5 石灰石コンクリート舗装のすべり抵抗
すべり抵抗の低い箇所について骨材に注目すると、石灰石骨材を粗骨材、細骨材の両方 に使用している箇所のすべり抵抗は低く、粗骨材に石灰石骨材を使用し、細骨材の一部又 は全てに石灰石以外の骨材を使用している箇所のすべり抵抗は高いように見える。しかし、
EやFのような長期供用箇所では細骨材種類が不明である箇所もあり、明確ではない。
表3-2-2 調査結果
μ20 μ40 μ60 μ80
A 0.59 0.58 0.57 0.56 64 21
B 0.41 0.37 0.34 0.24 59 27
C 0.32 0.32 0.32 0.37 54 21
D 0.21 0.19 0.20 0.19 37 24
E 0.27 0.27 0.27 0.19 55 34
F 0.60 0.57 0.53 0.48 68 24
G 0.46 0.46 0.46 0.48 75 22
H 0.41 0.40 0.40 0.40 69 22
I 0.41 0.42 0.43 0.45 67 23
DFT BPN 路面温度
調査箇所 (℃)
30