第 6 章 石灰石骨材を用いた場合の版厚設計に及ぼす影響
6.2 コンクリート舗装の設計法
コンクリート舗装の理論的設計方法は、交通荷重と温度変化に伴いコンクリート版に作 用する温度応力の繰り返しによる疲労ひび割れが、設計期間内に設計で設定されたひび割 れ度を超えないように舗装構造を決定するものである。この設計法は、路盤の設計、コン クリート版の設計、コンクリート版の目地等の構造細目の 3 段階で行なう。本検討では、
コンクリートの物性値が結果に大きく影響するコンクリート版の疲労度計算を行ない、各 コンクリートを比較した。
コンクリート版厚設計は、輪荷重応と力温度応力を合わせた合成応力と、その作用度数 から疲労度を算定して、コンクリート版が疲労破壊するか否かの力学的評価により行なう。
疲労度とは、合成応力が繰り返し作用することによりコンクリート版が構造的に破壊する としたときの値を 1 とした、コンクリート版の負荷の累積値のことである。理論的設計法 では、ひび割れ度10cm/m²において疲労度を1.0と仮定している。疲労度の計算では、最初 に環境条件や舗装構造等の設計条件を定める必要があり、本検討では表6-2-1に示す通りと した。対象としたのは、関東平野郊外に位置する幹線道路である。
コンクリート版に作用する応力は、応力を計算する点、着目点によって応力が異なる。
想定したコンクリート舗装は普通コンクリート舗装であるため、設計で想定されるひび割 れは横ひび割れである。そのため、着目点は縦自由縁部とした。輪荷重応力は式6-2-1によ り求めた。温度応力はコンクリート版上下面の温度差によりは発生する応力であり、温度 差によるコンクリート版のそり変形が自重により拘束され発生する。温度応力は式6-2-2に
表6-2-1 コンクリート舗装の設計条件
設計条件 舗装の設計期間 20年
1000以上3000以下 (49kN )
(台/日・方向)
信頼度 90%
普通コンクリート舗装
版厚 25、28、30cm
曲げ強度 5.0MPa
弾性係数 曲げ弾性係数の実測値
ポアソン比 0.2
線膨張係数 実測値
横収縮目地間隔 10m
車線幅員 3.75m
章末参照 日較差15℃以下
K75=34MPa/m K75=100MPa/m コンクリート
版の条件
項目
コンクリート舗装の種類
交通条件 環境条件 路床支持力係数 路盤支持力係数
計画交通量 設計された
舗装の目標
102
より求めた。輪荷重応力の計算例を図6-2-1に示し、温度応力の計算例を図6-2-2に示す。
輪荷重応力はコンクリート種類による影響は小さいが、温度応力はコンクリート種類によ り大きく異なった。これは、式6-2-2に示すように温度応力には線膨張係数と弾性係数に対 し直線関係があるためである。
𝜎𝑒= (1 + 0.54𝑣) ∙ 𝐶𝐿∙ 𝐶𝑇∙ 1000𝑃 ∙ {𝑙𝑜𝑔(100𝐿) − 0.75𝑙𝑜𝑔(100𝑟) − 0.18}/(ℎ2∙ 106) 式6-2-1
ここに σe: 輪荷重応力 (MPa)
v: コンクリートのポアソン比
CL: 横ひび割れを対象としたときの係数;2.12 CT: 縦ひび割れを対象としたときの係数;1.0
P: 輪荷重 (kN)
L: 剛比半径;L = {𝐸ℎ3/[12(1 − 𝑣2)𝐾75]}0.25 (m) E: コンクリートの弾性係数 (MPa)
K75: 路盤支持力係数 (MPa/m)
r: タイヤ接地半径;r = 0.12 + P/980 (m) h: コンクリート版厚 (m)
𝜎𝑡= 0.35 ∙ 𝐶𝑤∙ 𝛼 ∙ 𝐸 ∙ 𝛩 式6-2-2 ここに σt: 温度応力 (MPa)
Cw: そり拘束係数;Θ<0:0.4、Θ>0:0.85 α: コンクリートの線膨張係数 (/℃) Θ: コンクリート版上下面の温度差 (℃)
0 1 2 3
0 30 60 90 120
輪荷重 応力 ( MPa )
輪荷重(kN)
硬質砂岩 砂利 LA
図6-2-1 輪荷重応力の計算結果例
(コンクリート版25cm、車両走行位置縁部から0.15m)
103
コンクリート版には、輪荷重応力と温度応力が同時に作用するので、両者の合成応力を 式6-2-3から計算する。また、式6-2-4から各合成応力の作用頻度を、式6-2-5から許容輪 数を計算し式6-2-6により疲労度を算出する。なお、疲労曲線は全ての条件において舗装設 計便覧に記載されている曲線を使用した。
𝜎𝑚= 𝜎𝑒𝑖,𝑗+ 𝜎𝑡𝑘
式6-2-3 ここに σm: 合成応力 (MPa)
σei.j: 輪荷重Piが走行位置jを通過した場合の輪荷 重応力 (MPa)
σtk: コンクリート版上下面温度差kによる温度応 力 (MPa)
𝑁𝜎𝑚= 𝑁𝜎𝑒𝑖,𝑗∙ 𝑁𝜎𝑡𝑘∙ 𝑅𝑇
式6-2-4 ここに Nσm: 合成応力σmの設計期間内の作用度数
Nσei.j: 輪荷重応力σei,jの設計期間内の作用度数 Nσtk: 温度応力σtkの作用度数
RT: コンクリート版温度差が正又は負の時に走行 する大型交通量の比率
-2 -1 0 1 2 3
-15 0 15 30
温 度 応力 ( MPa )
コンクリート版上下面温度差(℃)
硬質砂岩 砂利
LA
図6-2-2 温度応力の計算結果例
(コンクリート版25cm)
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1.0 ≥ SL ≥ 0.9 𝑁𝐴𝑚= 10[(1.0−𝑆𝐿)/0.044]
0.9 ≥ SL ≥ 0.8 𝑁𝐴𝑚= 10[(1.077−𝑆𝐿)/0.077]
0.8 ≥ SL 𝑁𝐴𝑚= 10[(1.224−𝑆𝐿)/0.118]
式6-2-4 ここに SL: 合成応力/コンクリートの曲げ強度
NAm: 合成応力mに対するコンクリートの許容輪数
FD = ∑𝑁𝜎𝑖 𝑁𝐴𝑖
𝑚
𝑖=1
式6-2-5 ここに FD: 疲労度
Nσi: i番目の合成応力の作用度数 NAi: i番目の合成応力に対する許容輪数
m: 作用する合成応力の数
コンクリート版厚の力学的評価は、以上により得られた疲労度に信頼度に応じた係数 γR
(信頼率90%において1.8)を乗じた値が1を超えなければ安全であるとされている。
以下に設計に用いた各環境条件及び交通条件、係数の一覧を示す。これらは舗装設計便 覧(6-1)から引用した。
表6-2-2 コンクリート版の温度差とその発生頻度
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表6-2-3 車輪の走行位置と走行頻度の関係
表6-2-4 温度差が正又は負の時に走行する大型車の比率
表6-2-5 走行位置による輪荷重応力の低減係数
106
表6-2-6 そり拘束係数
表6-2-7 信頼度に応じた係数
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