3.4 ネットライブサービス
3.4.8 サービス評価
3.4.8.1 事業性
(1)新規性・訴求ポイント
機器を屋内に設置し、サービスの享受も屋内であることを前提に考案されたサービスが多いが、本サービス では、家庭内と家庭外の会場の2つの実現形態を指向している点、またそれら2つのサービス形態毎にサービ スの特性を変えている点で新規性が見られる。
(a)家庭配信モデル・・・家庭では得られない高臨場感(=例えば、複数の大画面のモニタを設置、立体的な音 響効果を持つスピーカシステムを設置)、あるいは同じ目的で集まっている視聴者同士 が同じ場所にいるという一体感とが得られる点がサービスのポイント。
(b)会場配信モデル・・・視聴タイムシフト視聴やマルチアングル機能といった多彩な視聴形態を提供すること で、家庭での娯楽性に配慮している点がサービスのポイント。
(2)対象ターゲット (a)ターゲット市場
本サービスの視聴者のターゲットは以下である。
スポーツ・コンサート等のイベントに参加したいと思っているが、会場までの距離等時間的・物理的、あるいは金 銭的な制約から当該イベントに参加できないが、
・その場の雰囲気(臨場感)を家庭でも味わいたい人
・自分と興味の対象を共有する愛好者同士で盛り上がりたい人
早期には、技術的な問題から会場配信モデルのみがサービスとして提供できるものと考えられる。
会場配信モデルでは、家庭では味わえない臨場感が得られるという利点はあるものの、視聴者が会場まで足を運 ばなければならず、収益は不安定にならざるを得ない。
その反面、家庭配信モデルの場合収益性は向上するとは思われるが、audio/visual共に品質を保証しつつ多 数の視聴者に同時に配信するだけの配信・配送ネットワークを構築しなければならず、すぐには実現できない。
したがって、会場配信モデルは将来的にも存続する可能性はあるにしても、家庭配信モデルが普及するまで の過渡的な要素も併せ持っている。
(b)サッカー市場に関する需要動向
例としてあげたサッカー市場に関する需要動向を以下に示す。
①J リーグ
●リーグ戦観客動員数
◇1994 年のブーム時から、観客動員数は低迷していたが、今年は増加している。これは、2002 年 W 杯やスポーツ振興くじへの関心の高さが影響したと指摘されている。
J リーグ(J1)
年度 総観客動員数(人) 総試合数 チーム数 1 試合当たり 観客動員数(人)
1993 3,235,750 180 10 17,976 1994 5,173,817 264 12 19,598 1995 6,159,691 364 14 16,922 1996 3,204,807 240 16 13,353 1997 2,755,698 272 17 10,131 1998 3,666,496 306 18 11,982 1999 2,798,005 240 16 11,658 2000 2,655,553 240 16 11,065 2001※ 2,604,750 152 16 17,137 ※2001 年度はセカンドステージ第 4 節終了時の合計
J2 リーグ
年度 総観客動員数(人) 総試合数 チーム数 1 試合当たり観客 動員数(人)
1999 827,217 180 10 4,596
2000 1,340,820 220 11 6,095 2001※ 964,481 186 12 5,185 ※2001 年度は第 31 節終了時の合計
Jリーグ(J1)の観客動員数
0 5000 10000 15000 20000 25000
1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001
年度1試合当たり観客動員数 (人)
0 1000000 2000000 3000000 4000000 5000000 6000000 7000000
総観客動員数(人)
1試合当たり観客動員数 総観客動員数
(出所)Jリーグ公式サイト(http://www.j‑league.or.jp/)の公式資料を基に作成
●サッカー中継
◇Jリーグのサッカー中継は、J1・J2 ともにほぼ全試合がなんらかのTV中継で放映されている。
★2001Jリーグ ディビジョン 1 1st ステージ
ホーム アウェイ 競技場 TV中継 ホーム アウェイ 競技場 TV中継
1 節 15 節
磐田 市原 磐田 TV/衛星(録) 札幌 横浜 FM 札幌ド TV 名古屋 浦和 瑞穂球 TV 市原 C 大阪 市原 TV
C 大阪 札幌 長居 衛星(録) 柏 福岡 柏 デジタル衛星 福岡 G 大阪 博多球 衛星/デジタル衛星 東京 V 名古屋 東京 TV(録)/衛星 横浜 FM 神戸 横浜国 TV(録)/デジタル衛星 清水 F 東京 日本平 衛星(録)
F 東京 東京 V 東京 衛星/TV G 大阪 鹿島 万博 衛星(録)
柏 清水 柏 衛星/TV 神戸 磐田 神戸ユ TV/衛星 鹿島 広島 国立 TV(単) 広島 浦和 広島ビ 衛星
★2001Jリーグ ディビジョン 2
ホーム アウェイ 競技場 TV中継 ホーム アウェイ 競技場 TV中継
1 節 2 節
大分 大宮 大分陸 TV/衛星 横浜 FC 仙台 三ツ沢 衛星
水戸 仙台 ひたちな 衛星(録) 甲府 湘南 小瀬 TV(録)/衛星 川崎 F 甲府 等々力 衛星(録) 京都 新潟 西京極 TV(録)/衛星
湘南 横浜 FC 平塚 衛星 水戸 大分 栃木 衛星 京都 山形 西京極 TV(録)/衛星 鳥栖 川崎 F 鳥栖 衛星(録)
鳥栖 新潟 鳥栖 衛星 大宮 山形 大宮 TV(録)/衛星
(出所)図表、データ等は、Jリーグ公式サイト(http://www.j-league.or.jp/)の公式資料を基に作成
②日本代表戦
●2001 年 国際Aマッチ国内試合
対戦相手 競技場 観客動員数 視聴率 チケット価格(円)
5/31 対カナダ 新潟スタジアム 39,006 人 20.1%コンフェデ杯予選 3,000〜7,000
6/2 対カメルーン 新潟スタジアム 39,430 人 25.8%コンフェデ杯予選 3,000〜7,000
6/4 対ブラジル カシマサッカースタジアム 37,470 人 29.3%コンフェデ杯予選 3,000〜7,000
6/7 対オーストラリア 横浜国際総合競技場 48,699 人 23.3%コンフェデ杯準決勝 4,000〜10,000 6/10 対フランス 横浜国際総合競技場 65,335 人 37.9%コンフェデ杯決勝 5,000〜11,000
7/1 対パラグアイ 札幌ドーム 39,073 人 13.6%キリンカップ 2001 2,500〜5,500
7/4 対ユーゴスラビア 大分スポーツ公園総合競技場 38,147 人 15.3%キリンカップ 2001 2,500〜5,500 8/15 対オーストラリア 静岡スタジアム 46,404 人 AFC/OFC チャレンジ
カップ 2001 3,000〜7,000 11/7 対イタリア 埼玉スタジアム 25.4%キリンチャレンジカップ 2001 4,000〜9,000
(出所)(財)日本サッカー協会(http://www.jfa.or.jp/)、テレビ局他の情報から作成
③Jリーグ観戦経験・意向
年齢層
最近 1 年間 で会場に見 に行った
今後行って みたい
〈男性〉 6.6% 18.9%
平均 〈女性〉 3.7% 11.0%
〈男性〉 9.6% 24.4%
12〜19 歳
〈女性〉 3.1% 9.2%
〈男性〉 7.3% 24.8%
20〜24 歳
〈女性〉 8.8% 20.8%
〈男性〉 9.5% 23.8%
25〜34 歳
〈女性〉 4.7% 13.5%
〈男性〉 7.8% 22.1%
35〜49 歳
〈女性〉 3.1% 12.5%
〈男性〉 2.1% 8.8%
50 歳以上
〈女性〉 2.1% 5.9%
0 2 4 6 8 1 0
平均 2 0 〜2 4 歳 3 5 〜4 9 歳 年齢層
最近1 年間で 会場に見に行っ た
男性 女性
0 5 1 0 1 5 2 0 2 5
平均 2 0 〜2 4 歳 3 5 〜4 9 歳 年齢層
今後行っ て 見たい
男性 女性
(出所)情報メディア白書 2001(電通総研編)から作成
(3)サッカーライブモデル試算表
映画館を想定した会場へのサッカーライブ配信モデルの収益を試算したものが、以降の表になる。
この試算は、前述のサッカー市場に関する需要動向調査データから予想される、会場でのチケット収入に基づ いて、サッカーライブ配信ビジネスの参加プレイヤへ、その収入を分配したものである。分配基準には、現行の 映画配信ビジネスを参考にした。
集客数、チケット単価、月間配信回数、配信規模の要素により、ビジネス規模を楽観基準、中間基準、悲観 基準と 3 ケースに分け、それぞれ試算した。(出所)貸出審査辞典のデータに基づき作成
(a)楽観モデル
【シネコン】 月間損益計算書(単位:円) 対売上高比率
Ⅰ月間売上高 38,400,000 a
※月 12 回ライブ配信
(300 人@4,000 円)、
月 120 回蓄積型配信(100 人@2,000 円)
Ⅱ変動売上原価
1.コンテンツ料 23,040,000 b 60.0% ※歩合制、入場料の 6 割
→ 【コンテンツ配信事業者】への支払
Ⅲ変動販売費 5,760,000 c 15.0% ※売上高の 15%
貢献利益 9,600,000 25.0%貢献利益率 ※貢献利益は、d=a-b-c で算出
Ⅳ固定費
1.給与賃金 444,444 1.2% ※シネコン全体(9 スクリーン)で、社員(6 人@40 万円)、バイト(8 人@20 万円)
2.設備減価償却費 1,071,429 2.8% ※初期投資 1 億円/スクリーン 残存価格 10%、7 年償却
3.不動産賃料 989,764 2.6% ※8,000 円/坪・月、9 スクリーン全体で占 有面積 3,674.5 ㎡
4.ライブ映像機材代 1,125,000 2.9% ※ライブ上映用機材、一式 3,000 万円 残 存価格 10%、2 年償却
5.通信料 2,640,000 6,270,637e 6.9% ※上映 1 回あたり 2 万円
→ 【通信事業者】への支払 月間営業利益 3,329,363 f 8.7%営業利益率 ※営業利益は、f=d-e で算出 1 回あたり営業利益 25,222 ※上映回数、132 回/月
月間損益分岐点売上高 25,082,549 ※損益分岐点は、
固定費(e)÷貢献利益率
月間損益分岐点入場者数 11,496 人 ※平均入場料単価は、2,182 円 1 回あたりの損益分岐点売上高 190,019 ※上映回数、132 回/月 1 回あたりの損益分岐点入場者数 87 人 ※平均入場料単価は、2,182 円
【単独館】 月間損益計算書 (単位:円) 対売上高比率
Ⅰ月間売上高 38,400,000 a
※月 12 回ライブ配信
(300 人@4,000 円)、
月 120 回蓄積型配信(100 人@2,000 円)
Ⅱ変動売上原価
1.コンテンツ料 23,040,000 b 60.0% ※歩合制、入場料の 6 割
→ 【コンテンツ配信事業者】への支払
Ⅲ変動販売費 5,760,000 c 15.0% ※売上高の 15%
貢献利益 9,600,000 25.0%貢献利益率 ※貢献利益は、d=a-b-c で算出
Ⅳ固定費
1.給与賃金 1,800,000 4.7% ※社員(3 人@40 万円)、
バイト(3 人@20 万円)
2.設備減価償却費 1,071,429 2.8% ※初期投資 1 億円/スクリーン 残存価格 10%、7 年償却
3.不動産賃料 1,990,909 5.2% ※12,000 円/坪・月 547.5 ㎡
4.機材レンタル費 1,125,000 2.9% ※ライブ上映用機材、一式 3,000 万円 残 存価格 10%、2 年償却
5.通信料 2,640,000 8,627,338 e 6.9% ※上映 1 回あたり 2 万円
→ 【通信事業者】への支払 月間営業利益 972,662 f 2.5%営業利益率 ※営業利益は、f=d-e で算出 1 回あたり営業利益 7,369 ※上映回数、132 回/月
月間損益分岐点売上高 34,509,351 ※損益分岐点は、
固定費(e)÷貢献利益率
月間損益分岐点入場者数 15,817 人 ※平均入場料単価は、2,182 円 1 回あたりの損益分岐点売上高 261,434 ※上映回数、132 回/月
1 回あたりの損益分岐点入場者数 120 人 ※平均入場料単価は、2,182 円
【コンテンツ編成事業者】 月間損益計算書(単位:円) 対売上高比率
※歩合制、入場料売上高の 6 割
Ⅰ月間売上高 921,600,000 a
全国 40 会場分
Ⅱ変動売上原価
※入場料売上高の 2 割と想定 1.著作権使用料 307,200,000
→ 【コンテンツホルダ】への支払
※入場料売上高の 2 割と想定 2.制作費用 307,200,000 614,400,000 b 66.7%
→ 【制作会社】への支払
Ⅲ変動販売費 138,240,000 c 15.0% ※売上高の 15%
貢献利益 168,960,000 d 18.3%貢献利益率 ※貢献利益は、d=a-b-c で算出
Ⅳ固定費
1.給与賃金 7,600,000 ※社員(15 人@40 万円)、
バイト(8 人@20 万円)
2.設備減価償却費 20,000,000 ※初期投資 2,000 万円/1 会場 残存価格 10%、3 年償却
3.不動産賃料 545,455 ※事務所 12,000 円/坪・月 150 ㎡ 4.通信料 80,000,000 108,145,455 e 11.7% ※回線費用や iDC 賃料等 200 万円/1
会場・月 → 【通信事業者】への支払 月間営業利益 60,814,545 f 営業利益率 ※営業利益は、f=d-e で算出
1 回あたり営業利益 3,040,727 ※会場数、全国 40 ヶ所
月間損益分岐点売上高 589,884,298 1 会場あたり ※損益分岐点は、
固定費(e)÷貢献利益率 月間損益分岐点入場者数 270,364 人 ※平均入場料単価は、2,182 円 1 回あたりの損益分岐点売上高 14,747,107 ※会場数、全国 40 ヶ所
1 回あたりの損益分岐点入場者数 6,759 人 ※平均入場料単価は、2,182 円 会場数は、全国 40 ヶ所
【制作会社】
月間売上高 307,200,000 ※入場料売上高の 2 割 全国 40 会場分
【コンテンツホルダ】 (イ)
月間売上高 307,200,000 ※入場料売上高の 2 割 全国 40 会場分
【システムベンダ】
月間売上高 45,000,000 ※ライブ上映用機材、3,000 万円 全国 40 会場分 減価償却分を計上
【配信事業者】
月間売上高
1.各会場からの通信料 105,600,000 ※1 回あたり 2 万円 全国 40 会場分 2.コンテンツ配信事 80,000,000 185,600,000 ※回線費用や iDC 賃料等 200 万円/1
会場・月
業者からの通信料
(ア)
6.6%
(ア)、(イ)・・・コンテンツホルダと制作会社への収益分配の割合はコンテンツの性質により変化する