3.5 遠隔協調ワーク(遠隔教育)
3.5.8 サービス評価
(4)法制度・慣習
学校単位で遠隔協調ワークを利用する場合、授業の一環としてどう取り組んでいくか問題になるだろう。総 合学習等の時間に取り入れていくか、自由参加の学校行事、自由研究の課題などいくつか形態はあるだろ うが、法制度を始めとして、できるだけ学習者が自由に、時間に束縛されずに主体的に学習できる環境整備 が望ましい。
現在は初等中等教育においてもネットワーク教育が徐々に浸透してきており、学校間の交流も盛んになっ てきている。インターネット上の学校のホームページから交流を始めるところも少なくないが、何かひとつ核 になるプロジェクトがあって、それに興味を持った全国の学校が参加するような試みがあってもよい。ただ現 在はまだ教師個人のネットワークスキルに頼る部分も大きく、教育現場の情報教育に対する理解と支援がさ らに必要である。
(5)インフラ・技術
インフラのポイントは、n:mの複数方向でのコミュニケーションが可能であること、高速広帯域であることで ある。
n:mのコミュニケーションは、遠隔教育のシーンでは講師が 1:nに対して授業を行っているのと同時に学習 者同士がn:mに話しができるといったイメージである。遠隔共同作業の場合は、ひとつの作業内容に対して 複数の作業者が作業できる、例えばひとつのファイルに対して複数が同時に書き込みを行えるようなイメージ である。
4.サービス要求条件と課題:横断的検討
以下では、3 章で述べられたフォーカスされた 5 つのサービスを基に、これらのサービスを事業性、社会性、知的 財産保護・法制度などのいくつかの視点から、5 つのサービスを横断的に鳥瞰しする。そして、5 つのサービスがど のように発展していき、結果として光サービスが普及していくか、発展シナリオを検討する。
この検討を通して、光サービスが発展するための 5 つのサービスが持つ固有の加速要因、外部要因としての課 題、そして、サービスが具備すべきサービス要求条件を明らかにする注。
注:サービスの発展シナリオとサービス要求条件の因果関係は全く逆であるとも考えられる。すなわち、あるサー ビス要求条件を前提としたとき、発展シナリオはどのようになるかということも成立するが、以下では前者の 立場を基本的にはとる。
図 4.1 に本章の構成(検討のステップ)を示す。構成は大きく分けて:
①5つのサービス毎に 3 章で述べられたサービス要求条件・評価項目のまとめとポイント
②評価項目ごとに横断的にサービスを評価結果(4.1〜4.4)
③発展シナリオの想定(4.5)
④発展シナリオ基づくサービス要求条件のまとめ(4.5)
④要求条件のまとめ
④要求条件のまとめ
5つのサービス 5つのサービス
サービス
①サービスごとの要求条件・評価 ②サービスの横断的評価
サービス 時間的
空間的 事業基盤
市場性・事業性 知財権・法制度
社会性
サービス
③発展シナリオ
③発展シナリオ
市場性・事業性 知財権・法制度
社会性
サービス
時間的 空間的
事業基盤 要求条件
要求条件
要求条件 サービス評価
評価項目
評価項目
評価項目
(1)サービスごとの要求条件(サービス仕様)
表 4.1 に 5 つのサービス毎に 3 章で述べられたサービス要求条件をまとめる。サービス要求条件としては以下の 項目について検討し、まとめを行った:
図 4.1 本章の構成
①時間的:サービスのリアルタイム性/タイムシフト/操作性を含めた評価項目
②空間的:送信者-対-受信の数(1:n、n:m性)や参加者の量的・地域的広がり
③品質:コンテンツ自身の品質や配信・配送にかかわるネットワーク品質
④事業基盤:事業を行うにあたって、サービスが持つ特徴・事業支援要素
⑤社会性:社会へ積極的に受け入れられるための特有の要素(背景)
また、表には各サービスが持つ、上記サービス要求項目での重要点(ポイント)を示した。たとえば、D−オンデマ ンドやネットライブでは高品質なコンテンツ自身や時間的・空間的なサービスの多様性がポイントとなる。パーソナル キャストサポートや遠隔協調ワークでは、新しいサービスとして社会的な要素を考慮することが重要となる。
(2)各サービスとサービス評価項目の検討ポイント
図 4.2 検討でのポイントの概要
詳細は以下で述べるが、それぞれに対していくつかのポイントが指摘できる。
①社会性:サービスとして社会的な価値を持ち社会にアクセプトされるか。パーソナルキャスト・サーポートサービ ス(P-Cast)や遠隔協調ワークは、コミュニティにおけるモラルの醸成や個人コンテンツの保護などに課題が ある。一方、個人、コミュニティ、また産業に対して社会的価値が大きく、社会的な要請(結果としての受容性)
が大きく、発展のための大きな要因を持つ。
②事業性:事業として成立する要件は何か。D-オンデマンドやBB Vision が対象とするマーケットはTVやレンタ
各サービスとサービス評価項目との関係を表 4.2 に示す。評価項目として、①市場性・事業性、②社会性、③知的 財産権保護、④法制度、⑤インフラ・技術(の整備・発展)である。また、表ではそれぞれのサービスに対する「普及 要因」と「課題」を示した。表 4.2 は以下における検討の出発点(検討の基本的なフレームワーク)であり、下記の図 4.2 に簡略したものを示し、検討全体のガイドとした。
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評価項目 評価項目
D-オンデマンドD-オンデマンドBB Vision BB Vision P-Cast P-Cast ネットライブ ネットライブ
遠隔協調ワーク遠隔協調ワーク社会性 社会性
事業性 事業性
権利保護 法制度 権利保護
法制度
インフラ 技術 インフラ
技術
知的権利保護
→cIDfなどの検討に準拠
商慣行/法制度
課題
HSACが目指すインフラ タイムシフト
1:nの大規模マルチキャスト
マルチアングル
n:mのリアルタイム環境 競争環境での事業性
モラルの醸成/個人コンテンツ保護
普及要因
多彩なプレイヤの参加 新規市場の創出
社会的価値(個人/コミュニティ/地域/産業)
「インターネット動画」感の一新 参加する・キャスティングするの楽しさ
ルビデオが既に存在し、これらのサービスにとっては「リニューアル市場」である。リニューアル市場におけ る事業の立ち上げには、新しい広告主などに代表される多彩なプレイヤ(その参加インセンティブは顧客情 報の活用による囲い込みなどにある)の参加が不可欠であり、これらのサービスでは多彩なプレイヤ参加を 促進する仕組みを提案されており、事業成立の大きな加速要因となる。一方、ネットライブの持つ臨場感/高 い参加度や P-Cast が提供する個人キャスティング、遠隔協調ワークの教育や医療などへの利用は新市場を 創り出し、事業性を高める。
③権利保護・④法制度:これらは光サービスの発展の視点からは、課題として捉えられる。しかし、これらの課題 も現在進みつつある関係の各機関・コンソーシアム(例えば cIDf=content ID forum など)での検討結果により、
暫時解決されると考えられる。また、遠隔協調ワークを活用した遠隔教育や商取引などでは法的制度の変更 が必要となる。これらもサービスの進展に伴い暫時解決されると考えられる。
最終的に重要となるのは事業性である。すなわち、各サービスが社会的に受け入れられ、(必ずしも私企業として の収益性のみではなく、公共財としての事業性などを視野に入れて)事業として成立することにある。また、このこと が、各サービスの社会的価値を高める必要条件でもある。
以下では、サービス評価項目(①市場性・事業性、②社会性、③知的財産権保護、④法制度)について、詳細な 検討結果を示す。
表 4.1 サービス毎のサービス要求条件のまとめ ポイント
サービスカテゴリ
1.オンデマンド 2.放送類似型 サービス要求条件項目
D-オンデマンド BB Vision T1.リアルタイム
蓄積
・予備配信
T2.タイムシフト
・配信と視聴タイミングの分離 1.時間的
T3.インタラクティブ性 操作性
・チャプタ機能
・5 ストローク以内で視聴可能
S1.n:m 性 ・1:n ・1:n
2.空間的
S3.対象の広がり ・同一時刻に 320 万の端末
3.品質
・早送り、巻き戻し、一時停止
S2.双方向/片方向
・能動的コンテンツ配信システム Q1.基本品質
・DVD〜VHS ビデオ Q2.帯域
Q3.応答速度 ・DVD やビデオデッキと同程度
Q4.チャネル
B1.課金/広告
・コンテンツの提供期限
・再生画面上に広告を挿入
・再生の中断、早送り不可 B2.課金回収 ・端末の特定/認証
・アクセスログによる PPV
B3.著作権・権利保護 ・流通時のコピー防止 B4.ユーザ支援
B5.CRM ・レイティング情報 ・対コミュニティ
・ユーザの嗜好の把握 4.事業基盤
B6.プロモーション 普及策
・アクセス頻度管理
・プレビュー
・発信者を認証
M2.参加者(利用者)保護 ・個人情報の秘匿性 5.社会性
M3.産業、地域振興 ・居住地域に対応した広告
・広告と本来コンテンツの別配
・広告挿入
M1.倫理管理