4.4 知的財産・権利保護の課題
知的財産権利保護についての本コンソーシアムでの検討結果については「サービスネットワークアーキテクチャ検 討書(7章)」に述べてあるが、以下では5つのサービスに固有の事項について述べる。
4.4.1 コンテンツの権利処理(全サービス)
著作権等の知的財産の取り扱いに関して、権利者との間でコンテンツの利用方法に応じた契約を締結することが必 要となる。以下に留意点を挙げる。
(1)契約締結者
どのプレイヤが権利者から許諾を受けるか(契約締結者となるか)
(2)権利者の確認
一般に各権利(著作権・著作者人格権・著作隣接権・肖像権等)の権利者は異なり、それぞれとの契約が必 要。
(ネットライブ):スポーツ/イベントの映像配信では興業主(例えばサッカー連盟)が一括して権利管理を行 っていると考えられる。
(D-オンデマンド):映画コンテンツ等では映画制作会社が一括して権利管理を行っていると考えられる。
(3)使用方法の明確化
契約の際には、コンテンツの使用方法(蓄積利用、編集、二次利用など)を正確に権利者に理解してもらった 上で契約を締結することが必要。
(4)個人蓄積
配信されたコンテンツをユーザがコピーして第三者へ配信することなどが横行してコンテンツ権利者の利益 が損なわれる場合、コンテンツの権利者からクレームが出たり、コンテンツの提供を拒否するなどの事態も想 定される。
4.4.2 個人コンテンツの取り扱い
(1)背景人物等の肖像権(BB Vision、ネットライブ)
風景やイベント等の映像の背景に人物が写ってしてまった場合、その映像を繰り返し使用(配信)すると、そ の人物からプライバシ侵害とのクレームを受ける可能性がある。その場合、人物部分をカットする/ぼかしを 入れるなどの対応が必要。
(2)個人発信等のコンテンツの取り扱い(パーソナルキャスティング・サポート)
(a)留意点:個人等から発信されるコンテンツが違法なコンテンツ(例えば第3者の著作権を侵害したものや 第3者を誹謗中傷するもの)を含んでいた場合、コンテンツの配信を仲介する通信業者等(プロバイダ)が 被害者(権利者等)から責任を追及される可能性がある。留意点としては以下があげられる。
・匿名での発信
プロバイダの責任について法制化の検討が進められており、その中では被害者からの申立てに対して 発信者への削除通知を行うこととなっていることもあり、匿名での発信は認めない方がよい。
・ユーザの利用規約の明記と承諾の確認
プロバイダはコンテンツの内容に起因する損害の責任を負わないことや問題が生じた際にプロバイダ側 がコンテンツを削除する場合があることなど、利用規約を明記して承諾を得た上で配信を認めるべきで ある。
(b)プロバイダの賠償責任:また、通信事業者(インターネットプロバイダ等)の損害賠償責任の制限や発信者 情報の開示について法制化が検討されている。概要は次の通りである。
・コンテンツの流通によって他人の権利が侵害されていることを知らない、あるいは知ることができたと認 めるに足りる理由がければ賠償の責任を負わない。
・コンテンツの流通によって他人の権利が侵害されていると信じるに足りる理由がある、あるいは発信者に
対してコンテンツの削除について照会後、7日以内に発信者から反論がないときにはコンテンツを削除 しても、それによって生じた損害の賠償責任を負わない。
(c)発信者情報の開示請求: 発信者情報の開示請求は次のような場合に可能となる。
・権利を侵害された者は、権利化の侵害が明らかであり、損害賠償請求権の行使等の正当な理由がある 場合にはプロバイダに対して発信者情報の開示を請求できる。その場合、プロバイダは発信者の意見 を聞かなければならない
・プロバイダは故意又は重大な過失がなければ、発信者情報の開示請求に応じないことによって生じた損 害の賠償責任を負わない。