4.1 事業性
4.1.4 事業性の視点
ブロードバンドサービスの事業性を検討する上で以下に示す視点を中心に検討することとする。
① 利用者個人を特定できる
② 会員化を促進する
③ インタラクティブ・コラボレーティブ機能を提供する
⑤ 事業の効率化により低コスト化が実現する
⑥ 顧客を囲い込む仕組みを構築することで事業チャンスが拡大する
⑦ 多様な課金形態がある
⑧ ライブ情報・蓄積情報と収益モデル
各種サービスを利用者が購入する場合、ネット上から購入することが増えるもと思われる。ネット上から購入さ れることでIDによりサービスの利用者を特定することができデータベース化が容易になる。個人の購買履歴な どのデータを蓄積しデータベース情報を充実して行くことで利用者の志向や特性を把握することができる。デ ータマイニングなどの技術を用いて更に詳しい分析等を行うことができる。これらのデータをもとに顧客に対し てタイムリーな販売促進活動を行うことでサービスの高度化や効率化及び広告の効果向上等を実現することが できる。
オンデマンドサービスやネットライブサービスでは利用者個人が特定でき、その購買志向が分かる事はコン テンツの販売促進活動を行う上で極めて有用な情報として活用できる。
従来は顧客データを集めてもこれを有効に活用する視点が希薄であったため有効な販促活動に結びつける ことができていないことが多かった。ブロードバンドサービスに限らずネット上で行われる購買についてはデー タベース化が容易であるため特にこの視点が重要である。個々の顧客の特性や欲求に合ったサービスを提供 しワン・トゥ・ワンマーケティングを実現することで事業化を促進することができる。
④ リアルビジネスでは不可能な事がバーチャルビジネスで可能になる
(1)利用者個人を特定できる
(2)会員化を促す
前述の顧客データを効率的且つより正確に収集し有用なデータベースを構築するには顧客を会員化するこ とが有効である。会員に対しては他の一般顧客よりも有利な条件やサービスを提供することなどで差別化をは かりロイヤリティの高い顧客に育てていくことが可能となる。「顧客一人ひとりとの良好な関係性」を重視する「顧 客中心」のマネジメントをCRM(Customer Relationship Management)というが、CRMを効果的に実現するため には会員化を図ることが有効である。
BB Vision では受信者個人の傾向が細かく分かることで高い広告効果が期待できスポンサーを獲得しやす くなる。BB Vision を始めネットライブやオンデマンドなどのサービスを事業化する中では顧客特性を把握した 囲い込み戦略が実現できるか否かで周辺事業拡大への影響が大きく変わってくる。
顧客囲い込みから見た各サービスのポジショニングを図 4.1.4.1 に示す。
BB Vision
オープン 会員化
蓄積型
リアルタイム型
D- オンデマンド
ネットライブ
個 人 Cast 遠
隔 協 調
付加価値
付加価値
図 4.1.4.1 顧客囲い込みから見たポジショニング
(3)インタラクティブ・コラボレーティブ機能を提供する
双方向機能や協調作業環境を提供することで各種サービスの機能や効果の高度化が可能となり事業化チャ ンスが拡大する。
インタラクティブでコラボレーティブな環境を提供することでサービス提供者と利用者間でのコミュニケーショ ンが可能になると利用者への的確な支援サービスを行うことができサービスをより高度に提供することができ る。
例えば遠隔学習を行う場合を考えてみると、パッケージ型の教材をダウンロードで入手し、自主学習をしてテ ストで達成度を把握し、質問などを E メールで送り、後日 E メールで回答がくるというようなシステムと、学習して いる途中で解らないことやテストで間違えたところを、すぐその場で質問できリアルタイムで先生が答えてくれる システムとでは後者の方が様々な面で学習効果があがるものと考えられる。また先生の管理のもと、学習者同 士が教えあったり、共同で考えたりすることができれば参加者間の協調や一体感のようなものも生まれやすく、
それ自体が一つのコミュニティのように発展する可能性も期待できる。これらはモノを売る物販サイトでも同様の ことが言える。購入を検討している利用者に対して的確なアドバイスを行うことで販売チャンスは広がる。このよ うにインタラクティブやコラボレーティブの機能を提供することでユーザへの支援やユーザ間のコミュニティ構 築が容易になりサービスの高度化が図れる。
協調作業環境から見た各サービスのポジショニングを図 4.1.4.2 に示す。
リクエスト型
コラボレイ ティブ型 蓄積型
リアルタイム型
D-オンデマンド
ネットライブ
個 人 Cast
遠 隔 協 調 BB Vision
付加価値
図 4.1.4.2 協調作業環境から見たポジショニング
サービス提供者と利用者の関係ではその役割機能によって以下の三つに分けられる。
① アシスタント機能
アシスタント機能はユーザの個人情報や特性を把握し、操作支援などを行うことで様々なサービスを利用で きるように導く。
② ナビゲータ機能
ナビゲータ機能はユーザからの要求によりネットワークに接続されている各種サービス(提供者)を検索し目 的のサービスを案内して接続することを行う。
③ カウンセラー機能
サービス提供者はどの機能を提供することがそのサービスに最も適しているかを吟味して必要な機能を提供す ることが必要になる。
サポート機能分類を図 4.1.4.3 に示す。
カウンセラー機能はユーザの欲求を達成するためにネットワークに接続されている各種サービスを利用して カウンセリングやコーディネートを行い、ユーザに代わって問題解決を行う。
アシスタント機能
ナビゲート機能
カウンセリング機能
図 4.1.4.3 サポート機能分類
(4)リアルビジネスでは不可能な事がバーチャルビジネスで可能になる
コンテンツが映画や音楽などの場合のオンデマンドサービスではビデオ・CDレンタルサービスが競合サービ スと考えられる。レンタルでの問題点はお店に行かなければ借りたり返したりできない事や人気作品が品切れ になっていて借りられない場合があることなどである。また店のスペースや在庫負担の関係から良い作品でも 商業ベースに乗らないものやレアなジャンルは作品を仕入れることが難しいなどの問題がある。ネットワーク上 で行うオンデマンドサービスではこれらの問題点を解決できるメリットがある。これらのメリットはあるもののVoD サービスを受けるにはネットワークへの接続環境の整備とコンテンツ料の他に通信料金がかかるという前提が ある。VoDサービスの事業性をレンタルとの競合で考えると、利用料金はレンタルと同程度でなければ普及し ないと思われる。
ブックオンデマンドでは書店や古書店が競合になるものと考えられるが、この場合を考えると読書の形態が変 わる可能性がある。従来の読書をイメージして考えるとダウンロードした本のコンテンツをプリントアウトして製本 して読むという姿が想像される。パソコンのメモリに蓄積してディスプレイ上で読むということもありえるが、本の 持つポータビリティ性を考えるとICカードやメモリースティックに蓄積してPDAなどで読むということが考えられ る。
データベース検索のためのカテゴリ分けをどのようにするのかは分かりやすい検索の入口として重要である。
生活者は日常生活の中にさまざまな関心ごとをもって日々生活している。日常生活における生活態度や生活 行動の意識、将来に対する要望(欲求)などは各種の生活者調査により把握することができる。(国民生活に対 する世論調査・JNNデータバンク生活意識・生活行動情報等)それらの調査結果を分析すると生活者の関心 事はいくつかのカテゴライズされた領域に分類できる。それらは生活者の関心事として生活者の潜在意識の中 の欲求ということができる。
生活者の関心領域をカテゴライズすると以下の領域が上げられる。
① 健康
③ 教育(学習)
オンデマンドサービスではビデオオンデマンドやミュージックオンデマンド以外にもニュースオンデマンドや ブックオンデマンドなど各種のコンテンツカテゴリが考えられるが、基本的にはそれらのコンテンツをどれだけ 深く持てるかというライブラリの充実度で差がでるビジネスである。
② 老後