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中間言語データに基づく MWUs の分析

ドキュメント内 Doctoral Thesis (Tokyo University of Foreign Studies) (ページ 94-97)

第三章 Word Units から Multi-Word Units へ

3.4. 中間言語 とフレイジオロジー

3.4.2. 中間言語データに基づく MWUs の分析

て使用される場合もある。しかし、第一言語習得研究と第二言語習得研究の両方で、三つ 目の機能について広く議論されている。それは、学習者が非分析的発話を模倣することで 文法能力が発達するという機能である。議論の中心は、学習者が非分析的発話を徐々に分 解し、新しい発話を生成する際に生産的にそれらの部分を使用し始めるのかどうか、また は、学習者は話し言葉のインプットリストの中から単に機械的に学習した発話を引き出し ているのかどうかについて扱われている (Myles et al 1998 : 327)。

語の連鎖を分析することで学習者の「外国語らしさ」や発達状況を特定することは可能 であるかもしれない。

3.4.2.2.

De Cock (2004)

この研究は、英語母語話者と英語学習者の語連鎖について比較を行ったものである。学 習 者 コ ー パ ス は 、

LINDSEI (Louvain International Databse of Spoken English

Interlanguage )の一部で、ベルギーのフランス語母語話者で英語学習者である 50

名分の

口頭産出データを使用した。なお、これらの学習者は上級者である。参照コーパスとして、

英語母語話者であるランカスター大学の学生

50

名分のデータを使用した。2 つのコーパ スとも、インタビュー形式の会話に基づいている。語連鎖数の比較における、出現回数の 制約として、2語連鎖には

12

回以上、3語連鎖には

6

回以上、4語連鎖には

4

回以上、5 語連鎖と

6

語連鎖には

3

回以上現れた語連鎖を選択した。

まず、母語話者と学習者の語連鎖の数を比較した所、タイプについて学習者は

2

語連 鎖、3 語連鎖、5 語連鎖をわずかながら多く使用していたが、統計的有意差は無かった。

4

語連鎖については、学習者が有意に多く使用していた。トークンについては、学習者が

3

語連鎖、4 語連鎖、5語連鎖を有意に過剰使用しており、2語連鎖と

6

語連鎖について もわずかに過剰使用していた。しかし、学習者のこれらの語連鎖には、繰り返しやためら い語などが高い割合で構成されていた。実際に、母語話者と比較すると学習者はこれらの 特徴を含む語連鎖を

3

倍から

4

倍使用していた。したがって、繰り返しやためらい語な どを除去した後、母語話者と学習者の語連鎖について分析を行った。その結果、タイプも トークンについても

2

語連鎖から

6

語連鎖までの分析した全ての語連鎖を過少使用する 傾向があった。また、学習者によって使用された語連鎖は、母語話者の語連鎖と比較する と、インタラクションを促すような語連鎖や会話への参加を示すような語連鎖をあまり用 いていないことが分かった。

3.4.2.3.

De Cock (2007).

この論文は、話し言葉英語における母語話者と上級学習者の節に関する

MWUs

につい て、記述を試みたものである。分析には、母語話者コーパスとして

LOCNEC

を、学習者 コーパスとして

LINDSEI

を用いた。前者は

117417

語、後者は

90300

語である。

MWUs

の抽出として、2-gram、3-gram、4-gram、5-gramそして

6-gram

について、そ れぞれ生起頻度が

12

回、6回、4回、3回、3回以上のものを母語話者コーパスと学習者 コーパスから選択した。

学習者の

MWUs

の傾向として、繰り返しまたはためらい語を含む MWUs が多いこと が分かった。また、機能の観点からは、母語話者コーパス、学習者コーパスとも、会話や ターンの始めにインタラクションに必要な

MWUs

が多く見られた。しかし、質的な面で は両者に差異が見られた。学習者は、特にインフォーマルなインタラクションに見られる ような

you know, I mean, just, sort of , like, cos, yeah

を含む

MWUs

を過少使用してい た。そして、好き嫌いなどの態度を示す

MWUs

についても違いが見られた。学習者は

like

という動詞に主に限定されていたが、母語話者は

like

の他にも

enjoy

love

などの 単語の使用が多く見られ、母語話者の方が

MWUs

のバラエティが広い。

3.4.2.4.

Myles et al. (1998)

Myles et al.は、特に 3

つの非分析的

MWUs

である

j’aime

j’adore

j’habite

に注目し、

学習者は非分析的

MWUs

を徐々に 分解できるようになるか、新しい発話を生成する際に 生産的にそれらの部分を使うことができるかどうかを研究した。そして、MWUs の分解 に関する研究によって学習段階を推察できるかどうかについても考察を行った。

データは、

Progression in Foreign Language Research Project

で構築されたコーパス の中から抽出した。データサンプルは、2 つの学校からそれぞれ男女

4

名ずつで合計

16

名のデータから構成されている。これらの被験者は、フランス語を学習し始めて1年後に 語学教師によって能力別にグループ分けされ、その結果8名は能力が高く、5 名が中程度 の能力、そして

3

名が低度の能力であると判断された。

結果として、以下の点が明らかになった:

1) MWUs

の分解が関係する場合、学習者には明らかな発達の連続体が存在すること が分かった。早い段階で分解が始まる学習者と、動詞から代名詞主語を分節する のに長く時間がかかる学習者と、そしてまだその段階にもさしかかっていない学 習者がおり、段階的な発達段階がある。

2)

無意識的に

MWUs

を分解できるかどうかは、非定型句において、人称の選択な どの主語代名詞システムに独創的に現れることと関連する。

3)

発達の連続体において、学習者を

3

つのカテゴリーに分類することができる;

a)

研究の終盤までに

MWUs

を構成要素に分析的に判断することができ、主 語代名詞を自由に使用することができる学習者

b) MWUs

の分解の発達が遅く、完璧ではないが一応

MWUs

の構成要素を分 析的に判断ができる学習者

c)

二年間の間に全く発達が見られなかった学習者

また、初期段階において MWUs はコミュニケーションの手段として役立つが、学習が 進むにつれて、MWUs を構成要素に分類し、人称の変化など

MWUs

を状況に合わせて 正しい形に直せない場合、コミュニケーションの阻害となる。

3.4.2.5.

Myles et al. (1999)

本論文は、英語母語話者である初級フランス語学習者の発話における疑問形を含む

MWUs

の役割についてまとめたものである。学習者と母語話者の

MWUs

の使用が異な ることを指摘し、学習者の

MWUs

の特徴として以下の

6

点を挙げている:

1)

学習者の別のアウトプットと比較して、MWUsの長さが長く、複雑である

2)

同一イントネーションカーブ内で途切れが無く、流暢でよどみない一貫した音韻

体系をもつ

3)

統語的、意味的、語用的に誤って使用されている

4)

コンテクストにあわせて

MWUs

内を別の単語に代替することができず、常に同 じ形を使用する

5)

学習者の別の発話と比較して、文法的に難しい形を使用する

6)

学習者に特徴的な

MWUs

は、限定的な状況やコンテクストで現れる。特に教室 活動で使用される表現について、MWUsのバリエーションが広い

学習者は言語規則を適応して生成するのではなく、これらの特徴を持つ

MWUs

を記憶 していると仮定し、学習者の学習段階が進むにつれどのように疑問形を含む

MWUs

が分 解されるかを分析した。

データとして、

Progression in Foreign Language Research Project

で構築されたコー パスから無作為に

16

名の会話データを抽出した。このデータは長期データである。会話 データ収集初回の学習者の年齢は全て

11

歳から

12

歳であり、録音は

3

年にわたって行 われた。主なタスクはペアによるインフォメーションギャップタスクで、テクストや絵を 見てペアの間で質疑応答した。

その結果、MWUs の分解は学習が進むにつれて進み、疑問形を含む

MWUs

は後の分 析 的 ・ 創 造 的 な 表 現 の 生 成 の 基 礎 と な る こ と が 分 か っ た 。 学 習 者 は 初 期 段 階 か ら

comment t’appelles-tu

のような疑問詞+倒置形といった複雑な構文を

MWUs

として記 憶しており、学習初期段階では記憶した

MWUs

を三人称が主語となる場合のような不適 切なコンテクスト下でそのまま使用していた (例:*

Comment t’appelles-tu un garçon ?)。

しかし、徐々に適切な形に応用して用いることができるようになった。しかし、この発達 段階をスムーズに踏むことができる学習者がいる一方で、学習初期に学習した

MWUs

の 記憶の保持ができず、動詞を欠く疑問文の段階に逆戻りしてしまう学習者もいた (例:*

je

grand maison ?)。つまり、その発達方法やスピードの差は学習者の間によって認められ

た。

ドキュメント内 Doctoral Thesis (Tokyo University of Foreign Studies) (ページ 94-97)