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第Ⅲ部  中心市街地の回遊行動調査

岡山大学大学院環境生命科学研究科 助教 氏原岳人 岡山大学環境理工学部            4年 入江恭平

1. まとめ 

以下に、主な結果を述べるとともに、若干の考察を加える。 

表町エリアと駅前エリアを回遊する来街者は全体の約 20%

表町エリアと駅前エリアを回遊する(以下、エリア間回遊)来街者は 21%である(比較的広域 にエリアを設定しているため、感覚より高い数値) 。特に、20 代、友人グループの来訪構成、あ るいは「週に 1〜2 回」の比較的高頻度で市街地に来訪する者の回遊割合が高く、これら層が中心 市街地の回遊による賑わいの向上に寄与している。

エリア間回遊する来街者の大動脈は桃太郎大通りと県庁通り。移動手段の約半数が徒歩。  

エリア間回遊する来街者は、市街地内を徒歩で回遊する割合が最も高いが、回遊する層としな い層を比較した場合、 回遊する層はバスや路面電車などの公共交通を利用する傾向にある。 特に、

岡山駅エリアを起点として表町エリアまで回遊する者は、バス利用の割合が高い(岡山駅まで鉄 道を利用して、 駅ビル周辺で買い物をし、 バスを利用して表町まで行くという流れが類推される) 。 また、エリア間回遊する来街者の約 93%が、桃太郎大通り、あるいは県庁通りを利用しており、

そのほかの通りを主として利用する者は極めて少ない。また、県庁通りでは、自転車による回遊

が約 25%と高く、 桃太郎通りのそれは約 9%と低い。 表町エリアと駅前エリアをつなぐ大動脈は桃

太郎大通りと県庁通りであり、それらの歩行・自転車環境を優先的に整備するとともに、路面電 車やバスの利便性を向上させることで中心市街地全体の回遊性向上が期待できる。

どのエリアが起点かによって、回遊する来街者の特性は異なる  

表町を起点として駅前に回遊する来街者は 20 代が多いのに対して、 駅前から表町に回遊する来 街者は 50 代に多い。一方、本調査から駅前エリアは 20 代などの若者から、表町エリアは 50 代な どの中高年から支持を集めていることがわかっている。両エリアの独自性は保ちつつも、本来の 支持層とは異なる層の集客も定常的に図ることで、エリア間の回遊を活発にさせ、ひいては市街 地全体の活性化につながる可能性を示唆している。

エリア間回遊するかどうかは、物理的距離より時間的距離の方が影響を及ぼす  

  エリア間回遊の有無と「市街地までの所要時間」には、統計的に有意な関連性が見られたが、

「市街地までの距離」には関連性があまり見られない。つまり、エリア間回遊するかどうかは、

物理的距離より時間的距離の方が影響を及ぼす。二項ロジスティック回帰分析によれば、表町エ

リアから駅前エリアまで回遊する者は、中心市街地までの所要時間が「46 分以上〜90 分」の割合

が高くなる(回遊する確率で言うと、2.5 倍〜5.2 倍程度増加) 。

2. 分析方法及び結果 

(1)  回遊行動の定義 

本プロジェクトでは、回遊行動を「中心市街地など特定の範囲内で、移動目的以外で複数の目 的地に立ち寄る時の目的地間の渡り歩き行動」と定義する。たとえば、表町エリアで買い物をし て 移動のためだけ  に岡山駅エリアを利用する行動は、表町エリアと岡山駅間エリアの回遊行 動と定義されない。 

(2)  回遊行動の判読方法 

  岡山市中心市街地を、表町商店街や天満屋などの古くからの商業地から構成される「表町エリ ア」と、駅やその周辺の再開発ビルなどを中心とした商業地から構成される「岡山駅エリア」 、さ らにそれ以外の「その他の市街地」に区分して、それらエリア間やエリア内の回遊行動を調査す る。エリアの区域分けを図Ⅲ - 1に示す。

  そして、来街者に地図上に描いていただいたルート(図Ⅲ - 2) をもとに、図Ⅲ - 3に示す回遊行 動パターンを図Ⅲ - 4の判読フローに準拠して、それぞれ来街者の回遊行動を客観的に判読した。

なお、 「表町エリア」と「駅前エリア」間において回遊行動が見られた場合には、どの通りを利用 したのかを特定した。

図Ⅲ - 1  岡山市中心市街地のエリア区分

図Ⅲ-3  エリア間、エリア内の回遊行動パターン

エリア間回遊 エリア内回遊

1 .表町エリア→市街地外(帰宅) 1 .表町エリア内 2 .岡山駅エリア→市街地外(帰宅) 2 .岡山駅エリア内 3 .その他市街地エリア→市街地外(帰宅) 3 .両エリア内 4 .表町エリア→岡山駅エリア 4 .エリア内回遊無し 5 .岡山駅エリア→表町エリア

6 .表町エリア→その他市街地エリア

7 .岡山駅エリア→その他市街地エリア

8 .その他市街地エリア→その他市街地エリア

9 .判読困難

図Ⅲ - 4  回遊行動パターンの判読フロー

その後 そ の他市街地エリア

に立ち 寄った

4. を選択 初めに 表町エリア に立ち寄った

どの通りを通っているか 1.桃太郎大通り 2.県庁通り 3.あくら通り 4.その他の通り

初めに 岡山駅エリア に立ち寄った

その後 市街地外へ行った

3. を選択

8. を選択 どちらのエリアにも入らず その他市街地エリアにいた