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中学生の学習意識の実態

第4章 中学生の学習意識の実態

 学校現場において、生徒の学習に対する価値観の変化が話題になるこ とが多い。また、今回の学習指導要領め改訂で登場した「総合的な学習 の時間」のカリキュラムを構成する際に教師の価値観でのみでの学習の 展開では、生徒の主体的な学習活動を求めることは困難になると考える。

 そこで「総合的な学習の時間」のカリキュラムを構成する前に、生徒 の学習に対する意識を把握したいと考えた。そのため、由良港中学校全 生徒の学習についての意識調査を実施し、同様の先行調査研究104と比 較することにした。

第1節 藤沢市の教育調査の分析

1藤沢市中学校3年生の学習意識調査

1)調査の趣旨

 藤沢市教育文化センターでは、1965(昭和40)年以降、5年毎にほ ぼ同一内容の質問紙を用いて藤沢市内の市立中学校3年生の学習意識を 調査してきた。この継続調査のねらいは、生徒の学習に対する意識の変 容から時代の趨勢を読み取り、これからの教育の方向を見定める上での 基礎資料を得ることにあるとしている。

 調査を続けてきた35年間は、高度経済成長期から低成長時代・パブ

104 『2000年度「学習意識調査」報告書〜藤沢市立中学校3年生・35年間の比較研究〜』藤沢教育文化セン  ター,2001年

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      第4章 中学生の学習意識の実態

ル景気から経済のマイナス成長の時代へと日本の経済・社会は大きく変 わるとともに、教育も大きく変化してきている。「学校」の意味、「学 ぶこと」の意味の問い直しが求められ学校・教師の意識改革が叫ばれて いる。大人が当たり前としてきたことと子どもたちの意識のずれを把握 することにより、毎日の実践の問い直しの契機となればということで調 査が継続され、報告書が作成されている。

2)調査対象

 基本的には、藤沢市立中学校3年在籍生徒を対象としているが、第6 回、第7回の調査では、対象者が異なる。(表4参照)

表4藤沢市「学習意識調査」対象者数

調査年 調査数 調査対象

第1回 1965(昭和40)年度 2,424名 藤沢市立中学校3年生全員 第2回 1970(昭和45)年度 2,140名 藤沢市立中学校3年生全員 第3回 1975(昭和50)年度 2,885名 藤沢市立中学校3年生全員 第4回 1980(昭和55)年度 4,059名 藤沢市立中学校3年生全員 第5回 1985(昭和60)年度 5,358名 藤沢市立中学校3年生全員 第6回 1990(平成2)年度 855名 全19校中、各校1クラス 第7回 1995(平成7)年度 1,843名 全1g校中9校、各校全クラス 第8回 2000(平成12)年度 3,170名 藤沢市立中学校3年生全員

2調査全体のまとめから

35年間の学習意識の変化を報告書の分析の結果を要約を試みる。

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       第4章 中学生の学習意識の実態 1)学習意識の変化

①勉強意欲の激減

 調査開始当初から設定された学校学習適応度を表す5つの指標 05の うち、「勉強の意欲」が一貫して減少の一途をたどっていることが注目 される。具体的には、「もっと勉強したい」という強い勉強意欲を持つ 生徒が、調査開始当初(1965年)は約2/3(65.1%)いたが、現在(2000 年)では1/4(23.8%)にまで激:減している。一方「勉強はもうした

くない」生徒は、調査開始当初、僅か4.6%であったが、現在、6倍強 の28.8%まで激増している。報告書では、この原因を追及することを緊 急の課題としている。

②学習意識の変化と社会の変化

 学校学習適応度を表す残りの4つの指標の推移は、1965年〜1975年

(第1期)、1975年〜1990年(第2期)、1990年〜2000年(第3期)

と3つの時期に分けることができる。本報告書では、この要因を教育界 の主な出来事(学習指導要領の改訂等)、日本経済の変動と関連づけて

いる。

 しかし、日本経済の変化の影響が以下に大きくとも、生徒の学習意識 に対して直接的に作用するとは考えにくい。家庭内の保護者の言動や学 校内での生徒に対する言動の中に直接的原因を探す必要があるとしてい

る。

 いずれにせよ、継続調査項目の結果から、藤沢市の中学校3年生の学 校学習適応度は、35年間紆余曲折を経ながら、確実に下降の一途をた

105「勉強意欲jr勉強時間」「勉強の理解度」「勉強の自信」「勉強への集中度」の5項目をさす。

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       第4章 中学生の学習意識の実態 どっている、と結論づけている。

第1期 (1965年〜1975年)

 急激な経済成長路線を歩んでいたこの時期、調査対象者の学校学習に 対する適応度は決して悪くなかった。「勉強時間」「勉強の理解度」「勉 強の自信」「勉強への集中度」の4項目はいずれも、経済発展と同様に 上昇傾向を示している。たたし、前述のようになぜか「勉強意欲」だけ は、下降傾向を示している。

第2期(1975年〜1990年)

 オイルショックから低成長へと日本の経済が変化したこの時期、生徒 たちの学校学習適応度は、全面的に下降の一途をたどった。生徒たちの 学校学習は、望ましい事柄(「帰宅後毎日勉強する(勉強時間)」、「学 校の勉強がよくわかる(勉強の理解度)」、「学校の勉強についていく自 信が十分ある(勉強の自信)」、「勉強にいつも集中できる(勉強への集 中度)」)の数値がすべて減少し、望ましくない事柄(「帰宅後ほとんど 勉強しない(勉強時間)」、「学校の勉強がほとんどわからない(勉強の 理解度)」、「学校の勉強についていく自信がまったくない(勉強の自 信)」、「勉強にいつも集中できない(勉強への集中度)」)の数値がすべ て増大した。

第3期(1990年〜2000年)

 バブル崩壊後の10年間、望ましい事柄のうち、「学校の勉強について いく自信が十分ある(勉強の自信)」、「学校の勉強がよくわかる(勉強 の理解度)」の2項目は相変わらず減少し続けたが、「帰宅後毎日勉強 する(勉強時間)」、「勉強にいつも集中できる(勉強への集中度)」の       一114一

       第4章 中学生の学習意識の実態

2項目は下げ止まった。一方、増大し続けていた望ましくない事柄は、

1995年の調査で、いったん減少(「学校の勉強がほとんどわからない(勉 強の理解度)」、「学校の勉強についていく自信がまったくない(勉強の 自信)」、「勉強にいつも集中できない(勉強への集中度)」)または停滞

(「帰宅後ほとんど勉強しない(勉強時間)」)したが、2000年の調査で は再び増大した。

 生徒の学校学習の意識の変化は、経済、世界情勢、社会のニーズなど 多方面からの影響を受けていることは確実である。その中で学校学習の 根本となる、教育課程の大綱的基準としての学習指導要領は、社会や時 代状況を反映し、ほぼ10年おきに改訂されているが、この改訂と生徒

の学校学習の意識の関連を考えることも必要である。

2)友だちづきあいの場としての学校

 前回(1995年)より追加した調査項目(学校の意義、相談相手、学 校と塾の比較)の結果によると、今回も、生徒にとって、学校で一番大 切な事柄は「友だちづきあい」であり、学校に通う一番大きい理由は、

「友だちと過ごしたいから」であった。また、勉強や悩み事の最大の相 談相手も、前回同様「友だち」であった。

 さらに、塾との比較においても、学校は前回同様「親友がいる」「楽 しい」、「必要」で、「好きな」場所とされており、多少煩わしい(「退 屈」「おせっかい」)ところであったとしても、全体として肯定的な感 情を持てる場所であることに変化はなかった。ただし、前回、学校は塾 に比べて比較的「気が重くなった」が、今回、学校は「気の重さ」で塾 と肩を並べた。

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 一方、今回も塾は、学校に比べて「教え方がわかりやすい」、「受験 に役立つ」場所として認知されている。しかし、この2項目については、

前回の調査結果と比べて、塾の増大(教え方=50.8%→65.0%、受験=

47.0%→62.1%)と、学校の大場な減少(教え方=23.6%→11.5%、受験

=27.4%→12.1%)が目立った。

 以上の結果を見る限り、学校はフォーマルには勉強の場であるが、生 徒たちが学校生活の中でもっとも重要視しているのは、「友だちづきあ

い」である。生徒たちにとって学校は、友だちづきあいの場として重要 な意味を持っている、と結論される。

3)生徒の学習意識と古典的学習観のずれ

 調査開始当初、前提になっていたは「学校は勉強の場」であり、「生 徒の本分は勉強すること」であり、「学校の勉強に対して生徒は全面的

に適応すべきである」という認識であった。それは、古典的学習観に基 づいた学校学習適応度を表す5つの調査項目の設定に顕著に表れてい る。つまり、生徒の実態を把握して、不適応の原因になっている諸要因 を取り除くために、この調査が開始されたのである。

 しかし、前回(1995年置の調査結果は、生徒たちが「学校の意義」

を勉強よりも友だちづきあいの方により多くのウエイトを置くため、学 校が、勉強の場というよりは、むしろ友だちづきあいの場になっている

ことを示している。

 つまり、「学習意識調査」の前提として教師が把握している学校観や 学習観が大きく変化し、その結果、調査項目の内容自体が、現在の生徒 たちの意識とかなり差があることが

前回の調査により明確になった。今回の調査では、生徒たちが「勉強」

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