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世界平和を探求して。クラブ会長殿、幹事殿

ドキュメント内 Create Awareness Take Action ,500 1 (ページ 94-98)

ブ ス カ モ ス ラ   パス   デル    ム ン ド

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ス・ローアの事務所のあった、シカゴはディア ボーン街のユニティビルの 711 号室に於て、ガ スタバス・ローア、石炭商のシルベスター・シ ール、洋服反物商のハイラム・ショーレイを前 に、青年弁護士ポール・ハリスはクラブの必要 性について情熱を傾けて語りかけていました。

ポールの考えているこのクラブは、職業人が集 い、友愛の精神を以て互いに助け合うという画 期的なもので、ただ実業にたずさわる者だけで なく、法律家、医師、宗教家といった専門職の 者も参加するのだ、もし我々が定期的に集まれ ば心からの友達になれると思う、と繰り返し話 したといわれます。資本主義のもとでの自由競 争が故に、互いに疑心暗鬼と不信感に悩まされ る職業人に、親睦と和合をもたらせるには如何 にすべきか、この難問を解決したのが一業種か ら一人を選ぶという発想だったのです。そして そのクラブを会員の相互扶助を目的とする親睦 団体とするという基本構想がまとまりました。

二週間後の二回目の会合はポール・ハリスの 法律事務所で開かれ、印刷業のハリー・ラグル スと不動産業のウイリアム・ジェンソンが加わ り、第三回目の会合までには、あと数名が入会 したので、ここで役員の任命、定款の作成、ク ラブの名稱などが取り決められ、ここにシカゴ ロータリークラブが創設されたのであります。

この初期シカゴロータリアンの努力の中には、

今日の世界中のロータリークラブの大原則や、

一般的慣例にまで高められたものが幾つかあり ます。

1) 1 業 1 会員制。この原則はあらゆるロータリ ーの原則の中でも第一番のものであり、今 日でもロータリーの大黒柱をなす原則であ ります。

2) クラブ内では政治的、宗教的論争並びに団 体行動の禁止であります。古来色々なクラ ブの中で政治結社や宗教的資格を前提とす るものがあり、そのため本来親睦を目的と したクラブが派閥抗争の中に悲惨な最期を とげる例が多かったのですが、ロータリー は社会的に有用な職業に従事する人なら誰

でも参加できるものであるから、政治や宗 教によって差別はしない。大会社の社長で も、理髪店の主人でも会員になれるし、労 働組合の役員でも、またカトリックの神父 も、ユダヤ教の教師も、仏教の僧侶も、神 社の神官も会員になる事ができるのだから、

この禁止は当然であり、逆に言えば、個々 人の政治活動や宗教的活動を自由に認める ということを意味し、その後のロータリー クラブの発展に大いに役立ったと思われま す。

3) 会員はお互いにファーストネームで呼び合 う慣行があり、日本以外の大多数の国で行 われている。しかしこれは日本人社会の生 活習慣になじまず、東京クラブや大阪クラ ブで一寸やって見たが続かなかった。

4) 和気あいあいの雰囲気作りのため、合唱を する慣例が生まれた。無口で頑固者と見ら れていた印刷屋のハリー・ラグルスが提案 して始まった例会開始時の合唱は、皆を童 心に還らせ仲良しの雰囲気をかもし出すの に役立ち、今日公式にロータリーソングと されている歌は 144 曲もある。その中には子 供の頃からみんなに親しまれてきたフォー クソングも多い。

5) 役職に関する互譲の精神。ポール・ハリス はクラブの創立者であるにもかかわらず、

初代会長には就かず、彼の親友であるシル

グローリア・リタ夫人とフランク・デブリン RI 会長

ベスター・シールを会長とし、初代幹事は ウイリアム・ジェンソンが、そして初代会 計にはハリー・ラグルスが就いた。そして 役職は原則として 1 年交代という慣例を作っ て、これが今日の世界中のロータリークラ ブの慣例となった。

6) 2 週間に 1 回定例の会合を会員の職場で開 き、職務上の色々な問題を語り合った。

7) 各会員はその職業管理から得た所信をクラ ブ例会に於て他の会員に開陳することを義 務づけられた。これが今日行われている例 会に於けるテーブルスピーチ即ち卓話であ る。会員相互の職業上の情報交換という重 要な意味をもっている。

8) 例会出席をクラブ会員の根本的義務とし、4 回連続して欠席すると会員資格を失うこと を申し合わせた。

9) 会合の時間厳守のこと。ロータリアンは皆 忙しい身であるから会合は必ず定刻に行う。

これが時間にルーズな日本でも適用され、

日本人ロータリアンの時間厳守は、ロータ リアンの信用を高めることとなった。クラ ブによっては遅刻者から罰金をとって(ニ コニコ箱)社会奉仕の財源として利用して いる。

10) 会員名簿に写真を入れる慣例がシカゴロー タリークラブによって開発された。

11) 例会で食事をともにする慣例が始まった。

或る例会で遅刻してきた会員を他の会員が 非難したところ、その理由は食事に時間が かかったと言い訳をした。そこで例会で食 事をしようという事になり、一度食事を共 にしたら、みんないい気分で気持が開放的 になり、親睦の実が大いに上がったという ことで、例会で食事をする習慣ができ、例 会場も持ち廻りではなく一定のレストラン などでするようになった。

以上のように考えてくると、今日の世界中のロ ータリークラブの慣例の殆んどが、初期シカゴロ ータリークラブの独創によるものだという事がわ

かるのであります。ただ初めの頃は、例会を 2 週 間に一度行うクラブが多かったのですが、1922 年 ロスアンゼルス国際大会で標準クラブ定款の採用 を義務づけた以後は、例会は毎週行わなければな らなくなったのであります。

設立当初のシカゴロータリークラブのメンバー は、経営者といってもその大多数は学歴もない貧 乏な田舎出の商人たちであり、ポール・ハリスが アイオワ大学、ハリー・ラグルスがシカゴ大学の 夜学を出ていたくらいで、知的水準はそれ程高い とは思われなかったけれど、彼らはあくまで正直、

勤勉を旨とし、悪徳不正が横行していたシカゴの 町にあって、道徳的に生きようと努力したのであ りました。

ごく普通の善良な職業人が集まって、相互扶 助 reciprocity と友愛 fellowship を目指した初期シ カゴロータリークラブに比較して、東京ロータ リークラブは最初から日本の超エリートばかり を集めてスタートしたという生い立ちの違いが あったためか、良かれ悪しかれそれ以後の日本 のロータリアン達は自分らを特別な上流ステー タスと思い込んでいた時期がしばらく続きまし た。しかし現在ではクラブ数も会員数も増え、

日本中津々浦々に 12 万人ものロータリアンが溢 れるようになり、ロータリーもすっかり大衆化 したと言えます。それぞれの地域社会にふさわ しい地元の人々の中にどっかりと根を張って、

足が地についたロータリークラブこそが本当の ロータリーではないでしょうか。バッジをつけ れば自分が偉くなったような錯覚を起こし、他 の人々を見下すような事があってはいけませ ん。人類は皆兄弟姉妹であり、人は皆有能無能 に関係なく人格に於て対等平等である…これが ロータリアンの心底にある信念であります。

アーサー・フレデリック・シェルドンやフラン

ク・コリンズの言う他人に対する思いやりや、自

利に先行する他者へのサービスが、ロータリー哲

学の脊骨となって行くのであります。では又、来

月までご機嫌よう。

国際ロータリー理事会は、全ロータリークラブが国 際奉仕を同時に行なう機会として、毎年 2 月を「世界 理解月間」(World  Understanding  Month)に指定しまし た。2 月 23 日はロータリー創立記念日であり、「世界理 解と平和の日」としても遵守されています。各クラブ ともその日にはロータリーの国際理解、友好、平和へ の献身を特に認識、強調しなければなりません。2 月 はすべてのロータリアンにとり格別の意義のある月で あります。1905 年 2 月 23 日、アメリカ シカゴでポー ル・ P ・ハリス他 3 人の同志がディアボーン街ユニティ ビルの鉱山技師のガスターバス・ローアの事務所で一 業種一人の会員制による親睦と相互扶助を目的とした クラブのことを話し合ったのがロータリーの起源と言 われております。ポール・ P ・ハリスはその著書 This Rotarian  Age の中で「ロータリーのような運動の発芽 として 20 世紀の初頭ほど適当な時期はなく、またその 運動を確固たる方向に育成する湯所としてシカゴの地 ほど適切な所はなかった。」と述べております。

1929 年ダラスの大会で正式に 2 月 23 日を創立記念日 として決議されたのです.ロータリーの目的も親睦と 相互扶助も時代の変遷に伴い、異業種の会員との触れ 合いの中で柔軟な思考能力をはぐくむことにより変化 を遂げて参りました。それは利己と利他の調和へと進 み、さらに地域社会に対する世界社会へと奉仕の理念 を拡大してきて、今や国連と手を携えポリオの撲滅を ロータリー創立 100 周年、2005 年までに誓約している のです。

戦渦の絶えなかった 20 世紀、ミレニアムの 20 世紀を 人類の教訓として新世紀こそはロータリーの最大の目 標「世界理解月間」に唱われる国際理解と友好、平和 への献身に一人一人のロータリアンが目覚める月間と して奉仕の実践に邁進せねばなりません。

この百年の間に世界は日ましに小さくなり、今日、

情報の伝達は何の垣根もなく衛星を通じて人類が交流 され、人類の体験したことのない時代が出現いたして おります。極地的に民族紛争、宗教紛争も人間の知識 の向上と理解によって、世界平和達成に全世界のロー タリアンは実践の行動に参知せねばなりません。

その第一歩は世界を理解し、世界の人々と友達にな ることにより始まります。毎年 2 月に実施される世界 理解月間(World Understanding Month)は、特別月間と してクラブ会長は、世界平和に不可決なものとして理 解と親善を特に強調し、クラブプログラムの活動実践 に務めなければならないよう要請されております。世 界社会奉仕、青少年交換、友情、連帯感、相互信頼を よりグローバルな世界に向かって歩むべき時だと思い ます。

ロータリーの理念の最終の目標は申すまでもなく、

「世界の平和」21 世紀初頭の「世界理解月間」こそ世 界 120 万ロータリアンが認識を新たにロータリークラ ブ創始者、今は亡きポール・ P ・ハリスの心に応える べき事と思います。

最後に論語に次のような教えがあります。知之者、

不如好之者、好之者、不如楽之者。これを知る者はこ れを好む者にしかず、これを好む者はこれを楽しむ者 にしかず。とありますが、之と言う字を「ロータリー」

に置きかえますと、ロータリーを知る者は、ロータリ ーを好む人にはとてもかなわない、ロータリーを好む 人には、ロータリーを楽しむ人にはとてもかなわない となります。ロータリーを知り、好きになりそしてロ ータリーを楽しむ人には、とてもかなわないとなりま す。ロータリーを知り、好きになりそしてロータリー を楽しむ境地になって欲しいと願っております。

ロータリアン各位のご活躍を祈ってその責といたし ます。

パストガバナー

井内 堯治

(徳島

RC)

「世界理解月間に因んで」

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