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ドキュメント内 A.Zemlinskyの研究 : 歌曲を中心として (ページ 61-74)

*モティーフ①の箇所は礁、モティーフ②の箇所は点線で表す。

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(譜例1)

     毛そイーク①

毛そ躍一ワ②

 このモティーフ①とモティーフ②の基本的思考は何度も歌曲の経過で現れ、ツェム リンスキーはそれによってほぼ8分音符のみの持続的で危うい忘我状態のような印象 を与える音楽空間に平心軸を与えている。第1、6、笠0、12詩行で2小節分のモティー フ①に特徴づけられたこの作品は、主題を再現するという詩節形式のなごりを暗示的 に見せている。この詩と音楽の構造の不一致はツェムリンスキー自身の耽美主義的解 釈によって外面的な詩節形式の構造を内面的テキスト層から生じさせた、いわば現実 のテキスト層に対して異なった内面的構造を生み出した結果であるといえる。モティ ーフ①は詩全体の重心、または基軸となり、テキストの意味内容において関連性があ る命題的役割を果たす箇所へと置かれ、これと呼応するモティーフ②と共に曲全体を 支配し、この作品に方向性と統一性を与えている。結果的にテキストの外面上の型は 崩壊し、均整、合理性を失い、それに従って音楽上の組織内で示されている1つのモ

ティーフへの従属といった手法によって、形式喪失の危機に直面した芸術作品の調和 はまた再構築されたことになる。ホフマンスタールが言語の領域でそうしようとした ように、ツェムリンスキーはこのようなやり方で節からなる一致を破壊し、音楽的関 連をばらばらの片に分裂させ、またテキストの内面性に従って独自の解釈を試みてい

ると思われる。従って作品中の一致した要素、あるいは部分的に一致した要素の関連 を通じてこの作品の外面的形式をひも解くことによって、ツェムリンスキーの「外 面」に隠された意図を探り、またテキストを解釈する手がかりを見つけたいと考え

る。

 ホフマンスタールを語る際、第一の問題とされるのが彼と「時間」との関係である といわれているが、まさにこの Noch sp斑ich ihre豊Atem も、過ぎ去ってしまうはか ない経験を主題としている。親しい女性的人物の喪失、その宿命について回想的に語 られ、不可避で決定的な運命の辛さを身をもって知った拝情的な自我「lch」は堪iえ難 い苦悩の中で絶望的な叫びWie kann das sein?を発し、極度の錯乱状態に置かれ

る。そして自我「lch」は時間と空間のとどまることのない流れと消滅としての現実を

経験し、その中で「個」そのものもまた霊魂遍在としてのアイデンティティーにおい て「自我」と「世界」のアイデンティティーで構成されていたよりどころを喪失した のである。彼の周辺世界からの個の疎外は自我の生存をも解体へと導き、人々の過去 と現在のおのずからの疎外としての意識の分裂が生じる。そして先祖を伴ったアイデ ンティティーの神秘は現実として、これまでの陰うつな経験に対置され、過去と現 在、近くと遠くは一つとなり、霊魂先在の全体性は最も高い領域で再生を経験するの

である。

 この作品はモティーフ①②によって4つの部分Ω(T1−8)、8(aT9−13、 hT14−21)、

C(T22−25)、0(r26・31)に分けられる。

 n(T1−8)のTl−2には曲全体を支配するモティーフ①が曲面のLangs3m fliesend(ゆっくり 流れるように)によって統一性を与えられた空間に現れる。このモティーフ①はG主音 のブリギア旋法を用いて作曲されている。ブリギァ旋法は幹音上のE音から始まる音階

、で構成されている。(半音・全音一全音一全音一半音一全音・全音)

    舞籟ジのり随ギ マ肢多敦

 ブリギア旋法によって特徴付けられたこのモティーフはある種の神秘性と不可思議 さを与えられ、単調に過ぎ去っていく時の観念を象徴している。同様にTl・8までg・1no11 を中心に調性間を漂いながらT9からの。−mo11領域に向かって下行を続けるオクターブ 進行は、とどまることのない時の大きな流れや意識の深化を象徴し、その中で過去の 経験はだんだん激しく現実味を帯びてゆき、最:終的に回避できない運命へと行きつ

く。Tl−3のピアノ・パートでオクターブのD音が持続され(*1)、ドミナント的な広がり を与えられた空問の中を声楽パートとピアノ・パートが同音(D音)から始まり、ピア ノ・パートの大きな流れに逆らうかのように声楽パートは基音g 音を避けて緊張感を 保持しながら漂うように進行し、激しい跳躍を繰り返す(*2♂ 一暗:長6度、bl−g 音:

長6度、g ・b。音:長6度、 g 一as音:長7度、ぜ・g 音:短7度、丘s 一fis 音:完全8度、 h ・h音

:完全8度)。T3・6で連続してg 音が突発的に現れ(*3)、激しい跳躍によって高められた

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緊張感とエネルギーはモティーフ②のねじ伏せるような動きとT6−T7のピアノ・パート との重複(*4)によって抑制される。またそれらは(*4)によってフレーズの終止感を帯び ながらT7のh音の終止へ向かって急激に解消させられる。モティーフ②は苦悩と悲嘆と を象徴しており、テキスト上でもモティーフ②を含む第3詩行Fort sind,far imlner fbrt und ganz vergangen?は「致)rt」の交差配列(*5)によって強調されている。音 楽上ではfortの交差配列によるテキスト上の対比は、 T5のfortにg 音、 T6のfbrtに∬s。

音をあてがったモティーフ操作によって甲高の差(短9度)を作り出し、より明解に示し ている。またモティーフ②の構成要素ゴ・g 音(短7度上行)、丘s 一負s撃音(完全8度下行)の 音高の落差によってimmer fbrtに重さを与えている。このテキスト、音楽の両側面

によって強調されたモティーフ②は第1詩節の喪失を嘆く自己の最終場面を受ける重 要な箇所に用いられているといえる。 (譜例2参照)

(旧例2)

 内σく喰捻塾ゐ勤、づ

9一副題戚

。一緖N鍛姦;(丁)

 B(aT943)はオクターブで。音が持続された。・moU領域の中を、モティーフ①の構成要 素から生じた:旋律は初めは全音階的に、後半は半音階的に行きつ戻りつしながら上行 し、変わることのない運命としての現実(オルゲルプンクト。音)の経験の中で、個の心 理的緊張が高まっていく様子を示している。ッェムリンスキーは第4詩行の動詞 aussinnt(n l)をテルツィーネの詩の持つ規則性(aussinnt)に従わず、あえて

aussinntと韻律を解釈して作曲し(*6>、第5陣場の動詞Uage(T l3)には両音第に4分 音符という長めの音響を与えて(*7)、否定文である第4・5詩行を強調している。これは 過去と疎外を理性的に受け止めることが不可能であるいう精神的苦悩の現れであると 考えられる。 (月例3参照)

(譜例3)

  輪燃ウ・1信そ望十)て

 8(bT14・21)で再びg−mo班領域へと戻り、T14ではモティーフ①が再び現れ、 T 1−2の Noch sp r ich ihren Atem auf den Wangenが意味する「身近な人間の直接の喪 失経験」を、T17・18のdaK aUes gleitet und voraberrinntの意味する「過去の抽 象化された考察」と結び付けている。また同様にモティーフ②によってT17の he漁berglittの意味する「霊魂先陣の全体性の消滅」を、 T6のfUr immer fbrtの意 味する「苦悩の叫び」に結び付けている。それはツェムリンスキーがモティーフに

よって詩行にこのような関連性を持たせることで、いつも繰り返しテキストの普遍化 された命題を個人の内面へと投げかけていることを示している。B−bではnと比べると 8・aからのエネルギーと緊張感を蓄積しており、また和声の複雑化したピアノ・パー

トの大きな流れがaとは反対に上行する(*8)ことによってさらに凝縮されたモティーフ

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①を示している。また第6詩行から第7詩行にかけての旋律(T14−17)を詩節の境目であ ることを無視して意図的に連続させる(*9)ことによって、モティーフ①からの緊張感 は第3詩節のund da&mein eignes Ich,durch llichts gehemmt(T 16・17)へと持続 しさらに高められ、9の場合と同様モティーフ②herむberglitt(T 17)で頂点に達する。

そして圧縮されたエネルギーはT21までゆっくり時間をかけて、またT20からはピア ノ・パートによって重ねられて(*10)次第に解消されていく。機能感の崩壊でぼやけて

しまったカデンツの終止感に代わって、このようにピアノ・パートと旋律を一体化さ せることではっきりとしたフレーズの終止感を持たせ、BとCの間の大きな区切りを作

り出している。ここで見られる機能和声の崩壊の兆候は、過去からの疎外によっても たらされる自我の意識の分裂を象徴していると考えられる。 (譜例4参照)

(譜例4)

ら一賦。1隙域

 C(T22・25)の隔離された Dann で、詩節形式的にも音楽的にも一致した明らかな 区切りを示している。T22では伽。11の1の和音で突如明確な調性を示すことによって はっきりとした変化が与えられるが、この曲の基調である9・mollの長2度下のf≒1no11を あてがうことによって緊張度が減少し、ぼんやりとした印象を帯びたモティーフ①を 含む旋律はこれまでの半音階的旋律から全音階的旋律へと変化し、表現指示通り(sehr mhig)緩やかに静かに流れてゆく。

(高曇5)

   Tempo 毛魚一フ①

ユ『

       や刈ヒ 係一7②

Q曾      島Pしい960・頃       30       (

3 9

矧P      くア         P・・煽・・脚・姻軸・・e;・蝋爵

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つ1癖 菰軌間^り曾….月齢練と調性ぞ畦翻

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ドキュメント内 A.Zemlinskyの研究 : 歌曲を中心として (ページ 61-74)

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