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ドキュメント内 判決文にみる体罰発生の原因 (ページ 84-98)

 被告望月は…  原告に対して、 「お前はきのう嘘をついただろう。」

と尋ね、原告が「嘘はついていません。」と答えるや、その顔面を平手 で殴打し…  そして、被告望月が前日の出来事について原告に問い質

したところ、原告は、二二を被術者として催眠術遊びをしていたことは 認めたものの、いじめようと思ってやったことではないなどと弁解し、

反省の態度を示さなかった。そこで、被告望月は、それがいじめること になるのだと言いながら原告を殴打し…  更に原告を追及して、原告 が以前丙川を蹴ったこともあることを聞き出し、その顔面を殴打した。

この間被告望月が原告を殴打した回数は、十数回におよんだ。

 被告望月は、この際弱い者いじめをする雰囲気を一一記すべく、二年四 組の生徒を一気に指導しようと考え、原告に対して、前日催眠術遊びを そばで傍観していた生徒を呼びに行かせた(。)

 被告望月は、山男女山六名の生徒に命じて全員机の上に正座させ、自 分は椅子に腰かけたまま、催眠術遊びは極めて危険なものであり、これ を見ながら制止しなかったことについて注意し、また、山川をいじめて はならない旨説諭したうえ、右生徒を一人ずつ立たせ、男子生徒につい ては平手でその顔面を殴打し、女子生徒に対してはその顔面を平手で小 突いた。また、三原秋夫については、同人が遅れて職員室にきたことに 立腹し、その襟首を掴んで平手で顔面を四、五回殴打したうえ、うずく まった同人に対して足蹴りを加えるなどし、そのために、二二の唇が切 れて出血した。この際被告望月も興奮しており、丁原秋夫に激しい暴行 を加えたので、居合わせた小林一夫教諭がこれを制止した。

※以前からのいきさつが係わっているのではあるが、 「「お前はきのう 嘘をついただろう。」と尋ね、原告が「嘘はついていません。」と答え       一81一

るや、その顔面を平手で殴打し」にみられるように、昨日に続く原告の さらなる虚言に誘発されて、思わずカッとなってした行為であり、自制 心のたがが外れてしまったことが窺われる。そして「この際弱い者いじ めをする雰囲気を一掃すべく」からは、この際殴打によって、生活指導 をしょうとする教師の指導方法上の問題が窺われる。自制心を誘因の① にもつてきたのは、殴打等のそもそもの起こりが自制心のたががはずれ たことにあると窺われるためである。

2、誘因及び誘因析出の根拠と補足説明

①ルール違反

②ルーズ

学校事故・学生処分判例集第3巻p,941・108の上段20行から下段2行

 原告は、学業については二年四組の生徒の中でも上位の成績であった が、学校の規則を守らない、掃除を真面目にやらない、遅刻・忘れ物が 多いなど日常生活上改善すべき点が多かった。

※ルール違反、ルーズは共に関係していることであり、またどちらが先 にあるかも厳密に決めることは困難なことであるが、学校の規則を守ら ない、掃除を真面目にやらない、遅刻が多いは、学校全体すなわち公の 規律に関することであるのでルール違反とし、また忘れ物が多いは、個 人に関する面が大きいのでルーズとした。そしてルールが曖昧になって くると学校の秩序の崩壊につながり生徒指導は困難をきわめてくること でもあるので誘因の①とした。

③悪賢さ

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前掲判例集P,941・108の下段3行から13行

 のみならず(i)、二年四組では、昭和五十五年度二学期ころから、弱い 者いじめをしたり、授業中悪戯・嘲笑等をして真面目な生徒の学習を妨 げたりする傾向が強く、他のクラスと比較しても、指導上好ましくない 雰囲気が顕著であった。そこで、学級担任の被告笹野は、再三生徒らを 指導し、父母にも協力を依頼してきたが、さしたる改善は見られなかっ たところ、原告は、このような状況につき生徒間においてリ}ダー的役 割を果たしており、積極的に身体傷害者等弱い者いいじめ、また、真面

目に授業を受けている生徒に悪戯をし、それを注意されると自分は関係 がないような態度を装ったり、他人の所為にしたりなど要領よく立ち廻 ることが多かった。

 被告笹野及び同青木らは、折りにふれて、原告のかかる短所を是正す べく努力をしたが、思うような効果はあがらなかった。

(註1)「のみならず」とは、 「学校の規則を守らない、掃除を真面目 にやらない、遅刻・忘れ物が多い」等のうえにという意味である。

※弱い者いじめ、授業中悪戯、嘲笑等をしてまじめに学習しょうとする 生徒の妨害等、授業秩序を確保することの困難さが窺われる。それを、

さらにおもしろ半分に煽りたて、注意されると自分は関係がないような 態度を装ったり、他人のせいにするなど要領よく立ち廻る原告には、

「悪賢さ」も指摘できる。

④いじめ

前掲判例集P,941・109上段7行から14行

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 昭和五十六年三月五日午後三時ころは、生徒の手で教室の掃除(労作)

がなされるべき時間であったが、原告は、同級生の乙山春夫と共に、二 年四組の教室の教壇側出入口附近において、丙川(1〕を壁際に立せ、同人 を被術者として催眠術遊び(2)をしており、他の同級生の多くも掃除をせ ずに、その周りを取り囲むようにしてこれを見ていた。乱川は、原告ら に催眠術遊びをかけられて意識がもうろうとなり、壁に頭を打ち付ちつ けたうえ転倒した。

(註1)前掲判例集P,941・108の下段18行からP,941・109の上段3行

 明るく素直で誠実な生徒であって、身長こそ原告より高かったが、昭

和52年に脳腫瘍治療のため左前頭葉腫瘍摘徐手術を受け、本件当時に

おいても複視・右半身不全麻痺の症状が残り、身体に軽度の傷害がある

うえ、昭和55年4月に乙田大学附属中学校から転校してきたばかりで

あるという事情もあって、同級生から教科書に給食の総菜を挟まれたり、

所持品を隠されたり、殴る蹴る等のいじめの対象とされ(た。)

(証2, 前掲判例集P,941・108上段5行から11行

 二人の生徒が向き合って立ち、被術者たる一方の生徒が大きく息を五

・六回吐き、肺内の空気を吐き切ったところを見はからつて、他方の生 徒が被術者たる生徒の胸を手拳で勢いよく尽き、これにより被術者たる 生徒が呼吸困難となって、あたかも催眠術にかかったかのように意識が

もうろうとなるというものであって、ひどい時には被術者が転倒し、け いれんを起こすこともあった。

※補足説明をするまでもなく、転校して間がない、そのうえ身体傷害と       一84一

いうこともあり、教科書に総菜を挟まれたり、所持品を隠されたり、殴 る蹴る等の仕打ちの延長線上にあったことであり、いじめである。

⑤虚言

前掲判倒集P,941・109上段19行から下段4行

 丙川は…  頭を押さえてうずくまったまま涙を流しており、被告望 月の問いかけに対しても、何があったのか良くわからない旨答えるのみ であった。そこで…  原告に尋ねたら、原告は、 「何もしていません。

遊んでいただけです。」と丙川とは全く関係がないように答えた。

前掲判例集P,941・109下屋12行から17行

 被告望月は、二三二六H…  上川を呼び止めて、前日の掃除の時間 中の出来事について尋ねたところ、同人は、原告及び乙山春夫に強要さ れて催眠術遊びの対象にされたこと、それ以前にも同級生から所持品を 隠されたり、教科書に給食の総菜を挟まれたり、殴る蹴る等のいじめを 受けていることを話した。

※催眠術遊びの危険性をすでに知ってるうえ、頭を押さえてうずくまっ たまま涙をながしている丙川を前にして、 「何もしていません」とはい えないことであり、明らかに虚言である。

⑥聞き分け

前掲判例集P,941・110の上段19行から下段6行

 被告望月が前日の出来事について原告に問い質したところ、原告は、

丙川を被術者として催眠術遊びをしていたことは認めたものの、いじめ       一85一

ようと思ってやったことではないなどど弁解し、反省の態度を示さなか った…  更に原告を追究して、原告が以前丙川を蹴ったこともあるこ とを聞き出し、その顔面を殴打した。

※更なる追及のなかで原告が以前丙川を蹴ったことがでること、そして 催眠術遊びの危険性を知っていること等から考えても、この丙川に対す

る催眠術遊びの根底には、いじめがあることは明らかであり、「いじめ ようと思ってやったことではない」などは通用しないことであり、聞き 分けの悪さと考えられる。

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19、東京都立京橋高校定時制(殴打傷害)事件       東京地裁 平成元年4月24日判決

概要

学校事故・学生処分判例集第3巻P,941・116の下段9行から上9e 13行

 原告は、昭和六十年十月当時、東京都立京橋高校定時制四学年に在籍 していたものであるが、十月のある日、同校の保健体育の被告担当教員 が原告の書いた学級日記を読んで原告をやゆ(原文は漢字)するような論評を 書いたのでこれに抗議した。しかし原告は、被告教員から顔面を殴打さ れて、急性歯芽支持組織炎等の傷害を負った。

要因・誘因及び要因・誘因析出の根拠と補足説明 1、要因及び要因析出の根拠と補足説明

①児童・生徒理解

前掲判例集P,941・124の上段12行から21行

 原告は、この女子更衣室設置(1)に関しては従前から関心を持ち・・

・被告深澤や教頭先生に設置について話をしたことがあり、これに対し て被告深澤が「あんな生徒だから更衣室を作らない」と述べたことがあ

り、また、被告深澤が女子更衣室である会議室の鍵を持ち歩いているた め更衣室を利用できなかったと言っていた女子生徒があらたことや、女 子更衣室についての職員会議において被告深澤が消極的であったとの噂 を聞いたことから、原告は、この女子更衣室問題について被告深澤が消 極的であるど感じていた。

(註1) 前掲判例集P,941。123の下段12行から19行

原告が京橋高校に転入学したころ、同校には定時制専用の女子更衣室       一87一

ドキュメント内 判決文にみる体罰発生の原因 (ページ 84-98)

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