当日原告ら四名の者が体罰を受けたのは、同人らが、訴外人が自習時 間内に指示した課題を、生徒同士で喋っていて十分やっていなかったこ との訓戒の趣旨であった。
※最近、学校でよく問題視されていることとして、授業中の無駄話等で 授業秩序が保ちにくいということがある。原因はさまざま考えられるが、
一つには生活態度のルーズさも指摘できる。静かにして、教師の話を聞 いたり、他の生徒の発表を聞いたりができず、すぐ無駄話をしたりの傾 向がある。本件にも友達と喋ったりして自習として教師が出した課題を しなかったというルーズさが窺われる。
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13、鹿児島県天城町立天城中学校(殴打傷害)事件 鹿児島地裁 昭和59年2月6日判決
概要
学校事故・学生処分判例集第3巻P,941・61の上段7行から11行
公立中学校のある生徒(一年生)が、掃除時間に遅れたとして、担当 教諭から左頬の殴打などによる体罰をうけた。
そのため原告は、外傷性および心因性の後遺症害(頭痛のほか、身体 強直、もうろう(原文は漢字)状態、失立失歩、痛覚、触覚の異常等の症状)
をこうむり、約二年間治療を受けた。
要因・誘因及び要因・誘因析出の根拠と=補足説明 1、要因及び要因析出の根拠と補足説明
①誤解
②自制心
前掲判例集P,941・64の下段20行からP,941・65の上段15行
原告は… 昼休み時間に、同級生の奥田みとえとともに美術室で美 術担当の大谷教諭の指導のもとで三日後に開催される文化祭に出品する 絵の制作に従事中、掃除時間… を告げるチャイムが鳴ったが、大谷 教諭から同日調合ずみの色と同じ色を再び作ることは難しいから、右調 合ずみの色と同じ色を使って描く部分を完成させるよう指示されたため、
同教諭の指示に従って絵の制作を続けた後、掃除開始時刻から五分ほど 経過して奥田とともに美術室から自分達の教室へ向かって歩いていたと
ころ、その途中の渡り廊下付近で喜納教諭から呼び止められた。
喜納教諭は、原告及び奥田に対して、 「何をしていたのか。」と尋ね、
これに対し原告が、 「美術室で絵を書いていました。」旨答えたが、同
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教諭は原告の返事の内容をよく聞き取れないままいきなり、平手で原告 の両頬を合計三回、原告がよろけそうになる程度に強く殴打し、続いて 奥田の頬を一、二回殴打した。その後喜納教諭は、原告と原田に対し、
反省のため掃除時間が終わるまで… 一年校舎前庭に正座するよう命 じ、両名は右時刻まで五ないし十分間正座した。
前掲判例集P,941・67の上殺5行から7行
原告は本件体罰の前日… の掃除時間中に友人とふざけていて喜納 教諭から注意を受けた(。)
※本件は正当な納得性のある理由によって掃除時間に遅れたのに、その 理由をよく確かめず、担任教諭の早とちり、思い込みにより前日とまた 同じ理由で掃除時間に遅れたとてし体罰を行使したものである。すなわ ち「誤解」があったと考えられる。そして「理由をよく確かめない」う えの「いきなり」という関係において、 「また同じことをした」と思い 込んでしまった、すなわちカッとなってした行為であり、自制心の不足 も窺われる。したがって、要因の①誤解②自制心とした。
2、誘因及び誘因析出の根拠と補足説明
①ルール違反
析出の根拠は要因析出の根拠と同文
※掃除時間に遅れる等は、個々人さまざまな事情があり、よく有り得る ことであり、それに対して理由をよく確かめず殴打する等、教師の短気 さの表れである。しかしながら、団体生活においてはそのようなことか 一65一
ら規律が緩んでくることもあり、それに前日ふざけていて遅れ、注意さ れていたこともあるので、全く生徒としての責任はないとまでは言い切 れない。したがってルール違反として析出したが、懲戒の対象というよ
りは一言注意をすればすむことであると思える。
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14、長崎県立宇久高校(殴打転倒傷害、謹慎処分、
任意退学処分)事件
長崎地裁 昭和59年11月26日判決
概要
学校事故・学生処分判例集第3巻P,941・69の上段8行から11行
県立高校の一年生に対し、教諭が同生徒の態度を看過することは教育 上好ましくないとの判断から平手で一ないし二回頬を殴り、それを契機
として、防衛の意図に出たとはいえ、同生徒の腰に抱きつき床に転倒さ
せた。
前掲判例集P、941・76の下段23行からP,94・1・77の上霞1行
原告はこのような混乱の中で、右転倒のため全治六週問を要する左鎖 骨骨折の傷害をうけた。
要因・誘因及び要因・誘因析出の根拠と補足説明 1、要因及び要因析出の根拠と補足説明
①指導方法
前掲判例集P,94・1・76の上段11行から下段7行
宇久高校は簿記検定試験に備えて九月七日から二十一日までの早朝及 び放課後の簿記の補習授業を実施し、これに商業科の生徒全員出席する ように義務づけていた。原告も当然出席すべきところ、欠席が目だった。
そして他の生徒も含め欠席が多く、一クラス四十四名中十ないし十五名 欠席していた。学級担任の教諭新地はその対策に苦慮し… 商業科主 任の教諭築山に指導方を願いで出た。築山は… 昼休み中に前日の補 習に出ず、又はテストを受けなかった生徒を呼びつけて注意した…
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原告は真実は前日の補習には出席しテストも受けていたため叱られる筋
合いはないと考えて… 掃除の時間に職員室の築山の席に赴いた。築
山は… 前日の補習時間については出席してテストも受けていたため この点についての築山の詰問に冷ややかな返答をした。築山としては前 日のみならず全期間の補習授業についても注意すべき必要を覚えていた ため、原告の態度を看過することは教育上好ましくないとの判断から平 手で一ないし二回頬を殴った。前掲調例集P,941・77の下段9行から12行
教諭築山が教育のためとはいえ原告の頬を一ないし二回平手で殴り、
これを契機として防衛の意図にでた行動とはいえ原告の腰に抱きつき床 に転倒させたことは不法行為を構成するというべきであ(る。)
※「原告の態度を看過することは教育上好ましくないとの判断から・・
・頬を殴った。」に表れているように、殴ることを指導方法として、肯 定している様子が窺われる。したがって、教師としての指導方法に問題 があるといえる。
2、誘因及び誘因析出の根拠と=補足説明
①ルーズ
②反抗
前掲判例集P,94・1・75の下段19行からP,941。76の上段10行
原告の学級担任新地は原告の入学時に… 入学試験の成績が良かっ たことから原告に学級委員長になるようにすすめ、原告はこれを快諾し た。ところが原告は入学後授業態度が悪く、教師が注意すると「学級委
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員長を辞めればいいんだろう」といった開きなおった態度をとるように なり、その後暫くして原告自ら右新地に対し学級委員長を辞めると申し 出たので、右新地はこれを思いとどまらせるべく説得を続けた。何度か 説得の機会を持っている中、新地の指導に冷笑する態度を示したので、
頬を一回殴り… 結局学級委員長についての辞意を翻すこととはなら なかったため、別の生徒を選出させて交代させた。その後も原告の授業 態度は悪く、宿題を忘れたり、授業中窓にもたれかかったり、私語を発
しこれを注意すると冷笑して素直に聞き入れない態度を示した。
※「その後も原告の授業態度は悪く、宿題を忘れたり、授業中窓にもた れかかったり、私語を発し」、「これを注意すると冷笑して素直に聞き 入れない態度を示した」に表れているように、まずは、原告の学校生活 全般においてのルーズさが窺われ、そしてそのことについての学級担任 や商業科主任の注意に対する反抗的な態度が窺われる。したがって、誘 因①ルーズ②反抗とした。
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15、岐阜県立岐陽高校(殴打死亡)事件
水戸地裁土浦支部 昭和61年3月18日判決
概要
学校事故・学生処分判例集第3巻P,941・79の上霞5行から6行
公立高校の研修旅行で、携行を禁じられていたヘアーアイロンを持参し た生徒に対して、担任教諭が体罰を加え右生徒が死亡した。
要因・誘因及び要因・誘因析出の根拠と補足説明 1、要因及び要因析出の根拠と補足説明
①指導方法
前掲判例集P,941・79の下段5行からP,941の上段8行
三泊四日の日程で行われた筑波科学万博の見学を兼ねた同校二年生の 研修旅行に、ほか十数名の教員とともに引率者として参加し、生徒とと もに旅行中、同旅行開始直後の所持品検査で、自己の担任するクラスの 生徒であるKが予め学校側からその携行を固く禁じられていたヘアーア イロンを持参してきているのを被告人自ら発見したためこれを取り上げ、
さらに翌々日の… 朝にも… やはり自己の担任するクラスの生徒 であるHが自室でヘアードライヤーを使用しているのを目撃したため、
これも取り上げていたが、同日の昼食後… やはり自己の担任するク ラスの生徒である本件被害者Tがヘアードライヤーを持参していたとい うことで正座させられていたため、その場にいた生徒指導担当の引率教