• 検索結果がありません。

一48一

ドキュメント内 判決文にみる体罰発生の原因 (ページ 52-66)

一十日、二十一日、二十四日、二十八日、二十九日事故欠席、三十日遅刻 という学習態度であり、厳木高校においては全校生徒一斉に漢字学力テ ストを実施して同月三十日一時限はその六回目に当たっており…

 (その)成績如何は原告の進級可否に大きな影響を持つべきものであっ たところ、原告は遅刻して受験しなかった…  そこで被告甲は十一月 三十日原告に対し翌日特別に原告のみに対し漢字学力テストの追試験を 施行する旨を告知し、これに備える勉強をしてくるよう指示した…

翌十二月一・一i日厳木高校における六時限の授業終了後被告甲は担任学級で ある一年五組において…  原告に対し前日指示した範囲の漢字テスト を施行するから図書室にくるよう告知し、原告のために用意した問題を 準備して被告甲が主任をしている図書室で原告を待ち受け、同日午後二 時四十五分頃同所に来た原告に対し「(受験準備の勉強を)やってきた か」と尋ねたところ原告から「やってきていない」旨の返事があったた め、被告甲は「そういうことではどうするか」と言いながら原告の顔面 を右平手で殴打し次いで「こんな大事な時期にもう立ち直らなければな らないではないか異性交遊はどうしているか」など云いながら通算四回 位原告の顔面を殴打し(た。)

前掲判例集P,930の上段19行から下最6行

 被告甲の原告に対する顔面の殴打は、学校教育のために教師が行う生 徒に対する懲戒権の行使としてその許される範囲を逸脱したものと言わ ざるを得ない…  (しかしながら)被告甲の原告を殴打するにいたっ た経緯は前示のとおり教師として生徒の将来を案じる被告甲の熱心な指 示に、原告が不合理に反発した結果誘発されたものであ(る。)

一49一

※補足説明を加えるまでもなく、あまりにも生徒がいい加減すぎ、その うえ反抗的態度もあるので、指導方法として殴打をしたことが窺われる。

2、誘因及び誘因析出の根拠と補足説明

①ルール違反

前掲判例集P,928の上段13行から下段20行

 原告は昭和五十二年夏休み経過後服装髪かたちで他の生徒より異なる 点が目立ちはじめ、欠席、遅刻が増加し、欠席について学校所定の届出 が履行されないことが多く、学科担任の他の教諭から時折被告甲に対し、

原告の学習態度が好ましくないことの通報があり、かねがね原告が校内 掃除その他生徒が共同でなすべき事に従事する際、その責任をつくさな いことがあることに気付いていた被告甲は、折りにふれ原告に注意を与 えていた(。)

前掲判例集P,928の下段7行から13行

 夜間父兄等の同伴のない女生徒の外出は学校の規則により禁止されて いるのに、昭和五十二年十月二十六日午後十時頃から翌日の午前一時頃 同じ高校の女生徒一名、他の高校の男生徒一名、有職少年一名と深夜ド ライブしたことが同日中に発覚し、原告は父の立会の上で学校長から訓 戒を受け、帰宅後父から母の面前で注意を受けたのに、その後も態度に 変化がな(かった。)

※学校の規則について他の生徒より際だって違反していた様子が窺われ

る。

se 一

②ルーズ

前掲判例集P,928の上段22行から下段6行

 家庭科被服の学習に必要な針糸布等の学習道具を担当教師の度重なる 注意にもかかわらず学校に持参せず、右教師が教材用の布を個人的に原 告に買い与え、実技の作品として提出するよう指示したにかかわらず、

その指示は履行されず、被告甲が生徒の夏休み課題とした読書感想文の 提出については、期日徒過し、被告甲からの度重なる指示が必要であっ たし、2学期中間テストの成績を父母に閲覧させその保護者の閲覧結果 を教師に回答する文書を提出するようとの被告甲の指示も原告は学級で 只一人履行しないまま本件傷害の日に及んでいた(。)

※どのように指導しても進級に係わるくらいのルーズさが、解消できな いということについての、教師の苦悩が窺われる。

③反抗

前掲判例集P,928の上段20行から22行

 原告は自分のやりたいことをとめられた時に非常に反発する性質があ り、被告甲らの注意は素直には受け入れられていなかった。

※生徒にきままさがあり、それを教師に指摘され止められると反抗的な 態度をとっていたことが窺われる。

一51一

10、山梨県私立山梨英和学園(体罰教師)事件        甲府地裁 昭和56年3月25日判決

概要

学校事故・学生処分判例集第3巻P,948の下段8行から11行

 本件原告は…  受け持ちの同学院訴外中学校二年の女子生徒が、反 抗的な態度をとったことを理由に、同生徒の髪をつかんで廊下の壁に五、

六回打ちつけ、全治二ヵ月のむちうち症を負わせた。

要因・誘因及び要因・誘因析出の根拠と補足説明 1、要因及び要因析出の根拠と補足説明

①児童・生徒理解

②誤解

③自制心

前掲判例集P,959の上段10行からP,960の下段18行

 原告は…  被告中学二年一組のクラス担任をしていた…  原告担 任のクラスにおいて、生徒同志の人間関係の育成とクラス全体の規律の 向上をめざして、生徒達に対し…  グループ学習の制度(クラス全体 をいくつかのグループに分け、それぞれのグループが自主的に授業やそ の他の学級活動に取り組む教育方法)を取り入れることを発表した。原 告は、生徒の自主性を尊重し、主として生徒自らの手により三日間に亘 り各グループの編成作業を行わせたが、四九名の生徒のうち六名が、編 成された七つのグループのいずれのグループにも選ばれず取り残されて

しまった…  右六名に対しては、グループの構成員に選ばれるまで、

授業に出ることを除いて他の学級活動(掃除当番、礼拝当番、日直当番 等)を一切しなくてよい旨を告げ、教室の最前列に右六名の机を並ばせ

      一52一

た。その際、右クラスの生徒Bは、原告の右指導方法に疑問を抱き、自 らの意思で編入されたグループを出て右六名に加わり、最前列に机を移 動させた。原告は同日、グループに加入できなかった右六名に対し、今 後の指導の資料とするため、その心境を正直に書かせたところ、右六名 のうちの一人であるAは、 「(略)友だちの本心もよくわかったし、す べての事にあきれてしまっています。 (賂)私はもう本当の友だちなん てできないと思います。でもそれでいいと思っているし、とにかく今に 満足しています。 (略)自殺して先生やみんなをおどろかしたいとゆ一 か、なんとゆ一か、ハハ(略)」等と、グループ編成より排除された心 の衝動と反省をそのまま素直に表わすのではなく、原告の指導を拒否し、

級友との関係をも否定するような自棄的な文章でその心境を表現した・

・・

エ告は、放課後、Bを呼び出し、グループを抜けでた理由を同女に

書かせた。Bが午後四時三十分頃、これを書き終え教室に戻ったところ、

グループに入れてもらえなかった生徒のうち、A、 Cの両名がBを待っ ていた。そこで右三名は、他に生徒のいない教室でBが原告に呼ばれた ことなどを話していた。そこへ原告が消灯、戸締りのため教室に入って 来た。原告はグループ編成から排除された生徒達の父兄と話し合いたい と考えていたので、右三名に対し、「個別面接をするので親に知らせて おくように。」等と告げたが、その際、原告に背を向け黙ったまま対面

しようともしないAを見て、このようなAの態度こそグループに受け入

れられない原因であり、この際、強く叱る必要があると考え、 「金太

(Aのあだ名)、こっち向け。俺の目を見て返事しろ。」と叱責し、更 に、「おまえの反抗的な気持はおまえの書いたものを読めば分かる。」

と言いながら、その胸元をとって前後にゆすった。これに対し、Aから あだ名で呼ばないでほしいと抗議され、また、 「自分の気持を正直に書       一53一

けと言われたから書いた。」と反論されたところがら、原告は、当時グ ループ学習にスムーズに入れない苛立ちもあって、Aに対し、語気荒く 感情的な高ぶりをも混えて、「おまえは入間の屑だ。おまえのような不 良がいるからクラスが悪くなる。」さどと叱責した後、再度右三名に対 し、個別面控(原文のママ)の意向を伝えて帰宅を促した。そこで、三名の生

徒は、帰宅すべくAを最後に教室を出たが、その際、Aは後に続いて教

室から出ようとしている原告に気付かないまま、ノブを数度まわし、開 け閉て(原文のママ)の悪いドアを静かにきちんと閉め廊下を歩き出したとこ ろ、これを見た原告は、Aが、教室から原告の出ようとしているのを知

りながらその目前でわざとドアを閉め、重ねて反抗的な態度を示したも のと考え、:再び 強く叱ろうとする一方、前記の如きグループ学習にスム ーズに入れない苛立ちや、直前にAを叱った感情の高ぶりなどもあって、

急いで教室から出てAを追いかけ…  廊下において「おいA、ちょっ

と待て。先生が出て来るのを知ってて何で閉めるんだ。」と怒鳴りつけ るや、同廊下の壁際で、その壁を背にして直立していた同女の頭髪をい きなり両手でつかみ、頭部を前後に数回ゆすり、その後頭部を背後の硬 いモルタル壁に五、六回強く打ちつけた後、無言でその場を立ち去った。

※6人もグループに入れない生徒がでたり、それらの生徒をだしたこと に疑問を抱いて自らグループに入らない生徒がでてくる等はグループの 作り方において、どこかまずいところがあるのではないかと、まずは教 師の方で反省してみるべきことであるのに、そこには考えが至らず、教 室から教師がでようとしているのを知りながら、その目前でわざとドア をしめて反抗的な態度をとったと誤解し、後を追って、いきなり後頭部

を背後の硬いモルタル壁に5、6回強く打ちつける等、教師としての自

      一54一

ドキュメント内 判決文にみる体罰発生の原因 (ページ 52-66)

関連したドキュメント