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5. 東日本大震災における教訓の抽出

5.2 一次仮置場(市民仮置場)に係る課題・教訓

(1)課題と対応

① 宮古地区(宮古市、岩泉町、田野畑村)

発災前において災害廃棄物処理計画が策定されておらず、一次仮置場候補地の事前検討が行われて いなかった(地域防災計画で組織計画のみ策定)。一次仮置場の設置方針としては、被災地に近い公 有地に設置する方針としたが、公有地だけでは仮置場が不足したため民有地についても借用した。

しかし、県有地に設置した一次仮置場の中には、仮置場以外の別用途に使用するため返還を求めら れ、長期間借用できなかった場所も存在した。

被災直後から道路啓開が行われ、使用可能な一次仮置場へ順次搬入が開始された。被災自動車を市 内数ヶ所に仮置きしたが、自動車リサイクル法に基づく処理方法等、制度への理解、経験不足による 処理体制の立ち上げの遅延等の課題が生じた。平成 23 年 3 月 28 日に環境省から被災自動車の処理に ついて通知されたものの、明確な基準や処理に至るまでの流れは示されなかったことから、岩手県で は弁護士と相談した上で、「被災車両の処理フロー」を作成し、平成 23 年 6 月 27 日付で被災市町村 へ通知され、市で処理が行われた。

岩泉町では、一次仮置場に災害廃棄物を集積後、宮古市からの要請で災害廃棄物を緊急的に保管す る必要があったことから、一度覆土を施し、その上に宮古市の災害廃棄物を仮置きしたため、町の災 害廃棄物の処理開始が遅れたことや、災害廃棄物に土砂分が多く付着する等の問題が発生した。市町 村も事業者も一次仮置場に事前に遮水工を行う必要性を認識しながらも、その時間的余裕がなかった ため、原状復旧にあたっては、土壌分析の結果、港湾部の埋立地等で環境基準等を超過する仮置場が 発生した。

図 5.2-1 一次仮置場に係る課題とその対応事例(宮古市)

方針検討 設置場所の選定 整備・供用 原状復旧

被災地に近い公有地を設定

発災前に処理計画はなく一次 仮置場候補地の事前検討が行 われていなかった

2013年6月27日「仮置 場の返却に伴う原状 復旧に係る土壌汚染 確認のための技術的 事項について」(環境 省)通知。

2013年7月「災害廃棄 物仮置場の返還に係 る土壌調査要領」(岩 手県)

国・県の動き

2011年5月16日、「東 日本大震災に係る災 害廃棄物の処理指針(

マスタープラン)」(環 境省)

公有地だけでは仮置場が不 足、民有地を借用

使用可能な公有地の確保

・田老現場事務所

・田老野球場

・出崎埠頭

・藤原埠頭

・宮古運動公園

場所によっては長期間借用 できなかったところもあった。

2011年4月~

田老野球場周辺の民地借用

2011年6月~

藤原埠頭周辺の民地借用

発生量が膨大。当初想定していた公 有地は仮設住宅等に利用され使用不 可。不足しそうになった段階で手配。

2014年3月搬出終了

2011年3月から使用可能な 仮置場へ搬入開始

2011年12月から二次仮置場 への搬出開始

2015年1月、原状復旧 完了

基準値を超過する仮 置場(港湾部の埋立 地など)あり

順次対策工を実施

(掘削除去)

【補 足】

事前に遮水工を行う必要性 は認識しながらも、市・事業 者とも時間的余裕がなかった。

岩泉町については、一次仮置場に 集積後、宮古市の災害廃棄物を緊 急的に撤去する必要があったこと から、一度覆土を施し、その上に宮 古市の災害廃棄物を仮置きした。

そのため、岩泉町の災害廃棄物の 処理開始が遅れた。また土砂分が 多く付着していた。

行政上の課題や注意点 発生事象としての課題 発生事象としての課題

2011年3月28日、「東 北地方太平洋沖地震 により被災した自動車 の処理について」(環 境省)

【補 足】

地域防災計画で組織計画のみ策定。

2011年4月5日、広報誌によ る住民へごみ排出方法・

ルール、解体家屋に関する ルール、被災自動車の扱い に関する周知

【補 足】

仮置場における火災は確認されてい ない。

行政上の課題や注意点

行政上の課題や注意点

県有地を別用途に使用するために返 還を求められた。

出崎埠頭は宮古市の魚市場の早期 開業のため岩泉町小本港に移動。

限られた空地をどう使いまわしていく かという発想が大事。空地利用方法 を関係部局と事前に調整しておくこと が重要と考えられる。

行政上の課題や注意点

ポイント

被災自動車は市内数ヶ所に仮置きし たが、自動車リサイクル法による処理 方法が分からず、処理体制の立ち上 げが遅れた。被災自動車の処理につ いて、処理委託か売却かの方針の検 討に時間を要した。

⇒岩手県の処理フローを受け、市で処理。

行政上の課題や注意点

2011年6月27日、「被 災車両の処理フロー」

(岩手県)

方針検討 設置場所の選定 整備・供用 原状復旧

方針検討 設置場所の選定 整備・供用 原状復旧

5-8

② 大船渡市

発災前において災害廃棄物処理計画が策定されておらず、一次仮置場候補地の事前検討が行われて いなかった。平坦な土地が少なく一次仮置場の確保に時間を要した。公有地だけでは不足しているた め、民有地の選定にあたっては、建設課の職員が主導的に動いたことで、平常時の用地交渉業務での 留意点を活かすことができ、地権者交渉や契約手続きをスムーズに行うことができた。

平成 23 年 4 月末の時点で 15ha(合計 11 箇所)の一次仮置場が確保されていたが満杯の危機を迎え たため、平成 23 年 5 月からは搬出先としてセメント工場を想定した分別作業が行われた。保管物に 関しては消火器の取扱いに苦慮した。

被災地では水産廃棄物が大量に発生しており、大船渡市においても、その腐敗が問題となり、発災 直後から岩手県・大船渡市・水産加工業者の間で処理方法等について協議が行われ、仮埋立による一 時保管を行った。平成 23 年 6 月 17 日に海洋投入処分に関する告示に基づき実施された。一時保管(埋 立)場所は街中であったことから、悪臭等に対する住民から苦情対応に苦慮した。最終的には一時保 管したものを掘削し、焼却処分を行った。原状復旧にあたっては、土壌の掘削除去により、平成 26 年内に完了した。

図 5.2-2 一次仮置場に係る課題とその対応事例(大船渡市)

方針検討 設置場所の選定 整備・供用 原状復旧

2013年12月までに原 状復旧完了

基準値を超過する仮 置場あり

2011年4月、仮置 場が満杯の危機

浸水域内の公有地を活用

不足分は民有地を借用

2011年5月、仮置 場における一次 分別作業の開始

【設置方針】

公有地で十分な面積を確 保できる土地

農地は避ける

仮設住宅用地等と重複し ないように連携

可能な限り遮水シート等 を設置。土壌汚染防止措 置をとる

順次対策工を実施

(掘削除去)

埋立による一時保管を 実施

2011年6月17日「緊急 的な海洋投入処分に 関する告示」(環境省)

残りの水産廃棄物等は 海洋投棄処分

一時保管したものを掘 削・除去し、焼却処分

【補 足】

残渣の臭気や塩分濃度等の 特性により、処理施設での受 け入れが困難で、処分・運送 事業者の選定に時間を要した。

【補 足】

地権者等と特にもめるなどの 問題はなかった。

発災前の処理計画はなく設置場所は想定していなかった

平坦な土地が少なく、確保に時間を要した

一次仮置場の確保に向け 市建設課の職員が現地 調査を実施

水産廃棄物等の腐敗

2011年3月、岩手県や 水産加工業者と処理方 法等について協議

民有地を借用するにあた り、建設課主導で動いて いたことで、地権者交渉 や契約手続きがスムーズ に行えた

【補 足】

平常時の用地交渉業務での留意 点を交渉に活かすことができた。

地権者の同意を得た。(口頭で同 意を得た後、書面での同意を得 た。)なお、地元自治会への説明 は実施していない。

2012年12月搬出 終了

2011年7月から本 格的に二次仮置 場への搬出開始

【補 足】

事前に遮水工を行う必要性は 認識しながらも、市・事業者と も時間的余裕がなかった。

【補 足】

分別は太平洋セメントへ の持込を想定した分別。

搬出先を想定した分別を 行っている。

収集だけでなく、選別や 処理をする体制を早期に 整えることが重要と考えら れる。

大規模災害時に、仮置場 の候補地の情報提供や 整備・供用にあたっての 協力について、事業者と 事前協定を結んでおくこと も必要と考えられる。

【補 足】

被災した6,000本超の被災消火 器が発生。消火器の取扱いに 苦慮した。

消臭、害虫モニタリング 及び殺虫を実施

【補 足】

周辺住民からの苦情や 要請。

国・県の動き

【補 足】

仮置場における火災は確認さ れていない。

行政上の課題や注意点 発生事象としての課題 発生事象としての課題 発生事象としての課題 発生事象としての課題

2013年6月27日「仮置場の 返却に伴う原状復旧に係 る土壌汚染確認のための 技術的事項について」(環 境省)

2013年7月「災害廃棄物仮 置場の返還に係る土壌調 査要領」(岩手県)

2011年5月16日、「東日本 大震災に係る災害廃棄物 の処理指針(マスタープラ ン)」(環境省)

水産加工業者で処理ができない。

一部事務組合では処理ができない。

焼却施設がなく、焼却処分は不可。

ポイント

【補 足】

2011年4月末時点で 15haの仮置場(11箇 所)

行政上の課題や注意点

方針検討 設置場所の選定 整備・供用 原状復旧

方針検討 設置場所の選定 整備・供用 原状復旧