⑤ 中 庸 熱 ポ ル ト ラ ン ド セ メ ン ト(JIS R 5210)
マ ス コ ン ク リ ー ト の 工 事 用( ダ ム・ 大 規模橋脚等)に、水和熱を低くするために エーライト C₃S、アルミネート相 C₃A の含 有量を少なくしたセメント。
⑥ 耐硫酸塩ポルトランドセメント(JIS R 5210)
アルミネート相 C₃A は、硫酸塩への抵抗 性が弱いため、その含有量を極力少なくし たセメント。護岸工事、温泉地付近工事、
化学工場工事に使用。
⑦ 高炉セメント(JIS R 5211)
製鉄所から出る高炉スラグを急冷し、そ れを混合材としている。混合量で A 種(5%
を超え 30%以下)、B 種(30%を超え 60%
以下)、C 種(60%を超え 70%以下)に分か れる。長期強度増進が大きく、耐海水性や 化学抵抗性に優れ、大型土木工事(ダム・
港湾等)に使用。
国内で流通するセメントの約 25%を占 め、①に次いで多い。
⑧ シリカセメント(JIS R 5212)
天然のシリカ質混合材を混合したセメ ント。耐薬品性に優れているが、強度発揮 に時間を要する。コンクリート製品等に 使用。
⑨ フライアッシュセメント(JIS R 5213)
主に火力発電所で石炭の燃焼時に発生す るフライアッシュ(微粉状の石炭灰)の中で 良質なものを混合。混合量で A 種(5%を超 え 10%以下)、B 種(10%を超え 20%以下)、 C 種(20%を超え 30%以下)に分かれる。二 酸化けい素 SiO₂ がセメントの水和物によっ て生じた水酸化カルシウム Ca(OH)₂ と反 応(ポゾラン反応)して水和物を生成。大型 土木工事(ダム・港湾等)、水密性を要求さ れる構造物に使用。
⑩ エコセメント(JIS R 5214)
廃棄物問題解決を目指して開発。都市ご み焼却灰や下水汚泥を主原料とし、2001 年 に千葉県市原市に世界初の工場が完成し生 産開始。鉄筋を使わないコンクリート分野 に使用。
表 1 セメントの種類
出典)JIS、(社)セメント協会資料、(財)経済調査会資料
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3) セメントの生産
我が国のセメント工場は、北海道から沖縄 まで全国に分布しており、2010 年 4 月現在で 18 社 32 工場(粉砕専用工場は除く)存在する
(図 3参照)。企業数 18 社の資本系列をみる と、半数近くは子会社又は直系会社などであ り、生産全量を販売委託している。この結果、
セメントを販売している現在の会社(ブラン ド)数は 10 社(太平洋、宇部三菱、住友大阪、
トクヤマ、麻生ラファージュ、電化、新日鐵、
日鐵、日立、琉球)である。
工場のタイプは、工場立地によって、生産
地工場と消費地工場に区分されるほか、臨海 工場と内陸工場に分けられる。それぞれの特 色は下記の通りである。
・ 生産地工場(原料運搬コストが低い、製品 運送コストが高い)
・ 消費地工場(原料運搬コストが高い、製品 運送コストが低い)
・ 臨海工場(タンカーによる大量輸送で製品 輸送コストが低い、遠距離出荷が可能)
・ 内陸工場(鉄道・トラックにより製品輸送 コストが高い、出荷範囲が限定)
図 3 セメント工場の分布
出典)(社)セメント協会資料
(2010 年 4 月 1 日現在)
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4) セメントの流通
① 物 流
セメントの物流図について 2009 年度実 績を基に示すと、図 4の通りである。同図 で対象としたセメントには袋積みも含まれ るが、輸送量(第一次・第二次計)の殆ど(98
〜 99%)がバラ輸送である。その背景には 生コン、コンクリート二次製品への需要形 態の転換がある。
セメント工場(前述図 3参照)で生産さ れたセメントは、「タンカー」に約 3 分の 2
(66.3%)、「トラック」に約 3 割(30.7%)、「そ の他(バラ圧送等)」に一部(3.0%)の割合 で輸送されているが、末端までの流通パ ターンを大別すると、以下の通りである。
A 基本パターン(一次輸送・二次輸送を 経て国内ユーザーへ)
工場で生産されたセメントをまず「ト ラック」「その他(バラ圧送等)」により 中継基地(サービスステーション、以下
「SS」と呼ぶ)へ輸送(一次輸送)される。
次に、SS から「トラック」(92.1%)、「タ ンカー・その他」(7.9%)で国内ユーザー へ輸送(二次輸送)される。
SS は全国に配置され、2010 年 4 月 1 日現 在で379 ヶ所(貯蔵能力:376万820t)となっ ており、臨海地区が 297 ヶ所(貯蔵能力:
340 万 7,710t)、内陸地区が 82 ヶ所(貯蔵能 力:35 万 3,110t)の構成である。臨海 SS は
大量輸送(タンカー船)が可能なため、貯 蔵能力が 1 万 t 超と大きく、メーカー各社 は輸送合理化策で内陸 SS を廃止して臨海 SS にシフトする方向にある。
B 直送パターン(工場から直接国内ユー ザーへ)
工場で生産されたセメントを「トラッ ク」で国内ユーザーへ直送する。工場の 近隣のユーザー、内陸部で近隣に SS が 立地していない地域で多くみられる。
C 輸出パターン(工場から直接海外ユー ザーへ)
工 場 で 生 産 さ れ た セ メ ン ト を「 タ ン カー」で海外ユーザーへ輸出する。仕向 け先は、東南アジア(シンガポール・中 国など)、豪州、アフリカ、中近東、中南 米など広範囲に及ぶ。
② 商 流
セメントの商流図を示すと、バラセメン トが図 5、袋セメントが図 6のようになる。
バラセメントはメーカーから直接、又は 特約店経由にてユーザー(生コンメーカー・
コンクリート二次製品メーカー・工事業者)
へ販売している。他方、袋セメントに関し ては、メーカーから卸協同組合経由、又は 特約店経由にてユーザー(工事業者)へ販 売するほか、小口取引では特約店から更に 建材店を経由してユーザー(工事業者)へ 販売するルートもある。
図 4 セメントの物流図
出典)(社)セメント協会資料
5)セメントの需給
① 国内需要量、輸出・輸入量
セメントの生産・販売・在庫量について、
1985 年度以降の年度推移をみると、表 2の通 りである。これによると、最盛期は生産量が 1996 年度、国内販売量が 1990 年度である。数 量が激減した 2009 年度の生産量(5,837 万 8 千 t)、国内販売量(4,197 万 6 千 t)をそれぞれ 上記最盛期年度と比べると、生産量は最盛期 の 58.8%、国内販売量は同じく 50.0%にとど まり、顕著な需要減少傾向と共に業界の置か れた厳しい状況が読み取れる。
また、輸出量に関しては、国内需要が不 振の時期には旺盛になる傾向がみられる が、2003 年 度 以 降 は 概 ね 1,000 万 t 前 後 で 推移している。輸入量に関しては、円為替 の高騰期に韓国・台湾からの輸入が旺盛に なり、1989 年度が最盛期(365 万 t 強)を示 したが、近年は減少傾向にあり、2009 年度 は同最盛期の 2 割程度にすぎない。
② 官需・民需別需要量
セメントの国内需要のうち、官需・民需別 比率を 2009 年度実績で推計すると、官需が 5 割強、民需が 5 割弱とみられる(参考文献:
(社)セメント協会資料、(株)セメント新聞 社資料ほか)。1980 年代末から 2000 年代当初
は官 55%・民 45%、2004 年度以降は民需回 復でほぼ半々と言われていたが、官需激減に より民需比率が高まっている。
③ 販売先別販売量
2009 年度のセメント国内販売量を販売 先別にみると、「生コン向け」が 71.4%と圧 倒的に高くなっており、以下、「セメント製 品向け」(12.9%)、「建設業向け」(11.8%)、
「小売業向け」(3.8%)の順となっている(出 典:(社)セメント協会資料)。
④ 荷姿別販売量
2009 年度のセメント国内販売量を荷姿別 にみると、「バラ」が 96.7%、「袋」が 3.3%を示 しており、このバランスはここ数年殆ど変化 していない(出典:(社)セメント協会資料)。
⑤ 地区別販売量
2009 年度のセメント国内販売量を地区 別にみると、図 7の通りである。これによ ると、関東が 31.7%を占めており、次いで 近畿(13.1%)、九州(12.2%)、東海(12.1%)、
東 北(7.2 %)、中 国(7.0 %)、北 陸(5.6 %)、
北海道(5.6%)、四国(4.0%)、沖縄(1.9%)
の順となっている。
図 5 バラセメントの商流図
図 6 袋セメントの物流図
出典)(財)経済調査会資料 出典)(財)経済調査会資料