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ローレンス J. ロンジェ氏

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前半: REIT

税法がきっかけとなってREIT が生まれたのです。

アメリカ議会がREIT を生み出したのは、小口の投資家が商業不動産に投資できるように するためです。それを追って、他の国々も税控除の対象となるような制度を作りました。オ ランダ、オーストラリア、そして最近になってベルギー、それから 2001 年には日本の J-REIT。それから、フランスです。大分佳境に入り、2004 年にマレーシア、2005 年にメキシ コ、2006 年にタイ、そしてイスラエル、そういった国々が続いています。そのほか、コスタ リカなどもREIT を導入したということで、REIT は世界的な現象となっています。それか ら意外に感じますが、イギリスとドイツは最近になってようやく参加してきました。

2006 年まではREIT の時価総額ではアメリカが圧倒していました。興味深いことですが、

2007 年になると、アメリカの割合が時価総額で半分以下に下がってしまいました。これはお そらくいいことだろうと思います。

アメリカには2 つの異なる歴史があったと言ってもいいでしょう。60 年代後半から70 年代 初頭にREIT が組成されたきっかけはまた後ほどお話しいたしますが、本日のテーマに一番 ふさわしいのは、US-REIT と2001 年に登場したJ-REIT の比較だと思います。まず先に、こ の違いを押さえることが非常に重要だと思います。US-REIT はいわゆる自己運用で、社員 がそれぞれプロアクティブに運用しています。不動産資産のバスケットをパッシブ運用する のではありません。一方、J-REIT は、外部運用です。US-REIT も、86 年以前には、日本と 同じように外部にバスケットを託していた時代もありますが、最近は自己運用です。

組成の仕方は、J-REIT の場合は投資法人、対してUS-REIT は法人、信託、社団であり、

法人格が異なります。またUS-REIT は、必ずしも不動産の所有者となる必要はありません。

アメリカのREITの資産要件は、不動産のエクイティでも、デットでも、あるいは他のREIT の持分からでも構わないのです。不動産そのものの所有は義務づけられていません。そのた め、US-REIT には何をどのようにするか、相当の柔軟性が秘められています。

それから、課税所得の分配については、

日米同じルールです。

また、US-REIT については、所有する不 動産の所在地について規制がありません。

昔から海外不動産にも積極的に投資してい ます。メキシコ、カナダの REIT も海外不 動産への投資が可能です。サイモン・プロ パティなどは日本の資産を取得しています し、中国、オーストラリアにも資産を所有 しています。したがって、US-REIT は資産

の内容もグローバルであるといえるでしょう。それに対して、J-REIT は今年5 月になって、

一部条件つきで、海外の資産を取得することができるようになったと聞いています。そこが 日米の違いでしょう。

そのほかにも幾つか違いはあります。特定株主の保有制限については、J-REIT では一株 主が50 %以上を保有してはならないというルールであることに対して、US-REIT では50 % 以上を5、あるいはそれ以下の株主が保有してはならないルールです。また、J-REIT では、

投資口を保有する株主が少なくとも 1,000 以上いなければなりません。それに対して US-REIT は、税控除の資格を得るための導管性要件を満たすため、少なくとも株主数を100 以 上とするシェアホルダー基準を満たさなければなりません。そして、さきほど申し上げた 50 %、5 以下のルールを満たし、かつ資産の75 %は不動産関連資産でなければなりません。

その資産は実物不動産だけではなく、エクイティ、デット、あるいは他の不動産の持ち分で あってもよいとされているわけです。

最後に UP-REIT 制度についてですが、アメリカの「アンブレラ・パートナーシップ REIT」という仕組みはアメリカが生み出した発明の才とでも言うのでしょうか、91 年にシ ョッピングセンターを運営するタルマンセンターが生み出したものが第1 号でした。簡単に 言えば、税を繰り延べする形で不動産をREIT に拠出できる制度で、IPO のときに課税をさ れません。不動産不況、暗黒の時代のひとつの解決策でした。市場に不動産を売ったときに は課税されますが、REIT に拠出することによって、公募しながら、一方では、所得税の課 税を繰り延べする、回避することができたのです。このことがきっかけとなって、今の REIT 市場が誕生したと言ってもいいと思います。

また歴史の話に戻りますが、60 年代後半から70 年代初頭に組成されたREIT のほとんどは モーゲージリートでした。なぜかといいますと、当時、商業銀行はデットキャピタルを提供 していましたが、商業銀行が苦境に陥ったため、資本市場がタイトになりました。いわゆる 信用収縮が起こり、商業銀行は不動産離れを起こしました。不動産市場は、あまり規律のな い非上場、未公開の市場であったため、商業銀行が逃げていってしまい、残された不動産市 場は資金不足に陥ったのです。しかしその代わりに商業銀行はモーゲージリートのスポンサ ーになって、デットキャピタルを商業不動産に提供しようとしたのです。直接投資するので はなく、公開企業(REIT)を作って、それを通して資金を提供したのです。それがモーゲ ージリートだったわけですが、その後、1973 年にアラブとイスラエルの戦争が起こり、エネ ルギー価格が高騰し、オイルショックとなりました。そしてインフレが高進し、その当時作 られたモーゲージリートはほとんど破綻しました。

このような経験があり、REIT はマイナスのイメージを持たれ、ほとんど存在しない状況 となりました。有毒なアセットクラスと見られ、70 年代から91 年まではREIT の動きはほと んどありませんでした。そして91 年になって、初めて近代の第1 号REIT が誕生しました。

それがKIMCO です。これが最初のIPO 案件でした。70 年代以来、久方ぶりの近代のREIT のIPO でした。

上部にスペシャリティーとあります。どのようなものがスペシャリティーなのかというと、

ゴルフコースを保有し、運営するREIT もあれば、自動車のディーラーショップを運営する REIT もあります。映画館もあります。また、信じられないかもしれませんが、刑務所を保 有、運営するようなREIT もあります。このように、どのような種類の不動産であっても、

会社が保有して、運営する。例えば携帯電話のアンテナタワーを屋上に設置して、その部分 だけを保有して運営するようなREIT もあります。本来は不動産事業を行っていないような 大企業がバランスシートにさまざまな不動産を抱えている。それがバランスシートの足を引 っ張っている場合があるので、それがスペシャリティーリートに変貌する。バランスシート から資産を外して、そして公募する。税控除の資格を得ようというわけです。

次に、まず2007 年のデータですが(図表2 参照)、REIT の収益率はあまりよくありませ ん。もちろん信用が枯渇し、商業不動産の資産価値がかなり大きく下がったことが原因です。

その結果、あらゆる用途タイプでの現象と言ってもいいと思いますが、赤字が出ています。

下軸のREIT 指数を見てみますと、広く横断的に、16 %から17 %のマイナスになっていま す。これは2006 年から2007 年にかけての実績です。2008 年には、意外なことかもしれませ んが、US-REIT の収益率はプラスに転じています。S &P に対してそれ以上のパフォーマン スが出ています。この現象は、REIT はレバレッジが低く、安価なデットに依存していない からだと思います。

し た が っ て 、 ま さ に 今の こ の 時期、REIT はか な り 積極的に 動 け る 状況で あ る と 言え ま す 。 不 動産を 買っ た と き に 、 安価な レ バ レ ッ ジ に 依存 していたものは、

サ ブ プ ラ イ ム ロ ー ン 問題に よ っ て 市場か ら 撤退 を 余儀な く さ れ て い ま す 。 残っ た US-REIT はま

〔図表 1〕

さにここにきて、

よ り 合 理 的 な 活 動を、より合理的 な市場で行えるよ うになったという ことになります。

そのため、2006 年か ら 2 0 0 7 年の 前 半 に か け て 、 REIT の非上場化 が 進 み 、 上 場 REIT の本数その ものは減ってきて います。要するに、

プライベートエク イティのほうが簡単に安価なデットが使えるということが理由でした。今まで上場市場は、

プライベートエクイティ市場よりも評価が高かったわけですが、その後、上場市場よりもプ ライベートエクイティのほうが不動産を高い評価で認めるようになったのです。

その結果、この6 年間、投資可能な資金が世界で35 兆ドルから70 兆ドル、あるいは73 兆 ドルまで伸びたと言われています。これだけ多額の投資可能な資金が出てきて、特に低金利 ですから、その利回りを求めて、投資対象を求めたわけです。このようなことが確定給付型 の年金にかなりあったわけです。退職者に対し、特定の金額を年金として提供するという約 束をしていても、低金利ではそれだけの約束が守れないということになります。こうして、

確定給付型の年金も、ハイリスク、ハイリターンの投資商品に投資をしなければいけないと いうことになり、年金基金やプライベートエクイティが商業不動産に目を向けてきました。

彼らの認識では、上場市場は不動産を過小評価している、割安になっているということで、

むしろ上場REIT を非公開化したほうがメリットが大きいわけです。

特にその中でも、アメリカの最大のREIT、EOP、エクイティ・オフィス・プロパティ・

トラストは、90 年代の半ばにサム・セルガー氏が設立したREIT で、資産総額が380 億から 390 億ドル、そしてエクイティが210 億ドルという大きな企業でしたが、このREIT が非公開 化されました。このEOP だけではなく、その前にもおおよそ同じ資産総額のREIT の非公開 化されました。資産総額700 億ドル相当のREIT がニューヨーク証券取引所から上場廃止に なりました。

したがって、アメリカではREIT の上場数がかなり減ってきました。おそらく、1992 年以 来、上場率は最も低い水準になっています。それだけではなく、実際に今上場されている REIT の時価総額を見てみますと、3,000 億ドルを下回っています。これはかなり異例な状況

〔図表 2〕

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